恐怖! ネジレジアの大侵攻
東京上空に大型円盤が出現し、町を焼き払う。大量のクネクネがパラシュートを開き、降下してくる。やつらは東京中で人を捕らえ、円盤へ送っていく。
都心に立つ超高層ビル・セントラルタワー展望室裏の非常階段のドアノブに、今村みくは手をかけていた。反対の手にはメガスナイパーのグリップを握っていた。ピンク色のメガスーツが赤い照明の下で、妙な光を放っていた。
『誘拐計画は順調か』
『はい、順調であります』
メガピンクの前頭部で携帯電話のマークが輝いていた。みくは息をのんだ。顔をあげると、並木瞬のメガブルーの精悍なマスクがあった。テレホンサーチにより、部屋の中の様子はまるわかりだった。
ここには敵が集結し、作戦基地を築いていた。ここをつぶせば、なんとかなる。でもこういう場所は一箇所ではなかった。避難民と誘拐者と恐慌が溢れる都市の中で、やつらに抵抗できるメガレンジャーはたった五人。みくは不安だった。
瞬さえいれば何とかなるかもしれない。それでもやっと、二人だった。
「安心しろ」メガブルーが囁く。「俺たちは勝ってきたじゃないか」
「うん」
「もうすぐだ」
そうよ、勝ってきたじゃない。あたしは無敵のメガピンク。何も恐れるものは無い。
〈シャフト12稼動〉
テレホンサーチが新たな動きを感知する。視界にビルの概観図が表示された。シャフトと書かれた何十基もあるエレベーターの一つが、ロビーからこの展望室へあがってくる。そのわずか何十秒か、階数があがっていくに従って、みくの鼓動が高鳴る。
「なにかあったか」
「ちょっと待って…うそ……」みくは絶句した。
『センノウネジラーさま! ついに捕らえました』
監視カメラの一つが白黒の画像を送ってくる。エレベーターからネジレ獣が大股で現れる。その背後には十匹近いクネクネが拘束具をつけた鎖を引っ張ってきた。その蜘蛛の巣のような鎖の中心には、ぼろぼろのメガスーツがあった。白黒画像には白く光っていた。陥没したバイザーの形をみてわかった。メガイエローだった。
「まさか」
メガピンク経由でメガブルーのバイザーにも同じ映像が送られていた。瞬も事態に言葉を失う。
『おお、よくやった。どうやったのだ』
『我々は子供たちをさらっておりました。人間というものは他を差し置いて、子供を大事にします。この馬鹿娘は一人でノコノコ我々の前に現れました。このざまです』
声の間に妙に色っぽい声が漏れていた。みくは動揺した。今ごろならメガイエローはタワー東京の最上階展望室で耕一郎と、同じようにしているはずだった。
みくにも千里にも仲間の誰にも、さらわれる子供をほってはおけない。それを逆手に取るなんて、許せない! ドアノブをとって、まわそうとする。
「やめろ」
「どうして?」
メガピンクがメガブルーを睨む。
「今出て行っても、つかまるだけだ。千里も助けなきゃいけない」
『ああああああああああ!』
瞬の言葉が終わらないうちに千里の悲鳴が重なる。みくの心臓をわし掴みにする冷たい恐怖。
センノウネジラーはメガイエローへ近づく。クネクネがマリオネットのごとく、鎖を使って、メガイエローを立たせた。拘束具が身体を苛み、すでに傷ついているもいるのだろう。一通りの悲鳴のあと、千里はぐったりとしていた。本当にマリオネットみたいだった。
『私はセンノウネジラーだ』
『そう』諦めか抵抗か千里の声は凍りついていた。
『まず私の部下の不当な扱いをわびる』
みくは意外に思った。なんの意図があるのだろう。どちらにしても口から出任せだろう。千里の忍び笑いが囁き渡る。
『ならあなたたちの不当な攻撃もやめて!』
『私はこの戦いに反対だ』メガイエローのマスクがあがる。『私は人間と何もそこまですることは無いと思う』
『そう』再び忍び笑い。『ならなんでするの』
『命令だから、仕方なくする』
『センノウネジラーさま!』
『黙れ』部下のネジレ獣を一喝した。『私は反乱を起こしたい』
『反乱?』千里の声、米粒ほどの希望がみえる。みくの胸は嘘だと叫んでいる。瞬だってたぶん同じだ。だけど、傷ついていた。白黒の悪い映像でも解る。絶望の淵で泥を塗られて、千里の心は傷ついていた。
だめ! みくは叫びそうになった。情報を集めることは出来ても、判断できない。瞬は待てという。その体勢のまま二人凍り付いていた。ならやめたほうがいいのかも知れない。でも、千里が騙されてからじゃ遅い。
『反乱を起こすの?』
『そうだ、メガイエロー、協力がほしい』
『協力……』千里の声は完全に動揺していた。『どう、すればいいの』
「だめだ、メガイエロー」
瞬がつぶやく。メガイエローのグローブはえぐれて、マスクの両側は潰れている。意図的に無線機が破壊されているのだった。
「罠だ。何で気づけない……」
『簡単なことだ。この機械を手にはめて、帰ってくれ』
画質が悪くてよく解らない。解析を重ねて、ブレスレッドに見えた。シルバーのブレスレッドだった。それが二つ、センノウネジラーの手にある。
「もう待てない!」
「よし」みくの声に瞬は決意した。「行くぞ」
瞬がトマホークスナイパーを構えた。
『そうすればどうなるの?』
千里にもう考える力は無い。目の前に示された、ブレスレッドは、たった一つの今の痛みから逃れられるものだった。それは明らかに罠だった。でも、千里の脳には、激痛と疲労とトラウマが占めていて、判断能力を奪っていた。
『とにかくつければいい』
センノウネジラーはそれをクネクネに手渡す。そのクネクネはメガイエローの元に迫り、ただ無理やりつけさせようとはしない。ただ示すだけだった。
千里の脳は手をのばす。メガピンクもキャプチャースナイパーを構えた。ドアの前に二人で立つ。メガブルーのデジタルワイドテレビが点灯した。みくは命令を選択した。赤色灯が消え、展望室の電気が消え、エレベーターが止まり、空調が止まった。
闇に続く、爆破音が響き渡る。メガピンクとメガブルーは部屋で踊り入る。反対側の壁から大量の煙とレーザーが放射されていた。瞬のマスクのテラとかメタとかの演算能力があるスーパーコンピューターが立体ホログラフがネジレジアを混乱に陥れた。一瞬にして統制が失われた。
キャプチャースナイパーが煙のホログラフの中から、敵を射落とす。クネクネたちは自分の銃剣をホログラフのレーザーの方へめちゃくちゃに撃っていた。みくの足が持ち上がって、左から右へ、すぐ目の前に現れたクネクネを屠った。
「ええい!」
メガブルーはパラボラアンテナのついた機械を壊すと、一番エラそうなネジレ獣へ向かう。メガピンクは一直線にメガイエローを目指した。
「メガイエロー!」
絡まる鎖があっという間に切断されていく。その鎖を持つクネクネは切断されたと気づく前に、超音波攻撃を受けている。途切れた手錠や足枷だらけの千里の前にみくが踊り出る。マスクが割れて、素顔が見える。おびえた瞳。それがメガピンクを見つけると、手を伸ばしてきた。
「助けに来たわ!」
みくの腕に千里の手がのびる。メガイエローのグローブはみくのグローブにいかず、メガピンクの胸を潰した。
「あう!」
思いもがけないショックにみくは尻餅をついた。覆い被さるように、メガイエローが立ち上がってきて、両腕が首に絡まる。「ああぁぁ!」ぐぐもった声をメガピンクはもらす。「何するの」
みくの手が千里の腕にかぶさる。その腕にはグローブの上からでも確かな感覚があった。冷たい銀色に輝くブレスレッドの上で、幾何学的な装飾がぬらぬらと、それ自体生を持つかのように光を放っていた。
ひび割れたバイザーから、力強いが意思を持たない瞳の光が、メガピンクを強く見つめていた。強い腕力だ。
「メガ、イエロー……」
みくは上ずりながら、見つめる。腕ががくがく震えながら、ブレスレッドのはまった手を引き剥がしていく。振り切って、立ち上がる。みくの肩が息をしていた。
「なんで、どうしたの……」
状況よりも親友が襲い掛かってきたことが解らない。
「はああ!」
メガイエローは突然声をあげた。鎖が金属の音を引いている。腕が首元をかきむしっていた。みくは近づく。おびえた瞳、千里の腕をとり、目を合わせた。
「み、みく?」
「メガイエロー? 千里?」
「だ、だめ」
手が風船のように宙を行く。指先が何かをつかもうとしている。
「はああん! みく、だめ、はあれて!!」
「しっかりして、ちさとお!」
指が何かをつかむ。拳が青白く光った。千里の悲鳴が続く。ブレスレッドの装飾がメガピンクを照らす。万華鏡のような光をみくは見た。見惚れた。拳の光が関節まで伸びていく。腕をしっかり握った。肩をとり、腕をまわす。大丈夫。メガイエローのブレードアームがメガピンクを屠る。
「いやああああああ!」
火花を散らして、みくは尻餅をつく。メガイエローは手を×に組んでいる。その手が帯電したまま震えてメガスナイパーを出す。銃口がこちらを向く。
「嘘」
その日、なんどめかのその呟きのあと、メガピンクは吹き飛ぶ。スパークの向こうのメガイエローが煙の中へ消えていく。煙の中で輝く赤や青の光や炎、
「きゃ!」
メガピンクの身体が床を転ぶ。粉塵が床を舞う。
「どうしたの?」
ブレスレッド、あの万華鏡のような光、千里はまともだ。だけど、ちょっと混乱している。
「とぅあああああ!」
気合、悲鳴、どちらともとれるメガイエローの長い声が飛んできて、みくの視界全開になった。デジタルカメラのマークが赤く光っている。視界のはずれた瞳、しっかりして。みくの願いむなしく、メガピンクは締め上げられた。
「はぅぅ……」
黄色い大股がメガピンクのマスクを締め上げた。ピンクの足は大きく開かれてしまい、身体が海老ぞり、背骨が引っ張られ、肺から息が押し出される。
「はああ! みう、ため、逃げれ!」
千里の舌は呂律が回っていない。みくの目の前に千里の股間がある。メガスーツ一枚しかない場所は恐ろしく生々しく浮き出ている。ちょっと突き出てるところがぴく、ぴく、と、痙攣しながら脈打っている。
「みう! めあぴんう!」
メガイエローの身体が数度痙攣した。バイザーの奥で視界がすっかり狂気した城が崎千里が唾液をだらだらとマスクに垂らしながら、胃液を吐き出した。千里の意識は強奪者と戦っていた。
「ぐぐぐぐぅ」
ブレスレッドは光っていた。その上に3DCGが浮かぶ。図形が交錯する。バイザーにはねっとりとした自身の体液で汚れていた。その向こうに割れた先の下界の光と、センサーの稼動した情報ディスプレイがある。
「ちさと……」
解った。千里の身体は全身から体液を吐き出している。みくの目の前で吐き出て、たまる液体がメガピンクの頭を暖かく包み込む。
どろどろの視界の先で、3DCGが意味を形成した。矢印で下を指す。拳から間接までずっと光ったままのブレードアームがその場所へ向けて落ちた。
「ぎゃああああああああ!」
メガピンクのスーツが一瞬にして破られ、拳が穴から中へ入っていく。みくの悲鳴と鮮血が飛び散る。
「だめええええ!」
白いグローブがみくの園を抜けた。血まみれのそれがメガピンクのブーツを掴む。
激痛をこえ、意識さえ失いそうになる。状況が解せず背骨は今にも外れそうだ。不意にみくの身体からメガイエローが離れ転がった。ぐったりとなる千里からキョンシーのように腕が宙に伸びている。四角や丸の3DCGが舞っている。
「あぐうううああああ!」
メガイエローの手は宙へ伸びている。3DCGは一度消え結束する。マスク、身体、十五センチのメガイエローが現れ、マスクを取る。千里の顔、変身が解けて、黒のミニスカートに白青色のブラウスの私服姿になった。ブラウスのボタンがはじけた。
「ああああああああああああああああ!」
そのとおりになる。変身が解除され、千里は私服で投げ出される。そのとおりに、ブラウスのボタンが勝手に弾けとぶ。
「ううん!」
腕が千里を両側から掴み、持ち上げる。半開きの目をして、唾液や胃液で汚れた口がぱくぱくしていた。泡が吹き出た。
「あうううん!」
「脅えなくていいぞ、メガイエロー。優しくしてあげるからな」
ブレスレッドの輝きが千里の瞳を満ちた。そのブレスレッドはメガブルーの腕につけたものだった。千里のはだけた胸に模様が浮かび、スーツになる。ノースリーブのワンピースみたいな形になる。スカートはメガスーツに変わる。
「しゅ、瞬……」
「大丈夫だ、メガイエロー。俺たち天下無敵だもんな」
メガブルーの股間がどす黒く変わっていて、千里の白い大股をなめると、差し込まれた。
「あぐううぅぅぅ……瞬、瞬…瞬……なんなの? なんあの?」
みくは激痛に脇腹を抑えながら、苦悶させていた。
千里どころではなく、下半身は血まみれ、それでもなんとかメガスーツのメディカルプログラムが痛みを緩和しようとしてくれる。ちく、ちくと、針が刺される感覚と温和な優しい愛撫にも似たものがみくを包み込み、メガピンクは力なく足を投げ出す。
焦点をつかめない光は千里を捕らえた。メガブルーが後ろから……。
「ぎゃああああああ!」
メガブルーがメガイエローを犯している。露出した腕が自らの股間をおさえながら、顔を歪ませて喘いでいた。足は投げ出されて、びくびくしている。瞬のグローブが胸をまさぐり、千里はすごく卑猥で色っぽかった。
「瞬? ひゅん? 瞬 メガ! ブルー」
千里は間歇的に喘ぎ続けていた。みくはその光景が信じがたかった。メガイエローの腕が股間を傷つけた痛みはまだぞくぞくしていた。でもだいぶ良くなり、息をつけるぐらいにはなっていた。
立ち上がろう。腕をつき、メガピンクは起き上がる。その間もメガイエローはメガブルーとみくの好きな瞬と交わっていた。
「ほら、メガピンクもみてる」瞬は横槍にみくに視線を送る。マスクの中の顔、表情がなんとなく見える。「メガイエロー、すごくいいんだぜ。メガピンク」
「やめて」みくは呟く。「やめて!」
「何だよ、つっけんなよ。こいつが終わったらお前の番だからさ」
「やめてええ! 瞬、お願いだからやめて」
「しょうがないな」
いやな音のあと、瞬のペニスが抜けていた。あんなに愛撫されていたメガイエローが無残に捨てられる。あざ笑うようにブレスレッドが3DCGが腕の上で踊っている。
「ああああ……」千里は涎も枯らして、乾いた息が漏れていた。
メガブルーは立ち上がった。ブレスレッドの3DCGがメガピンクのほうへ矢印を書いていた。倒れてる千里、その手元に浮かぶ立体図形。千里? 瞬? 煙、ホログラフ。
「やあああ! 瞬!」
みくは瞬のブレスレッドに飛びついた。メガブルーの反対の腕がメガピンクの背中に鞭のようにしなった。
「このブレスレッドさえ! 瞬、助けてあげる!」
「いい加減にしろ」冷たく瞬が言い放つ。
ブレスレッドさえ無くなれば、瞬は正気を取り戻すかもしれない。このブレスレッドで操られてるんだ。瞬! 瞬! みくは無我夢中でメガブルーのブレスレッドを壊そうとする。でも、メガスーツのパワーをもってしてもその特殊金属はびくともしない。何度も万華鏡が目の中いっぱいになる。みくの意識がふらつく。でも、それぐらいのことでは意思は変わらない。瞬を助けるんだ。
「ごめんね、メガピンク」夢中になりすぎて後ろの影に気づかなかった。その影はみくを後ろから抱きかかえると、泥酔者のようにのしかかって来た。
「メガピンクも楽しいところへいかせてあげる」
「千里?」
唇がメガピンクのマスクに囁きかけた。
「そうだぞ」メガブルーの腕がメガピンクを掴む。メガイエローの登場の一瞬の緩みがそれに従ってしまう。
「こんなマスクとっちゃおう」
メガブルーのホルスターからメガイエローがメガスナイパーを抜く。腕が振りかぶられ、銃創でメガピンクのバイザーに縦の亀裂が走る。銃剣になったぶぶんを亀裂にあてると、薄いプラスティック板みたいに剥がれていく。
あっけにとられていたみくはすぐに恐怖を捕らえ、素顔がさらされ、バイザーからも良く見えていた瞬のどすぐろいペニスをみてしまった。二人ともブレスレッドに操縦されてる。助けてあげる。淡い希望。メガブルーのブレスレッドから後ろ手になっていた手も離れてしまう。
「好きだよ、メガピンク」
「俺もだ。メガピンク」
千里がピンクの背中を降りていき、みくのクリトリスで舌がはねた。
「はあぁん!」
みくは喘ぐ。目の前に広がる瞬のペニス。
城が崎千里のこもった声が響いてくる。妙に鮮明に唾液のイメージがした。メガイエローが股間をなめていた。その舌に一気にみくは叫ぶ。なんで? なんで? なんで千里がこんなことするの? 股間を吸われて、意識が遠のく。
肉の襞をざざざと舌が這っていく。冷たい感覚。みくは喘ぐ。目の前すら見えない。
「ああああっ!」
「そんなに喜んでるんだな。それじゃあ俺を喜ばしてくれよ。なあ、メガピンク」
掴んだメガピンクのマスクの中に、メガブルーはペニスをいれようとした。みくは強張る。そんなこと違う。瞬のことが好き。でも目の前のは操られている。本物の並木瞬じゃない。
「メガピンク、本当はほしいんでしょ」メガイエローが舌で嘗め回す間に言う。「こっちは本当腫れ上がりながら、王子様がくるのを待ってるじゃない」
「はぁはぁはぁ」みくはレズじゃない。だけど、一番大好きな千里の本物の舌がみくのおまたを嘗め回して、穴に…指が……! !! 必死に首を振りながら、みくは拒んだ。瞬、瞬は違う。やめて!
「こんなに指が入るのよ」指がずっと奥までうもれて、爪が襞をこんこんと触れながら、笑う。「やぁん、濡れ濡れ」
「本当は俺のが欲しくてたまらないんだろ?」
瞬が訊く。頭は押さえたままだ。押さえたまま、無理強いはしない。でもすぐ目の前にある。逃れられはしない。
「はぐうぅぅ」
身体の奥でイモムシが疼いてるみたい。牙を立てて、みくを狂おす。千里の指、指……爪が刺さる。ブレードアームでめちゃめちゃになったメガスーツから零れる液が、愛液と反応して焦げた臭いがしていた。
「はぁはぁ、やめ、やめて。ち、ち、ちさ、ち、ちさと……」
「どんな感じだ。メガイエロー」
「もう異常なくらい濡れてる。メガレンジャーのパワーがこうしてるのね」
目の前でぴくぴくとペニスが震えていた。
「もう我慢できない」え、苦悶の間にみくがうつろな顔をして見上げた。メガブルーの腕がみくの両肩を掴み、顔が迫ってくる。マスク、その中の狂気、肩の上で3DCGが踊っている。
メガブルーがみくを抱きしめると、そのブーツで千里を足蹴りにする。
「なにするのよ!」千里の声は壊れた機械みたい。
「ああああああああああああああああああああ!」
メガブルーの腕の中で天に向かって途切れることが無いほど長い悲鳴があがった。
白目をむく。千里の爪が一気に引き抜かれて、それだけで意識を失いそうだったのに、その中にどす黒い悪が入ってきた。
「はあ、ああ、あああ、ああ、ああああ……」
「やっぱりお前は欲しかったんじゃないか」
痙攣を繰り返しながら、メガピンクはメガブルーにすがりついた。みくの手がブルーのスーツを掴み、皺がよる。優しく抱きしめられて、強く責められて、涙を流した。
「はあああ、んんんああああ」
「気持ちいいだろ」
「気持ちいいといってみろ」
優しい声がする。溢れる涙に視界が霞む。
「やめ……て、やめ…よう……しゅ…んん」
「いまさら何いってるんだよ。気持ちいいんだろ」
激痛が足を裂こうとしているかのようだ。肉襞がジャッキでこじ開けられてるみたいだった。愛液が溢れていた。割れたマスクの視界にメガブルーのマスク、感情が無いみたい。優しい声? 優しくして……優しく……瞬ならきっとしてくれるよね。
「う。さあ、いくぞ、みく」
悲鳴。
悲鳴。
悲鳴。
はちきれそうだ。メガブルーの大量の精液を受けて、狂いそうだった。
「きもち……悪い」
一番大きな痙攣を起こしたメガピンクの身体がだらりとなり、腕の中に倒れこんだ。メガブルーの腕のブレスレッドが次の3DCGを結ぶ。失神したみくの目は大きく見開かれていた。マスクの割れたところから、光がその瞳を照らし出す。その光をみていた。そして、腕はしがみついていたメガブルーを離れていた。
その光に手を伸ばしていた。光がピンクの腕に反射してリングを描いた。
みくはブレスレッドを欲した。そうしてネジレジアの支配に堕ちてしまえば、きっとこんな苦しい思いをしないですんだはずだから。
「ここはどこ……」
千里は長い間眠っていたようだった。敵と戦っていたのは覚えている。幼稚園を襲撃するネジレ獣と戦った。だけど、その触手に捕らえられ、鎖でがんじがらめにされると、やつらの基地に連れて行かれた。それから先は……よく覚えていない。メガブルーのスーツだけおぼろげに覚えている。足の間にすごく強い痛みがあった。その痛みの理由とメガブルーの青が結びついた。よくわからない。だけど、少しずつ思い出してきた。なんだか、すごく怖かった。
まだここはやつらの基地みたいだ。腕にブレスレッドがはめられている。死んだように黒いブレスレッドだった。触れようとすると、崩れた。錆びた金属みたいだ。
「なにこれ!」
スーツがぼろぼろじゃない。腕と足がほとんど無くなっていて、息吹いた若草を風がなめる。グローブに血が付いている。何があったの? 何が?
視界の隅に何かが見えて、千里は顔をあげた。