「二人はどうして」「あげようかしら」
 それぞれが捕らえてきた「獲物」をネジイエローとネジピンクは顎に手をあて、品定めをするように「獲物」に目線を送った。
「……くくっ」
 メガイエローとメガピンクはネジレンジャー相手に穴に落ちるように罠にかけられた――催眠ガスを嗅がされ、彼女ら自身の手でマスクを外し、正体について語り、拘束具にかかった。
「二人とも、正気に戻ったな」
 みくの顎にネジピンクは手をあて、その顔を見据えた。みくは顔を横に振った。
「ネジピンク、可哀想よ」千里が強い抵抗の目線で見上げていた。ネジイエローが足を繰り出した。「こいつらには万が一も助からないんだから」
「ああっ!」
 ネジイエローに蹴り付けられ、千里の身体が二つに折れた。敵に手に落ちたことが千里にはひどく不甲斐なく思った。メガイエローとして戦ってきた。ガスのせいとはいえ、こんなに簡単にやられてしまったのだ――みくまで一緒に。
「あら泣いてるの? メガイエローともあろう人が哀れね、ハッハ!」
 哀れな正義のヒロインをみているうちに、ネジイエローは思いついたように頭を上げると、ネジピンクに耳打ちをした。ネジピンクのバイザーが心なしか輝いていた。
「それは良い考えだ、ネジイエロー」
「何を考えているの!」目を真っ赤にした千里は相手に精一杯の姿勢で挑んだ。
「うるさい、メガイエロー!」
 ネジイエローとネジピンクは二人に手をかざした。それぞれの手と足に嵌められた拘束具が音をたてて外れた。千里、みくはそれぞれの顔を見て、自由になった手を見た。足も自由、そうして敵を見やった。
「どういうつもりか知らないけど」「自由になったからには借りを返してあげる!」
 半身起こした状態で身構えた千里とみくはとっさに敵に飛び掛ろうとした。ところが――身体が動かなくなってしまった。
「どうして……!!」突然、みくは立ったまま身体を、両膝ついた千里のほうに向けた。
「オーッホホ、まだ催涙ガスの効果は続いているのよ。さあ二人とも相手を愛しなさい!」ネジイエローが告げると、二人に地獄が訪れた。
「どうしたの、みく……きゃああぁっ!」
 千里は自分のしていることが信じられないという風に悲鳴を上げた。
「ああっ……いやぁ!」みくの声は突然の事態に明らかに戸惑っていた。二人はそのままの姿勢で身体を重ねると、口を重ね唾液交じりに口づけを交わした。そして、みくは千里の、千里はみくの股間に手を伸ばしているのだ。
 二人は戸惑いを隠せなかった。身体が信じられないほど熱くなり、あっという間に濡れ、光沢あるスーツの表面からぬらぬらとした体液が染み出て互いの小刻みに動き続けている指を汚しているのだ。しかも、ひどく気持ちが良かった。
「フハハハ……もっと愛しなさい」