クイーンヴァンパイア・バンキュリアに血を吸われ、その体を支配された芳香。
このやや軽率な長女を囮にして魔法兄弟たちを一網打尽にするやり方もあっただろうが、老獪なクイーンヴァンパイアは慎重だった。
欲を出してせっかく捕らえた獲物まで奪回されてしまっては元も子もない。
最も安全なところで一人ずつ始末してゆけばよいのだ・・・

冥府門の扉により地上への道を閉ざされた救いのない世界。
薄暗いインフェルシアの闘技場に桃色の魔法使いの悲鳴が響きわたる。
相手は冥府兵ゾビルやハイゾビルたちにすぎないが、天空聖者からの魔法力の届かないこの世界では、マジピンクには非力な芳香としての力しか発揮できないのだ。
ガ、ガッ!ドガッ!バキッ!・・・ズシャッ!・・ドゴオォッ!!
「う!あああ・・・あうッ!!・・ひぎいいいイイィッ!!」
無数のゾビルたちに殴られ、蹴られ、斬りつけられるたびに、桃色のスーツの輝きは芳香の気力と共に削られ剥ぎ取られてゆく。
押し倒されてスーツを次々と引き千切られ、叩き割られたマスクから晒された素顔を容赦なく打ちのめさるマジピンク・・・
「ひ、ひいッ!・・や、やめ、いやあっ!うわああアアァッ――――!!」

「うっふふ。もう、ボロ雑巾だよねー」「雑巾は絞って乾かさなきゃだよねー」
いつのまにかナイとメアに分離したバンキュリアの合図で潮が引くようにゾビル兵が下がってゆく。
代わりに現れた軟体動物を思わせる巨大な触手がマジピンクの両手に絡みつき、その体を吊し上げる。
そして、胴や胸・顔に巻き付いた触手は芳香の華奢な体がバラバラになるほどの力でマジピンクを締めあげる!
ギリギリギリギリギリイイイィッ!!
「う、うわああアアアアァァッ―――――!いやアアアァァァッ!!お、おにいちゃん・・た、たすけてぇ・・・ぇ・・・・・」
マジピンクを締め続ける触手の間からパンパンになってはみ出る胸や二の腕が徐々にどす黒い紫色に変色していく。
絶命寸前で気を失って解放された芳香の足元には、股間に狙いを定める一本の触手が近づいていた・・・