刺客の鋏
「きゃっぁっ!!」
突き飛ばされてぐるぐると回転して、壁にぶつかる。間宮菜月は頭をがくっと落とした。変身していたから壁にぶつかってもほとんど痛みを感じなかった。だけど、痛いものは痛くて、涙がにじむ。
「ああっ……うっぁ……」
よろけながら起き上がるボウケンイエロー――アクセルスーツを装着した菜月は、痛みと痺れに満足な体勢をとれずに、迫るホシズガミの肘をまともに受けてしまう。
「あああぁっ!!」
背中から壁にぶつかり、ずるりとその場に落ちてしまうイエロー――泣きたかった。真墨も、さくらさんもなんでいないの――思っても仕方ないけれど、そう思いたくて仕方なかった。
「くっひっひ、ボウケンジャー、もう終わりですか?」
オカマみたいな喋り方をするホシズガミは、大きなハサミのような腕をちょきんちょっきんと動かして、ボウケンイエローを威嚇している。
「も……もう……? 菜月たちを舐めないでよね……」
「舐めてはおりませんよ。その証拠に、わたしホシズガミはボウケンイエローの戦闘パターン、弱点を全て分析して作られた、いわばボウケンイエロー抹殺兵器といってしかるツクモガミなのですから」
ほっほほと笑うホシズガミに、菜月は眉間の皺を寄せる。ダークシャドウの刺客たちは、ボウケンジャーを分断するように大挙して現れて、その一人がきくにも恐ろしいことを言っている――
「菜月のことを――」
「さよう、このホシズガミ、間宮菜月、ボウケンイエローのことならなんでも知っておりますよ……」
「そんなのウソに決まってるじゃない!!」
語気を強めて、ボウケンイエローは立ち上がり、腕を構えた。知ってたって知らなくたって、プレシャスを使って悪いことを企む奴らは倒してやるんだから――怒りにかられて菜月は走りだす。スキだらけの敵を見て、刹那の高揚感を胸にいだき――
「バケットスクーパー!」
「無駄、無駄ですよ!」
パワーショベルを模した武器を腕に、ボウケンイエローは腕を突き出す。
「ええいっ!」
「こんなものっ!」
ハサミでスクーパーを受け止めたホシズガミは、攻撃を受け流すと、イエローの背後にまわりこむ。
「くっ!」
イエローの内側に入り込もうとする敵へ、菜月は素早い動きで阻止しようとした。再び相対する二人――さっき、その素早い動きだって見えていた。菜月だってばかじゃないんだから――! スクーパーを腕の前でクロスさせて、再びに前へ向けて突き出す。
「アアアァッ! ああぁぐっ!!」
ホシズガミが火花とともに叫び声をあげる。やった――ボウケンイエローも爆発のショックに後ろへ突き返されながら、腰を落として踏みとどまった。激しい土埃が沸き上がっていった。
「これでおわりよ!」
再びスクーパーを目の前でぶつけあった。威嚇するような姿勢を取り、菜月は目を細めて、前へ身体を傾ける。その瞬間、土煙の間から真っ黒な影が姿を現した。
「きゃっ!!」
それはハサミだった。突き出されたハサミは菜月の左手にはめられたスクーパーにがっちり噛みこむと、そのまま腕がねじり上げられてしまう。
「ほっほほほっ、これが油断というものですよっ……」
「離して……離して!」
駄々をこねる子供のように声をあげる菜月に、浴びせかけられるツクモガミの言葉は、さっきまでの剽軽さをどこかに拭い去っていた。
「いやですよ、ボウケンイエロー」
スクーパーをつかんでいない方の腕のハサミを二つに合わせて大きな棒のようにすると、ホシズガミはバッドを大きく振り上げる。
「きゃああぁっ! あああああぁっ!!」
その腕は空気中でしなるような音をあげた。一瞬のうちに、ボウケンイエローのがら空きになった胴に腕が命中すると、激しい火花が沸き立ち、彼女の身体が陸に打ち上げられた魚のようにぴくんと跳ねた。
「ああぁっ……うぁっ……い、いたっ……」
「ほら、ボウケンイエローさん、ここから逃げ出さないと、わたしのムチがあなたの身体を引き裂いてしまうかもしれませんねぇ……」
菜月の背筋に冷たいものが走った。ハサミはスクーパーにしっかりと噛みこんでいた。腕を抜こうにも次第に上に持ち上げられていくので抜けられない。菜月は瞼に涙をためて、スクーパーを見た。そのうちに脚がつま先立ちになり、腿をがくがくと震えてしまう。
「あぁっ……ああぁっ……」
「ほら、どうしたのですか?」
身体が浮かび上がりそうになってしまう。ホシズガミの腕が振り上げられる。
「やだやめっ……ああああぁあっ!!」
攻撃を防ぐ方法がない。激しいスパークと、昏倒するような痛みだけがあって、彼女の身体が宙に浮かび上がる。そのとき、スクーパーを掴んでいたハサミが離れる。だけど、爆風に煽られているボウケンイエローは、空中でくるくると回りながら、最後には頭から地面に落ちてしまう。
「あああああああぁっ!! くぁぁっ……」
変身してなかったら死んでかもしれない。地面を手で掴みながら、がくっと頭を落とした菜月は、涙が吹き出しそうになるのをなんとかこらえた。前なら泣いていた――だけど、みんなが泣いてたってなんにもならないって教えてくれたのだ。
「ふふふっ、アクセルスーツの耐久性なら、これで倒れるなんてことはないでしょう」
「やめてっ……」
足が目の前に見える。編み上げの靴だった。菜月はこのまま負けたくなんてなかった。だけど敵がいて、身体が痛かった。ずるりと身体を起こすと、肩に落ちていた土がぽろぽろとこぼれ落ちた。
「ほう、懇願ですか……あなたのような正義の味方が……」
「違う、菜月はそんな……ああぐっ!」
首元を掴まれる。ホシズガミは余裕で、菜月に余裕なんてもうほとんどなかった。度重なる攻撃に身体中が痛くて、頭まで痛くて、口の中を切ったのか甘い鉄の味がしていた。
「ではなんなのです、ボウケンイエローさん? ふふふっ、あなたもいい加減理解できない人だ……あなたのお仲間のボウケンピンクさんなら、とっくに自分の形勢不利を悟って、このわたしに降伏をしていることでしょう?」
「うそっ……さくらさんがそんなことするわけないじゃない!」
「だから、あなたは素人なのです。戦いとは常に数理で動いているのです、あなたのお仲間はあなた以外、この数理をよく理解されている――ふふっ、あなたには数理といっても理解できますまい――算数のことですよ」
小馬鹿にする口調に腹が立った。菜月は首を振って、その腕から逃れようとした。
「算数で戦うなんてこと――うあああっ!!」
言葉が途切れる。ハサミの先端の鋭いところで、イエローの腹部が思い切り殴打されたのだ。くの字に折れた彼女は、それでも首を弱々しく左右に振った。口に苦いものがたまって、唾を落とす。口元がやけにしめってだけど唇は乾いていた。
「あなたは、これだからいけない。ふふふっ、追い詰められたからといって、少し言葉遣いが悪いようです……わたしは、ボウケンイエローの身体をこのハサミで切り刻むことができるのです……ですから、あなたはもう少し、わたしに敬意をもつべきなのです……」
寒々しく鋭い声が菜月の鼓膜を震わせる。ただの脅しなのか、本気なのかは菜月にはわからなかった。ただ、その不恰好に大きい頭についている二つのつぶらな目が、真っ赤に輝いていることだけが解った。
「敬意……」
「わたしを目上の人だと思うのです……」
真っ赤な目に、菜月は吸い込まれるような力を感じた。身体の力が抜けてしまう。なんだか、身体が楽になるようだった。
「い、いや、菜月、悪いネガティブシンジケートを目上の人だとおも――あぁっ……」
ボウケンイエローの背中に冷たいものが触れる。それはコンクリートの壁だった。首から腕が話されて、菜月はその壁に背中をあてたまま、その場に立っていた。
「ふふふっ、動いてはなりません。わたしはあなたの心を支配することはできないが、行動をコントロールすることができるのです」
声はぼわーっとした反響になって届く、菜月は動いちゃいけないような気がした。
「そうです、それでいいのです……その場に直立不動で立つのです。そうです……そうしたら、まず、その腕の厄介な武器を手から離して地面に落としなさい」
からん、菜月は手を広げてスクーパーを両方とも足元に下ろした。ホシズガミがそれらを蹴り飛ばして遠くにやる。そうして、ハサミが迫ってくる。それを菜月は見ていた。
「ふふふっ、こうなってしまっては、ボウケンジャーもただの人形……」
「な、菜月は人形なんかじゃない……」
頭が真っ白にかすみゆくなかで、彼女は声をあげた。
「ほう、それならまず、身体を動かしてみるのです」
「うっ……うごかない……」
菜月は声をあげた。身体はその場に直立したまま、動かすことが出来なくなっていた。まるで、自分の身体じゃなくなったみたいで――ハサミがイエローのへそのあたりからサージェスのマークに向かって緩やかな角度で迫り、そうして、歯を左右に広げた。
「きゃっ!」
菜月は声をあげた。歯の片方がアクセルスーツに引っかかり、まるで、普通の布を裁断するようにいとも簡単に歯が潜り、左右から歯が降りて重なる。ちょきん、歯が音を立てると、アクセルスーツに切れ目ができてしまった。
「わたしの手にかかればこんなスーツなんて自由自在――」
ちょきんちょきん――あっけない音のあとに、アクセルスーツの前がはだけてジャケットのように左右に分かれてしまう。その内側には、彼女がミッションのときに着用する黄色いジャケットが姿を現していた。
「そんな……うそっ……」
舌足らずな声で菜月は首を振る。ハサミの先端がジャケットのボタンに入り込み、そのボタンを上から1つずつ、飛ばしていく。
「うそなんかじゃありません、さあ、ボウケンイエロー」
声に菜月は顔をあげた。ホシズガミの身体の左右にうねるような触手が現れて、その亀さんの頭みたいな先端をうねらせているのが見える。更にホシズガミは、開いているほうの腕を鉤爪のように曲げると、イエローのベルトのバックルに引っ掛け引っ張りあげた。
「キャッ!」
スーツの内側のジャケットがはだけると、そこには真っ白なインナーがあった。それはとめどなくあふれる汗で菜月の身体に密着して、その内側の素肌の輪郭にぴったりと合わさっていた。
「わたしが何をするのか、鈍いあなたでももうお分かりでしょう」
触手はネズミのように呻いていた。菜月は首を振り、ただ事態が悪化するのを震えて見守るしかなかった。鉤爪によって広げられたスーツの内側の薄暗い中にはベージュのスカートがあって、その中に向かって触手が二匹入り込んでいった。
「わかんないっ……菜月、なにもわかんないよっ!」
「いい加減、こどもの振りをするのはやめるのです!」
鉤爪が離れて、ベルトがパチンと身体に戻る。スーツの中に入り込んだ二つの蛇のようなものが腿の外側でうねっていた。菜月は腰を震わせて、それから逃れようとした。まるで身体の中に入り込んだような感覚に、彼女は激しい気持ち悪さがこみ上げる。頬が熱い。そう、身体全体が次第に熱くなってくる。なんで、こんな――身体が彩られるように痛くて熱かった。
「こんな気持ち悪いものどけてっ!!」
悲痛な声が空間を満たしていく。覆いかぶさるように与えられるのは、ホシズガミの声だった。
「ほっほほ、気持ち悪いものとはなにかなあ」
スーツの表面に浮かび上がった触手は両足の腿を一周ずつすると、内側からじりじりと腕経向けて上りはじめる。
「イヤッっ!」
「さあ、そろそろマスクを外してあげましょうか?」
冷然とした声に、菜月は目を大きく開けて、敵のことを睨みつけた。ホシズガミはそんな彼女のことを意に返さぬように、マスクの首元の縁にハサミをあてがった。
「この触手は、自らの眼の前に立ちはだかるものを見つけると、分泌液を出して溶かしてしまうんですよ」
「アッ……」
つん、触手の先端が菜月の足の付け根をノックするように叩いた。
「たとえば、ボウケンイエローの下着とか」
「ああぁっ……んんっ……うあっ」
間欠的にあてられる刺激と、ねちょっという『分泌液』で湿り気を帯びる感覚が解った。それと並行してハサミは、ちょきんちょきんとマスクをまるで和紙か何かのように簡単に切り裂いていく。あっという間に切れ目は広がり、鉤爪がその縁に取り付くと、ボウケンイエローの仮面は完全に破壊されて、からーんという音とともに、菜月の足元に転がった……
そこには、戸惑いのまま真っ赤に染まった菜月の顔があった。分泌液を出しながら、彼女の下着を脱がそうとする二匹の触手は弱い電気ショックを与えるような動きをしていた。そのことが菜月の身体に新たな異変を生み出そうとしていた。
「何、この感覚……ムズムズする……よっ……えっ……あぁっ……」
ぴくっと震える彼女――足がずずずと動いて内股になる。意図しない動きだったけれど、それはホシズガミに制限されることなかった。菜月は背筋を曲げて、真っ白な手を震わせながら、スカートの上から左の腿を掴んだ。
「うああっぁ……」
「ふふふっ……そろそろ出来上がって来ましたね……」
「出来上がる……え……あんっ……」
甘さを帯びた声が立ち上り広がっていく。眉間に皺を寄せた彼女は、下腹部から立ち上がる電流にも似た甘ったるい感じに戸惑いを隠しきれず、それを拭おうとスカートの裾をつかむのに、手が痺れて上手くできずに、つかみかけた手を開いてしまう。
「やだっ……あぁぁっ……なにこれっ……」
きゅうぅっという鳴き声が聞こえる。それは菜月の身体を内側から震わせた。はっと震えてエビぞりになりそうになってしまい、意識が真っ白に染まりかけた。
「近づかないで! な、菜月の身体が変なんだから!!」
ホシズガミの足を見て、菜月は思わず声をあげる。その声すらどこか色に染まったものになって広がっていく。
「変なことはありませんよ。ボウケンイエロー、ふふふっ、恥ずかしがることなどないのです。あなたは負けたのですから、敵に身体を差し出すことは至極真っ当なことなのですっ」
ホシズガミははさみで、彼女のジャケットをザクザクと切り裂くと、インナーシャツにも刃を入れた。
「いやあああぁっ!!」
「とまれ!! とまるのです!」
ホシズガミの声にぴくんと静止するボウケンイエロー――菜月は身体の熱さを受けながら、ホシズガミによって切り裂かれた服の中からこぼれ出ているブラジャーを見ていた。更に、奴はそのストラップを引っ掛けてひっパテ切り落とした。ぱちん。あっけない音とともに、彼女の胸をガードしていた布地がぬぐい去られ、形のよい胸が姿を現して、乳首がその桃色の蕾のような姿をしているのが見えてしまった。
菜月は気絶しそうなほどのショックを受けながら、それでも身体を満足に動かすことができなかった。
「あぁあっ……あんんああぁっ……」
びくっびくっと与えられる律動に身体は時間を追うごとに熱くなり、そうなるたびに菜月の心は暗い絶望に落ちていく。それを止める方法を菜月は持っておらず、身体はただ熱くて燃え上がるような切なさの中、彼女はただただ押しつぶされそうな感覚を胸に抱くことしかできなかった……
(だ、だめっ……変だよっ……)
「ひっ! や、やめてっ!!」
触手がついに下着を溶かしたのがわかった。ぐずぐずの液体を拭い、ぬめっ音をたてた二本の触手は彼女の女性器に達すると、ぐずぐずっと鼻をでへしあげるようにしてクレヴァスの間へ頭を突っ込ませた。
「ああぁっ!! やぁあぁああっ! ああああああっ!!」
ホシズガミは菜月の手をとった。スカートがめくられ、ホシズガミに誘われて、菜月は股間に手をあてた。二匹の動くのがその手の平に感覚として解った。うねうねとした気持ち悪い動きに、彼女は気持ち悪さを覚えて、そうして、だけど、それらの動きを止めることはできなかった。
「どんなに嫌がっても無駄ですよ。あなたの身体はどろどろに溶かされてしまうのですから」
クレヴァスにたどり着いた触手はさっきと同じ動きをして、間宮菜月のヴァギナを繰り返し繰り返し突き始めた。もう一匹はそこから少し離れた場所――クリトリスに達して、どろどろとした液体を流しながら、くいくいっとその神経の集中している場所を溶かし始めた。
「ああぁっんっぁ!! ああぁっ! ああいあやぁあぁっ!!」
錯乱したように首を振る彼女――手が痺れて力が入らず、ぐりぐりと手の甲を押し当てる格好になってしまう。それはかえって触手を押し上げるような動きになって二匹の触手が身体押しあたり、クレヴァスの縁にいるほうがキュウッを声をあげると、そのまま、その中へごりっと入り込んでしまった。
「ああぁっ……いやだぁっ……だ、ダメっ!!」
戸惑いに染め上げられながら、震える彼女手がだらりと落ちて、うねうねと触手が身体の中に入り込むたびに、感電したように身体の力が入ったり抜けたりを繰り返す。明滅する光の中で、ただ触手の感覚だけが明敏に感じられた。
「ああぁっ……はあぁっ……うあああぁァァアッ!!」
菜月はそうされることがなんなのか知らないわけじゃなかった。膣の中にぐいぐいっと入り込んでいく触手が、痛みを引きずり出す。そのたびに気絶しそうになった。痛みが限界をこえ、彼女は辛くて腰が砕けて倒れそうだったのに、身体は見えない糸で吊るしあげられたみたいに立ち尽くしていた。
「はぁっん……あぁっ……あはぁぁっ! あぁっ!」
まばゆい光沢を帯びたまま、敵に犯されている。ボウケンイエロー/間宮菜月の胸に黒い絶望が広がっていく。気づいた時には真墨と一緒だった冒険の旅でたどり着くのは、こんなふうに敵に犯されてしまう世界ではなかったはずだ。彼女は、下からの突き上げにびくっびくっと身体を震わせながら、汗を流し熱にうなされたように声を漏らした。
「えっ……あっ……身体が……」
火照って身体が重い。鈍い光沢を描く身体が、敵によって感じさせられている。菜月はただ涙を流した。痛みから戸惑うようにして、痺れる感覚が溢れてくる。それは、まるでお酒を飲んだ時のように柔らかく、何十倍もの、心地よさで満ちていて――
「駄目ぇっ……」
震えることをとめられない。膣の中で蠢く触手がもう入らないと思う長さをこえて何倍も奥へと入り込んでいく。痛いのか気持ちいのかわからない。ただフラッシュがあってそれらが同時に交互に激しく点滅しながら、入り込んでくるようだった。声がする。その声は触手の発したものだった。
「あああぁっ!!」
もう一体がクリトリスに牙を立てたようだった。その一瞬の意識の消失の間に、膣を抜けた触手が子宮口へと届き、激しい音波を流した。
「ああぁああぁああっ!! ああぁあああっん! はぁああぁ!!」
いつも愛嬌あふれる彼女からは想像できない獣じみた声が吹き出していく。気づくと失神していて、気づいた時には目の前に赤い目が見えて、鉤爪に掴まれて、地面に倒されてしまった。
「なかなか出来上がって来ましたね」
四つん這いになる菜月の目の前に差し出されるのは、ホシズガミの反り返った性器だった。菜月は、真っ赤なうつろな目でそれを見ていた。
「さあ、そろそろ仕上げです」
「仕上げてって……ああぁっ! うあああああぁぁっ!!」
子宮口ではせられる音波に、彼女は悲鳴を上げる。彼女の足の付け根はいまや二本の触手の餌食となり、そこからたくさん血を流れでていた。びくびくと震えるたびに血は流され、スーツの上には赤黒い染みが出来ていた。
「な、菜月……菜月おかしくなっちゃう……ウゥッぐうっ! ううぐぐっ!!」
追い詰められ疲労した声はほつほつと漏れる。その口に向かって、ホシズガミは性器をあてがいそうして、喉を上に向かせると嵌めこむように菜月に自らの分身を銜えさせた。
「んふううっ! ぐううっ!! ふぐっ! ううっ!!」
声をあげる彼女は同時に後ろからも責められ、喉を詰まらせたように声をあげる。顔が歪み、その愛くるしい瞳が一瞬のうちに白目を剥き、また元に戻る。
「はぐうっ! ぐううっ!! ううっ!! あああぁはァァァっ!」
「さあ、ボウケンイエロー、あなたは負けたのです。あなたは侵され、快楽を感じて、そうして堕ちてしまうのですよっ! さあほら我が精を受けてしまうのですっ!!」
「はぁあぁああっ! アアアアアアああああああああああああっ!!」
切迫したホシズガミの声――喉を塞がれ、酸欠気味になり表情を浮かべる菜月。硬直した男性器が、繰り返してショックを与える。空気が足らず頭が真っ白になり、何も考えられず、そのかかからめくるめくような恍惚さが現れ、菜月を支配していく。
「はァァっ……あああぁっ……」
瞳は既に焦点を描いておらず、びくんびくんと何度かの痙攣に包まれ、絶頂が身体を激しく駆け巡る。真っ赤に焼けただれたものが喉にあって、喉仏を濡らしていた。彼女は口元から真っ白に濁った液をこぼす。
「ああぁっ……イッ……イイッぁ……」
大きな波で攫われてしまったようなどろんとした悦楽に身体を支配されてしまいそうだった。口から性器が抜かれ、口を半開きにしたままの彼女は顎をホシズガミに捕まれ、さらに上に向かされる。
「これでもあなたはダークシャドウの虜、もうどこへも逃げられませんよ」
ホシズガミは征服欲に満ちた声を漏らすと、自らの精液を全て飲み込まさせた。それからその唇にキスをしてから四つん這いのボウケンイエローを押し倒して、仰向きにさせた。
「はぁはあっ……からだのなかで……うごいてる……」
譫言のように言葉を繰り返す菜月――ホシズガミは自らが四つん這いになって、ボウケンイエローの乱れた姿をつぶさに観察した。
ホシズガミは、スカートにハサミをあてて、チャイナドレスのようにスリットを入れると、その光沢に包まれた布をめくった。白銀だったスーツはいまや無残な色に汚れていて、それはまるで灰色の花が咲いているようだった。
「なつきね……なつきの身体の中でね……」
その花は、触手の『分泌液』を吸っているはずだからか、ひどく柔らかくなっていた。まるですりつぶした豆腐のように溶けてしまい、拭い去ったなかから、冒険少女の肉体が姿を現し、二本の触手で陵辱されている姿を残酷なほどに露わにしていた。
「はぁぁっ……あぁっ!」
ホシズガミは二本の触手を引っこ抜いた。広げられた穴からは激しい刺激臭が漂いでて血が溢れでた。その有様はまるで内蔵が溢れ出るのではないかと思わせるほどだった。
「ふふふっ、ボウケンイエロー。これであなたも終わりです……」
ホシズガミの生殖器は、今再び屹立してそそり立っていた。その目の前には、無防備に身体を広げてぐったりと倒れているツインテールの少女がいた。彼女は絶頂の余韻に浸り、動かせない身体を投げ出して下から見上げるように、ホシズガミにダメダメと視線を送っていた。