I am here, always like you

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都内某所。この日ライブマンはボルトの作戦にはまり、分断させられた。
ブルードルフィンの前にはオブラー。元科学アカデミアの同級生・尾村豪も今は昔、ビアスに魂売り渡し、ボルトの幹部に成り果てていた。
そんな同級生を見て、ライブラスターを引き抜き、対抗しようとするブルードルフィン。
互いの手を知り尽くした二人、戦闘兵は消え、二人になり光線を打ち合うも決着はつかず。
そのうちに、オブラーが何かを投げつけた。
そしてブルードルフィンの胸元に突き刺さる。
針だった。
それを取ろうとして急に胸を押さえ、苦しみだす。
なんとか這いずって前へ進むも、オブラーの足元に倒れるブルードルフィン。
オブラーはブルードルフィンを抱え上げ、彼女の体温を感じた。
温もりを感じた彼は人間の姿、尾村豪へ戻る。
抱いているのがマリア様であれば、教会によくある彫像みたいなアングルであった。
尾村は「ん・・・んん・・・」と微かに震えるブルードルフィンを抱いてその場を去る。

尾村が注射したもの、それは「相手のいいなりにされる、動きを読まれる」ウイルスと「体に力が入らなくなる」成分を混ぜたものを混合したものであった。あと多少の睡眠薬。
ウイルス研究専攻の尾村にしてみれば容易いことだった。
童貞な彼は学生時代、ブルードルフィンに変身する岬めぐみにラブレターを送り、見事に玉砕したことがあった。
(ちょうどこんな月明かりの日だったな・・・)
尾村は、昔の傷を思い出していた。そして、こんなことも考えていた。
(思いを遂げたら・・・ボルトを去り、母に謝ろう。そして静かに暮らそう)
彼はボルトの目的に従ったはずが、実際はビアスが全世界の天才の頭脳をもって地球を支配したいだけという本当の目的を知ってしまった。
それは現在、誰にも言わずわが身に留めている。
だが、昔愛したこの女性にだけは話してもいい・・・そう思っている。
そして戦った建物の二階に上がり、鍵をかけた。

鍵をかけ、かび臭いソファーに寝かせた。
ブルードルフィンの四肢が力なく横たわる。
尾村はマスクを剥がし素顔を見た。
丸顔の岬めぐみがそこにいる。
残念ながら意識はないが、確かにここにいる。
尾村はめぐみの顔をじっと見る。
惚れた男の顔だった。
顔を近づける。
力なく僅かに開いた唇に、キスをした。
深く、静かに、力を入れる。
相手の体温を唇越しに感じていた。
やっと、念願が半分かなった。
だが反応がなかった。力なく口が開いたまま。
尾村はめぐみの顔を見た。まだ眠っている。
「んー・・・んーーー・・・」
(ちょっと睡眠薬が効きすぎたか・・・まあいい)
尾村は半分だけ願いをかなえると、静かにめぐみが目覚めるのを待った。
もうオブラーに変身したくはなかった。
じっと寝顔を見ていた。
ふと気分が変わり、マスクをはめて見た。
あ、こっちも似合うと思った。

ウイルスを投入されたブルードルフィンはそうとも知らず、意識を取り戻し戦おうとした。
だが、薬の効能か常に先手をとられてしまう。(どういう事?動きを読まれてる?)
おかしいとも思ったが、わからず切られるばかり。
火花がスーツから飛び散る。「ああっ!」「うああん!」悲鳴だけがこだまする。
連戦の疲れと捕まった際にいろいろされたことにより、ブルードルフィンはもうオブラーでなく、尾村であってもあしらえるレベルにまで低下していた。
そしてオブラーになる際わが身にウイルスによる強化を施した尾村の身体は弾丸や光線程度なら耐えられるようになっていた。
その上マゼンダにこってりと男を刺激する香水をスーツに染み込ませられたのだからたまらない。
もっともあの香水がなくても、尾村のスイッチは入っていたから、関係はない。
いっそうその気にはなっていたが。
やがて(もう、いいだろう)とでも言いたげに尾村がブルードルフィンに近づく。
ブルードルフィンは戸惑うが、逃げもしないし、飛び掛ってもこない。棒立ち。
(相手のいいなりにされるだけなのに、いまさら何を戸惑う?)
尾村は少し心の中で首をひねったが、ブルードルフィンは読めた。
尾村が、まだ、自分に未練を持っていたこと。
そしていま、溜まりにたまった片思いを自分に向けていること。
バイザー越しの顔は、思いを遂げたいと書いてあった。
(あのときの思いをまだ持っていたの?)戦慄すら覚えた。
尾村はブルードルフィンのグローブをつかむ。
「駄目!」 
ブルードルフィンは手を振り払うが、まっすぐにこっちを見る尾村に対抗できない。
その場にへたり込んだ。お嬢様座りで尾村を見上げる。
女戦士は、ライブスーツを着た女になった。
尾村はブルードルフィンのマスクをじっと覗き込む。
「こないで!」かぶりを振るブルードルフィン。
尾村の迫力に怯え、尻餅をついたまま後ずさる。
体が震えている。「離して!離してよ!馬鹿な事しないで!嫌よ嫌よいやあああああああああ」
そうしておいて尾村は、意識を持った人形になった女戦士をベッドに寝かせた。

マスクを再び剥がす。嫌がりつつも剥がされる。
「やめて・・・・」
震えがとまらないブルードルフィンを見て、わけもわからず抱きしめる。
そして今度は無理やり唇を奪う。
ブルードルフィンはかぶりを振る。
「嫌・・むぐぐ・・・うん」だが、舌がゆっくりと差し込まれると、尾村に従うままになった。
青と白のアンドロイドになった。
「うあ・・・うう・・・ぐす・・・」
アンドロイドは呆然とし、涙がこぼした。
尾村はその涙を理解できなかった。なぜ泣くのか。
ふと手を見ると暇なことに気がついた。
そしてその手をどこへやろうか。思わず考えてしまい、白いスーツのスカート、その中を見た。
あそこには何があるのか、と。
「何するの!」
突然猛烈に嫌がりだしたブルードルフィンを尾村は不思議がった。今更ーーーー。
そして、そこにあったバイブを手にしてスカートの中にあてがった。
ビクン!と上半身が反応し、泣いて嫌がりだすが、尾村にはこれからのスパイスにしか過ぎなかった。
そしてそれまで放置していた胸に目を向ける。
腹をさすり、そこからVの字とイルカマークが描かれたライブスーツを指で遡るようになぞる。
ブルードルフィンはいやいやをするしかなかった。しかし乳房に触れられ、そこから豊かな乳全体を包み込むようにもんだ。バイブで乳房を刺激し、オーガズムを目覚めさせた。彼女は暴れるのをやめた。それから局部も攻め始めた。
その度に尾村、「痛くない?」と聞く。
童貞がいっぱしのジゴロになっていた。
その後尾村は思う様ブルードルフィンのスーツと体をいじくった。局部や乳には直接触れなかったが、生身には無い弾力と感触、スーツから匂ってくる女の体臭は尾村の五感を刺激、いや覚醒させた。
ブルードルフィンは不本意さと気持ちよさを感じてしまっていた。

やがて行為が止んだ。
尾村は、ブルードルフィンに何もかも喋った。ビアスのいる基地の構造、そこで見たおぞましい光景!ーーーービアスが世界から天才の頭脳を集め、それを見つめうっとりしているーーーーその瞬間尾村は目が覚めた。自分がしでかした罪と、次に頭脳を取られるのは自分たちだという恐怖で。
すでに深く帰依しているケンプ、マゼンダに話しても無駄、アシュラは苦手なので話せない。そして彼は逃げようと決意した。「どうしてもやりたいこと」をやってから。
すべて話した尾村を、ブルードルフィンは頭脳が考え付く限り罵倒した。ビンタも数発くれた。
尾村は、申し訳ないと頭を下げ、「どうしても、諦め切れなかった。これからは母と暮らしていく。申し訳ない」と言って、文字通り消えた。
尾村の後を追いかけたブルードルフィンは仲間と遭遇、そこでマゼンダが自分の頭脳をビアスに取られたくないと自爆、ケンプはお役に立てればと従い、アシュラは戦ってレッドファルコンに打ち取られたと知らされる。
かつての旧友たちはもうそれぞれの道を選んだということを知り、最終決戦へ思いを新たにしていた。
尾村の思いに若干の衝撃を受けつつも。