神の使い達
家への帰り道、麗は何故か薄暗い道へ迷い込んでしまった。川沿いの人気の無い道だった。
いつもの道を歩いていた筈なのだが、ここへ来てしまった。何故・・・・・。
(なにか、とても悪い予感する。とても不吉な何かが・・・)
前から魔法の力も不吉なモノを告げてはいた。しかし、水晶占いでは、自分の事は占えなかったのだ。
不安を隠し、辺りを見回すと暗がりに何者かの気配があった。
「誰!隠れてないで出て来なさい!」
麗が叫ぶと、暗がりからマントを頭から被った人影が十人ほど出て来た。歩き方は、何かぎこちなく、
顔は、マントで隠されて、見る事は出来なかった。そして麗を囲む様に立つと言った。
「オマエガ、五色ノ魔法使イノ一人カ?ドウナノダ?」
妙なダミ声でリーダー格の男が言った。うっすらとコケの様なニオイが漂ってきた。
「だったら、どうするの?まさかあなた、インフェルシア?!」
「フフフ。ナラバ、一緒ニ来テモラウゾ!アルジガオ前ヲオ呼ビダ!魔法使イ!」
そう言うと男達は一斉に跳びかかって来た。手には、ナイフが握られていた。
「魔法変身!マージ・マジ・マジーロ!たゆたう水のエレメント、青の魔法使い!マジブルー!」
「ホウ。水ノ魔法使イカ!オモシロイ!」
そう言うと、マジスティックを構えたマジブルーに素早く、飛び跳ねる様に向かって行った。
あまりの素早さに、マジブルーは防戦一方だった。呪文を唱える隙が全く無い。
レジェンドマジブルーになるなど到底不可能だった。レジェンドパワーに頼れない。
徐々にスーツも斬られ始めた。しかし、攻撃は激しく倒れる事も出来なかった。
(このままじゃ、やられる!でもどうすれば・・・・ハッ!イチかバチか!いくわよ!)
突然、マジブルーがガードを解いた。敵の攻撃が一斉に襲いかかる!
「うあぁぁぁ!くっ!ほとばしれ、水よ!ブルースプラッシュ!」
攻撃の最低限だけを受け、それに耐えて渾身の魔法を放った。
それは、水辺でこそ最大の威力を発揮する、マジブルー最大の攻撃だった。
いくつもの巨大な水柱がマントの男達に襲いかかり、一瞬でその姿を消し去った。
(ハァ・・・ハァ・・うまく・・行った・・みたい・・・)
ペタンと両足をつき、座り込んでしまったマジブルーが見た物は、
水柱の中から飛びだしてくる、マントの男達だった・・・・
・
巨大な神殿の中でマジブルーは、気がついた。頭がぼ
やけ、身体が重かった。
(あれ、私・・・マントの男達と戦って・・・魔法使って・・・そっか・・負けたんだ・・・)
身体を動かそうとするが、動かない。身体は磔にされて、スーツは攻撃を受けて
ズタズタになっていた。足元には真っ二つに割られたマスクが無惨に砕け散っていた
「気ガ付イタカナ、青ノ魔法使イ。ナカナカノ攻撃ダッタガ、我ラニ、アノ魔法ハ効カヌ。」
マントのリーダー格が言った。仲間はすでに五十人ほどに増えていた。どうやらここが、敵の本 拠地の様だが、
前に見たインフェルシアでは無かった。むしろ、学生の頃に習った古代文明の神殿に似ていた。
すると突然、神殿中に(声)が響き渡った。地の底から響く様な不気味な声だった。
「魔法使いを捕らえたと言うのは、誠であろうな!その魔法使い、我に捧げよ!」
「ハハッ!我ラガ神、我ラガ主、偉大ナル、ダゴンヨ!スデニ魔法使イハ、(神ノ祭壇)ニ捧ゲテゴザイマス!」
マントたちは一斉に跪き、頭を下げていた。リーダー以外はピクリとも動かない。
(ダ、ダゴン!インフェルシアの神のダゴンがどうして?あいつ等は一体・・・・)
「フフフ。青の魔法使いよ!キサマ等にはこれ以上、(ン・マ)復活の邪魔はさせん!一人ずつ、確実に潰させて貰う!
まずは、キサマからだ!神である私が魔法使いごときに手を下すまでもない!そいつ等がキサマの処刑を行う!」
ダゴンが言うと肩を固定している金具がどんどん絞まってゆき、関節がメキメキと音を立て始めた。
「うあぁぁぁ!肩がぁぁぁ!ひぎぃぃぃぃぃぃ!いやぁぁぁ!ギャア!!」
バキッ、という音と共にマジブルーの肩の関節が破壊された。麗は涙を流し、金魚の様に口をパクパクさせていた。
何とか耐えたが、失神寸前だった。それほどの痛みだった。しかし、それだけでは無かった・・・
「・・・・!・うぎゃぁぁぁ!足がぁぁ、足がぁぁ!やめてぇぇぇぇ!ひぎゃゃぁぁぁ!ウギャア!!」
ヒザも破壊され、マジブルーは立ちあがる事も出来なくなってしまった。最早、吊り下げられるがままだ。
麗は、白目 を剥き、泡を吹いて失神していた。痛みを脳が処理出来なくなってしまったのだ。
「休ムノハ早イゾ!魔法使イ!」
「・・・・うわぁぁぁ!ああっ!やめてぇぇぇ!ぐえぇぇぇ!」
マントのリーダーが不気味な呪文を唱えると麗の身体のエレメントが暴走を始め
目 、口など身体中の穴から水が噴き出していた。それは数十分も続いた。
エレメントの力を全て使い果たし、マジブルーは魔法を奪われ、ボ
ロボ ロのマジスーツを付けただけの、
ただの(小津 麗)という、無力な二十歳の女性でしか無くなっていた。
「・・ぁぁぁぁ・・・お兄ちゃん・・・芳香ちゃん・・・・助けてぇ・・・・苦しいよぉ・・」
「青い魔法使い。お前の処刑は終わりだ。もう二度と魔法は使えん。さて・・・・」
床に転がされたマジブルーを囲むマント達にダゴンは言った。
「後はキサマ達の好きにするが良い。私からの褒美だ!」
ダゴンの最後の声を聞くとマント達は、次々とマントを取っていった。その姿を見た途端、麗は氷ついた。
「カ、カ、カエルの冥獣人!イ、イヤァァァァ!こ、来ないでぇぇぇぇ!」
「オマエニハ、我ラノ子孫ヲ産ンデモラウゾ!ヒヒヒ!」
マジブルーは動けぬまま、恐怖に泡を吹き、失神しながら何十というカエル男たちに次々犯されていった。
数日後、マント達にさらわれたマジピンクが見た物は、手を釘で打ち付けられ、心が壊れて人形の様になり、
闇魔法を掛けられて、カエル男を産み続けるマジブルーの姿だった。
「オマエニモ、アアナッテ貰ウゾ。桃色ノ魔法使イ。」