愛のカタチ
地下室の様な薄暗い部屋の中で、アバレイエローは目 を覚ました。意識がまだ朦朧としていた。
(・・・あれ、私どうしたんだっけ?・・・トリノイドと戦って・・・それから・・・・)
動こうとするが手足がまったく動かない。見てみると身体が鎖で天井と床にX字形にしっかりと固定され、
身動きひとつ取れなくなり、マスクは外されていた。ここは一体・・・・
「あ~ん!目 が覚めた~!愛しの軽蔑のマナコ~!よかった~ン!」
不気味な声でアバレイエローは、全て思い出した。と、同時に偏頭痛が起きそうだった。
「トリノイド!私をどうしようっていうの!すぐに放しなさい!この、変態!!」
「あ~ん!!その軽蔑のマ・ナ・コ !!タマン~ナイ!!」
トリノイド・ヤツデンワニは何故か、らんるに罵声を浴びせられ、冷やかな目 で見られる事を喜んでいた。
その為にアバレイエローに求婚までしていた。勿論、そういった趣味の全く無いらんるは、(気色悪い)と
思いつつも攻撃したが、今まで敵を倒してきた技がまったく効かなかった。むしろ、攻撃を受け喜んでいたのだ。
唖然とするアバレイエローに何十人という戦闘員が圧し掛かり、アバレイエローは気を失ってしまったのだ。
「女の子にこんな格好させて!この変態!変質者!!」
「ウ~ン!ヤッパリ顔を見える様にしておいてよかった~ン!!スリスリ。」
ヤツデンワニは、アバレイエローの下腹部から胸に頬擦りをした。らんるは全身の毛が、逆立つのを感じた。
「キャー?!何すんのよ!!このチカン!変質者!触んないでよ!バカ!!」
「ウ~ン!!その言葉!あ~タマンナイ!!ガブッ!」
興奮したヤツデンワニは突然、アバレイエローの太モモに噛み付いた!
「うあぁぁぁぁ?!い、痛いィィィィィ!!ウギャァァァァ!」
メキッと音がして、噛まれた傷は骨まで達し、筋肉はズタズタにされ鮮血は黄色のスーツを真赤に染めていた。
「ああ~ん!もっと言ってン!!もっと!」
「くっ!誰がアンタ何かに!変態!キチガイ!異常者!」
「あ~ん!もっと、もっと言ってン!軽蔑のマナコよ~!」
そう言いながら、興奮したヤツデンワニは、胸に噛みつき強引に引っ張った。喰い込んだ牙が肉を引き千切っていった。
アバレイエローの悲鳴と共に鮮血が飛び散っていった。
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 全身を噛み千切られ、アバレイエローは全身血まみれになって磔になっていた。全身が微かに震え、罵声はしばらく前から
発せられていなかった。強い意志を秘めた眼は涙が溢れ、心は恐怖が支配していた。
「・・・・・御願い・・・・・もう、許して・・・・痛いのは・・・もう・・いや・・・」
アバレイエローの口から、懇願の言葉が漏れた。今まで、誰にも言った事の無い言葉。自分を信じて、違う、と思った事には、
どんな事があっても、決して言わなかった言葉。その為に芸能界も引退したが、悔いは無かった。そのらんるが敵に懇願していた。
「なにを言ってんのさ!もっと、ヒドイ事言って!軽蔑の眼で見てよン!!」
「ううっ・・ごめんなさい・・もう、言いません・・・許して・・下さい・・お願いぃ・・・」
アバレイエローは恐怖と痛みに震えながら、ヤツデンワニに言った。顔は出血の為に蒼白く、涙でグチャグチャになっていた。
眼には、強い意志の輝きは無く、恐怖に染まっていた。
「もう!誰がそんな事言って言ったのさ!!も~、力ずくでも言ってもらっちゃうだから!」
ヤツデンワニは、ユニークで、変な趣味を持っているが、エヴォリアンのトリノイドだ。何事も力で解決する、と言う基本 理念が有る。
今度は鋭い爪でアバレイエローの身体を、ボ ロボ ロのアバレスーツごと切り裂いていった。流れ出た血で床は真っ赤になっていた。
「アギャァァァァ!やめてぇぇぇぇ!い、痛ぁいぃぃぃぃ!ヒギャァァァァ!たすけてぇぇぇぇ!」
全身をズタズタにされ、アバレイエローはもがき苦しみながら、悲鳴を上げ続けた。泣き叫び、悲鳴を上げ、無様にのたうち回った。
手足は固定されているので腰を逃がす事しか出来なかった。血を流しながら魚の様に身体を振っていた。
ヤツデンワニは罵られたいが、らんるは許しを乞い続ける。悪循環の連鎖が続き、アバレイエローは、ボ ロ布の様になってしまっていた。
「フン!もう、いいや!オマエなんか要らない!あっ!そうか~。コレを手土産すれば、エヴォリアンに帰れるジャン~!」
床に転がった瀕死のらんるの髪を掴み、ヤツデンワニは(侵略の園)に凱旋を果たした。
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(侵略の園)に連行されたアバレイエローは、ミケラとヴォッファに面白半分に生体実験をされ、最期は対アバレンジャー用トリノイドの実験台
にされるのだった・・・・・