モルモットはマーメイド

「この実験のモルモットは、お前か?チェンジマーメイド!
たっぷりと、いたぶり抜いた末に殺してあげる。」

アハメスが、勝ち誇りながら宣言する。

「そこいるのは、ヒドラ兵が一人だけなのに何をそんなに勝ち誇れるのか、理解に苦しむわね、アハメス!
レッツ・チェンジ!
チェンジマーメイド!!」

チェンジブレスが輝くと、渚 さやかは、白い強化スーツに包まれ、チェンジマーメイドへと変身する。

「チェンジマーメイド!
行くわよ!トォー!」

「バカめ・・・そのヒドラ兵が、ただのヒドラ兵でないと知った時の、お前が、どうなるのか・・・見物だわ・・・」

ヒドラ兵に飛び掛かるマーメイドを、残忍な笑みで見つめるアハメス。

「やぁっ!」

いきなり、ヒドラ兵に飛び蹴りを見舞うマーメイド。
しかし!

「う?!そ、そんな?!!」

蹴りにいった右足をヒドラ兵は、しっかり掴み取っていた。
いつもなら、有り得ない事態にマーメイドは、うろたえるがヒドラ兵は、そのままジャイアントスイングの要領で回転し、マーメイドを豪快に投げ飛ばす!

「ああぁぁぁぁぁ!!」

宙を舞い飛ばされるチェンジマーメイド。

「えぇい!!」

地面にたたき付けられ、のたうちまわるマーメイドにアハメスが破壊光線を放つ!

「あぁ!あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

強化スーツの胸周りが火花を散らしながら爆発する!
幸い破れはしなかったが、何度も喰らえば、ただでは済まない。

「さぁ、人魚狩りと洒落込もうかしら・・・ヤれ!!!」

襲い掛かるヒドラ兵!

「そう簡単に、やられてたまるもんですか!
チェンジソード!」

マーメイドは、チェンジソードからビームを発射する!

「そ、そんな?!」

なんと、ヒドラ兵はチェンジソードのビームを吸収してしまった!

「そんな・・・ヒドラ兵に、そんな事が出来るはずが・・・」

驚愕するマーメイド。

「そう、ただのヒドラ兵には不可能・・・何故なら、そのヒドラ兵は、お前達、チェンジマンに殺された宇宙獣士の遺伝子を組み込んで作った最強のヒドラ兵・・・キメラヒドラ兵だからよ!」

「なんですって?!そんな事は、不可能よ!!」

「ところが可能にする物が、地球にあった・・・それがある限りゴズマの勝利は、絶対!!ア?ハハハハハ!!!」

「そんな・・・」

さやかの心が絶望に支配される・・・
何しろ、今までチェンジマン全員で苦労して倒してきた宇宙獣士を、最も非力なマーメイド一人で相手にするなど、自殺行為以外の何物でもなかった・・・

「やれ!キメラヒドラ兵!!チェンジマーメイドを嬲殺しにしろ!!!」

「チェンジソード!」

マーメイドは、気を取り直しチェンジソードを剣と盾に分割して、飛び掛かってきたヒドラ兵を迎え撃つ!

「あっ!あぁ!」

左右の爪の連続攻撃で、チェンジソードを弾き飛ばされてしまった!
明らかにパワーもスピードも、以前とは比べ物にならない程強化されていた。
マーメイドの手から武器が失われたのを見るや、ヒドラ兵は、マーメイドを鋭い爪で引っ掻きはじめた!

「あぁ!あぁぁ!きゃあぁぁぁぁぁ!!」

マーメイドの胸部を中心に引っ掻きまくるヒドラ兵!
いつものヒドラ兵ならば、大したダメージにならないが、キメラ化したヒドラ兵の爪が強化スーツを引っ掻く度に大きな火花が散った。

「あっ!やぁっ!・・・きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
今度は、マーメイドの左胸を掴み、そのまま手から、破壊光線を放った!

「あ・・・あぁぁ・・・」

マーメイドのスーツの左胸は、黒焦げになっていた。

「う・・・くぅっ・・・」

左胸を抑えながら立ち上がるチェンジマーメイド。

「・・・くっ・・・トォー!マーメイドアタァック!!」

宙に飛び上がり、急降下してヒドラ兵に突進するマーメイド!

「あぁ!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

ヒドラ兵は、両目と両手、そして十指から14種の破壊光線をマーメイドに撃つ!
空中にいた為に避ける事も出来ずに全ての破壊光線を受けて爆発しながら墜落するマーメイド!

「あぅ!!あぁぁ!・・・くっぁぁぁぁぁ・・・」

「いい様ね、チェンジマーメイド?キメラヒドラ兵!そろそろ本来の力で戦いなさい!」

スーツの爆発に、のたうちまわるマーメイドを、更なる絶望が襲う。
今のままでも充分過ぎる程の強敵なのに、さらにそれ以上があるのは、その先には絶対の死しかない。
ヒドラ兵の姿が今まで倒してきた宇宙獣士を合わせた様な異様な姿に変化した。

「やれ!」

アハメスの命令と同時に駆け出すキメラ!
ふらふらと立ち上がったマーメイドに体当たりを喰らわせる!

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

吹き飛ぶマーメイド!
間髪入れずに、高熱火炎と低温の吹雪を放つキメラ!

「きゃあぁぁぁぁぁ!!あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

炎と吹雪が接触する事で水蒸気爆発が連続して起き、爆風に翻弄させるマーメイド!
さらに、マグネシャワーをマーメイドに浴びせ掛けるキメラ!

「あっ!あぁぁ!ス、スーツのメカが・・・きゃあ!きゃあぁぁぁぁぁ!!」

マグネシャワーで強化スーツの機能が破壊される!
スーツだけでなく、マスクからも、爆発が起き、大量の火花が噴出する!

「次は、ドロテガスだ!やれ!!」

スーツの機能が破壊され、悶え苦しむチェンジマーメイドに、あらゆる物を溶かすドロテガスが吹き付けられる!

「あっ!あぁぁ!き、強化スーツが?!と、溶け?!る!?!ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

マーメイドの全身に隈なく吹き付けられたドロテガスは、強化スーツを侵し、既にダメージを受けていた左胸をはじめとした各所やマスクを溶かし、内部メカを露出させる!
かろうじて残った箇所の防御力も、がた落ちなのはパールホワイトの生地が焼け焦げている事からも明らかだった。

「う、うぅ・・・そ、そんな・・・チ、チェンジスーツが・・・あっ!・・・あぁぁ!!」

マグネシャワーの影響でスーツの機能が完全に破壊され、攻撃力が無く、さらに、ドロテガスがスーツの防御力を無くしてしまった。
ボロボロの強化スーツは、攻撃されずとも断続的に爆発して、火花を噴き出していた。

「う、くぅっ・・・ま、まだ・・・」

スーツが爆発しながらも、なんとか立ち上がるチェンジマーメイド。

「フ・・・そうこなくては・・・えぇい!!」

健気にも立ち上がったマーメイドを見たアハメスは、サディスティックな笑みを浮かべると、自ら鞭を振るい、マーメイドを攻め立てる!

「きゃあ!!あぁぁ!あん!あぁん!あぁぁぁぁぁぁぁ!!」

アハメスが、鞭打つ度にマーメイドのスーツが爆ぜて砕け散る!
さらに、背後からキメラヒドラ兵がマーメイドを攻撃しだした!

「あうっ!そ、そんな?!あぁん!あぁぁ!きゃあぁぁぁぁぁ!!」

前からは鞭、後からは爪で攻め立てられ、強化スーツの内部メカも破損しだした!

「喰らえ!」

アハメスがキメラと共に破壊光線を放つ!
キメラは、光弾も連射する。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

照射させるアハメスの破壊光線が、マーメイドの胸を焼き、胸周りの強化スーツの爆発が断続的に起こる。しかも徐々に爆発が大きくなっていった。
キメラヒドラ兵が放つ光弾が雨霰とマーメイドの全身に降り注ぎ、強化スーツを激しく破壊する!

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「お止め!」

アハメスが、攻撃を止める。

「あ・・・あん!あぁん!・・・あぁぁ・・・」

爆煙が晴れると、そこいるのは、全身を覆うパールホワイトの強化スーツが見るも無残に破壊され尽くされ、元のパールホワイトの色が残っているのは、一割にも満たないチェンジマーメイドの姿だった。
マーメイドは、全身の強化スーツが断続的に起こす爆発の衝撃によろめきながら、胸をはじめとした全身から火花を鮮血の如く噴出させながら倒れ込んだ。

「あっ!・・・あぁ・・・」

「まだ生きている・・・華奢な割には、頑丈な・・・そうだ・・・」

アハメスは、弾き飛ばされたチェンジソードを見つけると、キメラヒドラ兵にマーメイドを羽交い締めにさせた。

「丁度いい・・・自分の武器でいたぶり抜かれて殺されるというのも屈辱的でしょうね・・・」

アハメスは、チェンジソードを取ると、マーメイドを斬り刻み始めた!

「・・・あぁ!あ、アハメス?!あぁん!・・・くっ・・・チェンジソードで?・・・あぁ!」

斬られた痛みで意識を取り戻したマーメイドは、アハメスが手にしているチェンジソードに驚く。

「アッハハハハハ!どう、自分の武器で斬り刻まれる気分は?」

「あん!あぁん!あぁぁ!きゃあ!!きゃあぁぁぁぁぁ!!」

サディスティックに笑いながらチェンジマーメイドを斬り刻むアハメスは、破れたチェンジスーツの切れ端や砕けたスーツの内部メカが舞う中、狂気の笑い声を上げながら、マーメイドを斬り刻み続ける!
チェンジマーメイドの強化スーツは、チェンジソードの斬撃により、内部メカを繋ぐケーブルまでが切断され、内臓の如く垂れ下がっていた。

「アッハハハハハ!お前に判るか?!バズー様に敗れ母星を奪われた私の気持ちが!?!アッハハハハハ!」

さらに、激しく斬り付けてくるアハメス!
マーメイドには、一撃毎に全身で十回以上の爆発が起こっていた。

「あっ!あぁ!きゃあ!あん!あぁん!あぁぁ!!あああああ!」

遂にマスクのマーメイドのシンボルを破壊され、そこから大量の火花が噴出する!

「死ねぇ!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

アハメスの突きが、マーメイドのバックルに突き刺さる!

「死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇ!」

「あ、あぁ!あぁぁぁぁぁ!!」

バックルに突き刺さったチェンジソードを捩込む度に、マーメイドの身体中で爆発が起きる!

「死ねぇ!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

一旦、チェンジソードを引き抜いたアハメスは、狂気の赴くままにチェンジマーメイドを斬り刻む!

「きゃあ!!あぁぁ!あっ!あん!あぁん!あぁぁぁぁ!きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

もはや、なすがままのチェンジマーメイド。

「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

アハメスが、チェンジソードに自身の力を全て注ぎ込み、チェンジソードの刀身を赤黒く染める。
そのまま、チェンジマーメイドを袈裟斬りに斬り裂く!

「ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

斬り裂かれたチェンジマーメイドは、断末魔の叫びと共に強化スーツの全身至る所で大きな火花が噴出し大爆発を起こす!

「くっ?!」

その火花がアハメスの眼に入り、うっかりチェンジソードを落としてしまう。
さらに、背中からも激しく爆発した為に、キメラヒドラ兵が羽交い締めを解いてしまった・・・
そこからは、一瞬の出来事だった・・・アハメスが、落としたチェンジソードを瀕死のマーメイドが拾い、アハメスを左下段からの切り上げで切り付け、その勢いを利用して、キメラヒドラ兵を斬り裂き、さらに、チェンジソードで串刺しにした!

「ハァッハァッ・・・・・・あ、諦めなければ、意外となんとかなるモノね・・・くぅっ・・・うぁっ・・・」

今だに全身で続く爆発によろめきながらも、チェンジソードを支えにアハメスに向き直るチェンジマーメイド。

「おのれぇ・・・チェンジマーメイドォ!!!!!・・・くっうぁっ!?!・・・思ったより傷が深い・・・覚えてなさい!!」

アハメスは、瞬間移動で逃走した。

「こ、これで終わり・・・?」

周囲を見渡すが、敵の姿は無かった。
そして、通信が入る。

「やっと通じたな!よく頑張ったな。皆も、すぐに駆け付けるだろう。もう大丈夫だ!」

通信は、伊吹長官からだった。
長官の労いの言葉に安堵したさやかは、深い溜め息を吐いた