三人目の囚人~志葉薫(シンケンレッド)前編~
※この物語は私、りーるの既作「双囚人」の続編です。
ことはと茉子がさらわれてから1日が経過した。
戦士達は二人が外道衆にさらわれたと見て間違いないと判断し、捜索に行こうとした。
そこに、もう一人のシンケンレッド、姫である志葉薫が「私も行く」と頼み出た。
いつもは一線を置いているような立ち位置の彼女だが、心根はとても優しく、さらわれた二人が心配なのだ。
戦士達も当然承諾した、が…。
(その格好で彷徨かれるのは、ちょっと…)
薫「?」
現代にそぐわない格好、、これで街を彷徨かれては困る。
爺らは現代の女の子用の洋服を用意して渡した。
着替えて出てきた薫を見て、みんな呆然とした。
薄手の半袖ブラウスシャツに、膝上のキュロットスカート、女の子用のシューズ。
それは今までのかしこまったお堅いイメージとは遠くかけ離れた、とても可愛らしい姿だった。
みんなの唖然とした様子に、薫は不安げに聞く。
薫「ど、、どうだ・・・? 似合うか?」
似合ってるかどうか気になる年相応の反応を見せた。
それは、どうみても普通の中学生の女の子だった。
結局、面倒見の良い流ノ介が薫のお守り役として付き添い、捜索に出た。
・・・
近くには外道衆の反応が無く、遠くに探しに行くことにした。
お金がないため銀行に降ろしに流ノ介は薫と向かう。
銀行はお客10人くらいと少なめだった。
と、流ノ介はカードを忘れたという。
実力は確かだがどこか抜けている流ノ介。
流ノ介は薫にここで待つよう言い、駆け足で帰宅していった。
薫「やれやれ・・・」
ため息をつき、そのままお手洗いに向かった。
薫(二人とも、無事かな・・・)
一人になって、心配になってしまった。
いけないいけない、と気を引き締める。
・・・個室に入って用を足していたその時、
ドンッ!!
と言う銃声と共に、
「動くな!」
という大きな罵声が聞こえた。
薫「何!?」
薫は、トイレからそっと出る。
静かになった。
そっと壁の陰から銀行フロアを見ると、黒い覆面をした銃所持の男が7人ほどいた。
さらに、店長一人を除いた店員と客全員がその覆面達にガムテープで後ろ手縛り、目と口を塞がれて一カ所に座らされていた。
薫(まさか! 銀行強盗・・・!)
最近、都内のあちこちの銀行を強盗して回っている有名な強盗団が居るという話を耳にした。
恐ろしく綿密で狡猾な集団で、警察でも手が負えないという。
おそらくとても有能なメンバーが居るのだろう。
正義感の強い薫は、ここで捕まえてやる、と決意した。
ここで薫は、自分の実力の自信と、仲間と一線を画している立ち位置からか、仲間に応援を呼ぶことを考えなかった。
とその時、薫の後頭部に拳銃が突きつけられた。
薫「!?(しまった…)」
強盗「まだここにいたか。大人しくあっちに歩くんだ、お嬢ちゃん。」
強盗はもう一人いたのだ。
銃を突きつけられた薫はフロアに押し込まれ、強盗仲間も気付いた。
強盗「子供か。こっちに来い。」
こうなったら仕方がない。
薫は素早い動きでシンケンレッドに変身した。
強盗「なっ!? ぐほあっ!!」
銃を突きつけた強盗を一瞬で蹴散らし、側にいた強盗仲間も倒す。
そしてフロアに固まっていた残り6人に襲いかかろうとしたその時、
強盗「動くな! これを見ろ!」
気付いた薫は立ち尽くしてしまった。
薫「あ…」
強盗の一人が縛り上げた人質に拳銃を突きつけ、引き金を構えていた。
強盗「動いたら、分かってるな。こいつらを一人ずつ撃ち殺す。嫌だったら大人しく武器を捨てろ。」
薫「…(ダメだ、、民を犠牲には、できない…)」
その言葉を聞いた薫は諦めたように力を抜き、腰のシンケンマルを放り捨てる。
強盗「まさかシンケンジャーだったとはな。お次は、マスクを外せ。」
渋々と薫はマスクを外した。
綺麗な長い黒髪がなびき、素顔が晒された。
さっきも見たが改めて見て、強盗達は意外そうだった。こんな子供が…
強盗「まだガキじゃねえか。年は幾つだ。」
薫「…」
すると、
ドンッ!!
客「ぎゃあぁっ!」
薫「あっ!!」
押し黙った薫を見て強盗は客の腕を撃った。
幸い腕を掠めただけだが、薫には強力な脅しになった。
強盗「質問に答えろよ。こいつら、撃つぞ。」
客「んんん~~!!」
慌て怯える人質達。
薫「くっ、、14…」
今度は強盗達が驚いた。
確かに14歳くらいの見た目だが、そんな中学生相応の女の子がシンケンジャーだったということは驚きだったのだ。
強盗「本当にガキじゃねえか。」「マジかよ、シンケンジャーだぜ。」
それを聞いた薫は微かに顔をしかめた。
彼女にとって戦士である誇りはあるが、子供だからと侮られる局面が何度もあった。
それが嫌だったが、必死の修行で誰にも負けない力を身につけ、そのコンプレックスは段々薄らいでいった。
しかし今、抵抗できない状況下で子供であることを指摘され、コンプレックスが蘇ったのだ。
グローブの手をぎゅっと握り、立ち尽くす薫。
そんな様子を見た強盗は、
強盗「ヒヒヒッ、まさかお子ちゃまだったとはねえ。可愛らしいお顔じゃないか。」
薫「っ…!」
あからさまに指摘され、さらにはいやらしい目で見られていることに、気持ち悪さを感じた。
まだ14歳の少女はその心情を顔に出すのを我慢できず、それでも健気に耐えようとし唇をきゅっと結ぶ。
しかしその辛抱が強盗達の加虐心を燃やす。
今度は強盗のリーダーが彼女に命じる。
リ「さて、まだ武器があるだろ。分かってるんだぞ、出せ。」
薫(っ…見抜かれてる)
本当は強盗にはまだ武器所持していることなど分からない。
しかし確信を持ったような言い草、さらには人質を取っていることで、薫を上手く誘導した。
いつもならこんな手に引っかかる薫ではないが、先程人質を発砲したことが効いて、逆らえなくなってしまったのだ。
下手に逆らえば、また人質が撃たれる。
精神的に未熟な少女は、この状況に動揺し、冷静な思考が出来なくなってしまったのだ。
諦めて所持していた武器を全部捨てた。
強盗「本当に全部捨てただろうなあ。」
銃を人質のこめかみに突きつける。
薫「ほ、本当だ!」
慌てて答える薫。
強盗「威勢の良いお嬢ちゃんだ。」
強盗は薫の瞳をじいっと見る。
薫は少し瞳を揺らすが、それでも強がってキッと睨む。
リ「(フフ、綺麗ないい目だ。これくらいリアルに脅せば、何かを隠せば直ぐに分かる。やはり子供だな。可愛い子だぜ。)いいだろう、最後に、変身を解くんだ。」
薫「…」
それを聞いて悔しそうに目を伏せ唇を噛み締めながら、とぼとぼと変身を解いた。
スーツが消え、私服の、ブラウスシャツとキュロットスカートとガールズシューズの、普通の女の子の出で立ちに戻った。
さっきよりもさらに子供っぽく見える。
強盗達は改めて驚き、またこの可愛らしさに邪な心を増幅させる。
強盗「その機械を大人しくこっちに渡せ。」
ショドウフォンを強盗に取られた。
これで薫は、変身することも助けを求めることも出来なくなった。
薫(助けを…そうだ! 流ノ介が戻ってくる。そして異変に気付いて、みんなを呼んでくれる筈!)
希望と取り戻した薫、しかしその様子を強盗リーダーは見逃さなかった。
そして、薫が抱いた希望の中身をも見抜いていた。
シンケンジャーで、決して希望を捨てない健気さ、そして何より愛くるしい顔…
心の中でリーダーは下卑た事を思いつき、しかし決して顔には出さなかった。
さすが警察を手玉に取る強盗団のリーダーで、狡猾で頭の回転が速い。
リーダーは薫に気付かれぬよう作戦を立てながら、仲間に薫の見張りを頼んだ。
そして、裏に止めたワゴンに向かった。
まだ時間的に警察は来ていないと判断したのだ。
残りの仲間2人が薫を取り囲む。
無論残り4人はやはり警戒してか、人質に銃を突きつけている。
それで動けず大人しく立ち尽くす薫に下卑た笑いで取り囲み、1人が顎をしゃくる。
すぐに顎を逸らし、もう一人が髪を撫でて、また嫌がって避けた。
そんな素直な反応が可愛く、強盗達はさらに嘲笑して撫でる。
薫「っ…!(今に見てなさい…直ぐに仲間が来て、お前たちなんか倒してしまうのだから!)きゃっ!」
そこに1人がスカートを捲ってきて、慌てて薫は可愛い悲鳴を上げてスカートを抑える。
一般と感覚がずれてても、羞恥心はやはり人並みの年頃の女の子なのだ。
そんな可愛らしい姿に、強盗達は嘲笑する。
顔を赤らめる薫、と、リーダーが戻ってきた。
リーダーは何やらバッグを持って帰ってきた。
薫を見てニヤつき、バッグを探る。
薫(何、、何をするつもりだ…?)
不安げにリーダーの行動を見守る。
すると、中から水筒を取りだし、悠々と水を入れたのだ。
その隙に、側にいた強盗が薫の喉元を撫でる。
薫「やめろっ!」
悲鳴を上げ、強盗達が嘲笑する。
薫が目を離した隙に、リーダーはコップの中に何か錠剤をポチャン、と入れた。
強盗達のセクハラのせいで、それに気付かない薫。
リーダーは薫に近づき、コップを薫に渡す。
リ「緊張して喉が渇いたろう? さあ、飲みな。」
薫「何だ、、これは?」
恐る恐るコップの水を見て聞く薫る。
わざわざ用意した水筒の水、絶対に何かあると思った。
リ「何でもないさ。これはただ作戦中の時用の俺たちの飲用水だよ。たくさん動くんで喉乾くからな。」
薫「…(本当か、、信用できない…)」
やはり疑いを捨てられない薫。だが
リ「本当に何でもないさ。ま、お前はハナから飲む以外に選択肢はないんだがな。」
強盗が銃を人質に向ける。
薫「…っ」
強盗と水と、視線を往復して戸惑う薫。
リ「ククッ、そう怖がるなよ。本当にただの水だよ。人の好意は素直に受け取るもんだぜ、お嬢ちゃん。いいから飲め。命令だぞ。」
悔しげな顔をし、恐る恐る飲む薫。
味は何ともない、ただの水…
リ「一杯全部飲め。」
命令されるまま、全部飲み干す薫。
ただの水…そう思ったその時、
薫「う…っ」
急に力が抜け、体中が痺れるような感じがする。
何とか足を踏ん張って立っているが、これはおかしい。
薫「な、、何を…飲ませた?」
するとリーダーは急にいやらしくニヤつき、ゆっくりと薫の元に近づく。
そして細い両肩を掴むと強く下に圧し、薫は為す術無くその場に横座りさせられた。
薫「く・・・。な、何を…」
しかしリーダーは薫を無視し、バッグを彼女の目の前に運び、中を開けた。
中を見て薫は驚き、身体が震えた。
中には丈夫な荒縄の束、ダクトテープ、さらには手錠にスタンガンが入っていた。
どれも知識としては知っている薫は、当然用途も知っている。
自分を縛り上げるための物。人質に施している拘束具とは比べものにならないほど強力な。
身体が痺れて動けない自分では、絶対に自力でほどけないだろう。
強盗の一人が束をほどいた荒縄をリーダーに渡すと、リーダーは薫の後ろに回り、両手を後ろ手に捻り上げた。
薫「いつっ!」
顔をしかめる薫をよそに、リーダーはそのまま素早く彼女を後ろ手に縛り上げた。
抵抗しようにも、身体が痺れる。一体何を飲ませたのか…
次のロープを取り出し構えるリーダーに、薫はたまらず聞く。
薫「やめろ! 一体、何を飲ませた? あっ、や!」
無視して淡々とリーダーは彼女の膨らみかけの胸に縄をかけ、絞った。
それから脇の割縄の補強にかかった。
動きが素早くスムーズなため、シュルシュル、と気持ちいい音を出して、彼女の軟らかい肉に食い込むようにロープが巻き付けられていく。
そして背中で縄尻を引っ張ると、
薫「うぐっ!」
胸がお腹が腕が、それぞれ巻き付いた縄に締め上げられる。
とても手慣れた手つきでキビキビと薫を縛り上げていく。
その縄は、後ろ手の縄に連結され思い切り引っ張られた時は、全身に食い込む縄がギリギリと柔肌に食い込み、まさに動けなくされてしまった。
新品の女の子用の可愛らしい洋服も、無惨にずれて皺が出来ていた。
薫「くっ、、答えろ…何を飲ませ…きゃっ!」
上半身の緊縛に苦しみ屈辱ながら、あの薬が気になり聞き出そうとしたところに、横座りした太ももを覆うスカートを捲られた。
強盗「イヒヒッ! 威勢の良いお嬢ちゃんが、たまに可愛らしい声をあげると、何ともそそるもんだなぁ!」
薫「くっ…! ば、馬鹿にするな! なッ、やめろ!」
馬鹿にされた薫は吠えるが、太ももを暴かれ、新たなロープを淡々と巻き付けられていった。
割縄付きで、しっかりと太ももを縛り上げ、そのまま縄尻を足首に運び、足をくの字にしたまま足首を縛り上げてしまった。
薫「あっ…」
最後の縄尻を、リーダーが力強く結び、拘束を終えた。
雁字搦めに縄化粧を施された薫の姿を後ろから満足げに眺めた。
リ「いい格好だ。縄がよく似合う。」
薫「っ…!」
後ろから薫を抱き寄せるように顔を寄せ、耳元でそう囁いた。
あまりの気持ち悪さに、薫は身を震わせた。さらに、
薫「私に飲ませた薬は何…ひっ!」
質問し終える前に、リーダーはそのままの体勢で薫のスカートを捲った太ももを撫で、適度に肉が乗ってきた若い太ももを堪能している。
リ「いい手触りだ、スベスベでプニプニだ。」
そう言いながらリーダーは、その顔を薫の愛らしい顔に擦り付けてきた。
薫は何とかリーダーのペースにのせられないよう、飲まされた水のことを聞こうとするが、捕まった今、子供の薫が百戦錬磨の強盗犯のいやらしい知略に敵うはずもなく、いいように弄ばれてしまう。
薫「っ・・・や、、きゃあっ!」
リ「スベスベで、いい匂いだ。」
さらにリーダーは、髪の匂いを嗅ぐように鼻を頬を擦り付けてくる。
さすがに嫌悪感を抑えきれず、必死に抵抗するが、
薫「いやっ!、、いやだっ! やめろっ、早く答えろ! 何飲ませ…ひ、ひやぁっ!」
何とリーダーは、そのままの体勢で薫の華奢な身体を強く抱きしめたのだ。
初めて男性に抱き締められた経験、それが敵に弄ばれる形で…
リ「いい抱き心地だ。」
もう薫は我慢できず、思わず悲鳴を上げようと、
薫「き、きゃああ!、んっ、むふぅう…」
大きく口を開いたその隙に、リーダーは恐ろしく素早くハンカチを薫の口の中に押し込んだ。
慌てて薫は舌で押し返そうとするが、その時リーダーは耳たぶをペロッと舐めた。
薫「ふぁぐっ、うむぅぅ!」
その愛撫に薫は力が抜けてしまい、その瞬間を逃さずリーダーは喉の奥までハンカチを押し込み、完全に口の中に咥え込ませた。
最後にリーダーはバッグからダクトテープを取り出し、もう一度薫のハンカチを口内に押し込むと、口を閉じさせ、その上からダクトテープをべったりと貼り付け、猿轡してしまった。
薫「んむっ・・・んん・・・」
リ「これでもうお前は動けないし、声も出せまい。」
そう言い、抱き寄せた薫から離れ、立ち上がり薫の緊縛姿を眺めた。
リ「我ながら見事な縄化粧だぜ。いい眺めだ、欲情もんだぜお嬢ちゃん。」
その言葉に怒り、何とか拘束を脱そうともがく薫。しかし、
薫「んっ!、、む、、ぐ…っ! ンフゥッ」
その通りだった、彼女の華奢な身体を容赦なく緊縛するロープは、痛みすら与えるように彼女を締め上げ、もがくことも満足に出来なくさせた。
さらに猿轡のテープの粘着力は超強力で、口いっぱいに頬張せられたハンカチの防音も相まって本当に小さなくぐもった声しか出せなかった。
さらにそのもがきが男の欲情をさらに高めることを、幼い薫は知らない。
その姿に満足したリーダーは、仲間達と薫にだけ聞こえる囁きで、とんでもないことを告げる。
リ「よし、この娘を人質として連れて行くぞ。後はこのままだ。」
さすがに仲間は驚いた。
強盗「いいんですか? 人質なんて作って、持ち帰って。」
リ「ああ、女の子供なら持ち運びが楽だし愉しめる。それに、俺はこのお嬢ちゃんを気に入ってな。アジトに連れて帰って、存分に嬲り上げてやるよ」
薫「…っ!(い、、いやだっ)」
その言葉にさすがに怯えてしまう薫。
だが、まだ仲間の希望がある。
こいつらが逃げ出す際に、きっとやっつけてくれる…!
そう淡い希望を持っていたその時、
強盗「けど、こんなガキでも、こいつシンケンジャーですぜ。もし何かとばっちりでも受けたら…」
リ「ああ、おそらく今お仲間が助けに来ているだろうな。」
強盗「だったら!」
リ「しっ、大きな声を出すな。いいか、とりあえず外で張ってるサツには人質を無事解放する、と言うんだ。そうしたら、奴らも油断して大人しく待つだろう。その隙に、俺らが見つけた秘密の抜け穴で、外に逃げるんだ。向こうの穴のところで仲間に頼んでワゴンを移動させた。そうすりゃ、俺らは誰にも見つからずに、この小娘を連れて悠々とトンズラ出来る、てワケさ。」
薫「・・・!!(そ、、そんな・・・)」
冷静に考えてみた、、確かにその方法なら、警察や仲間を欺けるかも知れない、いやむしろほぼ確実に欺ける・・・
緻密なリーダーの作戦に絶望感が沸き上がり、ガタガタと身体が震えるのを抑えられない。
さらにリーダーはだめ押しとして、
リ「それに俺が知る情報からすると、こいつらが戦っている外道衆というのは、かなりの財力・戦力を有しているらしい。そんなやつらにこの娘を差し出せば・・・」
仲間達も目の色が変わった。
強盗「この国の、一部を頂けるかもしれない・・・」
リ「バカ! 星そのものを狙う連中だぜ!国の一部どころじゃねえ、世界の一部、もっと行けば、星だって・・・」
仲間達の顔つきがどんどん変わっていく。
強盗「どっちにしろ、一生遊んで暮らせる。」「ああ、こんな物盗りの生活から、一気に王様だぜ!」
強盗達は、一気にリーダーの案にのった。異様な雰囲気を醸し出しながら。
薫「(な、、なんて奴らだ・・・! 自分が生まれ育った世界を易々と、私利私欲のためにっ…ダメだそんなの!)んっ、んん・・・!」
何とか強盗達を思い止まらせようと、首を振ってくぐもった声を出して精一杯アピールするが、強盗達はもはや揺れなかった。
むしろ、嬉々とした顔で、外道衆への餌となる薫を眺めニヤけていた。
もはや説得など通じない、、そう確信した薫は、一気にそんな奴らに捕らわれた事への恐怖に苛まれ、ガクガク震える。
それを見たリーダーは、可愛がるように彼女の頭を撫でる。
リ「フフ、怯えているな、お嬢ちゃん。いいんだよ、泣いても。どうせ誰にも聞こえやしないさ。はははっ!」
その言葉にキッとリーダーを睨む。
しかしリーダーは彼女の頬をペチッとビンタし、彼女は顔をしかめる。
強盗達は満足げに各々準備に取りかかった。
薫はこの隙に何とか逃げ出せやしないかと、厳しく縛り上げられた身体をもがかせるが、拘束は解けないばかりかもがくほど彼女の幼気な身体に食い込む。
両手首のロープは、胸・腰・腕の全てのロープと連結しているため、ほどこうと手首を動かすだけで、彼女は上半身全体を厳しく締め上げられてしまうのだ。
さらにあくどいことに、足はくの字に折れ曲がった状態で足首と太ももを繋がれており、結果彼女は満足に立ち上がることも出来ないのだ。
この拘束がいかに強力であるか思い知り、おののおく。
とても14歳のウブな少女に施すような縛り方ではない、本格的なSM式の縄化粧だ。
少女はどうすればいいかも分からず、正にもがき苦しむ。
もがいても無駄だと、一息ついたとき、もう強盗達は準備を終え、薫を取り囲んでいた。
強盗達に見下ろされ、薫はビクつくが、慌てて気丈な顔で睨む。
そんな薫の健気さを嘲笑しながら、リーダーが近づき、口に貼り付いたテープを撫でながら
リ「さあ行こうか、お嬢ちゃん。よっと」
薫「んうっ!」
そう言うや否や、素早い動きで彼女の腰を掴みヒョイと持ち上げ、彼女の頭を後ろに、肩に担ぎ上げた。
思わず可愛い悲鳴を上げた薫を、可愛くて仕方ないように背中を撫でる。
嫌がり身体をもがく薫、しかしその行動でお尻がもごもごと揺れ、結果その横に位置するリーダーの顔に存分に眺められ、加虐心を煽る羽目になることを、幼い薫は分からなかった。
リーダーは愛おしむようにもごもごと揺れるお尻を撫で、その感触に薫は震え上がり、嫌悪感一杯に悲鳴を上げた。
薫「んんっ!!」
しかしその声も、ハンカチとテープに塞がれ大した大きさの声にはならなかった。
最近丸みを帯び始めた感じの、弾力性抜群の丸いお尻を堪能しながら移動する。
薫は足で攻撃しようと思っても、くの字で縛られそれも出来ない。
為すがまま、悠々と強盗達に運ばれていく。
と何処へ向かうのか、人質達の拘束をそのままに放置し、銀行の階段を上がっていく。
2階は改築工事で、今は何もない。
強盗達はここに目をつけたのだ。
ある一室に入り、窓を開けると、すぐそばに隣のビルの窓が見えた。
隣のビルも不景気で潰れ、空いているのだ。
強盗達は窓を開けると、向こうのビルの窓も開いており、そのまま飛び移った。
リーダーも移ろうと歩く。
こいつらの魂胆を理解した薫。
そう、マークされている銀行のビルからマークされていない隣のビルに飛び移り、その下水道から悠々と脱出するつもりなのだ。
薫「ん・・・んんぅー!!」
その魂胆を理解した薫は、恐怖に襲われめい一杯悲鳴を上げてもがくが、この緊縛はびくともせず、塞がれた口からも、ほとんど声らしい声は出なかった。
強盗達はもがく薫に拳銃を突きつけもせず、嘲笑しながら余裕綽々で移動していく。
まるで「どうぞ存分にもがくんだな」、と罵るように。
その意図を感じ取った薫は、悔しさのあまり目頭が熱くなってしまう、それを必死に堪える。
しかし、嗚咽までは我慢できない。
少女の嗚咽を聞き取った強盗達はまた嘲笑し、
リーダーの後ろに立った強盗が彼女の髪を引っ張り顔を上向かせ、
薫「んくっ」
強盗「あらら、泣いちゃったのかな正義のヒロインちゃん? やっぱお子ちゃまだな。」「はははははっ」
嘲笑しながら悠々と薫を連行する強盗達。
もはや薫は抵抗する元気もなくなり、ただ泣くのを堪えるしかなかった。
薫(泣いちゃダメ、、泣いちゃダメだ、私・・・!)
そして1階に降り、下水道に入って中をどれくらい歩いただろうか。
地上に出た時はここはどこだか分からなかった。
かなり遠くまで来たのだろうか、どこかの袋小路だった。
そばに車が置いてあった。
リーダーの話していたワゴンだ。
このワゴンでさらわれる・・・
少女の顔が見る見る怯えの色に変わる。
すると、近くにカップルの話し声が聞こえた。
強盗「おいっ、、やべえ。」
少し慌てる強盗たち。
だがリーダーは淡々としていた。
助けを求めようと、担がれた薫は必死に悲鳴を上げる。
薫「んんーっ…! んふぅーっ、んんー…!」
しかし、少女がいくら悲鳴を上げてもくぐもった小さい声しか出せない。
とても袋小路の向こうのカップルまでは届かない。
リ「ククク、無駄だぜお嬢ちゃん。」
薫「んッ!」
リーダーは余裕綽々で薫のお尻を撫でる。
リ「お前の口に貼り付けたダクトテープは強い粘着力を持っている。いくら口をもがもが動かしても絶対に剥がれん。」
薫「んん!」
強盗「へへ、なるほど。」
後ろに居た強盗が薫の前髪を掴んで上向かせ、口に貼られたテープを擦る。
薫(いや、やめろ!、、ひやっ!)
口のテープを擦る強盗の指から逃げようと首を振ろうとしたところに、リーダーがお尻を撫でる。
リ「さらに、お前の口の中にハンカチを詰め込んで頬張らせた、喉付近までな。舌の動きを封じ、声を出すための喉も塞いだ。」
薫「むぅ…、んんーっ…!」
それでも呻き声を上げる薫。
そんな薫のお尻を、いとおしむ様に撫でるリーダー。
リ「フフ、そうだ喚け。無駄だからな。お前の助けを求める悲鳴は絶対に届かん。」
薫「っ…むうーーっ…!」
袋小路の向こうの気配は、遠ざかっていく。
リ「それにしても、いつまでもここに居るのはマズイな。さっさとずらかるか。」
薫「っ! んんぅーーっ!(誰か…みんな、、お願い、ここに気付いて!)
そんな声など誰にも届かず、リーダーは淡々と後部座席のドアを開けて、薫の体を強引に放り入れた。
薫「んぅっ!」
乱暴に押し込められ、怒ってリーダーを睨みつけようと身を起こした所で、両サイドから強盗たちが入ってきた。
強盗たちは、ふためく薫の体を抱え、座席の中央にしっかり座らせた。
両サイドにはその強盗達が座り、リーダーは助手席に座って車が発進した。
とうとう薫は、誰にも気付かれることなく強盗団に誘拐されてしまった。
しかもこいつらは、薫を外道衆に引き渡すつもりなのだ。
無様に縛られた自分の姿を見て、絶望に項垂れる。
両サイドの男達は、少女を挟み込む様に密着し、それぞれ肩と腰を抱いて、撫でてくる。
全く動けないばかりか、気持ち悪さすら感じる。
そんな自分がふがいない思いでいっぱいの薫だった。
薫「(何てこと・・・、仲間を助けに行くはずが、逆に捕まってしまうなんて・・・! 何とか、、何とかしないと・・・!)ん、んふぅっ!?」
逃げる方法を考えていた薫の太ももに、隣に座っていた強盗のいやらしい手が触れた。
思わず可愛い悲鳴を上げてしまった薫は、彼らの加虐心を促してしまった。
もう一人は彼女の可愛らしい顔を撫でながら、
強盗「へっへっへ、可愛いヒロインだなあ。」「ホントだぜ、たっぷり可愛がってやるよ」
薫「っ・・・!」
異様ないやらしい顔つきで薫を囲み見下ろす強盗達に、薫は怯えを隠せなかった。
それがさらに彼らの加虐心が燃えてしまうことも知らず・・・。
薫「んっ!? んん~~~!!」
何といきなり一人が彼女に抱きついたのだ。
彼女の若い身体の感触に柔らかさ、匂い全てを堪能し尽くすかのように抱きしめ愛撫し、もう一人はその隙間から、胸縄で無惨に絞り出された乳房を揉んできた。
薫「んむぅ~~~!!んんん~~!!!」
必死に嫌々するが、純粋な力では元々敵わない上に緊縛を受けてはどうしようもない。
強盗達のアジトに着くまで2時間、薫は頭から足先にかけて、頬、耳、首筋、肩、腕、胸、腹、腰、股間、太もも、足首至る箇所をいやらしく責められた。
そういう責めを体験したことなどあるはずもない14歳の少女は、どう防げばいいのかやり過ごせばいいのかなど分からずに、面白いほどに大きく反応し、男達の加虐心を見事なまでに2時間燃やし続けたのだ。
薫(助けて、、誰か、助けて・・・!)
アジトに着いた頃、ひたすら快楽責めを受け続けた彼女は疲弊しきり、男達に連行された。
薫「んんっ!」
ある一室に乱暴に放り込まれ、乱暴な扱いと痛みに薫は強盗達を睨む。
と、強盗達も部屋に入って座り込んだ。
薫はすぐさま不自由な身で上半身を起こした。
その時、身体の痺れが取れていることに気付いた。
薫(よかった、、隙を見て、必ず逃げ出してやる!)
そう希望を取り戻していたところに、すかさずリーダーは口のテープを外した。
薫「うっ!」
強力なテープが乱暴にビリッと剥がれるのが痛く、顔をしかめた薫。
さらには口の中に押し込まれていたハンカチも、乱暴にグイッと吐かされた。
あまりに乱暴に引っ張り出されたので、一瞬吐き気に襲われたほどだ。
そんな乱暴なリーダーを睨み付ける薫に、リーダーは笑いながら。
リ「ここならどんなに泣いても構わないぜ」
薫「くっ!」
完全にバカにした物言いに、薫は歯を噛み締める。
リーダーはそのまま、バッグから何かを取り出した。
薫「うわっ、うくっ!」
何かと思う暇もなく、薫はブラウスの胸倉を掴まれ、乱暴に床に俯せで押し倒された。
すぐさまリーダーは薫の腰と太ももを両膝で押さえ込み、俯せのまま薫を押さえ込んだ。
薫「くぅ・・・」
うまく身体を極められ、身動き一つ取れず呻く薫のマウントポジションを取ったリーダーは、悠々とした手つきで何と、彼女のスカートをまくり上げたのだ。
薫「ちょっ!? 何するんだ!?」
白のシンプルなショーツが丸見えになり、丸い形のお尻も見られ、薫は羞恥心一杯に悲鳴を上げて嫌々をした。
もがいても、緊縛された上にマウントポジションではどうしようもなかった。
薫「はなせ! はなし、きゃあっ!!」
リーダーはそんな薫の抵抗を楽しむように悠々と彼女のショーツの感触を確かめるようにお尻をヤワヤワと撫で、薫を鳴かせる。
そのまま淡々とショーツのゴムに指をかけ、お尻をペロンと丸出しにしてしまった。
薫「いやあぁ!!」
今度は生のお尻を、、あまりの恥ずかしい事態にウブな薫は意地もプライドもなく悲鳴を上げてしまった。
さっきとはまるで様子が弱々しくなってきたのが分かる。
そんな薫のお尻をペチペチと軽く叩き、丸みと弾力ある柔らかな感触を堪能する愛撫の指。
そのおぞましい感触に、薫は息が詰まった。
そしてリーダーは、プラスティックケースを取り出し、蓋を開けた。
何だろうと不安に思った薫は、俯せに固定されながらも健気にその様子を見張った。
すると何と、注射器が出てきた。
薫「なっ!?」
中には何か薬液が入っているようで、リーダーは薫に見せつけるように注射器の細い針から液を出した。
その様子に、何かをお尻に注入されることを感じた薫は、恐怖一杯に喚きもがいた。
薫「い、いやだっ!! 何するんだ!!?」
リ「わめくな!」
怒鳴って命じたリーダーは、注射針を薫のお尻めがける。
リ「動くなよ。針が折れたらもっと危ないんだぞ。」
念を押して脅し、大人しくさせた。
薫「い、、いや、いやっ・・・」
その言葉に薫は催眠が掛かったかのように、小刻みに震えながらも動けなくなり、拒否の言葉をただ繰り返す。
リーダーは、薫のお尻の下方の、一番肉が乗っている部分に針を突き刺した。
薫「いだいっ!!」
金切り声で悲鳴を上げ、一瞬ビクッと大きく身体を揺らす。
リ「おいおい、危ないだろうが。折れたらどうする?」
薫「だ、だって、、ホントに痛いんだもの・・・!」
切実な薫の言だった。
細い針が彼女の柔らかいお尻に根元まで突き刺さり、痛くないはずなどなかった。
麻酔も付けていない状態なのだ。
何とも酷い扱いに、薫は惨めな気分になり、とうとう涙を流す。
と、液が針からお尻の肉に注入された感触がした。
とうとう妙な薬を、注射でお尻に施されてしまったのだ。
とんでもない屈辱に、涙が止まらず、薫は泣いてしまった。
言葉遣いも振る舞いも、もはや今までの姫・戦士としての高貴さはなかった。
ただ性暴力に怯えるだけの、14歳のか弱い少女そのままの姿だった。
薫「うっ、、ううぅ・・・」
泣きベソをかく薫を解放し、ショーツとスカートを元に戻したリーダーは、丁寧に彼女の上半身を起こしてやり、横座りさせた。
薫の嗚咽は止まらない、よほど怖かったのだろう。
戦闘とはまるで質が違う恐怖で、戦闘以外では箱入り娘で育った薫にとっては戦闘以上に大きなショックで、我慢できず泣いてしまった。
戦隊ヒロインが子供みたいに泣く姿に高揚感を覚えながら、リーダーは後ろから少女の小さい身体を包み、頭を撫でて慰める。
薫「っ!?、ひぅっ!!」
そして少女が避けようと思った前に、リーダーは少女の小さい耳たぶを甘噛みし、彼女が顔を動かしたところで強く噛む。
これで薫はリーダーの抱擁から逃げ出せなくなった。
薫「ふ、ゃあああっ・・・!」
さらにリーダーは、甘噛みしながら息を吹きかけ、彼女を震え上がらせた。
彼女は顔をしわくちゃに歪ませて苦しげに喘いだ。
それを観察していた強盗達は、楽しそうに眺めていた。
薫「ぐっ・・・(人が苦しむのが、そんなに楽しいのか・・・っ?)」
恐怖感と悲壮感と共に、許せないという怒りの正義感も蘇り、薫は泣きやんだ。
それを見たリーダーは、抱擁し耳を捕らえたそのままの体勢で息を吹きかけながら薫に囁く。
リ「安心しろ、お前に今打ったのは毒でも何でもない。ただの筋肉弛緩剤さ。」
薫「ふあ、あぁ・・・(筋肉弛緩剤、て確か・・・、まさか!)そ、そんな! 何が、安心しろだ! ひゃっ・・・」
リーダーに吠えたところで、再び耳を攻撃、舐め上げられてしまい、彼女は悶えた。
そんな反抗には気にもせずにリーダーは続ける。
リ「ちなみにさっき銀行で飲ませた水も筋肉弛緩剤入りだ。あれは即効性で効き目も短いから直ぐに切れる。だがこの注射薬液は、効き目長持ちだぜ。数時間はお前の身体は痺れたままだ。」
薫「ふあぅ・・・、そ、、そんなあぁ・・・」
耳の愛撫に悶えながら、薫は絶望の声を上げた。
リ「心配すんな、量は通常よりも薄めてあるから、筋肉弛緩と言っても全く動けなくなるワケじゃない。ただ痺れさせる程度だ。」
そう言って抱きしめたまま顎をつまみ、顔をリーダーに向けさせた。
健気に睨む薫の可愛らしい顔に満喫しながら、
リ「何しろ、可愛い顔して何人もの屈強な外道衆を殺す化け物だからな。こうしとかないと、何されるか分からねえしな。」
薫「そ、そんな! 私はお前たちに何も、っ・・・ふぁがっ、ぐむぅ・・・!」
酷い暴言に薫がリーダーに向かい気丈に吠えた隙を見て、リーダーは先程のハンカチを再度彼女の口に押し込み、しっかりと咥えさせた。
そのまま素早く、新たなダクトテープをしっかりと口に貼り付け猿轡した。
薫「んん~~っ!!」
怒りのあまり無駄だと分かってても思い切り声を上げた、くぐもった小さな。
さっきから強盗達のペース通りに翻弄され、薫の意見はほとんど遮られている。
いやらしい方法で、、思い通りに弄ばれている。
幼い薫にとってはこれ以上に辛い屈辱はなかった。
リーダーは最後に、薫の頬にキスをし、怒る薫から離れて尻目に、強盗達とたむろした。
と、薫はじわじわと再び身体が痺れてきた。
さっきお尻に打たれた筋肉弛緩剤が効果を出してきたのだ。
これで数時間は身体が痺れたまま。
もがいても無駄である、、重々思い知った薫は、横座りのまま、部屋の隅で大人しくした。
何とかシンケンジャーの仲間が居場所に気付いて助けてくれる、そう薄すぎる希望に信じて・・・。
と、リーダー達は何か作業を一生懸命しているのに気付いた。
薫(何してるんだろ、あいつら・・・)
その場から動けない薫は、奴らの大きな背中の向こうの作業が見えず、ただ不安げに座っているしかなかった。
何もできないのだ、今の自分は。
無力感に薫は自由な鼻からため息をつき、力なく彼らを見ていた。
それからどの位経過したか、
リ「お、成功したぞ!」
強盗達がどよめき立った。
ぼーっとしていた薫は、ハッとして彼らの方を向いた。
すると、強盗達は何か話していた。
内容は、声が小さくて聞き取れない。
彼らは緊張して声が小さくなっているようだ。
薫(一体誰と何を話しているんだ・・・?)
すると、強盗達は背中を翻し、薫の方に向いたかと思ったら、持っていた機械を薫に向けた。
それを見た薫は驚いて顔をこわばらせた。
それはTV電話で、TVに映っていたのは、外道衆の幹部の一人であった。
本当に外道衆と交渉をしていたのだ。
TVの外道衆幹部は縛り上げた薫を確認すると納得し、強盗団との交渉に乗り出したようだ。
どういう交渉かは知らないが、確実なのは、自分は外道衆に引き渡される・・・
薫はもはや怯えを隠せなかった。
そんな薫を尻目に、しばらく交渉が続いた。
・・・そして交渉が終わり、強盗団は歓声を上げた。
薫の絶望・恐怖に反して。
リーダーはご機嫌で、恐怖に怯える薫の頭を撫でながら
リ「はっはっは、正にお嬢ちゃんさまさまだぜ。おかげで俺たちは一生遊んで暮らせる。」
薫はその言葉にそっぽを向いたが、怯えていることは明らかだった。
リ「1時間後に外道衆の幹部様が向かえに来るらしい。それまでここで大人しく待ってような。」
そう言って彼女の顎をつまみ上向かせた。
少女は怯えながらもリーダーを気丈に睨む。
だがリーダーは余裕綽々で頬を撫でながら
リ「無駄だぜ、お嬢ちゃんの切り札の変身機械は、ここにあるんだからな。」
と、後ろのバッグの中に入っているショドウフォンを指さした。
確かにこれでは変身はおろか、通信も発信も出来ない。
自分が身につけていない限り、ショドウフォンは機能しないようになっているのだ。
外されている限り、どうしようもない。
リ「さて、祝杯だ! 寿司と酒を買ってくるぞ! お前、小娘を見張っとけよ。」
強盗「任せてください!」
みんなハイテンションで出かけていった。
部屋には、見張り一人と縛り上げられた薫だけが残された。
見張りに付いた強盗団は、この隙にてっきり薫を堪能するのかと思って、薫は不安がった。
が、見張りは疲れたのか、その場で座ったのだ。
見張りにとっては、薫は幼すぎて性の対象外だったのだ。
強盗「大人しくしてるんだぞ、お嬢ちゃん。」
そう言いながら、雑誌を読み始めた。
言われたとおり薫は大人しくしていた、が諦めたわけではない。
バッグの中のショドウフォン、あれに手が届けば、みんなと通信もしくは変身して逃げることが可能であると希望を持った。
しかしそれは小さな希望である。
体中雁字搦めに縛られている、特に足は縛られている上に足首と太ももを繋がれくの字を強制され、立つことすら出来ない。
その上筋肉弛緩剤を打ち込まれ全身痺れている状態で、さらに見張りが付いているのだ。
見張りは拳銃を所持している。
とても抵抗など出来そうもない。
薫は無理だと悟り諦めかけたその時、見張りがウトウトし出したのだ。
薫(しめた! 見張りが寝れば、その隙にショドウフォンを…!)
希望に胸を躍らす薫、何とか見張りに気付かれぬよう、平静を装った。
やがて数分して、見張りはとうとう眠りに入った。
おそらくこの男は強盗団の一番下っ端で、一番雑用を押しつけられていて疲れたのだろう。
目の下にクマができているほどだ。
少し待ち、見張りが完全に深い眠りに落ちたことを確認した薫は、意を決して身体をバッグに向かって前に動かした。
薫「む・・・っ」
一瞬身体が前に向かう、しかし同時に太ももに繋がれた足首のロープに引かれ、前に進む力が打ち消された。
結果あまり前に進まなかった。
さっき注射針を打ち込まれたお尻がズキッと痛み、リーダーの暴虐を思い出し恥辱が蘇る。
しかも、見張りが起きないようにそっと進まなければならないため、あまり力は出せず、その分でも前に進めない。
それでも何とか、、薫は健気にきつい作業を続けた。
他の連中は祝杯の用意に出かけた。
そんなに長いこと留守にはしないだろう。
直ぐに帰ってくると推察した薫は、焦り気味に進む。
正座の体勢で、太ももから上を前に押し出す、しかし繋がれた足首のせいで相殺され、その繰り返しであまり前に進めず何度も繰り返し、汗が垂れてくる。
しかしそれでも少女は諦めなかった。
薫「んぅ・・・っ(諦めちゃダメだ、、諦めたら、外道衆に捕まってしまう!)」
苦悶に耐えながら、何とか静かに、見張りを起こさぬようバッグにたどり着いた。
薫(やった! あとは、ショドウフォンを・・・)
これでどうするか、、まず通信機としての使用。
これは無理だとすぐに悟った。
助けを求めようとも、口は厳重な猿轡で塞がれており、言葉を全く発せられない状況なのだ。
くぐもった声を必死に出しても、見張りに気付かれ再び別場所にさらわれるのが落ちだ。
ならば、変身するしかない!
不自由な身で何とか体勢を変え、バッグに背を向けて後ろ手でバッグを探った。
しかし後ろ手ではよく見えず、しかも手首は腰にしっかりと固定されているため、身体そのものをバッグの方に傾けなくてはならない。
今にも倒れそうな体勢で、彼女は後ろ手をもがかせてショドウフォンを探る。
汗が目に入って染みる、それでも何とかその目を開いて時折後ろを確認してショドウフォンを指に。
その時、後ろに傾いた危うい体勢で居たため、筋肉弛緩剤を打ち込まれた身体は耐えられず、後ろに倒れてしまった。
その音に見張りは目を覚ましてしまった。
見張「あっ、このガキ! てめえ、何やってんだ!」
薫「むぅう・・・!」
見張りが慌てて彼女の方に迫り、思わず薫が怯んだその時、彼女の後ろ手にショドウフォンが。
彼女は何とか冷静に操作し、見張りが薫に手を伸ばしたその瞬間、
見張「うわっ!」
ピカッと少女の身体が光り輝いた、同時に彼女を緊縛していたロープが弾き飛び、猿轡も吹っ飛んだ。
見張「し、しまった!」
シンケンレッドが姿を現した。
銀行でマスクと武器を奪われたため、素顔剥き出し武器なしの、中途半端な変身になってしまった。
不完全な変身ではシンケンジャーとしての力も半減してしまう。
その上武器を全て奪われている状態では・・・
自分の状態に唇を噛むが、とにかく目の前の男を倒さねば。
薫は襲いかかる見張りを紙一重で交わした、はずだった。
薫「あっ!」
予想よりも自分の動きが鈍く、突進した見張りと掠れてしまった。
踏ん張るが、思ったよりも足に力が入らない。
薫「ぐっ・・・(筋肉弛緩剤のせいだ・・・!)」
見張りもそれに気付いたのか、
見張「へへっ、どうやら変身しても薬の効果は切れないようだな。大人しくしろ!」
今度は銃で応戦する見張り、だが今度は薫はしっかり避け、見張りに蹴りを食らわせ倒した。
薫「ふうっ。(こんな一般人にも手間取るなんて、、これじゃあ外道衆にはとても太刀打ちできない…! 彼らが来る前に、ここから逃げないと!)」
と、部屋から出て、脱出した。
建物から出たところで、飲食物を持って浮かれて戻ってきた強盗団が遠くに見えた。
強盗「あっ!しまった、逃げたぞ!」「追え!銃で撃ってでも捕まえろ!」
人数は少し増えて7人、しかも銃所持。
マスクを暴かれ筋肉弛緩剤で動きが鈍い状態では、どうなるか分からない。
戦うより逃げた方がいい。
薫は一目散に強盗団から逃げた。
ドンッ!ドンッ!
あどけない少女相手でも容赦なく発砲して追いかける強盗団。
少女は恐怖感に支配され、必死に逃げる。
だが筋肉弛緩剤で身体は痺れ、しかもマスクなしのため変身は不完全で、あまり速く走れず、追いつかれてしまう。
薫「(こうなったら!) はっ!」
振り向きざま、先頭の追っ手を叩きのめしてまた逃げる。
これをもう一度行い、残り5人。
薫(よし、もう2人くらい倒せば、、直接対決で倒してやる!)
倒す目処が立ったその時、
リ「やめろ!もう追うな!」
リーダーが追跡を止めさせた。
おそらく薫の作戦を見破り、ここで全員倒されるくらいなら、一旦逃がして後で追い詰めようと判断したのだ。
薫(私の作戦を読み切ったんだな。ホントに狡猾な、、やっかいな男だ…!)
追っ手から逃げ切ったことに取りあえずホッとしたが、完全に敵を倒す事は出来ず、まだ不安な逃亡を続けなくてはならない。
とりあえず薫は、そのまま森の中へ入った。
リ「可愛い顔してもやっぱシンケンジャーだな。戦い方を知ってやがる。危ないところだったぜ。応援を呼ぶぞ!外道衆にも知らせるんだ!何としてもあの小娘を捕まえるぞ!」
リーダーは、追っ手の増援をした。
(続)