戦慄!毒ガスの罠!

「もう、いったいどこへいったのよ!!」
「ホント、逃げたのかなあ? ねえ、ネジレ反応は出てる??」
 廃工場の敷地の中で、武器を片手に走り回すメガイエローとメガピンク。
「まだこのあたり一帯で、反応が出ているわ……」
 イエローの額が輝き、デジタルカメラのエンブレムが現れる。
「ええ、もう! いい加減に帰らないと、今日の宿題まだ終わってないのに~」
「もうちょっと緊迫感を持ちなさいよ……」
 手をつきだしてジタバタと動かすメガピンクに、メガイエローは首を傾げて呆れている。
「だって、あんなネジレ獣だったら、見つけたら一発で倒せるじゃん!」

「くっ、小娘どもがふざけたことを言いやがって」
 サビをふいたコンテナの影で、ネジレ獣/ドクガスネジラーは地団駄を踏んでいた。向こうには目立つ黄色とピンクのスーツを着た『小娘』が緊張感なく会話をしている。
「しかし今に見てろ……」
 ドクガスネジラーは大きな身体を揺らす。その体にはいくつものボトルを大きな身体にまといつかせている。
「まずはこれだっ」
 ボトルの中から一つを手に取ると、その上のコックをひねった。シューっという音とともに、白い霧がボトルから広がっていく。
「くっくっく、小娘ども目にみのを見せてやるぞ…」

「あのねぇ」
「もう、耕一郎みたいなことを言わないでよ」
「メガピンク!」
 イエローは慌ててピンクの口に手をやる。メガレンジャーの正体は絶対ヒミツだった。ネジレ獣は近くにいる。千里はみくの緊張感のなさに呆れながら、ぽんと肩を叩いた。
「ごめん……」
「気をつけてよね。正体がバレたらどういうことになるか分かってるの??」
「だから、ごめんって……」手を合わせて、頭を下げるメガピンク。「でもさ、そんなに説教っぽくなったら、皺が増えちゃうよ! メガイエロー!」
 ひらっと振り向くとメガピンクは走りだす。
「もう、勝手なことばっかり……」
 メガスナイパーを手にしたまま、メガイエローはメガピンクのあとを追いかけていく。
「こらー、ネジレ獣どこいったー! このあたしが相手にするからさっさと現れろー!」
 廃工場の中は不気味な雰囲気に包まれていた。二人は鮮やかな光沢のスーツに身を包んだまま、奥へと進んでいく。
「そんなこといって、現れるわけがないじゃない?」
「やっぱり……? あれ?」
 メガピンクは不意に立ち止まり、胸に手をやる。
「メガピンク?」
「なんか……身体が熱い……」
 メガピンクは手を首元から胸にやり、ぎゅっと押しつぶしている。
「ああぁっん……」
「もう、なにやってんのよ?」
 メガイエローはピンクに近づくと、その手を取り上げる。
「でもだって……手が勝手に」
 イエローに手をとられると、ピンクは反対の手でおっぱいをぷにぷにと押し潰し始める。足をぎゅっと内股にして、声を上げる。
「待って、なんでそんなこと……うっ!」
 イエローは寒気を感じて、メガスナイパーを落としてしまう。
「メガイエロー?」
「ダメっ、メガピンク、こんなところで、そんな変なことしちゃ……」
「で、でも、ち、ちさともおっぱいをもんでるじゃん……?」
「ふぇっ?」
 千里がみると、自分の手がいつのまにか胸にあって、その大きな乳房をマッサージするように揉みほぐしていた。
「な、なんでっ? いやっ、手が、手が勝手に~」
「なに……これっ?」
 イエローはピンクの手を離してしまい、そのままそこに尻餅をついて倒れてしまう。
「へっっへっ、お嬢さんたち、なんてはしたない真似をしているんだ?」
 二人は声に驚いて、顔をあげた。そこにいるのは変なボトルを手にしたドクガスネジラーだった。
「こ、これはっ!」
 よろめきながら立ち上がるメガイエロー。ピンクも横に並んで、手を離そうとするのに、離れない。
「ああぁっ~もうっあぁっ~~」
「さすが、シボレナ様の開発した発情ガスの威力はだな……」
「発情…」
「ガス……?」
「そうよ」ドクガスネジラーはボトルを掲げて勝ち誇った声をあげた。「このボトルの中には、人間の牝をエッチにしちまうガスが詰まってる。へへへっ、ここでそれをばらまいてしまえば、さしものメガレンジャーもただの牝犬になってしまうって寸法でさぁ……」
「そ、そんなぁっ!?」
「ゆ、ゆるせない……ネジレジア」
「女を知るのは女だ。シボレナ様はさすがおまえら牝の弱点をよくご存知だなあ」
 ドクガスネジラーはボトルの口を向けながら、勝ち誇ったように二人に迫ってくる。
「ほ~れ、さっきまでの強気な態度はどうしたぁ? ああ?」
 向かってくる敵に対して構えをとることもできずに、おっぱいに手をあてたまま、地面に膝をついてしまうメガイエローとメガピンク。
「あぁあっ~、くっくやしいっ!」
「諦めちゃダメっ! で、でもっ~」
 千里とみくの口の中には、いつのまにか甘ったるいニオイがいっぱいになっていて、ぱくぱくと酸欠の金魚のように開いて閉じてを繰り返すことしかできない。足をピタッと閉じて、こすりあわせていると、いつしか身体はくちゅくちゅと音を立て始める。
「あぁっ~耐えられないっ~」
 ぐたっとだらしない声をあげながら、スカートの上からおま ?こに手を伸ばすメガイエロー。それをみて、同じように股間をいじりはじめ、メガピンクはくいくいと身体をよじらせる。
「ほら、正義の牝どもよ、かかってきたらどうなんだ?」
 二人の間に、ドクガスネジラーはボトルをおく。イエローもピンクも手を伸ばそうとするが、身体はずるずると力を失って四つん這いから崩れて、地面にへばることしかできない。
「いやっ、いやっ、メガイエロー、なんとかしてぇ~これじゃあぁっ?」
「メガピンク、だめ、耐えて耐えるのよっ?!」
 少女の悲鳴は工場の中を悲痛に響きわたっていく。
 ふたりともスカートをめくりあげ、足を M字に開くと指をこすりつけて喘ぎ声をあげる。
「ああぁっ~んなぁぁって~」
「だ、だめぇっだめぇっ。こんなネジレ獣の卑怯な罠に~わたしわたしぇっ~ああぁっ!!」
「いくっいっちゃうよぉっ!!」
「ああぁっんだめぇっ!! いやぁあぁあぁぁぁああああっ!!」
 びっくっとひときわ大きく震えるメガイエローとメガピンク。声とともに股間には染みがじっくりと溢れでて、二人は背中をエビぞりにして反り返りながら、ぴっくっぴくっと身体を痙攣させる。
(……身体が勝手に……で、でも……ああっ、クセになっちゃいそうっ!)
(早く逃げ出さないと、こんな卑怯なやつの自由に……はぁっ、頭がおかしくなりそう……)
 イエローとピンクは、お互いに別々のことを思いながら絶頂の余韻に浸っていた。満足そうな表情を浮かべたドクガスネジラーは、あらたなボトルを手にする。
「そ、それは……」
「えぁっ……」
「これか? これはなんだとおもう?」
「はぁっん、もう、コレ以上勝手な真似は……」
 メガイエローは立ち上がる。ふらつき、肩は呼吸のたびに荒く上下している。
「へへへっ、イカされてもなお立つことがデキルのかぁ~、メガレンジャーの牝はすごいなぁっ」
「メ、メガイエロー!」
「メガピンク、早く逃げないと……」
「で、でもっ……」
「早くっ! うあぁっ!」
 敵に向かっている千里も、身体疼くのか、くね、くねっと身体を悩ましげに揺らしている。
「そんな身体で、オマエは俺と戦うつもりかぁ??」
「も、もちろんよ……!」
 もう一度構えを直すメガイエロー。前へ一歩出ると、まるで身体が電流に打たれたようにまたくねっとうごめかしてしまう。その目の前で、ドクガスネジラーはボトルのコックをひねった。
「やめなさいっ!!」
「やめるってなにをだぁっ?」
 大股でメガイエローに迫ると、ドクガスネジラーはその鼻先にボトルを掲げる。その口からはねばっとした液体が溢れだし、鮮やかなスーツにべっとりと降り注いだ。
「ああぁっ!! あああぁっ!!」
「メガイエローっ!」
 起き上がり、敵にエルボーを加えようとメガピンクは突っ込んでいく。
「おまえもこうだぁっ?」
 ドクガスネジラーはボトルをメガピンクにも向ける。
「きゃああぁっ、いやああ!!」
 べっとりとした液に覆われたメガピンクはそのまま地面に四つん這いになってしまう。
「ううっっぁあっ~~」
「ああぁっんんぁっ!!」
 二人は四つん這いから仰向けになり、液体を身体に練り込むように悶え続ける。そのうちに光が二人を包み込む。
「ああぁっ、熱い、熱いよっ」
「身体が変っ!!」
 ふたりの鮮やかなスーツはますます光沢を怯えていく。それと同時に表面に鱗のような凸凹ができて、虫が蠢くようにそれらが動いた。
「ああぁっいやあぁっ!!」
 マスクが光を放つと、一瞬ののちにマスクが消滅して愛らしい少女の苦悶に歪んだ顔が顕になる。
「うああっ、マ、マスクが……」
「お、おかしいよっ! なんでっ!?」
「そろそろ、準備ができたみたいだな」
「準備って何?」
「教えなさいよっ!」
 二人の声は切迫の色を帯びていた。
「誰が教えてやるものか。でも、いずれはわかることだからなぁっ!」
 二人は顔をあげる。手は敵に向かわず、身体に伸びてまさぐりはじめてしまう。
「教えて……」
 ドクガスネジラーはボトルを捨てると、手を二人に向けた。手に光が宿り一瞬で光の矢が作られる。
「自分の身体に聞いてみな!」
 光の矢はまっすぐに伸びて、二人の額に命中する。
「あっ!」
「んぁっ!!」
 矢は二人の額に命中すると、そのまま頭の中に吸い込まれていく。
「さあ、メガイエロー、メガピンク? これでオマエは俺様のものだ」
 ドクガスネジラーは二人に近づくと、腕を広げてぎゅっと二人を抱きしめた。
「えっぁっ!! メガイエロー!! 助けて!!」
「ううっ!! み、みくっ!! いやぁあぁっ!!」
 腕が絡むと、その体が光を更に強めていく。その黄色とピンクの光は渦を描いて上に立ち上ると、ドクガスネジラーの口の中に吸収されていく。千里とみくの身体はスーツごと、ばらばらに分解されて、その中に吸い込まれてしまう。

「これで完成だ」
 満足気な声をあげるドクガスネジラー。
 ボトルは黄色の液体で満たされ、もう片方は桃色の液体で満たされている。
「よーし、できたかぁっ。へへへっ、俺様が喜びを教えた女だ。きっと、素晴らしい毒ガスとなるに違いない」
 ドクガスネジラーは黄色いボトルを手にとった。ドクガスネジラーの手の中で、ボトルの表面にメガイエローのマスクがまるでお面みたいにして浮かび上がった。
「な、なにがどうしたのよっ!?」
 マスクは声をあげる。ドクガスネジラーはボトルのコックを指でおした。すると、ストローが上に向かってつきだした。
「痛っ、あぁっ、ちょっとなんでっぃっ!!」
「へへへっ、うまそうな、毒ガスだ」
「ああぁあっ~~ああああぁっ~~~!!」
 ちゅうるうううっと音をたてながら、ドクガスネジラーはその液体を味わった。半分ほど飲み干してからボトルを戻すと、次にピンクのボトルを手にとった。
「どれどれ、こっちもうまそうだ」
「身体が動かないっ!!」
「当たり前だっ、オマエらは俺の身体の中で毒ガスになっちままうんだからなあ」
 ドクガスネジラーは、ボトルを手にして、ピンクのマスクをぐりぐり押した。
「痛っ、え、なんで、あたしの身体がっ!!」
「俺様は、お前たち人間を分解して、毒ガスの材料にすることができるのだ」
「毒ガスになんかなりたくないっ!!」
「もう遅いんだよっ」
 ストローを口でつまむ。「あんふっ!! 頭に何かついてる!! あぁっあああぁっぁぁっ身体が吸い取られていくってぃぅぅっ!!」
 瞬く間にピンクの液体は半分ほどに減ってしまう。
「はあはぁっ……まずいよ、これ、早くしないとあたしたち、食べられちゃうっ……」
「ちょっと、早く元に戻しなさいっ」
 イエローのボトルがドクガスネジラーの腰で左右に揺れる。
「うるさいぞっ! 小娘っ」
 ドクガスネジラーはボトルをわしづかみにすると、二つを並べてマジマジと見つめてから、思いきり上下にシェイクした。
「あっっ!! やめて!!」
「ああぁっっ! 目がまわる~~っ!!」
「さあて、どちらをまず飲み干してやろうかね」
「私たち飲まれたら、死んでしまうの……」
 イエローの声にいつものりりしさはなく、弱弱しさを露にして、涙を絡ましていた。ボトルのマスクの表面に水滴が浮かび上がる。
「完全に死にはしない。おまえたちを飲み干しても時間がたてば、液体は溜まっていくからなあ……人間を捕らえるための材料としてだがな……」
「そんなっ」
「私たちをそんな材料に使わないで」
 ボトルは左右に弱弱しく揺れる。
「俺が、そんな約束して何になる。よし決めた。両方飲み干してやる」
 ドクガスネジラーは両方のストローを加えこむと、思いきり喉を動かした。二つの液体は瞬く間にボトルから吸い取られて、その身体へ吸収されていく。
「やめっああぁぁあぁぁっあぁぁっ!!」
「いやあああぁ吸い取られるだぁあぁぁあっ!! いやああぁぁっ!!」