ペデラスティ・エリ

 天知望の家には星を守る五人の護星天使で住んでいる。地球を我が物としようとする侵略者と戦っている。望は、はじめその秘密を知ったことで殺されそうになり、いろいろな経緯を経て、今では一緒に住むことになっていた。
 お父さんと二人きりだった天文研究所は、今では一日中声の絶えなくなっていて、望はすごく嬉しかった。お父さんと二人で生きていくのは、難しくはないけど、いろいろ大変だった。
 毎日、放課後に年上のアラタたちと遊んだりして、敵の手から助けられたのも一度や二度ではなかった。五色のスーツに身を包んだアラタたちは、強そうに見えて、実際強かった。
 今、望の目の前に写真が置かれていた。
 ゴセイジャーの一人、ゴセイピンク――エリの写真だった。
「ゴセイピンク――」
 地球を守る桃色の天使に天装したエリは、桃色のスーツにその細身の体が覆われている。その体表面に沿って凝った装飾が施され、その体をいっそう引き立てているように見えた。
 望は、その写真を見ながら、ズボンの上からお×ん×んに手を伸ばした。
 写真は一枚だけじゃなく、何枚もあって、ぜんぶ違う姿をしていた。ゴセイピンクはエリで、エリはゴセイピンクだ。彼女は、望の家に居候をしていて、一緒にご飯を食べたり、トランプをしたりする。
「ふぅん……」
 侵略者に襲われれば、ゴセイピンクは身を挺して彼を守ってくれるだろうし、実際そうだった。
「最低だよ、僕……」
 エリのゴセイピンクの姿をみていると、望は言いようのない感覚を覚える。その体の線に沿って光を反射するその姿に、股間が電気を帯びたような変な感じになって――
「んっ……!」

 エリのことをそういう風に見るようになったのはいつごろからだろうとか、思うと、結局、ゴセイピンクとしてのエリをはじめてみたときだったように思えた。あの時、エリは神々しくて綺麗だった。
 エリのことをもっと知りたい――ゴセイピンクに触りたい。エリはすぐそばだった。だけど、エリに触れると、きっとこれまで築いてきたいろんなものが――

「のぞむ? いないの??」
 ぴくっと背筋を伸ばして、望はわれに返った。いまいるのは自分の部屋で、机にはゴセイピンクの写真が散らばっている。ぼーっとしていて、こんこんというノックの音とともに廊下から聞こえてきたのは――当のエリの声だった。
「ちょっとまって、エリ。なあに?」
 机の上の写真をまとめて、引き出しの中にしまう。ズボンを引っ張って振り返りながら、立ち上がった。
「あのねー、ちょっと筆記用具を貸してほしくて」
 ドキドキした。ドア越しの、あっけらかんとしたエリの声にほっとして、カバンの中から筆箱を取り出した。
「シャーペンでいい?」
 ドアノブを握るとき緊張して開いたら、目の前にエリがいた。桃色のジャケットを羽織っていて、デニムのスカートを履いている。
「サンキュ、もうアラタがね――ん?」
 不意に、エリは顔を傾けた。
「ねぇ、望、なんか変なにおいしない?」
「変なにおい?」彼は思わず顔を背けた。体がもぞもぞする。エリの声はまるでその一つ一つが望の体を突き刺さってくるようで――彼女が開きかけたドアをつかんだとき、心臓が一オクターブ高い音を立てるのをきいた。
「それに、こんな時間からカーテンしめきって! 望? 昼間からこんな部屋にいたら、窒息しちゃうよ」
 エリはドアを開いてスリッパのまま、望の部屋の中に入ってきた。とめる間もなく、消していた照明にスイッチが入れられ、つかつかと窓際まで歩いていくと、カーテンが引かれ、窓を開かれた。
「ちょっと、エリ?!」
「こうやってね、換気して外の空気を入れないと――」
 エリの背後から外の空気が入ってくる。どこか甘さをもった風のように思えた。彼女は手を伸ばして、望の手の中の筆箱を取った。彼は、その顔を見た。ほっそりとしていていつも笑っている顔、その眼が望のことを見てくる――望は――
「……ねぇ、望?」
「なに? エリ?」
 声がなんだかとげとげしくなった。望は髪をかきあげて頭をベッドに突っ込みたくなった。エリの表情が少し変わった。『お姉さん』は、望が何をしていたかわかったらしい。
 空気は生臭いにおいでいっぱいで、外の空気を入れたことで、それがどこまでも明確に感じられてしまった。
「ふふん」
 エリは手にした筆箱を机の上において、ドアへと向かった。彼女が自分に失望してきっとお父さんに悪いことをしていたと言いつけにいくつもり――
「望?」
 ドアが閉められる音のあとに、問いかける声が聞こえて、望は耳を疑った。怖くて怖くて仕方がなくて、それでもなんとか振り返ると、エリが立っていて、ドアに背を向けて、望を見て笑っていた。
「どうして……?」
「どうしてって、どうして?」
「だって、お父さんのところに行くんじゃないの?」
 エリは笑う。理由は知ってる。だけど、敢えて言葉にはしない。そんな顔だった。
「どうして、わたしが天知博士のところへいくの?」
 エリはぼくを馬鹿にしている――望は体中が恥ずかしさで破裂してしまいそうだった。エリがいる。
「だって、ぼくはいけないことを考えていて……」
「のーぞむ?」
 エリは望に迫ってきて、その手に触れた。その手は冷たくて細かった。
「いけないことってなにを考えてたの?」
 心臓がさらに高い音をたてた。あっけらかんとしたエリの口調から、望は逃れられなくて、からからに渇いた感覚だけが残っていた。
「いけないことは、いけないこと――」
「それじゃ、わたしわかんないなぁ……」
 彼は、ズボンごしに触れていたものを思い出していて、その手に今、エリが触れていることに気づいた。エリは少し力を込めて手を握ってきて、望は手が汗ばむのを感じていた。
「エ――エリのこと」
 いうしかない。言った。沈黙が流れる。望は顔をあげた。
「わ、わたしのことぉっ?」
 エリはその答えが意外だったらしくて、望はそのことに更に恥ずかしさを覚えた。
「ぼく、エリのこと、考えてて」
「オナニーしてたの?」
 どっかーん――頭の中で、あまりに自然な響きで発せられたエリの言葉が炸裂して、望はその手を離した。逃げたかった。オナニーぐらい知ってる。だけど、さっきやってたのはそんなことじゃなくて、振り返って逃げようとしたのに後ろから手首を掴まれてしまった。
「だーめだよ、望、ぜんぶ、わたしに話しなさい?」
 声は明るくて、いつものエリと変わらなかった。
「いやだよっ……」
 掴まれた手を引っ張られても、侵略者と戦ってる護星天使から逃れられるわけもない。ずるずると引きずられて、顔があつくて情けなくて消えたくて、だけど、エリは逃してくれなかった。

「望?」
「――はい」
 椅子に座らされて、ベッドサイドに腰掛けたエリを前に、一から十まで『告白』させられた。さっき見ていた写真は、全部渡さなきゃいけなかった。エリは、それを一枚ずつ見ながら、きっと望のことを最低というはずだと思ったのに――そうはならなかった。
「望はさ、ゴセイピンクのわたしに触りたいと思う?」
「……思うよ」
「それでどうしたいと思ってる?」
「触って……それで……」
 困った。触ってそれで、どうすればいいかなんて、ぼくに解るはずがなかった。
「セックスって知ってる?」
「……知ってるよ」
「どういうこと?」
「うーん……」
 望は首を振った。学校の友達と読んだエロ本で、裸の女の人が足を広げて、その付け根がモザイクにされている。男の人がいて、裸で抱き合っている写真もあった。大人の人は、よくわからないけど、子供がコウノトリで生まれてくるわけじゃないことぐらいわかる。
 それをするのが、せっくすで、だけど、どういうことだかわからない。
「大人の人が、子供を作るときにすること」
「うーん、もっと具体的に?」
「……よくわかんない」
 望は体育を二時限連続で受けたときのような体の突っ張りを感じていて、エリが腰を浮かせるさまを見ていた。
「じゃあさ、のぞむ?」
「なに?」
 もうこれ以上、やめてほしかった。あんなにゴセイピンクに触れたいと思っていたのに、こうして二人きりになるとまともにしゃべる事もできなかった。いつもは普通に話せていたのに。
「わたしが教えてあげるよ」
 おもむろに彼女が取り出したのは、テンソウダーで、彼女は桃色のカードを取り出して、その挿入口にセットした。
《ガーチャ》
「チェンジカード、天装!」
 一瞬の光が彼女を包み、白い光に眼がくらむほどだった。望は顔を背け、それから顔をあげると、目の前にはエリが――ゴセイピンクに天装を完了させて立っていた。
 マスクもベルトもスカートもブーツもグローブも、全身にフィットするスーツもそこにあって、エリのその姿はこれまで何度も見たことがあるのに、その神々しいほどの白銀に包まれた天使の姿はあまりにも美しくて、望は言葉をきけないほどのショックを受けた。

「望? 大丈夫?」
「えっ、あっ、うん……エリ……でも、どうして?」
「どうしてってどうして?」
「どうして、ぼくのために天装してくれるの?」
 ゴセイピンクがいて、そのマスクが首を傾けて彼を覗き込んでくる。そこにいるのはエリで、エリはゴセイピンク、そんなことはもう何回もわかっているはずなのに、頭がぼーっとしてしまうたびに、再確認しなくてはいけなかった。
「望のためっていうより、地球の子供たちのためかな」
「地球の子供……?」
「そう、わたしが望の願いをひとつ叶えられれば、それだけ地球の子供たちになるかなって」
 言っていることはなんだか漠然としてわかんなかったけれどうなづいて、望はずるずると立ち上がった。鮮やかな光沢のスーツのエリが目の前にいる。信じられなかった。
「触って、いいの?」
「もちろん」
 脚が目の前にあった。白銀のスーツに包まれた脚は、綺麗に二本並んでいる。望が手を伸ばす。指の腹に感じるそのスーツはひんやりしていて、すべすべしていて、押すと沈み込むようなやわらかさを持っていて弾力を持っていた。
「もっと、ぎゅっーってしていいよ」
 エリの声がする。指から間接、手のひらで触れてみて、望は息を呑んだ。体をくっつけたい。腰があってベルトがあって、ジャケット状にデザインされた桃色のスーツがあって、前がきっちり締められて、スカイック族の金色の紋章が胸丘に綺麗に浮かび上がっている。
「こうして触られると、少しくすぐったいかも」
 ひんやりしたスーツは触れているうちに、その冷たさを緩ませていくようで、エリが動いて、望と正対すると、スーツの裏側で動くエリの筋肉の動きが密接に感じられて、望は感覚が鋭くなっていくのに、頭の動きが鈍くなるようで――
 マスクがあって、大きめのバイザーは少し丸みを帯びている。
「どう思った?」
「すごい、つるつるする」
「それだけ?」
「信じられないんだよ……ゴセイピンク」
「エリでいいんだよ。今までと同じように」
 天使の声があるとしたら、そうがそうだと思わせる声で、エリは言って微笑んだ。腕が伸びてきて、望は抱かれて持ち上げられて、ぎゅっとマスクに引き寄せられた。凹凸のあるマスクも、スーツと同じようにつるつるで頬を口元にあてられたとき、彼は電撃が走ったみたいな感覚にとらわれて――股間が、熱くなるのを感じ始めていた。
「マスク外していい?」
「いいよ」
 かちっと音がして、桃色のシャワーのような光とともにマスクが消失したとき、エリの顔が現れた。心の奥まで見通すような深い笑みが投げかけられて、彼は体が震えるのを感じて、エリを抱きついた。
「もう、ほらぁっ」
 エリは大人で、望は子供だった。自分は充分に大人だと思っても、エリのほうがずっと大きくて、しっかりしている。明るく振舞って、つらい戦いを明るく乗り越えようとしている。
「エリ、今まで、地球を守ってくれてありがとう。それにぼくなんかの為に……」
「ぼくなんかじゃないよ、望は、わたしにとっても大切な人だし……」はにかむような笑み。
 エリは大人でゴセイピンクで、ぐるぐる頭の中は沸騰して今にも溶けてしまいそうだった。
「チュウしようよ」
 言われて、唇が近づけられて重ねられたとき、望はその顔を見てしまい、エリのするキスに体の力がますます抜けていくのを感じた。エリの顔と触れて、その匂いが鼻をくすぐった。品のいい花のような香りが鼻いっぱいに満ちて、望は体の力ががくっと抜けるのを感じた。いつの間にか、ベッドへ仰向けに寝かされていて、エリは彼にまたがっている。
「変だよ……エリ?」
「変?」
 くすりと笑う顔が見える。何もかもが変だった。エリが望を抱きしめてくれて――手が伸びてきて、ズボン越しにお×ん×んに触れたとき、体をくねらせて逃げようとしたのに、エリにぎゅっと抱きしめられた。額に口付けをうけ、濡れた舌が伸びてきて、望の顔をゆっくりなめ始めたことで、もう何も抵抗できなかった。
「エリ、これからどうするの……?」
「ねえ、もう、さっきからずっとそんな泣きそうな顔しないでよ。ね?」
 望は不安だった。エリは優しいのに、彼はせっくすが何かなんて知らなかったし、さっきもはぐらかされた。
「教えてよ、エリ、ぼく、変なことはいやだよ……」
「あのね」こねくりまわされる股間の真ん中で、彼のお×ん×んは硬くなっていく。そのまま、硬くなって、爆発してしまいそうだった。どうなるのかぜんぜんわからなくて、それでエリの言葉をきいた。「子供を作るにはね、男の人のお×ん×んをね、女の人の体の中に入れるんだよ」
 その言葉は、エリの口から漏れていた。彼女は望の手首を握って、体を少し浮かせた。ゴセイピンクの体には、金色のベルトがあって白銀のスカートと脚がある。エリはスカートをめくりあげ、望の手をその中にもっていかせた。
 じっとり湿っていて、やわらかいエリの肌はその部分だけ、ずっと柔らかくなっていた。エリの体、望のお×ん×んのあるところがやわらかく湿っていて、匂いが漂ってきた。
「んんぅん……」
 薄く引き延ばしたようなスーツは肌に密着していて、望の指の先には、感覚があって、それがすごくはっきりとわかった。
「ぁっ……」
 声は切なげで、望の体をぎゅっと引き絞るような律動を呼び起こした。あふれる感覚が一気にはじけて、何もかもが一緒くたになってわからなくなってしまいそうだった。それをしている間も、エリの体は薄いスーツと望の洋服だけを通して触れ合っていた。
「望……? わかる? ここ? ちょっとへこんでいるでしょ」
「うん……」
 脚と脚の間、少し突っ張ったところがあって、きゅっと内側へへこんだところがある。
「ここにね、男の人のお×ん×んを入れるんだよ」
 つるつるしたスーツの上からもそれがわかって、エリは手を少し動した。
「あと、ここにもちょっと……ここ、触ってみて……はぁんっ……」
 漏れた吐息は望にかかった。声にお×ん×んが硬くなっていく。ずきんずきんと音をたてては、どろどろに解けていきそうだった。
「あぁっん……」
 体の内側に体液が走る鋭い感覚がして、わずかな痛みがして、それがこれまでなかったような感覚を生み出した。
「はぁんっ……ああぁん……」
「エリ、大丈夫?」
「だ、大丈夫……ちょっと、イタズラしてもらっちゃった」
 へこんだところの近くにすごくぬるぬるしたところがあって、エリの手がそこを触るように望の指を動かす。望は言われるままにして、苦しげな声をエリがあげる。指先でエリがどんどんぬるぬるになっていく。
「イタズラ??」
「そう、望がわたしの写真でしてたのと同じこと」
 エリは女の人だし、女の人にお×ん×んはなくて、それは触ってわかっていた。ぬるぬるしてぐじゅぐじゅしていて、エリが歪んだ吐息を漏らして――
「でも、エリって……」
「ここを触るとね、女の子もエッチな気分になるんだよ……んっ……」
「ほんと……?」
「ほんとだよ……」
 体が自然と動いた。顔の目の前に胸があって、スーツがラインを描いている。エリが肩を動かすたびにぶつかる。ゴセイピンクに――エリに包まれていた。
「でも、エリがえっちな気分になっても、変身してたら、ぼく……入れられないよ」
「……んっ? なにを入れられないの……?」
 エリが問い返してくる。恥ずかしくて、だけど、どうしようもなく幸せで包まれていた。エリはなんでも許してくれた。
「お×ん×んを……」
「そーんなこと、心配しなくても、なんとかなるなる」
 そうやって、エリはまた少し身体の位置を動かした。脚を開き、望はその脚の間に挟まれるようになった。スカートはずれあがり、白銀の脚の付け根がみえて、そこは灰色の花が咲き乱れたかのように濡れたことを示していた。
「なんとかなんて……」
「こういうときには、天装術を使えばなんとかなるよ……」
 エリが頷いた。彼はズボンをおろすと、中からかちんこちんになったお×ん×んを出した。反り返って高く上を向いた。エリの手が伸びてきて、お×ん×んをゆっくりとこねた。もう片方の手が腰回ってゆっくり引き寄せられた。
「はぁっ……エリぃっ……」
 エリが手袋越しに、お×ん×んを撫でてくる。びりりと感じる電流がさらに強くなって、全身が正座し続けたときの身体のようで、熱くてぎゅっとエリに近づいた。
「エリ――」
 お×ん×んの先がエリの濡れた花に触れたとき、じゅっとした感覚に、望は身体を突き抜けるようなショックを受けて、エリに抱きついていた。
「ほーら」
 くにゅっと音をたてたとき、濡れた花がぱっと綺麗な光を放った。その部分だけ、スーツと身体が一体になってしまったように、そこに桃のような盛り上がりが現れ、その間に一直線の割れ目があり、エリに更に抱き寄せられた。
「ああぁん……っ」
 声にびくっとなって、それで更に奥まで入り込んだとき、肉の食いついてくる感覚があって、押しつぶされそうになったのに、お×ん×んはますます硬くなって、それを跳ね除けていく。
「はあぁん……」
「う…ぐん……」
 濡れた肉の絡みつきは、それまで望が体験してきたあらゆることとはぜんぜん違っていて、目を細めたエリは優しげな顔で、首から下がゴセイピンクだった。エリは綺麗で、望はエリのことが大好きだった。
 好きだと思うと、目の前のことがよくわかるようになってきた。エリがいて、望がいる。エリは望のことをやさしく抱きしめてくれて包んでくれる。こうやって、身体の中に望の身体を入れることも許してくれて――望は腰をゆっくり動かし始めた。
「あんっ……」
「ねぇ……エリ、エリがすごく綺麗に見えるんだよ……ぼく……」
 そうすると、身体の中から力が沸いてくるようだった。ぼくの身体の一部がエリの身体の中に入っている。セックスっていうことは、そういうことなんだって、さっきエリは教えてくれた。確かに友達と一緒に読んだエロ本でやってることとそっくりで、でも、望はエリとそんなことできるなんて、考えたことすらいなかった。
「エリ……ぼくね……身体が変なんだ……とまらないよ……」
「変じゃない。変じゃない」
 エリの言葉がどこまでも優しげで、それが耳の鼓膜の中いっぱいにまで広がっていく。引き絞られるような音をきいて、甘い耳鳴りが頭を満たす。
「あんぁっ……あっ……そう、そうだよ、望……ほら、もっと……う……ふぅん…」
 好きになるってそんなことなんだって、望は思って、そうすると何事も幸せで、腰を動かして上下するエリを見た。
「あんぁっ……あんっ……あ……望、ああーっはぁっ……イクっ……」
「アア゛っ!?」
 飛びぬけるような感覚と、錐で穴を開けられるような鋭さが一緒くたに望の身体の中に入り込んできたとき、身体の内側から外側へ沸騰するような音が迸った。
「え、えり……」
 瞼の裏側が白黒して、耳鳴りがやんで、すべてが急に静まったように思えた。
「はぁ……はぁはぁっ……え、これ……」
「……よく、できました」
 声のするほうを見た。エリは額に汗を浮かべていて、胸を浅く上下させながら、望のことをみていた。
「よく、できたんだ、ぼく……」
「そうだよ……」
 抱かれていた手が解かれて、エリは脚を閉じて望のことを引き寄せた。ぎゅっと頬を触れ合って、それから淡い口付けを交わした。
「ありがとう……のぞむっ」
「ありがとう……?」
 エリが笑っている。その笑みは安らかでだけど、さっきより眼に力がこもったように見えた。望はエリを見て、スカイック族の紋章の浮き出た胸に抱かれていた。
「そうだよ、わたしを幸せな気持ちにさせてくれて、ありがとうって思うの……」
「ぼくが……?」
 お×ん×んは冷たくてぬるぬるしていた。ぼーっとした心地よさのまま、身体を見ると、エリの手がずれあがったスカートを直している。望のお×ん×んはそこにあって、スカートとベルトにぶつかっている。
「望は……どうおもった?」
 エリが見つめてくる。望はいろんな気持ちが一緒になってしまったような感覚で、エリに包まれて――きっとそれが幸せなんだとおもった。
「ありがとう、っておもったよ……」
 首を傾けてエリは望の頭をゆっくりと撫でてくれた。

 それからの毎日が劇的に変わったかといえば、何が変わったわけではなかった。
 いつの間にか眠りに落ちていて、目覚めたとき、望はエリとこのことは二人だけの秘密にするように指きりげんまんをした。それで望は、エリと今までとは変わらずに接したし、エリも望に同じように接してくれた。
 ぼくは――エリを守るなんてことは言えないとおもった。だけど、エリと一緒に守っていることならひとつだけあった。
「のぞむ?」
 エリは、部屋のカーテンをゆっくりと閉めると、手を広げた。
《ガーチャ》
「チェンジカード! 天装!」
 一瞬の光がエリをゴセイピンクに変える。エリは、そうして、そのすべすべできらびやかなスーツを身にまとって、望のことを抱いてくれた。それは二人だけの秘密で、二人だけで守っていることだった。