なんなの!? 操り人形にされたメガイエロー

   1
 ボールペンをノートの上に走らせて、窓の外を見、教室を振り返ると、千里はみくの視線に気づいた。千里は無表情をして、ウインクして応える。クラスの誰もが気づいていない。そしてノートに戻る。視線をあげ、教卓を見ると先生がいる。鮮やかな青色のスーツを着た先生だった。一通り教え終わり、日常の話題を話している。ネジレジアがどうとか、そんな話しだった。
 気づけば、みくが寝ていた。不謹慎に思い、クラスを見回すと、千里以外の全員が寝ていた。今までこんな事はなかった。そのとき、クラスの空気が歪んでいることに、千里は気づいた。青いどろりとしたゼリーのような空気で、明らかな異変を感じ取ると、先生の研ぎ澄まされた瞳が、千里を見つめている。なにも喋ってはいない。そして口が動いた。
「こんばんは、メガイエローさん」
「えっ」目を丸くして、先生を見つめた。健太も耕一郎も瞬もみくも皆眠っていた。血のような空と太陽が緑色を放っているのに気づいて、先生をみると、その相手が誰だか知れた。
「あなたは、シボレナ!?」
「やっと気づいてくれたようね」
 ドアが開き、下腹部に時計の文字盤が埋め込まれた怪物が現れた。
「なんで私の正体を!」
「あなたがあまりに無防備なのよ」
 シボレナはそう言って、怪物の方を見る。
「みんなに何をしたの!」
「さあ・・・・・・・」
「イ、インストール・メガレンジャー!」
 俯いてから目を白黒させる。振り切って、手を前に出し、変身コードを唱え、コマンドを入力する。水色の光りに包まれて、千里は変身した。
「なにこれ!」
 水色のブーツ、腕のプロテクターはモザイク、胸の半分が覗かれて、バイクのものに似たヘルメット、メガイエローではない。三秒かかって、千里は事態を察した。これはメガレンジャーではなく、目の前にいるスーツの女の、シボレナのコスチュームだった。
「こっちのほうがお似合いよ」
「どうしてこんなことが出来たの!」シボレナ姿の千里は声を張り上げる。
「だから言ってるじゃない。あなたがあまりに無防備なのよ。でも、もう一度インストールすれば、正義の戦士に戻ることが出来るわ」
 こんな改造を施せる相手なら、今のデジタイザーにどんな仕掛けを加えているか解らない。デジタイザーを反対の手で押さえて、唇を噛むと、背後の怪物が指を伸ばした。
「えっ、あっ、て、手が……」
 勝手に体が動かされる。千里もネジレジアの意のままだった。そして両手をつきだして、変身ポーズをとらされる。インストール・メガレンジャー、と口が勝手に動き、目の前にきたデジタイザーに、変身コード335が入力される。今度は黄色い光りが彼女を包んで、視界が狭まって、身体中を悪感がこみ上げていくものに似た、メガスーツの密着していく感じがして、メガイエローが現れた。
 ところが、変身プロセスが強制解除されていくようになり、シボレナのコスチュームに戻って、いつもの制服になって、椅子に座り直された。ボールペンを握り、辺りを見回すと、青空は青空で太陽は太陽で、一人ひとりの生徒が授業を受けていた。顔をあげると、スーツ姿のシボレナはそこには居らず、見覚えのある中年の教師が授業を脱線させて、生徒の笑いをとっていた。なにが何だか事情が解らず、ノートを見ると、プリントされた文字が浮き出てきた。
「あなたは黄色い奴隷」
 次のページの文字はあった。
「明日午後、総合工学研究センターを襲撃するわ。そのとき、私の思い通りになりなさい」
 最後にべっとりついたキスマークがある。読んでいくに従って、いつも冷静な千里は自分がそれを失っていくのを感じた。恐怖に体が震えるのを感じた。身体中が単一の液体に変わり、どろどろに溶けていくかのようだった。
 チャイムが鳴って、授業が終わる。誰かがノートを見る前に閉じて、鞄に収めた。

   2
 不安を抱く千里を含む、メガレンジャー五人は総合工学研究センターに駆けつけた。
 千里はデジタイザーのコマンドを押し、メガスーツの密着感と同時に、身体中へ弱い電撃が走ってしびれる身体が重くなった。いつもよりきつく締め上げられて、細かい皺があちこちによっているスーツは明らかに、ネジレジアによって改造されていた。
 五人揃って、あの時計型怪物の前に現れ名乗り、攻撃を始めるが、全く歯が立たなかった。千里はシボレナの作戦が実行されない内に倒そうとして、惨敗を期していた。相手はメガレンジャーの秘密をほとんど全て知っていて、全く歯が立たない。攻撃は受け止められ、レーザーエネルギー弾は跳ね返って炸裂し、スーツが爆破されてしまう。
 そのうちにメガイエローとブラックが倉庫街の中で孤立してしまった。動揺して心臓が張り裂けそうになるメガイエローのマスクのデジタルカメラのマークが突然輝いた。両腕の手刀型のブレードアームが勝手に始動して、手足がマリオネットのように動き始める。千里は悲鳴を上げながら、メガブラックへ迫っていく。
「いやああああ!」
 メガブラックは無表情なマスクの下で明らかに動揺している。そして振り上げたブレードアームがメガブラックの腹部を十字に切り裂いた。
「うおおおおぉぉ!」
 千里の頭だけが引き剥がされている。そのまま、倒れようとするメガブラックから槍型のメガロッドをもぎ取られて、下から抉り上げて、工場の壁まで突進していく。
「うわわわあわわわ!」
「いやあああああああああああ!」
 工場の壁に追突すると、強く押さえつけて、メガイエローのホルスターからメガスナイパーを抜かれて、メガブラックの腹部に押さえつけて、引き金を引く。遮光バイザーの中で千里は潤んだ瞳を閉じた。閉じた瞼に光が満ちて、火花が吹き上げて、きゃああああああああ、と悲鳴して、千里も吹き飛んで、メガブラックは工場の壁を抉って落ち込んだ。
「あああぁ……」
 潤んだ瞳が歪んで、舌を噛む。メガイエローの胸部も黒く焦げている。ごめんごめんごめん、ただ頭の中で謝りながら、半身起こす。マスクを外して、かなぐり捨てた。四つん這いで泣き出して、グローブで拭った。やだ。あたりに満ちる焦げ臭くて白く濁った空気が顔を暑くしている。二、三度咳払いをして、こみ上げてくるものに嗚咽し、行ったことの重大さに震えた。
 見上げると、呆然とした表情でオレンジ色の青空を見つめる。気配に気づいて、よろよろ立ち上がりながら振り返ると、空色の姿が冷たいオーラを放ちながら、メガイエローの方へ歩いてきた。
「シボレナ……」
 ありったけの涙と怒りを持った顔でシボレナを見つめた。マスクを取ることも忘れて、メガスナイパーを拾いあげて、続けざまに引き金を引く。青いレーザーがシボレナに向かって行くが、途中で歪んで百八十度曲がって、メガイエローへ向かって銃口に戻り、メガスナイパーが千里の手の中で四散した。
「ぁあああ!」
 瞬間的高熱に弾けて、破片が散った。千里は弾き飛ばされて、工場の壁に叩きつけられる。素肌に破片があたり、右頬や額に細かい傷が出来た。フラッシュのような視界の切り替わりと、身体のあちこちで爆発に包まれる感覚が針に包まれているようだった。
 シボレナは剣をメガイエローへ見せつけた。千里が顔を上げると、剣の先が鼻先すぐの所にあった。千里はたまらなくか細い声で言った。
「あなたには負けないわ……」
「負けるとかそう言う事じゃなくてよ。命令するわ。メガブラックに手を下しなさい。ふしだらなメガイエローを見せつけて上げなさい。もうすぐ、メガブラックも気絶から意識を醒ますわ」
「なんですってそんなこと」
「拒否はできないわ」
 強い瞳で千里はシボレナを睨み付ける。強さの中には明らかな怯えがあり、シボレナがそれを見透かして、不敵に微笑む。シボレナへ飛びかかろうと考えたけれど、コントロールコンピューターのおさめられたマスクは、向こうに転がってしまっている。
 シボレナは千里の自由意志を動かそうとしていた。自由意志でなければ、ここからは意味がない。
 メガスナイパーは爆発して破片になっていた。グローブを見下すと、焦げていて、皮膚がひりひりして、焼け付く痛みが貼り付いていた。いつもよりきつくしまったメガスーツに呼吸が浮かび上がり胸が上下して、辺りで火の燻る音以外はしない。シボレナは笑みで、早くしろと語っている。
「いや……」抵抗よりも痛切な調子で言う。「お願い」
「なら死ぬのね」首に刃を突きつけた。メガイエローの素顔を見返して、刃を納め戻す。左手が伸びて、千里の顎が掴まれる。反抗的な目に無表情な顔を投げかけられて、千里はたじろぐ。顎にあてられた手は凍るように冷たくて、肌から熱を奪っていく。手が離れて指が頬をなぞる。指を頬に開いた傷が触れて、顔が歪んだ。
 立ち上がると、シボレナは一歩前へ出て、メガイエローへ跨った。シボレナが見下すと、千里は両手を地面について、見上げている。反抗的態度にシボレナは笑顔を上塗りする。しゃがみ直し、顔を千里へ近づける。ヒロインの白い唇と悪魔の表現できない色の唇へ近づいていく。千里は目を丸くし白黒させた。毒々しい感覚と脳天まですり抜けていく何かの感覚が、一度にシボレナの氷のような冷気から吐き出されてきて、肺がそれに満ちた。シボレナの腕が千里の茶色にも見える長髪を撫でて絡めた。千里のもやもやしていくものが吹き飛んだところで、シボレナは重ねられた唇を突き放した。うつろな表情の千里を見下し、一歩戻る。
「やるわね」
 千里は自身にも信じられないが肯いた。確かに千里が体を動かしているのだが、妙な幽体離脱があればそんな感覚がしていた。そして立ち上がった。メガスーツの表面に乳房が浮かび上がり、耳は紅潮し、身体中の感覚が研ぎ澄まされたようになり、千里は自分でないように感じて、早くも濡れ始めているメガイエローに千里が感じた。
 メガブラックはまだ倒れて動かない。マスクのない千里がそれを見下し、反対向きに跨った。メガスーツの上からメガブラックをグローブが愛撫すると、それはみるみるこみあげて、膨らんだ。スーツから直接、千里が口に含む。何の抵抗もなかったが、理性は猛反発していた。こんなことは許されてしかることではないと、頭が理解していても、身体が動いている。
 メガブラックが意識を取り戻すのが、メガイエローにも感じられた。しかし遠藤耕一郎は金縛りにあったかのように、動かない。黒いそれを千里は口に含んでは、大量の唾液と共に下の両側を使って、器用に舐めていった。微睡んでいるらしい耕一郎は、女のような声を出し始めた。
 そのうちに千里の胸の下側、耕一郎の腰の辺りから何かがどくんとこみ上げてくるのが感じられ、意味のない言葉が千里には聞こえて、メガブラックのそれが大きな鼓動を打って、先が膨らんだ。ゴムをかけてしているようなものだった。それでも千里はなめるのをやめない。下が絡まって唾液が絞り出す淫猥な音がしていて、シボレナがそれを見つめていた。
「もっとよ、そう……もっと」と、シボレナ。
 千里は反転してメガブラックのマスクの上から四つん這いのまま見下した。耕一郎はもうほとんど意識を取り戻しているはずだが、金縛りにでもあったように動かないし、ほとんど話そうともしない。彼の肉体を抱きしめると、まだ起ち続けているメガブラックのそれに内側で既に濡れてねばねばしているメガイエローを降ろしていって、千里は激しく息を付いて、覚悟を決めた。
「あああああああっ!」
「あぐぁ!」メガブラックは声を上げまいとしている。彼はストイックな性格だった。だから今の現実を直視できないだろうと、千里は考えた。スーツの下半身が輝いて、細かく痙攣しながら、メガイエローはメガブラックへ挿入された。千里は焼きごてをあてられたような感覚に、めまいを起こして耳の紅潮が身体中に広がるのを感じた。
「あああああ……ああ、あああ、あああああ!」
 言葉を発せられずに、千里は抉られる痛みの感覚に、本来あるはずのない快感を感じている。メガブラックは、沸騰していて、溶鉱炉の溶けた鉄が流し込まれていくようで、千里の理性のスイッチのリミッターを一つひとつ破壊しながら、狂おしく奇声に近い声を張り上げていた。
「いいいいい……いいい!」
「うをおおおおおおおおおおお!」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!」
 達した野太い声が張り上がると、同時にそれに負けない艶の声が千里の口からあふれ出てきて、全ての意識が身体中へ蘇ってきた。シボレナの口づけ以来、夢遊病に似た状態にさらされてきた千里の脳が、そのずっと奥で暴発する。ついに崩壊しまき散らされたメガブラックの精液を受け入れようとするが、受け入れきれられず、こみ上げてくる痛みに激しく息を吐いて、悲鳴を上げ、涙が捩じきれた。目の前のマスクの下で耕一郎が絶頂を迎えている。その絶頂を迎えさせた千里は、それを自ら嫌悪で反芻させ、メガブラックの欲望が胎内で渦巻くのを感じて、背中を海老ぞらせて、天を仰いで息を吐き出す。
「ああああ……あああああああ……」
 まだ抱きしめたままだった。耕一郎へ対して言えない気持ちを抱いて、メガイエローに納まるメガブラックを引き抜こうと試みると、ナイフで刺したような痛みがして抜けない。彼ははまりこみ、容易なことでは抜けようとしてくれない。焦らずにゆっくりとやろうとすると、千里は艶のある息を何度も吐いてしまった。顔中が涙に濡れて、ようやく分離シークエンスが終了すると、身体中で汗と呼吸をしながら、仰向けにだらりと倒れた。耕一郎は再び意識を失ってしまったかのように見える。
 いつの間にか紫色になった空にはメガイエローと同じ黄色の太陽が浮かんで輝いている。シボレナが千里と太陽の間に割り込んできた。
「よくやったわ。安心なさい、メガブラックはネジレジアに連れていってあげるから」
「え……」紅潮した顔が冷めて、どんどん血の気が引いていく。脱力して火照った身体では、シボレナの腕を掴むことすら出来ない。
「もしメガブラックをこのままにしておいたら、ふしだらなメガイエローが知れちゃうじゃない」
 そういうと、クネクネ数匹が現れて、メガブラックを肩で抱くと、シボレナと共に消えた。
「待って。メガブラックを連れていかないで」
 子供そのままに、千里がよろよろと起きあがってシボレナに叫ぶ。立ち上がって、よろよろ歩きながら、メガブラックの方へ向かっていく。千里の眼にはメガブラックの黒い背中以外がぼやけて見えた。突然それが紫色に変わって、両脇に腕が入れられて抱えられると、なにが何だか解らずに脱力して項垂れた。
「いいわ、クネクネやりなさい」
 メガイエローを抱いているクネクネがねじれた口を更に捻らせて、笑ったような表情をとった。クネクネの股間が膨張していて人のものではないものが、そそれていた。
「あああ…やめっ……」
 千里は足の内側をなめているそれに気づけるが、どうしようもない。シボレナに操られてメガブラックを襲いイかされて、身体がぴりぴりと電流を帯びていて、力が出なかった。クネクネは立ったままで、千里はまっすぐ天井を見つめている。
「うっ!」
 焦点の合わない瞳孔が拡散して、黒目が肥大する。手と足の指先から何かが走って、足の付け根で果実をすりつぶしたような音がする。強靱な腕がメガブラックによってふやけたが元に戻りつつある肉の壁を舐めて、肉を支えているものが悲鳴を上げる。千里は喘ぐ。
「あああぁ……ひゃあああ……」
 クネクネが強く千里の顔を抱いて、歪んだ口が開いて、ぬめぬめとしたコブラを思わせる赤紫の舌とも本来股に備わっているともつかない歪んだものを見せる。千里の虚ろな顎にあてられたそれは肉が焼けたような白煙と臭いを発するが、千里の皮膚はただれてもいない。
「んんん……んぐ…あふぅ……」
 クネクネは腐ったように溶けた。上下同時に責めると、本体がメガイエローへ巻き付いて、元々どこだか解らない部分が背中を下り、千里は海老ぞり、眼を白黒させた。両足をクネクネを構成していたバターにも似た触手が巻き付いて、二周すると、先端が内側を上へ滑る。前はきつく閉まり、メガイエローの愛液が足を流れていた。
 千里はなにも考えられないが、ただただ起こることに反抗できずにいる。開かれた瞳からメガブラックの後ろ姿がスローモーションになって見える。身体中が熱湯の中で浸されているようで、凍った管が渦巻いて、メガスーツの上を大量の虫が這っていて、それがクネクネの体組織だったことは確かだが、千里は理解しようとしなかった。
「んんんん! ……んうううううう」
 クネクネの足にまわった体組織の先端がどんどんスカートの内側へたまっていく。立ったまま、倒れようとも出来ずに、千里はふらふらよろけている。スカートが膨れて、クネクネの代謝物が吹き出て、足の黄色いメガスーツを紫に汚す。
「うううううぉんんん!」
 身体にまとわりつくクネクネはもはや生物ではなくヘドロと呼ぶに相応しい。その先端が千里を後ろから責めて、三カ所同時に立ったまま責められて、重機にぶつかって、椅子くらいの高さのベルトコンベアーの上に倒れ込む。
 ぐぐもった声をあげて、そこをのたうち、シボレナが面白そうに見ている。不意にスカートの膨らみが萎れると、彼女の身体中がもこもこと膨れ始めた。メガイエローの内側にクネクネが入り込み、直接、身体中を愛撫している。足でも胸でも手でも首でも身体の内側から響くクネクネのけたけた笑うような声に千里は狂わされている。責められたところはいずれも大きな呼吸を続けるばかりだ。
「んんんぐぐぐぐううう!」
 メガイエロー表面の体組織が引いていき、口の中のクネクネは最後の断末魔で叫ぶ。生身の人間よりずっときつい臭いと粘りけと小型ビーカーほどの量が、千里の口の中でぶちまけられる。何の抵抗もなく、千里は飲み下そうとする。なにも彼女には理解できない。飲んだ後激しくむせて、口の中にこびり付くクネクネにたまらなく胃液がこみ上げてきたが、突然と下の穴で爆雷が爆発した。
「きゃぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
 身体中でクネクネが息づいている。千里の声は絞り上げられていて、甲高い音程と悲痛な低い響きがシンクロした。永遠以上の時間千里は声を張り上げ続けて、絶頂を迎えさせられたメガイエローの身体中から、体組織を液状化させたクネクネが噴射して、宙へ千里は投げ出されて、何十カ所もの場所でスパークとショートが起こって火花が千里を包み込んだ。
「いやああああああああああ、きゃあああああああああ」
 クネクネが再形成されていき、千里は地面に落ちて転がり、歪んだ顔で宙を仰いでいた。額に青く痣が浮かび、口元が赤く切れていた。クネクネはシボレナから銃剣を渡されて、銃口を千里の定める。
「淫乱女に平和を守る資格はないわね」
「待て」そのとき、時計型の怪物がキャットウォークから現れた。「シボレナ、こいつにもう一度だけ、味あわせてやろうぜ」
「あら、そうね」
「きゃああああああ!」
 千里は怪物のビームを浴びた。千里が気づいたときには、彼女はメガブラックを抱いている場面にもう一度遭遇していた。