びっくり!? ネジレジアのクリスマス

「♪ジングルベ~ル ジングルベ~ル 鈴が鳴る~」手に荷物を持ち唄を歌ういながら歩く女性。その後ろを荷物を抱えながら歩く女性がいた。
「あぁ~!!」
荷物を放り投げてショーウィンドに駆け寄る女性。
「いいなぁ~あのケーキ美味しそう~」
「ちょっと、みく!!」
みくが振り返ると先ほど放り投げた荷物を頭からスッポリと被った女性がこちらを見ていた。
「あっ…」
すぐに誰の仕業かは察しがつくみく。まずいと思いその場を立ち去ろうとするが直ぐに猫のように首根っこを捕まれた。
「何か言いたいことは?」
そう問いかける口調は怒っているのだが顔は笑っていた。
「いや…あの…ごめんなさい」
素直に謝るみく。
「いいわ許してあげる。 その代わり罰として荷物持ってよ」
「えぇ~~」
「じゃあ、許してあげない」
口を膨らませてそっぽを向く女性。
「あぁ、持つから!! 持つから許してよ千里~」
「じゃあ、全部持ってね~宜しく~」
そう言ってみくに全ての荷物を預けると千里は身軽になったのが嬉しかったのか足取り軽やかに歩き始めた。そして、その後ろを渋々荷物を抱えて歩くみく。この2人電磁戦隊メガレンジャーの一員で邪電王国ネジレジアの侵略から地球を守ったのである。千里呼ばれていた女性はメガイエローでメガレンジャーのサブリーダー。そして、みくと呼ばれていた女性はメガピンクでメガレンジャーのムードメイカー。2人はネジレジアを倒した後それぞれ大学で勉強をしていたがお互い相手のいない2人はクリスマスを一緒に過ごそうと言うことで久々に再会していたのだった。2人はしばらく買い物を続けた後、千里の家と向かうことにしたのだった。
「あっ!! さっき休憩した場所にケーキ忘れてきちゃった」
「えぇ!? 何やってるのよみく~」
「ごめ~ん、すぐに取りに行ってくるから。先に帰ってて」
千里に荷物を渡すとみくは元来た道を小走りに戻っていた。曲がり角を曲がるまでみくの後ろ姿を見ると振り返り自宅へと向かって行った。自宅に着くと荷物を置き準備をしながらみくが戻ってくるのを待った。千里はすぐに戻ってくるだろうと思っていた。しかし、予想に反して一向に帰って来る気配がなかった。
「おかしいなぁ…もう帰って来てもいいのに…」
妙な胸騒ぎのした千里はみくを迎えに行くことにした。すぐにその予感は的中するのだった。曲がり角を曲がるとそこにはケータイが落ちていた。
「これはみくの…」
すると、デジタイザーが鳴り響いた。
「みく、今何処にいるの?」
「メガピンクは預かってますよ、メガイエローいや城ヶ崎千里さん」
「お前は誰!!」
「私はネジレジアの生き残り、ブタネジラー」
「ブタネジラーですって!?」
「メガピンクを返して欲しければ街外れの廃工場まで1人で来るんだな」
「千里!! 来ちゃダメ!!」「うるさい!!」
「ウッ…」
腹を殴るような鈍い音がした。
「みく!!!!」
「大丈夫ですよ、少し静かになってもらっただけですから」
「わかったわ、1人で行くからみくに手を出さないで!!」
「では、お待ちしてます」
通信が切れた。千里は意を決すると言われた場所へと向かった。到着するとかなりの大きさの廃工場だった。辺りを伺いながら大きくて重い鉄の扉を開けた。中は真っ暗で扉からの光が射し込むだけであった。中に入ると4・5歩進んだところで鉄の扉が閉まった。すると、工場の中央部分でスポットライトが光何かを照らし出す。
「みく!!!!」
そこにいたのは天井から降ろされた鎖に両手を縛られ、脚は揃えて鎖で縛られY字に拘束されたメガピンクだった。駆け寄る千里。しかし、その行く手をネジレ獣が阻む。
「ネジレ獣!!」
「飛んで火にいる夏の虫とはまさにあなたみたいな人を言うんですよ」
「うるさい!! みくを返して!!」
「私が素直に返すとでも思っているのですか?」
そう言うと何処からともなく大量のクネクネ達が姿を現した。
「だと思った…やるしかないみたいね…インストール!!メガレンジャー!!」
黄色い光に包まれると千里はメガイエローへと変身した。
「やれ!!」
クネクネ達がイエローに向かっていく。イエローはクネクネ達を次々蹴散らしていく。しかし、次から次と現れ続ける。
「これじゃキリがない」
そう言うと腰のホルスターに収めていたメガスナイパーを取り出すとクネクネ達に向かって撃ち始めた。しばらくするとクネクネ達の数が減り始める。そして、ついに全てのクネクネを倒したイエロー。
「残るはあんただけよネジレ獣」
メガスナイパーをネジレ獣に向けるイエロー。
「なかなかやりますねぇ、流石はメガレンジャーの頭脳と言われるだけのことはある」
「褒め言葉と受けとっておくわっ!!」
隙を突きメガスナイパーを放つイエロー。しかし、腕部分で弾かれてしまう。
「銃がダメなら近距離からよ」
飛び上がると左腕にバトルライザーを出現させると01と言うボタンを押し拳にエネルギーを溜めた。
「ライザーチョップ!!」
切りかかろうとするが腕で止められ弾かれる。空中で体勢を立て直し近くの鉄柱を足場に再び飛びかかるイエロー。
「ライザーパンチ!!」
左の拳にエネルギーを集中しネジレ獣に殴りかかった。しかし、左手で軽々止めるネジレ獣。イエローを掴んだままそのまま地面に叩きつけた。
「うっ……」
イエローの小さな唸り声と共にスーツが激しく火花を散らす。何度も叩きつけられ、その度に唸り声をあげるイエロー。しばらくすると手を離し地面に倒れるイエローの腹を蹴るネジレ獣。
「がはっ……」
あまりの蹴りに一瞬息が出来なくなりその場にうずくまるイエロー。
「どうしたんですか? もう終わりですか?」
と言いながら再び蹴りを入れるネジレ獣。その蹴りで飛ばされ壁に激突するイエロー。先ほどの蹴りが当たったのかマスクにヒビが入っていた。
「終わりなわけ…ないでしょう…」
壁で身体を支えながらフラフラと立ち上がるイエロー。
「ふん!! やはりそうでないと倒しがいがないからな」
構えるネジレ獣。
「はぁぁ!!!!!!」
痛みを堪えて身体を奮い立たせ向かっていくイエロー。そして、左腕に全エネルギーを集中させた。
「ブレードアーム!!」
左腕を振り下ろすイエロー。左腕で軽々と止めるネジレ獣。
「はぁ!!!!!!」
力を込めるイエロー。すると、今度は圧される立場になるネジレ獣。ついには片膝を付いてしまう。
「何っ!! 何処にそんな力が…」
あまりのことに驚くネジレ獣。
「はぁ!!!!!!」
更に力を強めるイエロー。すると、ネジレ獣の片膝が触れている部分を中心にして大きな窪みが出来る。それでも手を休めることのないイエロー。
「この私をここまで追い込むとは…だが、それもここまでだ!!」
そう言うとネジレ獣は立ち上がりイエローを蹴り上げた。そして、ただ無防備に落下してくるだけのイエローの頭を掴み、そのまま壁に投げつけた。イエローの体はそのまま壁に激突した。
「あ゛ぁ!!」
苦痛の声をあげるイエロー。
「そろそろ仕上げといきますか」
イエローの体を持ち上げ、とある床の上に置くネジレ獣。
「ショータイムの始まりです」
ネジレ獣があるボタンを押すと、イエローのいる床が抜けた。地下へと落ちるイエロー。落ちた場所はドロドロとした液体が大量に入っている巨大なバケットの上だった。体中がドロドロの液体まみれになるイエロー。
「何この液体…?」
「それはケーキの元ですよ」
イエローが上を見ると、ネジレ獣が覗きこんでいた。
「えぇ!?」
「人間どもはクリスマスをパーティーと言うものを開いて大いに楽しむと言われている。だったら、我らも祝ってあげますよ。あなた方をパーティーの料理に生まれ変わらせてあげてね」
「そんなことさせない!!」
「口だけは強気ですね。まぁ大人しく焼かれて下さいよ。もう一品作らないといけないんで私も忙しいんですよ。さようなら、メガイエロー」
そう言うとネジレ獣が覗いていた場所が閉まり、イエローの周りが赤く光り出した。
「あっ…熱い…」
どうやら部屋全体がオーブンになっているようで四方八方から身を裂くような熱がイエローを襲う。
「なんとかして抜け出さないと…」
焼け始めた生地の中で何とかして抜け出そう必死に模索するイエロー。その頃ネジレ獣は建物内の調理場にいた。そこではピンクがマスクを脱がされて調理台に仰向けで寝かされていてその周りではコック帽を被ったクネクネが作業をしていた。
「どうだ、準備は出来たか?」
そうネジレ獣が声を掛けるとクネクネは頷いたかのようなそぶりをするとネジレ獣にその場所譲った。
「準備に取り掛かるとするか」
そう言ってネジレ獣は塩を取るとピンクの身体に擦り込み始めた。腕や脚はもちろんのこと胸や顔にまで擦り込み始めた。更にスカートをめくると秘部にまで擦り込んでいった。それが終わると今度はコショウを同じように擦り込んでいった。そして、うつ伏せにすると同じように全身に塩コショウを擦り込み始めた。その際スカートをめくりあげお尻にも擦り込んでいった。
「さてと、下準備もそろそろ仕上げといきましょうか」
そう言ってピンクの身体を仰向けに向けると糸を取り出した。そして、ピンクの脚を曲げてちょうど仰向けで体育座りをしているような状態で脚を糸で縛った。次に腕を曲げるとそのまま縛った。そして、ピンクの口にリンゴを加えさせるとマスクを被せ、ブーツを覆うようにアルミを巻いた。
「さてと、焼くとするか」
そう言うと天板を取り出しその上にメガピンクを載せた。
「おっと、忘れるところだった」
そう言って油を取り出すと容器に移し刷毛でメガピンクに塗り始めた。
「折角の料理だから焦げ無いようにしないとね」
そう言いながらメガピンクの全身に油を塗っていった。
「これだけ塗れば充分だろう。 焼くとしよう」
ネジレ獣は天板を持ち上げると予め温められていたオーブンの中へと入れた。しばらく焼き続けちょうどいい匂いがし始めた頃オーブンが開けられた。ピンクの表面がうっすらと色づき始めていて天板には肉汁が貯まっていた。その肉汁をスプーンで掬うとピンクに掛けた。
「こうすることでよりジューシーなローストピンクが出来上がる」
何度か繰り返したのち再びオーブンが閉められた。
「続きは任せましたよクネクネ諸君。 私はもう一つの料理に取り掛かるとしよう」
そう言うと調理場に隣接されているもう一つの調理場に向かった。そこでも何かの作業中であった。
「どうだ? ちゃんと焼けているか?」
その声に振り返りクネクネが場所を譲った。
「これは素晴らしい」
そう言うネジレ獣の目線の先には見事に焼き上げられたイエローの姿があった。片足や胸、マスクが見えている以外はスポンジ生地の中に埋まっていた。
「こっちも仕上げといきましょうか」
そう言うとスポンジ生地をひっくり返すとスポンジにクリームを塗るとそこにフルーツを並べると端から巻き上げていった。ちょうどロールケーキの上にイエローが乗るような形になった。イエローの上から粉砂糖を掛けられた。
「これを載せればケーキは完成だ」
ホワイトチョコでメリークリスマスと書かれたチョコプレートを載せた。
「よし、これをしばらく冷やしておけ」
そう言いながら先ほどいた調理場に向かった。そこではちょうどピンクが焼き上がっているところだった。
「こちらも素晴らしい焼き具合だ」
ネジレ獣が言うようにピンクのスーツは茶色く色付き淡くテカりが出ていた。
「私は先にパーティ会場に向かっている。盛り付け次第持ってくるように」
クネクネにそう伝えるとネジレ獣は部屋を出てパーティ会場へと向かった。着くとそこには何体ものネジレ獣が談笑していた。ブタネジラーの登場に気付くと談笑を止め整列してステージまでの道を開けると深々お辞儀をした。その道を歩いていきステージにあがるブタネジラー。
「皆の者今宵はお集まり頂きありがとう」
会場に拍手が沸き起こる。
「クリスマスに浮かれる人間どもに絶望を見せてやるのだ」
「おお゛ーーー!!!!!!」
「明日の我らの勝利を祝い今宵は我らも盛り上がろうではないか」
「おお゛ーーー!!!!!!!」
「クネクネ達よ、料理を運び入れろ」
するとクネクネ達が次々と銀の皿に載せられた料理を運び入れる。そして、最後に大きな銀の蓋が被された料理が2つ2台のワゴンに載せられて運ばれてきた。2台のワゴンはそのままステージ前に左右に分かれて止められた。
「今宵のパーティーに相応しい料理を2つ料理させて頂いた。 まずはこちら」
合図と共に右のワゴンの蓋が開けられる。中からローストメガピンクが現れるとどっと歓声が沸き上がる。
「メガレンジャーのピンクじゃねぇか。 ホントのローストチキンかと思ったぜ」
「あの脚脂が乗ってそうでたまんないぜ」
「皆様まだまだこれだけではないですよ」
合図と共に今度は左のワゴンの蓋が開けられる。中からロールメガイエローケーキが現れ再びどっと歓声が上がる。
「メガイエローがデザートかよ。 たまんねぇな」「きっと甘酸っぱいんだぜ」
「さぁさぁ、皆様に切り分けてまいりましょう」
そう言うとクネクネが大きなナイフでピンクを捌き始めた。パリッと言う音ともにスッとナイフが入る。そして、切り口からは肉汁が溢れた。切り分けていくうちにピンクのマスクを外すと綺麗に色付くみくの顔が現れた。身体から切り離されるとブタネジラーに左脚と一緒に渡された。それと同時進行でイエローケーキも切り分けられていた。イエローの頭がトッピングとして載ったケーキがブタネジラーに渡された。
「皆様行き渡りましたね。それでは冷めないうちにお召し上がりを」
深々と挨拶をすると全員食べ始めた。
「ピンクの尻肉が当たったみたいだが肉汁たっぷりでずっと食べていたいぜ」
「俺は腹肉が当たったみたいだが適度に脂が載ってこっちも食べ応え充分だぜ」
各々に感想をいいながらピンクを食すネジレ獣達。あっと言う間に皿の上のピンクの肉が消えていった。
「肉も食べたことだし俺はこっちのケーキを食してみようかなぁ」
ケーキを食す一体のネジレ獣。
「トッピングのイエローがいいねぇ。 クリームの甘さを邪魔しない寧ろひきたてる味わいだ」
「食べ終わった後に来るフルーツの酸味とは違うイエローの酸味が一口また一口と食べてしまうぜ」
こうしてイエローもネジレ獣達の口の中へと消えていった。メインディッシュがなくなった後も口に残る2人の味を肴にパーティは続けられた。そして、次の日人類から希望と自由が永遠に無くなるのであった。

終わり