- 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 逃亡編2 -
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
ここ黒十字軍の秘密要塞。その敷地内に何棟も立ち並ぶ廃倉庫の間を何本も碁盤目状に走っている細い通路。その細い通路を彼女、ペギー松山は息を切らせながら必死に走り続けていた。
そして黒十字軍の秘密要塞の真っ只中、なるべく敵に遭遇しないようペギーはただひたすら逃げ回っている。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
こ、ここはどこかしら?…それより今わたしはどこにいるの?
敵の姿を見つけては次々と逃げる方向を変えていたペギー。しかし彼女は闇雲に走り回っていた結果、自分がどの方角に向かって逃げているのか、それどころか自分の現在位置ですらも皆目見当がつかない状態に陥ってしまっていたのである。
だが実はペギーは最初から“とある決まったポイント”に向かっていたのだ。これはそのような行動パターンをとるであろうペギーが“あるポイント”に向かうよう、黒十字軍によって彼女が巧みに誘導されていたからである。
しかし当のペギー自身はそのような事をされているなどとは夢にも思っていない。黒十字軍の追っ手から必死に逃げ回っているペギー。だがそれは所詮ヤツらの手の中で踊らされているだけの事なのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……!?…何?何だか広い場所に出たわ!?」
必死に逃げ回っていたペギーは、やがてこれまで自分が走り回ってきた場所とは明らかに違う、外の光がよく当たる広い場所に出てしまった。
?…こ、ここは…ここは一体…??
思いがけずその広い場所に出てきてしまったペギー。彼女はこれまで自分が駆け回ってきた所とは明らかに違うその景色を観察するように、その場に立ち止まって周囲をキョロキョロと見回していた。
彼女の目の前には高さ約10メートルのコンクリートの壁がそびえ立っている。そしてどうやらこれがこの要塞の外壁のようだ。
更にペギーの左右には車が4、5台並べられるぐらいの広い通路が広がっている。その広い通路を約300メートル行った先、その通路はこの要塞と外部を区切っている外壁でつきあたっている。
そして頭上には雲ひとつ無い青空が広がっている。そのスカイブルーの空に浮かぶ太陽の光が要塞の中を燦々と照らしていた。
…どうやらここはこの秘密基地の一番外側のようね。なら上手くすればここから脱出する事ができるかも知れないわ。…でも…。
この要塞と外の世界は目と鼻の先である。当然ペギーの中にはいかにしてこの要塞からの脱出を計るか、という事が脳裏をよぎっていた。
だが彼女の目の前にそびえ立つ外壁は五階建てのビルぐらいの高さはある。この高さでは幾らペギーが超人的な能力を誇るゴレンジャーの戦士といえど、この壁を乗り越えていく事はほとんど不可能だ。彼女がモモレンジャーへの転換を封じられている今の状態では尚更である。
しかしペギーの左右に広がる広大な通路、彼女の左側にあるつきあたりだけはどういうわけか壁の高さが低く作られている。パッと見た目では約二メートルより少し高いぐらいしかない。
!…あ、あそこだけ壁の高さが低く作られてあるわ!あの高さならよじ登って乗り越えていく事ができるはず。…よしっ!
ダッ!
周囲を見渡し、これから自分がどう動くべきか考えがまとまったペギーは目指す方向に向かって駆け出した。それは彼女が立っている左の方に見える、高さが低く作られてある外壁の方である。
だがその場所こそが、まさに黒十字軍によって彼女が誘い出されていた場所だったのだ。ペギーは確実に黒十字軍の思惑通り誘導されてしまっていたのである。
ほいっ、ほいっ…。
しかしペギーが向かう先には彼女の行く手をさえぎるように外壁のつきあたりから二人のゾルダーが現れた。そしてその雑兵たちは例の間の向けた掛け声を発しながら必死に走るペギーに襲い掛かってきている。
「!…やっぱり現れたわね!でも二人ぐらいなら今のわたしでも……さぁ!かかってらっしゃい!あんたたちなんか難なく片付けてあげるわ!」
それでもペギーから現れた追っ手たちにひるむ様子は見られない。彼女は走るスピードを緩める事なく、その二人のゾルダーの方に向かって猛然と突進していく。
「やあっ!はっ!とぉ!…といやっ!」
今のペギーは確かにモモレンジャーになることはできない。だがそれでも彼女の体術の腕前は、女性のそれとはいえ並みの男では束になっても叶わないぐらいのものだ。
二人のゾルダーが襲い掛かっているペギーはそんな相手である。下級戦闘員のゾルダーがたった二人、それも正面から戦いを挑んでは彼女と勝負になるわけもなく、そのゾルダーたちはいとも簡単にペギーに蹴散らされていく。
「ふぅ、こんなもんかしら?それにしてもたかだかゾルダー二人で捕まえようなんて…わたしもナメられたモンね」
襲い掛かってくるゾルダーたちを易々と返り討ちにし、ペギーが立ち止まって一息ついていると…。
ほいぃぃぃぃぃ…。
何!?この声は!?あのゾルダーの間の抜けた声!?
その時、遠くの方から耳鳴りのように聞こえてくるゾルダーの掛け声にペギーはたまらず反応する。
……!?…で、でもゾルダーらしき姿は前にも後ろにも見当たらないわ。じゃあ一体どこから…?
それを受けて彼女は周囲をキョロキョロと見回す。しかし前を見ても後ろを見てもゾルダーの影は見当たらない。いつどこから現れるか分からない敵への恐怖にペギーの辺りを見渡す目は不安げに泳いでいく。
「ほいぃぃぃぃ!…死ねえぇぇ!!」
「えっ??う、上!?き、きゃああああぁぁぁぁぁ!」
その時、ペギーは頭上に殺気に満ちたゾルダーの絶叫を耳にした。気付いた彼女が上を見上げてみると…両手に持つ鉄パイプのような物を振り下ろして自分に襲い掛かってくるゾルダーの姿が…。
近くに建つ廃倉庫の屋根に立っていたそのゾルダーは、一瞬動きの止まっていたペギー目掛けて勢いよく飛び掛ってきていたのだ。そしてそのゾルダーは彼女の頭目掛けて手にしていた鉄パイプを振り下ろしていたのである。
要塞内に響き渡る殺気に満ちた男の絶叫、それと交じり合うように響く女の甲高い悲鳴。
ペギーの頭目掛けて勢いよく振り下ろされるゾルダーの鉄パイプ。反応が遅れ、もう避ける時間がないペギーはたまらず左腕をカカゲ、頭だけでも何とか護ろうとしている。
ガシィッ!
「あうぅっ!?」
とっさに左腕をかかげ、頭への直撃は何とか免れたペギー。しかし彼女はその代償として、ガードした左腕に大きな深手を負ってしまう。その上、ペギーはその時受けた強烈な衝撃にバランスを失ってしまい、よろよろと後ろへよろめいていく。
「!?ぁ、う、ううぅ…う、腕が…!?」
全身に走る激しい痛みにペギーはその凛々しい美貌を苦痛にゆがめ、その元凶である真っ赤に腫れ上がった左腕をかばうように押さえている。
「まだまだだぁ!てめぇにはおとなしくしていてもらうぜぇ!…ほいぃぃぃぃぃ!」
赤く腫れ上がった左腕をかばうように抱え、苦痛に顔をゆがめて身体を硬直させているペギー。そんな棒立ちの彼女にそのゾルダーは、手にしていた鉄パイプを投げ捨てペギーの身体目掛けて猛然とタックルを仕掛けてきた。
「…う、ううぅ…はっ!?…ゃ、や!?き、きゃああああぁぁぁ!」
ドサッ!
棒立ち状態だったペギーはそのタックルをまともに受けてしまい、そのままそのゾルダーに押し倒されていく。ロクに受身も取る事ができない彼女は背中をモロニ強打し、あお向けに転がされてしまう。
「う、ううぅ…ぐぅ!?は、早く…早く立たなきゃ…」
ゾルダーに押し倒されてしまったペギーは、左腕や背中の痛みを必死にこらえてすぐに起き上がろうとする。
ガッ。
「あうぅ!?…ぐっ!?し、しまっ…」
しかしペギーが起き上がる直前、彼女は一足先にそのゾルダーによって腰回りへ跨られるように馬乗りにされてしまう。そしてペギーに跨り、押し倒した彼女を眺めるその雑兵の表情は勝利を確信したように目一杯、ニヤニヤとゆるんでいた。
「へへへへっ…とうとう捕まえたぜぇ、モ~モちゃん♪…これからオレと楽しく遊ぼうねぇ、へへへっ、ふへへへへへっ……まずはそのおっぱいを隠してる白い布から剥いてあげようかなぁ?…そぉらっ!」
ペギーの肢体へ己の欲望の赴くままにむさぼりつくそのゾルダーは、手始めに彼女のふくよかなバスとを覆い隠していた白いマフラーを引き抜こうとする。
「あっ!?…く、くぅ!?そ、そう簡単にさせない!」
もちろんペギーも目の前のそのケダモノの行動を黙って受け入れるつもりなど毛頭ない。彼女の胸に巻かれていた白い布に手を掛けようと伸ばしてきたゾルダーの左手を、ペギーはもみあいの末、右手で掴み取りにし、動きを封じる事に成功する。
それならばと今度ゾルダーはまだ余っていた右手でその白い布を奪い取りにかかる。ペギーもそうはさせじとまだ使っていないもう片方の手でそれを阻止しようとするのだが…。
「!?っ…っ、う、くっ!?」
う、腕が!?左腕が言うことを聞かない!?…や、やっぱりさっき無理して“あれ”を受け止めたせいで…ぐ、ぐっ!?
先ほど強烈な一撃を受け止め、そのおかげで真っ赤に腫れ上がってしまったペギーの左腕。しかし彼女の左腕は赤く腫れ上がり激しい痛みを呼び起こすだけではなく、ペギーの言う通りにほとんど動いてくれないのだ。突然、左腕が使い物にならない事が発覚し、ペギーは激しく動揺する。
そして目の前のゾルダーもペギーのそんな様子にどうやら気付いたようだ。彼女のその窮状を理解したその雑兵はペギーへ向けていた毒牙を突然思いとどまったように止める。更にニヤリと口元をゆるませたそのゾルダーは、眼下であせりの色をありありと見せている馬乗りにした女戦士を見下すように眺め…。
「…ふーん。…どうやらその左腕はほとんど動かせないみたいだねぇ。ま、当然だよねぇ、“あんなの”をまともに受け止めたんだからなぁ…ねぇ、こうすると痛いのかなぁ?ほうら、ほうら、どうかなぁ?へへへっ、へへへへっ」
「!?っ、ぁ、あうっ!?っ…ぐ、ぐっ!?」
ペギーが抵抗できない事をいい事にそのゾルダーは、彼女をいたぶるように真っ赤に腫れ上がったその腕に触れていく。ゾルダーに左腕を責め立てられるように触られてしまうペギーは左腕から全身にほとばしる激痛に顔をゆがめ、すっかり腫れ上がってしまった腕から身体全体にじんわりと広がっていくような痛みを歯を食いしばって必死に耐える事しかできない。
「…やっぱり痛くてたまらないみたいだねぇ?へへへへっ……じゃあオレにこういう事されてもあんた、いやモモちゃんは何もしてこないのかなぁ?へへへっ、へへへへへへっ」
モミモミ、モミモミ…。
「ぐ、ぐっ…!?ぁ、やっ!…ぁ、あんっ!?……く、くっ!?な、何すんのよ!」
眼下に馬乗りにした女戦士が完全に抵抗できない事が分かったゾルダーは、次に右手で彼女の左乳房を白いマフラーの上からグリグリと揉みほぐしていく。しかし左腕が動かせないペギーはされるがままにそのゾルダーの毒牙を受け入れる事しかできない。
く、くぅ!?こ、こうなったら右手で……で、でもそれはできないわ。一体どうしたら…どうしたらいいの…!?
それでもペギーも懸命に何とかしようと、まだ自由に動く右手での抵抗が脳裏に思い浮かぶ。だが彼女はそれも結局思いとどまってしまう。何故なら…。
「あれぇ?ひょっとしてその右手で抵抗しようとしてるのかなぁ?…でもそれは止めた方がいいよぉ。そんな事したらオレは今度、自由になった左手の方でモモちゃんのおっぱいを遊ぶんだからねぇ。…あ!?もしかしてモモちゃんもそれ、分かっているのかなぁ?へへへっ、へへへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…目の前のゾルダーに頭の中で考えている事そのものの図星を衝かれ、苦々しく顔をゆがめていくペギー。
確かにヤツの言う通り、彼女は右手で目の前のゾルダーの右手を払いのける事はできない。そうする事で今度はせっかく封じ込めていたゾルダーの左手の方が自由になってしまうからだ。そうなっては元も子もないのである。
「…あー、もしもし、日輪仮面様、聞こえますか?モモちゃんを、いやペギー松山を馬乗りにして押さえつけました。…へへへっ、へへへへへへっ」
!!
彼女を馬乗りにしていたゾルダーは、いつの間にか通信機のような物を取り出して何物かと連絡を取り合っている。そしてその相手はどうやらあの日輪仮面のようだ。
『ガーッ…グフフフッ、よくやった。…ではこれからわたしもそちらに向かう。おまえたちと一緒に“その女”を犯しにな、グフフフッ、グフフフフフッ』
「わかりやした。待ってますぜ。へへへっ、へへへへへへっ…」
ぐ、ぐっ!?こ、このままじゃ本当にマズイわ。早く何とかしなきゃ……そ、そのためにも早く目の前のコイツを何とかしないと…。
傍でヤツらの通信を聞いていたペギーの表情から急激に血の気が引いていく。同時に彼女はどうにかしてこの窮地を打開しようと必死に考えていた。
…と、とりあえずコイツの動きさえ封じれば何とかできるはず。…でも今のわたしは右腕しか自由に動かせないのよ。それに武器ももう何一つ持ってないわ。一体どうすれば……!?…。
この危機からの脱出の方法を必死に考えているペギー。その時、彼女は自分の胸元にないはずの武器になりそうな物を発見した。それは…。
ある!わたしにはまだ武器になりそうな物があったわ。わたしの胸に巻いてあるこのマフラーでコイツの視野を奪えれば……で、でも…でもそのためには…。
その時、ペギーの脳裏に浮かんでいたのは自分の胸に巻かれてある白いマフラーで目の前のゾルダーの視界をつぶし、相手が同様したところを一気に反撃する、というプランだった。
しかしそのためには現在胸元に巻いてある白い布を自ら破り取り、彼女は自分から己の乳房を晒さなければならない。
もちろんそれがこの状況から抜け出す唯一の方法であるならば、ペギーは女戦死として躊躇する事なくそれを実行するべきであるはずだ。だが戦士に徹しきれない、”普通の年頃の娘”の心が捨てきれないペギーの心にはこの期に及んでまだ“恥じらい”という名の迷いが生じていたのである。
「そういう事だよ、モ~モちゃん♪…もうすぐ日輪仮面様やオレの仲間たちが来るからね~。でもその前に…オレは一足先にモモちゃんのムチムチボディを楽しませてもらおっかな~♪…へへへっ、へへへへへへっ」
日輪仮面との通信を終えたそのゾルダーは手にしていた通信機をしまい込み、馬乗りにしてある眼下の女戦士をニヤニヤといやらしい目つきで眺めている。空いていたヤツの右手は獲物を見定めている獰猛なケダモノのように妖しく、不気味に動いていた。
!…で、でも…でももうためらっている暇はないわ!それしか方法がないならやるしか…やるしかない!幾ら恥ずかしくても…このままこんなヤツらに…こんなヤツらに黙って犯されるよりはマシよ!
頭の中に思い浮かべていた自身の恥ずかしい姿にすっかり頬を赤らめているペギー。だが目の前のゾルダーのそんないやらしい態度を見て彼女もようやく腹が決まったようだ。そして…。
「とうっ!…やあっ!」
バシィッ!
「ぶへぇっ!?」
馬乗りにしていた眼下の女戦士をニヤニヤと見つめ、すっかり油断しきっているゾルダーの不意をつくようにペギーが反撃行動を開始する。ゾルダーの左手を封じ込めていた右手をそこから放し、素早くその手でその雑兵の顔面を鷲掴みにするように顔面に向かって強烈な張り手をブチかましたのだ。
「…い、いってぇ~…やりやがったな、このアマァ!……!?へっ!?」
ビリッ、ビリビリビリ…。
苦痛に顔をゆがめるゾルダーがペギーの方をジロリと睨み付けると…眼下の女戦士は、真剣な表情で胸に巻かれてある白いマフラーを何と自ら破り取っているのだ。その思わぬ光景にそのゾルダーがあっけにとられていると…。
「やあっ!」
「うぶぅっ!?」
ペギーはその破り取っていた白い布の切れ端で、あっけにとられていたゾルダーの顔を押さえつけるように鷲掴みにしながら、勢いよく跳ね起きる。
「う、うううぅ…や、やあああぁ!」
ドスンッ!
「ぐへぇっ!?」
ゾルダーの顔面を押さえつけながら、ペギーはそのまま力ずくでゾルダーをあお向けに押し倒していく。
そして上半身を完全に起こした彼女は押さえつけていたゾルダーを思い切り払いのけ、後方へ一回転するように跳ね起き、すかさずファイティングポーズを取る。更に先ほど払いのけたゾルダーをキッと睨み付け、こう叫んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ……い、言ったでしょ?あんたたちみたいなのがわたしを自由にしようなんて…10年、いや100年早くてよ!」
「う、うううぅ…こ、このアマァ~よくもやりやがっ…!?…へへへっ、へへへへへへっ」
完全に追い詰めたはずの女戦士に思わぬ反撃を受けてしまうゾルダー。少なからず苛立った様子を見せるその雑兵は、転ばされた体をよろよろと起こしながら目の前に立つペギーをいまいましそうに睨み付けている。
だが自分を鋭い眼光でキッと睨み付けてくる女戦士を見つめるそのゾルダーの表情は、その彼女のいでたちが分かっていくごとにだんだんとだらしなく崩れていく。
左腕に深手を負ってしまい、その腕をロクに動かせないペギーは、その左手をだらりとさせながらもまだ自由に動かせる右腕を前に構え、いつものようにキリッとした凛々しいその美貌から相変わらず射るような鋭い視線を自分に浴びせてくる。だがいつもと違うのは彼女のそのいでたちだった。
胸元に巻かれていた白いマフラーを自ら破り捨てたペギーは今、その上半身の柔肌が完全に露わになってしまっている。そして今までヤツらの卑猥なまなざしからかろうじて守られていたそのバスと、型崩れしていないふくよかな乳房、その真ん中でツンと立ち、存在を主張している桃色の突起物…それらはもう隠しようがない。
ヤツら、黒十字軍は今の彼女をもはや憎きゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーとは見ていない。自分たちの縄張りに哀れにも迷い込んできた、格好の犯す対象、肉感のある魅力的な肢体を持つ普通の若い娘としてしか見ていないのである。
そんな女が上半身の裸体を自ら晒し、そう遠くない距離で自分たちと対峙しているのだ。今の黒十字軍の連中がペギーのそんな姿を見て浴場しないわけがなく、そのゾルダーは顔をだらしなくニヤつかせ、その股間をむくむくと膨らませていく。
「へへへっ、へへへへへへっ…」
「!?…な、何よ!何ニヤニヤ見てんのよっ!!」
ペギーも目の前のそんなゾルダーの様子にさすがに気付いたようだ。そして“その理由”にも薄々気付いているらしい。その証拠にゾルダーを睨み付けている彼女のその表情は少し引きつり、頬は微妙に紅く染まっている。
「へへへっ…モモちゃん、あんたの立派なおっぱいが丸見えだぜ。そんだけ柔らかそうなおっぱいだと動く度にボヨンボヨン揺れるんだろうな?なぁ、早く動いてその胸、ブルンブルン揺らしてくれよ、へへへっ、へへへへへへっ」
「!…イ、イチイチうるさいのよ!この変態ゾルダー!二度とそんなバカな事言えないようにしてやるわ!」
ペギーのあられもない姿を見て予想通りの卑猥な言葉を浴びせてくる目の前のゾルダー。その言葉にペギーは紅い表情を更に紅潮させ、その凛々しい美貌をすっかりほてらせてしまっている。
「いいわね!いくわよ!…やあああぁ!!」
ダッ!
“恥じらい”という名の同様を振り切るように絶叫しながら、目の前のゾルダー目掛けてペギーは猛然と突進していく。
「うひょ~やっぱ揺れる揺れる♪…くぅ~たまんねぇ~、へへへっ、へへへへへへっ」
ペギーの突進を待ち受ける方のゾルダーは、激しく動く度にブルブルと震える彼女のふくよかな乳房をニヤニヤと凝視している。
「…一体どこ見てんのよ!この変態!すぐそのいやらしい顔をギタンギタンにしてやるわ!…やあああぁ!!」
そのゾルダーの態度にすっかり逆上してしまっているペギー。完全に冷静さを失っている彼女は右拳を振り上げ目の前の雑兵に向かってただ一目散に猛然と突っ込んでいく。
だが片腕が動かない今のペギーの動きは身体のバランスが普段より崩れている。その上、ゾルダーへの突進もいつもより動きが鈍い。しかも完全に冷静さを失い、すっかり熱くなり右拳を振り上げている彼女のその動きはペギーの次の攻撃を敵に教えているようなものだ。
「やあああぁ!」
「へへっ…モモレンジャー様ともあろう者が動きが丸見えだよん♪…あらよっと」
ガシィッ!
そのような悪条件が重なれば、幾ら雑兵ゾルダーといえど、普段は手も足も出ない女戦士の動きをとらえられるのは当然だった。自らに振り下ろされるペギーの右拳をそのゾルダーは動きを読んでいたように難なく受け止める。
「あっ!?く、くぅ…は、離せ!離しなさいよ!」
「や~だよん♪…へへへへっ。そうだ、せっかくだからこういう事しちゃおっかな~…そぉら、もみもみ、もみもみ…へへへっ、へへへへっ」
モミモミ、モミモミ…。
振り下ろされる右腕を自身の両手で掴み、ペギーの動きを止める事に成功したゾルダーは、女戦士の腕を掴んだ右手で彼女の左乳房に手を伸ばし、その感触を確かめるようにモミモミと揉みほぐしていく。
「やっ!?ぐ、ぐっ…ぁ、あんっ!?…な、何すんのっ!?いい加減にしなさいよっ!」
「へへへっ…モモちゃんのおっぱいだ、おっぱい…へへへっ、ふへへへへへっ」
普段はまず止められる事などないゾルダーに攻撃を受け止められ、しかも自身の乳房を弄ばれてしまう事に困惑するペギー。
「ぐっ、こ、このぉ…やあっ!」
「うわぁっ!?」
しかしペギーもこのまま黙ってやられるつもりなどない。自身の左胸を揉みほぐしていたゾルダーの右腕をペギーは左へ思い切り跳ね飛ばした。
「このぉ!乙女の清らかなおっぱいに一体何すんのよ!この変態!…はっ!たあっ!…とぉっ!」
バシィッ!バシィッ!…ドスッ!
「ぐふっ、ぐふぅっ!…ぐへぇっ!?」
流れるように左のミドル、右のミドル、そしてその蹴った右足でゾルダーのふところに踏み込んでみぞおちに左の膝蹴り…腕を跳ね除け、のけぞらせたゾルダーの腹部目掛けてペギーの“乙女の怒り”が炸裂する。
「といやぁ!」
バキィィィッ!!
「ぶへぇぇぇっ!」
まだまだ続くペギーの波状攻撃。更に彼女はそのゾルダーのアゴを下から突き上げるような右肺キックで思い切り蹴り上げたのだ。哀れにも宙に蹴り飛ばされていくそのゾルダー。
ドサッ!
「う、ううぅ…こ、このアマァ~…」
宙に飛ばされ、背中からあお向けに地面に転がされるそのゾルダー。しかしそれでもその雑兵もよろよろと、何とかして起き上がり、まだペギーへの抵抗を試みようとしている。だがペギーの攻撃はまだまだ終わらない。
「やあっ!」
「ぐへぇぇっ!?」
ドスンッ!
その時、あお向けに転がっているゾルダーの腹部に強烈な衝撃が…その雑兵に波状攻撃からのハイキックを浴びせたペギーが間髪入れずに空中に飛び上がり、全体重を乗せた強烈なニープレスを落としてきたからだ。
「まだよっ!…ハイッ!ハイッ!…といやぁ!」
バキィッ!バキィッ!…バキィィィッ!
更に追い討ちを掛けるようにペギーはゾルダーの頭部目掛けて二発、三発と思い切りサッカーボールキックを蹴り込んでいく。…そしてその下級戦闘員は断末魔を上げる間もなく、蹴られた首を“あり得ない方向”に折曲げ、身体を力無くぐったりとさせて絶命した。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」
ふ、ふぅ…そ、それにしても危なかったわ。やっぱりここから早く脱出しなきゃ…。
ダッ!
力無くぐったりと倒れているゾルダーが絶命した事の確認もそこそこに、ペギーは目指す目的地へ再び走り始める。そしてペギーが目指している、壁の高さが低い外壁、道のつきあたりまでは残り200メートルといったところだ。
…しかしその道のつきあたり、その近くにあった廃倉庫の物陰から彼女がそのように奮闘している様子を観察している者たちがいた。先ほど絶命したゾルダーと通信を交わしていた日輪仮面とそれに従っている数人のゾルダー兵である。
「…あのバカ!モモちゃんを押さえつけた事で満足して油断しやがったな……で、日輪仮面様!あの女がこちらに向かってきます。どうなされますか?」
「グフフフッ…本当に中々頑張るじゃないか?ペギー松山。だてに女だてらにモモレンジャーをやっているわけではないということか?…グフフフッ、グフフフフフッ」
近くにいたゾルダーのその問いかけに日輪仮面は他人事のように答える。その返答からも日輪仮面からは手負いの女戦士を未だ捉えることが出来ない、そんな切迫したあせりの様子はまだ感じられない。
「!…日輪仮面様!そのようにのんびり構えていてよろしいのですか?このままではあの女に逃げられてしまうのでは?」
「まぁ慌てるな。あの女の逃げる先はわたしたちが待ち構えているのだ。…だがこちらにももう手ごまがなくなってきた事も事実だな。よし…ではそろそろわたしが…」
『ガーッ…おい、日輪仮面。随分お困りのようだな?フフフッ、フフフフッ…』
確実に追い詰められながらも、中々しぶといペギーに業を煮やした日輪仮面が彼女を捕まえに自ら動こうとしていたその時…突然日輪仮面の通信機から声が聞こえてくる。それは遠くのやぐらの上で待機していた日輪仮面の親友にして黒十字軍一の狙撃手、スナイパー仮面だった。
「…何だ?スナイパー仮面か?まぁそんなに困ってもいないがな…それともわたしがそれほど困っているように見えるか?グフフフッ、グフフフフフッ」
『ガーッ…ふっ、まぁな。それよりあの女、オレに任せてくれないか?さっきおまえが言っていた事をやってやるよ、フフフッ、フフフフッ』
「ほぉ…貴様が動き回っているあの女の太腿に麻酔針を撃ちこむというあれか?グフフフッ、グフフフッ」
『ガーッ…フフフッ…そうだ。お遊びにしては中々面白そうだからな。ここはオレに任せてくれないか?』
「ふむ。なるほど…まぁいいだろう。めずらしく貴様が“仕事以外”の事でヤル気になってくれてるみたいだしな。ではわたしは高みの見物といかせてもらおうか?だが貴様の“取り分”はあの女に麻酔針を撃ちこむところまでだからな?その後あの女には“わたしたちの先約”が入っているのだからな。それを忘れるなよ、グフフフッ、グフフフフフッ」
『ガーッ…フッ、分かっているさ。おまえの楽しみはちゃんと残しておいてやるよ、フフフフッ……それじゃ決まりだな。ではおまえはそこで高みの見物でもしていてくれ、フフフッ、フフフフッ』
プツッ…そう言い残し、スナイパー仮面からの通信は切れた。
「日輪仮面様。このままスナイパー仮面様に全て任せてよろしいのですか?」
日輪仮面とスナイパー仮面との通信のやり取りを横で聞いていたゾルダーの一人が日輪仮面に向かって半信半疑に問いかけてくる。それに日輪仮面はニヤリと口元をゆるませ…。
「グフフフッ…まぁそう心配するな。ヤツのウデは確かだ。それにわざわざ応援に呼び寄せたヤツがせっかくヤル気になってくれてるんだ。わたしたちは高みの見物といこうじゃないか?それに…」
「??…それに…何です?」
「…それにヤツがあの女を戦闘不能にしてくれた後に“おいしいところ”はわたしたちにしっかり残しておいてくれるみたいだからな。ヤツの言うとおり、わたしたちはその“おいしいところ”をじっくりといただこうじゃないか?その方がわたしたちもラクだしな、グフフフッ、グフフフフフッ」
「なるほど…確かにそうですね。へへへっ、へへへへっ…」
お互い納得した日輪仮面と周りにいたゾルダーたちから暗く、陰湿な笑いが漏れてくる。そしてその集団はターゲットの動きが止まり、戦闘不能になるのを今か今かと待ち構えながら、そのターゲットを物陰からじっと凝視していた。
もちろんそのターゲットとは…自ら上半身の柔肌を晒し、彼女が激しく動く度に、そして激しく呼吸をする度にそのふくよかなバスとをブルッ、ブルッと揺らしている娘、ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーことペギー松山である。
***********************
…その要塞の内部がほぼ全て見渡せる高いやぐらの上…その場所から次々と襲い掛かってくる黒十字軍の刺客相手に奮闘しているペギーの様子をじっくりと眺めている男がいた。先程日輪仮面が通信を交わしていた相手、黒十字軍一の狙撃手、スナイパー仮面である。
「フフフッ…そろそろオレの出番のようだな。まぁ、オレのウデで親友を助けてやるとするか?フフフッ、フフフフッ」
そう呟きながら、スナイパー仮面は手にしていたスナイパーライフルに弾を込めていく。そしてその弾の先端には小さい麻酔針のような物が取り付けられていた。どうやらその銃から弾を撃つと麻酔針だけが狙った物を撃ち抜くという仕掛けらしい。
チャッ。
そして、銃に弾を込めたスナイパー仮面は手にしていたスナイパーライフルの照準を覗き込み、狙いを定めようとしている。その照準から見える先には…左腕を負傷し、半裸状態のペギーが、その負傷した腕をかばいながらよたよたと走っている姿が映っていた。
「フフフッ…モモレンジャー、いやペギー松山よ。ここまでかなり頑張ってきたみたいだが…いよいよおまえも年貢の納め時ってわけだ。フフフッ、フフフフッ」
照準から覗くペギーの姿を見ながらそう呟くスナイパー仮面。そして彼が銃の引き金を引こうとしていたまさにその時…。
「!…そうだな。最後ぐらいはあの女に自分が誰にやられているのか教えてやるか?あの女も誰にやられたのか分からないまま死んでいく事は耐えられないだろうからな?フフフッ、フフフフッ」
そんな風に思い立ったスナイパー仮面は自身のスーツのポケットの中から“とある物”を取り出す。それは赤い蛍光色を発する、小型の蛍光ライトのような物だった。
これは狙っていたターゲットが完全に戦闘不能に陥る直前、自らの能力を誇示するように己のいる場所をその狙った獲物に教えてやるため、彼、スナイパー仮面が良く使う手口である。
「フフフッ…あの女に麻酔針を撃った後、“コイツ”でオレの存在を知らせてやるか?その時、あの女がどんな顔をするのか非常に楽しみだな、フフフッ、フフフフッ」
その赤い蛍光ランプのような物を眺めながら、スナイパー仮面はニヤリと笑みを浮かべている。そしてスナイパー仮面は再び銃を構え、ターゲットに狙いを定め始めた。もちろんそのターゲットとは…よたよたとバランスを崩しながらも必死に走り続けているペギー松山の事である。
- 以下 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 絶望編へ続く -