- 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 敗北編 -
「といやっ、といや!…といやぁ!」「ほいっ!ほいっ!…ほいぃぃぃ!!」
ここは黒十字軍のとある秘密要塞…その中心部の広い場所で三人の男女の勇ましい掛け声と、彼らになす術もなく倒されていく黒服たちの声が響き渡っていた。
三人の男女とはゴレンジャーの面々…キレンジャー=大岩大太、ミドレンジャー=明日香健二、そして紅一点のモモレンジャー=ペギー松山の三人の事であった。更に彼らになす術もなくやられていく黒服たちとは黒十字軍の下級戦闘員・ゾルダー兵の事である。
捕らわれていた部屋から何とか逃げ出す事に成功したゴレンジャーの面々、キレンジャー、ミドレンジャー、モモレンジャーの三人はその部屋があった建物からも首尾よく脱出する事に成功した。
だが彼ら三人は建物から出てすぐ、その要塞の中心部にある広い場所で数渋滞のゾルダー兵の集団に取り囲まれてしまったのだ…その彼らは現在、各々が襲い掛かってくるゾルダーたちの相手をそれぞれしていたのである。
「といやっ、といや!…といやぁ!メガトン頭突きじゃぁい!…そりゃあ!どんなもんじゃぁぁぁい!!」
キレンジャーが持ち前の怪力と特異の柔道技、そして協力な頭突きで周りにいたゾルダーたちを次々と蹴散らしていく。
「といやっ、といや!…はっ!ミドメラン!!」
シュルルルルル!…バキィッ!ほいっ、ほいぃぃ……近くの別の場所で戦っていたミドレンジャーのパンチや手刀が次々と決まり、彼の得意技・ミドメランがゾルダーの集団をまとめて蹴散らしていく。
「といやっ、といや!…といやぁ!」
更に別の場所で戦っていたモモレンジャーも負けてはいない。左右から襲い掛かってくるゾルダーたちに次々と手刀を浴びせ、天高く突き上げるような華麗なハイキックを見舞っていく。
襲い掛かってくるゾルダーを順調に蹴散らしていくモモレンジャー。しかしそんな彼女の背後からヒタヒタと忍び寄る影が…。
「ほいっ!」
ピッ…モモレンジャーの背後からヒタヒタと忍び寄っていたゾルダーが、彼女のすぐ後ろに近づきまるでスカートめくりでもするように彼女のゴレンジャースーツについていたミニスカートをヒラリと捲り上げたのだ。
「あっ!?な、何すんの!」
いきなりの破廉恥な行為に彼女は思わず恥じらいと動揺の声を上げてしまう…彼女のミニスカートの下は他の体の部分と同じようないわゆる“ただの”ピンク色のゴレンジャースーツである。しかしそうとは分かっていても女性にとって、そのような事をされる事はやはり嫌なものだ。
ぐ、ぐっ!?こ、このぉ!…ガンッ!……モモレンジャーの恥じらいと怒りの肘鉄がその背後にいたゾルダーに炸裂する。といやっ!…ガシィッ!……そして彼女はそのまま流れるようにそのゾルダーを数m先まで蹴り飛ばした。
ほいっ、ほいっ……しかしそのゾルダーを蹴り飛ばした向こうから数体の別のゾルダーたちがモモレンジャー目掛けて襲い掛かってきている。く、くっ!?……カチッ。…いいわね!いくわよ!……ポイッ…ドカーンッ!ほいぃぃぃぃぃ……彼女はそのゾルダーたちに応戦するようにイヤリング爆弾をちぎり取りその集団目掛けて放り投げた。見事に炸裂した爆弾の轟音と共にそのゾルダーたちの断末魔が響き渡る。
「グッフッフッフッフッ…久しぶりだな、モモレンジャー、グフフッ、グフフフフフッ」
はっ!?…ゾルダーたちを必殺のイヤリング爆弾で蹴散らしたモモレンジャーの数m後ろから不気味な声が聞こえてくる。彼女がその声の方へ振り向くと…そこには黒十字軍の仮面怪人、日輪仮面の姿があった。
「お、おまえは!?…に、日輪仮面!な、何であんたがここに…?」
「何故だと?グッフッフッフッフッ……この要塞の総指揮はわたしが執っているのだからな、そんなの当たり前だ、グフフフフフッ……それよりモモレンジャー、今日こそ貴様の最後だ!そしてそれはすなわちゴレンジャーどもの壊滅の時でもある…グフフッ、グフフフフフッ」
「何よっ!わたし一人やられたぐらいでダメになるゴレンジャーじゃないわ!…だいたいわたしがあんたなんかに負けるわけないじゃない!」
モモレンジャーを巧みに挑発していく日輪仮面。しかし彼の言うモモレンジャーの敗北=ゴレンジャーの壊滅というのは彼の綿密に練られた計画からきてるものなのであながち“ただの感情的でデタラメな挑発”というわけでもなかったのだ。
「グッフッフッフッフッ…まぁせいぜいほざいているがいいさ…それより今度こそわたしの得意技を食らってみるか?グフフフフフッ」
!…コイツの得意技って…確か“日輪ファイヤー”とかいう協力な火炎だったはず。でもあれならわたしの“モモミラー”で完全に跳ね返せたはずだわ。
以前、彼らゴレンジャーは鏡仮面と組んだ日輪仮面と戦っており、日輪仮面の日輪ファイヤーを鏡仮面の鏡で跳ね返すヤツらの強力なコンビネーション攻撃“サンミラー火炎”に苦しめられた事があった。
しかしモモレンジャーの機転でその協力な火炎攻撃は、彼女のハート型の鏡・モモミラーで完全に跳ね返す事ができた。ヤツらの強力なコンビネーション攻撃に悩まされていたゴレンジャーはそれが決めてになり鏡仮面と日輪仮面のタッグを退ける事ができたのである。
…またあの火炎攻撃を狙ってるのね。それならまたわたしのモモミラーでお返ししてやるわ!……その戦いがあったから彼女にはその攻撃に対する絶対の自信があった。あの火炎攻撃なら怖くはないと……。
だが対する日輪仮面も彼女が自身の日輪ファイヤーをモモミラーを繰り出して跳ね返そうとしてくる事を狙っていた。…グッフッフッフッフッ…あの女はわたしの日輪ファイヤーをまた“あの鏡”で跳ね返そうとするはずだ。それがわたしの狙いだとも知らずにな、ぐふふふふふふフッ……ヤツもまた狡猾な罠を張って、虎視眈々と彼女の“その鏡”を待ち受けていたのである。その狡猾な罠とは……。
…ここはゴレンジャーの三人と日輪仮面率いる黒十字軍の部隊が戦いを繰り広げていた広い場所から数百メートルの位置…そこでは見張り台のようなやぐらがあり、自慢のスナイパーライフルを手に味方である日輪仮面たちの戦況をじっくりと注視している男がいた。黒十字軍一の射撃の名手、スナイパー仮面である。
カチャ…彼は自慢のスナイパーライフルの照準越しに数百メートル先の戦況を眺めている。その照準から見える視線の先には…その名の通り、桃色のスーツを身に纏い、その上からマンとをはおっている赤いハート型のバイザーのフェイスマスクをしていたゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーの姿があった。
黒十字軍一の狙撃手でもある彼、スナイパー仮面の今回の標的(ターゲット)は、彼の視線の先にいる桃色の戦士、ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーである。
さて…せいぜい上手く動いてオレにおいしいところを残しておいてくれよな、日輪仮面よ…フフフッ、フフフフッ……“仕事師”としての笑みを浮かべながら、今か今かと己の出番を待ち構えていたスナイパー仮面は少し前の日輪仮面との打ち合わせを思い出していた…。
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…これはまだゴレンジャーの三人が“あの部屋”から抜け出してくる前の話であり、懸命に爆弾の解体作業をしていたペギーが黒十字軍が作り出した寄生虫たちによって恥辱にまみれていた時の話である。
「…まずアイツらは恐らくあの爆弾を解体し、あの部屋からも脱出してくるだろう。そしてこの要塞から脱出しようと建物の外に出てくるはずだ。ヤツらを再び捉えるのはそこでだ。グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そこまで見通しは立っているのか?…だがそこからどうするつもりなのだ、日輪仮面よ?」
「グッフッフッフッ…そこでだ。いよいよ貴様の出番となる。それもかなり重要な役目だ、グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そうか…で、オレにどうしろと…?」
グフフフフッ、それはな……日輪仮面は自信に満ちた表情で打倒ゴレンジャーに向けての自身の綿密な計画を打ち明け始めた。
「…まずわたしがあの女、モモレンジャーとの一騎打ちへと持ち込む。そしてわたしはあの女をわたしの得意技、日輪ファイヤーで攻撃するつもりだ。ここまではいいな……そしてここからが“この作戦”の最も重要なポイントであり、何より貴様の“ウデ”が必要な所でもある。グフフッ、グフフフフフッ…」
「ほぉ…オレのウデが必要だと。“仕事師”のオレとしてはそのように言われると俄然ヤル気が沸いてくるというものだな、フフフフッ……で、どのようにオレのウデが必要なのだ?フフフフッ」
自分の射撃のウデが必要だと言われ、スナイパー仮面には“仕事師”としての血が騒ぎ始めていた。己のウデに絶対の自信を持っているスナイパー仮面には自分の自尊心をくすぐられる事が最もモチベーションが上がる方法なのである。
「グッフッフッフッ…まずわたしが繰り出した日輪ファイヤーをあの女、モモレンジャーは“モモミラー”というハート型の鏡で跳ね返そうとしてくるだろう。実際、そのままではわたしの日輪ファイヤーは跳ね返されてしまうだろうな…」
?…どういうことだ?それが分かっているならおまえがそれを繰り出す必要などないではないか?……わざわざ相手へ攻撃が跳ね返される事を望んでいるかのような目の前の日輪仮面の口ぶりに訝しがるスナイパー仮面。
「グフフフフフッ…まぁ結論をあせるな、スナイパー仮面よ……とにかくこのままではわたしの日輪ファイヤーはあの女のモモミラーにモロに跳ね返されてしまうだろう。だがその直前でその鏡が壊されたらあの女はどうなるのかな?グフフフフフッ」
…つまり、オレにその鏡を破壊しろと?……ようやく日輪仮面の意図が分かり、ニヤリと口元をほころばせるスナイパー仮面。
「そうだ。わたしの日輪ファイヤーがあの女のモモミラーに跳ね返される直前で、貴様のその“ウデ”であの鏡を破壊して欲しいのだ…モモミラーを破壊されたあの女はわたしの日輪ファイヤーをかわす暇もなく灼熱の業火によってなす術もなく焼かれていくだろう…グフフッ、グフフフフフッ」
「なるほどな…確かにオレのウデが必要不可欠な作戦だ。フフフッ、フフフフッ」
日輪仮面の打ち明けた作戦が自分のウデが必要不可欠だと言う事が分かり、スナイパー仮面は自尊心を満たされ、ニヤリと笑みを浮かべていく。またそこまで話をした日輪仮面も不気味で陰湿な笑みを浮かべていた…。
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「フフフッ…せいぜいオレに“いい仕事場”を残しておいてくれよな、日輪仮面よ、フフフッ、フフフフフフッ」
少し前の日輪仮面との打ち合わせを思い出してスナイパー仮面は“その時”を今か今かと待ち構えていたのである。
…所変わって要塞内の広い場所でモモレンジャーと対峙していた日輪仮面。ヤツは手にしていた日輪状の杖をモモレンジャーへと振りかざし……。
「グッフッフッフッ…ではいくぞ、モモレンジャー………これでも食らえ!日輪ファイヤー!!」
その絶叫と共に日輪仮面によって振られた日輪状の杖から灼熱の熱線がモモレンジャー目掛けて放たれる。きたっ!でもまた跳ね返してやるわ!……モモレンジャーは自身へ向かってくる灼熱の熱線に対して落ち着いて対処しようとしていた。そして彼女は自身のフェイスマスクのバイザーに手をかけ…。
「モモミラー!!」
彼女はそこから取り出したハート型の鏡でその灼熱の熱線を跳ね返そうとする。モモレンジャーへ迫りくる灼熱の熱線…でも大丈夫。このモモミラーでそっくりそのままお返ししてやるわ!……彼女は自信満々にその炎を待ち受けていた。しかしそこにまさか逆に日輪仮面の狡猾な罠が待ち受けていようとは…。
…一方、己の出番を虎視眈々と待ち構えていたスナイパー仮面…彼の構えるスナイパーライフルの照準越しにはハート型の鏡を構え、日輪仮面から放たれた日輪ファイヤーを跳ね返そうとしているモモレンジャーの姿があった。
「…いよいよオレの出番のようだな。フフフフッ……よし。このオレ特製の超協力な弾であのいまいましい鏡を……」
カチャ…スナイパー仮面は既に“超協力”な弾丸が込められていたライフルの照準を“ターゲット”であるモモレンジャーが手にしていたハート型の鏡に向けて、改めて定め直した。 「…このオレ特製の弾丸は厚さ10cmの装甲をもブチ抜くからな…あんな鏡を破壊するなど造作もない事だ、フフフッ、フフフフッ」
彼は自慢のスナイパーライフルを手にそう呟くと…よし!フフフフッ…Fire!ドンッ!!……遠距離から隠れての暗殺を生業とする銃らしく、火器としてはかなり控えめな音から彼の言う“超協力な弾丸”が放たれる…。
…モモレンジャー目掛けて迫りくる灼熱の火炎…それを彼女はハート型の鏡・モモミラーを構えてそのまま日輪仮面に跳ね返そうとしていた。
…よしっ、このままアイツに跳ね返してやるわ!……ハート型の鏡を構え、モモレンジャーが迫りくる灼熱の火炎を跳ね返そうとしていたその時……。
ピ、ピキッ!…えっ!?……彼女が構えていた鏡に突然ひびが入るような音がする。更に……ピシィ、ピキキィ!…パリーンッ!!…な、なっ!?……何かが割れるような音と共に、モモレンジャーの構えていたハート型の鏡・モモミラーはもろくも割れてしまった。
!?…ウ、ウソ!?そんな……思いがけず突然モモミラーが割れてしまい気が動転してしまうモモレンジャー。!…はっ!?…しかし彼女が動揺する間もなく灼熱の熱線は彼女のすぐ目の前まで迫ってきている。
グッフッフッフッ…さあ!わたしの灼熱の業火をとくと味わうがいい!愚フフフッ、フフフッ、フハハハハハッ……ゴオオオォォォォ!…ヤツの言う通り、灼熱の業火がモモレンジャーの鮮やかな桃色の身体を飲み込んでいく。
「!…き、きゃああああぁぁぁぁ、いやあああぁぁぁぁ!!」
灼熱の業火をまともに浴びてしまったモモレンジャーの甲高い悲鳴が辺りに響き渡る…ドサッ!う、ううぅ……そして彼女はたまらず後ろへ半回転するようにうつぶせに倒されてしまった。
「!?…モ、モモッ!大丈夫か!?」「ああ!?モモッ!どぎゃんしたとね!?」
ぁ、う、うぅ……協力な火炎攻撃をまともに食らってしまったモモレンジャーはそのダメージに苦しみ悶えている。モモ!モモッ!……そんなモモレンジャーを心配するように各々別々の場所で戦っていたキレンジャーやミドレンジャーも彼女の下へ急ぎ駆け寄ってきた。
「モモ!モモッ!…大丈夫か!?しっかりするんだ!」「モモ!モモッ!…傷は浅かとよ!しっかりしんしゃい!」
「う、ううぅ……ミ、ミ…ド?…キ、キ…?」
うつぶせにダウンし、ほとんど動く事もままならないような状態のモモレンジャーを気遣い、ミドレンジャーやキレンジャーが口々に声をかけてくる。その声に彼女はうわ言のように反応するのみであった。
相変わらずほとんど身動きができないモモレンジャー、その彼女を心配して急ぎ彼女の下へ駆け寄ってくる他の二人…そんな彼らは思いがけず一箇所に固まる結果になってしまい、更にその一瞬彼らの動きは止まってしまっているのだ。それはすなわち彼ら三人に大きな隙を生み出す事になってしまう…そしてそんな彼ら三人の様子をほくそ笑みながら眺めている男がいた。黒十字軍の仮面怪人、日輪仮面である。
「グッフッフッフッ…見事にわたしの作戦通りだな、グフフフフフッ……今、ヤツらは隙だらけ、そしてそんなヤツらは一箇所に固まっている…ヤツらを倒すなら今だ、グフフッ、グフフフフフッ」
「日輪仮面様!…ご命令通り、“例”のモノが用意できました!」
力なく倒れ、ほとんど身動きができないモモレンジャー。そんな彼女を気遣い、急ぎ駆け寄ってくる他の二人のゴレンジャー…その様子をニヤリとほくそ笑みながら眺めている日輪仮面。
その日輪仮面にゾルダーの一人が何か報告をしてくる…それは何かの音波を放射するような装置についてだった。そしてその機械は黒十字軍が開発した、人間への催眠攻撃を可能にするマシンだったのである。更にその催眠装置には“この作戦”のために“奇妙なカラクリ”が施されていたのだ。そのカラクリとは……。
「そうか、グッフッフッフッフッ……では早速“コイツ”をヤツらゴレンジャーどもに浴びせてやるのだ。きっとアイツらは面白い反応を見せるぞ?おまえたちも楽しみにしているといい、グフフフフフッ……よしっ、やれっ!」
はっ!……ニヤニヤと陰湿な笑みをたたえていた日輪仮面がそのように命令すると、その命令を受けたゾルダーもニヤリと口元をゆるませ、目の前の物々しいマシンの起動スイッチになっていたレバーを動かす。
ガチャン!ウィィィィィン……そのゾルダーがスイッチの入れた目の前のマシンが物々しい音を立てて動き出し…パワワワワワワワ…そのマシンから耳障りで奇妙な音のする音波が、固まっていた三人のゴレンジャーに向けて浴びせられていく。
「!?…な、なんじゃ、この音は!?…う、ううぅ…あ、頭が…頭がどうにかなってしまいそうばい!」「な、何だこの音は!?まるで頭の中を直接えぐられているみたいだ……う、うああああぁぁぁぁ…!」
「!?…キ、キ?…ミ、ミド?ど、どうしたの、急に!?…ふ、二人tとも、しっかりして!」
??…な、何でキとミドだけ?わたしは何ともないのに?…そ、そういえばこの音は何?…も、もしかしてこの音にキたちが……自分を介抱しようとしていたはずの二人が急に苦しみ出した事に不審がるモモレンジャー。そしてその原因は今聞こえてくる耳障りで奇妙な音では?と彼女は考える。だが彼女がそれに気付いた時はもう……。
「あ、うううぅ……あ、ああ…あれ?い、一体おいどんは何をやっとったんじゃ?…!…そ、そうばい!…ペギー!大丈夫かのう?」
「キ、キ!?…さ、さっき頭がどうとか言ってたけど…も、もう大丈夫なの?」
「ん?何のことばい!?おいどんは初めから何ともなかとよ……それよりペギー、大丈夫かのう?よし!おいどんがおんしの身体を起こすのを手伝ってやるばい」
えっ!?あ、ありがと……自分は何ともないと言い張り、うつぶせに倒されていたモモレンジャーの身体を起こそうとするキレンジャー。だが彼女はこの時“とある異変”に気付いていなかった。ゴレンジャーに転換中はお互いをコードネームで呼び合っていたはずの彼が自分の事を“モモ”ではなく“ペギー”と名前で呼んでいた事を…。
「…では起こそうかのう。何だかんだ言ってもペギーはかよわいおなごばい。だから大事に抱き起こしてやらんといかんのう…」
「べ、別にそんな気を使わなくても…!?…ゃ、やっ…な、な!?」
ムニュ…モモレンジャーの身体を抱き起こそうとしていたキレンジャーが、彼女の両腕を巻き込むようにして自分の両手を女性らしい丸みを帯びた胸元へと回していく…更にそのほどよくふくらんだバスとを鷲掴みにしてそのままモモレンジャーの身体を彼女の背後から抱き起こそうとする。白いグローブを身に着けていたキレンジャーの十本の指がその柔らかい乳房へとうずめられていく。
そのままモモレンジャーの身体を抱き起こし、背後から捕まえていた肢体へと抱きつくキレンジャー。その彼は捕まえたモモレンジャーが暴れないように彼女の両脚の外側から自分の左右の足を絡めていき、更にモモレンジャーの両足の甲を踏み付け彼女の自由を徐々に奪っていく。
「…やっぱりおなごの身体は柔らかくて気持ちいいのう。あ!?ペギーのおっぱいじゃからこんなに柔らかいのかのう?…実はおんしのおっぱい、一度でいいから揉んでみたかったんとよ。そして想像してた通りポヨポよしてて気持ちよかね、ガハハッ、ガハハハハハッ!」
「なっ!?…あ、あんっ…や、やっ!?な、何バカな事言ってるの、キ?…イ、イヤッ!?…や、やめてっ…キ、や、やめて!?は、離してっ」
巨漢のキレンジャーに自身の身体を背後から完全にガッチリと捕まえられてしまったモモレンジャー。ぐ、ぐっ!?や、やっ!?は、離し…て……ほとんど身動きが取れず、両肘から先だけがかろうじて自由になる彼女は、手袋をした白い手で自身の乳房を弄ぶ男の両手を何とかして引き剥がそうと試みている。
「お!?なんじゃいなんじゃいペギー!?そげなおなごのかよわい力じゃおいどんの手は絶対に外せんとよ。それにせっかく起こしてやったのに何故そげに嫌がるとね?…そうばい!次はこうするかのう!……おうりゃあ!!」
やっ!?な、何するの!?…き、きゃああぁぁ!…あぁん!?…ドサッ!…モモレンジャーを背後からガッチリ押さえつけていたキレンジャーが、今度は彼女の身体に体重を乗せてそのまま地面へと押し倒した。ぁ、う、ううぅ…やっ!?あ、あんっ……更に押し倒したモモレンジャーの量胸を再び鷲掴みにし、そのまま彼女の身体をえびぞりにさせていく。ミシッ…ミシッ…ミシッ…あ、ああっ!?……キレンジャーの怪力がえびぞりにさせていたモモレンジャーの背骨をきしませていく。
「…どうじゃいペギー?たまには何もかも忘れて、こうしておなごと遊ぶのもよかね。それがペギーみたいなムチムチボディのいい女なら尚更ばい、ガハハハハハッ!」
「な、や、やっ!?あ、あんっ…」
な、何なの!?…あ、あの純朴なキがこんな事…お、おかしい!?絶対におかしいわ。ま、まるで別人のよう……!…も、もしかして…誰かに操られてるんじゃ??
モモレンジャーの肢体をまるで人が変わったように淫らに責めたてていくキレンジャー。そのあまりの変貌ぶりにもしや彼は何者かに操られているのでは?…次々と起こる異常事態に彼女はさすがにおかしいと思い始める。だが女戦士の受難はまだこれだけでは終わらない…。
「しょうがないなぁ、大ちゃんは……それじゃペギー、オレがおまえをちゃんと起こすのを手伝ってやるよ」
「…ミ、ミド!?そ、その前に…キ、キを何とか…あっ、あぁんっ…」
うつぶせにキレンジャーに押さえつけられていたモモレンジャーの後ろの方から、今度はミドレンジャーが彼女を起こすと言ってくる…しかし彼も転換中の仲間をコードネームで呼ぼうとはせず、どこか様子がおかしい。そしてそんなミドレンジャーの異変に彼女もまだ気付いてはいなかった。
「ああ。…でもオレの方もその前になぞなぞを一つ答えてもらうぜ……火がつくと困るランプは何だ、ペギー?」
「な!?…こ、こんな時に何言ってるの、ミド!?…ぁ、あんっ!?…そ、そんな事より早くキを何とか…」
このような時になぞなぞをしようとするミドレンジャーへ明らかな苛立ちを見せるモモレンジャー…しかしこの後彼は、彼女にとってかなり信じられない反応を見せる。
「…ダメだな。こんな簡単ななぞなぞも答えられないようじゃ……よしっ、そんな出来の悪いペギーにはオレがお仕置きをしてやろう!」
「えっ!?ミ、ミド、な、何を言ってるの??…!…や、あ、あんっ!?」
ムギュッ。…自らの出題したなぞなぞに答えられないモモレンジャーに、ミドレンジャーは少し不快そうな声で“お仕置き”と呟き彼女の股間を握りつぶした。突然の性感への不意打ちに何が何だか分からずただ困惑する彼女。
「…ほらほら、出来の悪いペギーにはお仕置きだ!……それにしてもペギー、随分いい声で喘ぐじゃないか?実はさっき“あの部屋”でも思ってたんだよ。ハダカのおまえが色っぽく喘ぐ姿、見てみたかったよなぁ…フフフッ、フフフフッ」
「!?…あ、あんっ…ミ、ミド!?あ、あなたまで!?…ぁ、あ、あっ、あんっ…」
そ、そんな…キだけじゃなくて…ミ、ミドも!?……ま、まさか本当にこの二人操られてるんじゃ?……ピンクのゴレンジャースーツの上から巧みに敏感な部分をまさぐられている彼女の疑念は更に深まっていく。
ぁ…ぁぁ…そ、それにこれじゃさっきと…さっきと……それと同時にマスクの中のペギーの脳裏には先程の“悪夢”が鮮明な映像として蘇ってきていた。信頼していた仲間たちに訳の分からない間に次々と己の身体を淫らに触れられていくあの忌まわしい光景を…。
「へへへっ…見ろよ。あのゴレンジャー様がオレたち黒十字軍の前で淫らに絡み合ってるぜ…しかもなかなか様になってるときたもんだ。コイツは傑作だぜ、へへへっ、へへへへへへっ」
「ああ。しかも責められてる側はあの『いいわね!いくわよ!』のモモレンジャーだぜ…それにあの喘ぎ方、なかなかのもんなんじゃねぇか?あれなら例えモモレンジャーをクビになっても再就職先は決まりだな、へへへっ、ふへへへへへっ」
仇敵ゴレンジャーの面々が“性”に淫らに溺れている光景を、彼ら三人の周りにいたゾルダーたちがそれをニヤニヤと眺め、指差して嘲笑している。
ぐ、ぐっ!?こ、こんな…こんなヤツらに……それを見てマスクの中のペギーはあまりの恥じらいと屈辱にその美貌をゆがめ、マスクのハート型バイザーの色と同様、頬をみるみる赤らめていく。
そんな恥辱に悶え苦しむモモレンジャーの目の前に、一人の男が悠然と現れる…それは黒十字軍の仮面怪人、日輪仮面だった。
「…火がついたら困るランプ。それは“トランプ”じゃないのかね?グフフフフフッ……随分といい格好じゃないか?モモレンジャー…グフフッ、グッフッフッフッフッフッ…」
「に、日輪仮面……あ、あんた、キたちに一体何したのよ!!?こ、答えなさいよ!」
モモレンジャーの眼前に悠然と現れた日輪仮面…彼女は相変わらず自分の性感を弄び続けている仲間たちが、何故こうなってしまったかを目の前で不気味な笑みをたたえている日輪仮面に問い詰める。
「ああ、それか?…なぁに、ちょっとした催眠音波を浴びせてやっただけだよ。我が黒十字軍が作り出した人間を意のままに操れる催眠音波をな…そういう貴様も浴びたではないか?グフフッ、グフフフフフッ」
「や、やっぱり“あれ”だったの!?…で、でもそれなら何でわたしだけ何ともないのよ??」
「グッフッフッフッフッ…実は“あの音波”には今回の戦いのためにちょっとした“細工”が施されていてね。“人間の男”が浴びるとより強く“人間の女”を意識するようにセッティングしておいたのだよ。もっともそうするとどのような効果が現れるかはまだ調べてなかったけどな…どうやら女にはまったく効果が無くなる代わりに男の“性欲”が格段に強くなるらしいな、グフフッ、グフフフフフッ」
な、何てことなの…そ、それじゃ“あの音波”を浴びてしまったから…キたちはただの変態のようになってしまってわたしの身体を…。
ある程度、自分の想像通りだったとはいえそれを聞いて愕然とするモモレンジャー。だが彼女は同時に“あの痴漢行為”がキレンジャーたちの意思で行われていた事ではないと分かり、少しだけホッとする。
それにしても今回の黒十字軍は…イ、イヤにわたしばかりを集中して攻撃してきてる気がするわ。な、何でなの??……そして彼女も今回の敵は自分ばかりを狙ってきてると感じ始める。ヤツらの狙いは一体何なのか?…彼女はそれを必死に推理しようとしていた。
そ、そういえば前もこんな事があったわ。じゃあヤツらの狙いはわたしたちの切り札“ゴレンジャーストーム”潰しって事なの?…で、でもそれだけだったら何でわたしを辱めるような“ヤラしい”攻撃ばかりなのよ!?…わ、分からない、分からないわ。敵の狙いは一体何なの??……彼女の推理は半分は当たっていた。だが“もう半分”は結局分からずじまいだった。そしてそれは彼女が想像もしないような“果てしなく個人的な理由”だったのである。
「…そういうわけで実に面白い結果が出ることが分かった。実験、ご協力感謝するよ、グフフフフフッ……見事ゴレンジャーを倒したあかつきには“このセッティング”で人間どもと遊ばせてもらう事にするよ、グッフッフッ、グッフッフッフッフッ…」
「そ、そんな事は絶対にさせないわ!…ゴレンジャーはあんたたち黒十字軍なんかに負けはしない!…!…あ、あんっ!?…か、必ずその野望を阻止してみせるわ!わたしたちゴレンジャーは無敵よ!」
“実験”の結果が芳しいものだった事もあり、すこぶる上機嫌に、しかしとてつもなく不気味で陰湿な笑みをたたえている日輪仮面。そんなヤツに向かってモモレンジャーは威勢よく啖呵を切るのだが…腹ばいの姿勢で恥辱にまみれ、時折甘い喘ぎ声を漏らしてしまう彼女がそのように叫んでみてもいかにも迫力がない。
「ほぉ、この期に及んで“無敵”だと?グフフフッ、笑わせてくれる……だがそんな状態からどう形成を逆転するつもりなのかな?モモレンジャー…グフフッ、グフフフフフッ」
ぐ、ぐっ!?……ズバリ本質を衝かれてしまい、マスクの中のペギーは思わず顔をゆがめ、歯噛みしてしまう…確かにヤツの言う通りだった。今の彼女には有効な反撃手段はこれといってない。それが分かっていたから彼女も心の中で苦虫をつぶし、目の前の仮面怪人は勝ち誇った笑みを浮かべていたのである。
「貴様も本当は分かっているのだろう?そんな方法はないとな、グフフフッ……そして貴様らゴレンジャーはついにわたしの前に敗れ去る事になる。更にゴレンジャーのいなくなった子の世界はわたしたち黒十字軍の思うがままになるのだ!…グッフッフッ、グッフッフッフッフッフッ…」
ビュンッ!…そのように不気味な声で笑い、日輪仮面は手にしていた日輪状の杖を前方に、ゴレンジャー三人の頭上目掛けて大きく振りかざした。それはまるで何かの合図であるかのように…。
「フフフッ…どうやら日輪仮面からの合図のようだな…再びオレの出番というわけだ。フフフッ、フフフフフフッ」
…一方、三人のゴレンジャーと日輪仮面が戦いを繰り広げていた場所から数百メートル離れた位置にあるやぐらの上…そこには先程自身の仕事をやり遂げたはずのスナイパー仮面が己の出番を再び待ち構えていた。実は彼には日輪仮面から、もう一つ頼まれていた“仕事”があったのである。その仕事とは…。
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…これは日輪仮面とスナイパー仮面が“モモミラーの破壊”について打ち合わせをしていた時の続きである。
「では今回の“オレの仕事”は“そのいまいましい鏡”を破壊すればいいんだな?」
「…いや、実はもう一つ、貴様のその“ウデ”でやってもらいたい仕事があるのだよ、スナイパー仮面…グフフッ、グフフフフフッ」
話も一通り終わり、早速自分の“仕事”の準備に取り掛かろうとするスナイパー仮面。だがそんな彼を日輪仮面は呼び止める…早速準備に取り掛かろうとする仕事熱心なスナイパー仮面に、日輪仮面はまだ話があるという。
「ほぉ…まだ何かオレにやってほしい事があるのか?…それもオレに頼まなければいけないぐらい重要な“仕事”なのか?…フフフッ、フフフフフフッ」
「いや…こちらはそれほど重要な仕事でもないな。…だが“仕事”の難度としては高い。貴様ほどのウデがなければ恐らく成功は無理だろう…まぁわたしがただ久しぶりに貴様の見事なウデを見たい、ただの“余興”みたいなものだな、グフフッ、グフフフフフッ」
「何だ?おまえのただの道楽か?……まぁいい。一応聞いてやるか?そのオレの“ウデ”が必要な“余興”とやらをな、フフフッ、フフフフフフッ」
「グフフフッ…まあそう言うな。貴様にとってもウデ試しができる、割と面白い仕事かもしれないぞ?グフフッ、グフフフフフッ」
「…ごたくはいい。オレの気が変わらんうちに早くその“余興”とやらを説明するんだな、フフフフッ」
少し気だるそうにスナイパー仮面はそう答える。“重要ではない”と言われた時点で彼のモチベーションはもうすでに下がり気味なのだが…自分のウデに絶対の自信を持っているスナイパー仮面は、どうやら日輪仮面の“高度な技術が必要”という言葉に、無意識の内に己のウデを試してみたいという衝動にかられていたようだ。
「…相変わらずせっかちなヤツだな、グフフフッ……では、まずこれを受け取って欲しい…」
そう言うと日輪仮面はスナイパー仮面にある物を差し出す…それは一つの小さな銃の弾丸だった。
「…これは?ライフルの弾丸?…それにこのサイズならオレの銃にも使えそうだが……もしかして“これ”をオレの銃で討てと…?」
「グフフッ…そうだ。なかなかカンがいいじゃないか?…これは“スパイダーシェル”と言ってな。銃で討ったコイツが物に当たるとコイツからネットがクモの巣状に広がるように飛び出てくるのだ、グフフフフフッ」
「ほぉ…そのクモの巣が出てくる“コイツ”でオレにどうしろと?…もしかして“これ”でゴレンジャーの連中でも狙うのか?フフフフッ」
…何だこの男?何だかんだ言っても意外とヤル気じゃないか?グフフフフフッ……先程まであまり乗り気ではなかったスナイパー仮面が、以外とヤル気なところを見て日輪仮面は内心ほくそ笑んでいた。そして彼の話は更に続く。
「…まぁ当たりだ。ただし半分だけな……確かに“これ”から出るネットの狙いはヤツらゴレンジャーの連中だ。しかし“この弾”自体の狙いは違う場所を狙って欲しいのだよ、グフフッ、グフフフフフッ」
??…狙いはゴレンジャーだがゴレンジャーではないだと!?一体どういうことだ?……狐につままれたようにスナイパー仮面には日輪仮面の言っている意味が理解できない。そんな彼に構うことなく日輪仮面は更に話を続ける。
「グフフッ…つまりはこういうことだ。先程貴様に頼んだ“仕事”でゴレンジャーの連中は一箇所に固まり、更に身動きができなくなっているはずだ。そこでわたしが固まっているヤツらの頭上にわたしの杖を振りかざす。貴様にはそのわたしの杖を狙ってほしいのだよ、グフフッ、グフフフフフッ」
「…つまりおまえの杖に当たった“この弾”からヤツらの上でネットがクモの巣のように広がっていく…ネットの狙いはゴレンジャーだがこの弾そのものの狙いはゴレンジャーではない、というのはそういうことか…フフフッ、フフフフッ」
日輪仮面の言う意味がようやく理解でき、ニヤリと口元をゆるませるスナイパー仮面。
「グフフフッ…そういうことだ。そしてわたしの杖を数百メートル離れた位置から狙うということは相当のウデが必要なはずだ。直径が5cmもないわたしの杖の先を狙うという事はな…グフフッ、グッフッフッフッフッ」
「…確かにそうだな。それはオレほどの“ウデ”がなければできないだろうな。…分かった。おまえの余興、付き合ってやろうじゃないか?フフフッ、フフフフフフッ」
「そうか、グフフフッ……では頼んだぞ。そして久しぶりに貴様の見事な“曲芸”を見てみたいからな、グッフッフッフッフッ…」
「…“芸術”と言ってもらいたいもんだな、日輪仮面よ、フフフッ、フフフフッ」
だがそう皮肉まじりに言うスナイパー仮面の表情は笑っていた。くだらない余興ではあるがたまには仕事抜きでオレの腕試しをしてみるのもいいかもな、フフフッ、フフフフッ……向かい合う二人の仮面怪人はお互いしばらくの間、ニヤニヤと陰湿な笑みをたたえていたのである…。
****************
「…フフフッ、わたしの“芸術”、とくとおまえに見せてやろうじゃないか?日輪仮面よ…フフフッ、フフフフッ」
スナイパー仮面は照準越しに見える日輪仮面に向かってそう呟いた。そして……。
「フフフッ…Fire!」
ドンッ!…スナイパー仮面の構えていたその銃から、火器にしてはかなり控えめな音と共に日輪仮面から手渡された“あの弾”が放たれる。日輪仮面がゴレンジャーたちの頭上に振りかざした、日輪状の杖先目掛けて…。
…勝ち誇った笑みを浮かべていた日輪仮面が、手にしていた日輪状の杖を三人のゴレンジャーの頭上目掛けて振りかざした。しかしその行動は別にゴレンジャーたちに何か攻撃を加えようとしているわけではないようだ。
??…何っ!?コ、コイツ、一体何をやってるの?……突然自分たちの頭上に杖を振りかざしてきた日輪仮面。??…その光景をモモレンジャーはポカーンと見つめている。だがその時…。
カキンッ!バサッ!…えっ、な、何っ!?……その何かがヤツの杖に当たったような金属音と共に彼女たちの頭上から、突然網の目の細かいネットが覆いかぶさってきた。
「!?…あ、ああっ!?な、何なの、これっ!?」
「グッフッフッフッフッ…まぁこれは“投網”みたいなもんだな。人間共は魚を捕る時に投網を使うだろう?…だからわたしもゴレンジャーという獲物を捕まえるためにこのようなネットを使ってみたのだよ、グフフッ、グフフフフフッ」
「ぐ、ぐっ!?…な、何よっ!こ、こんなもの…うっ、くっ…!?…っ、うっ、ぐっ…」
突如として覆いかぶさってきた網から、何とか逃れようともがいているモモレンジャー。だがもがけばもがくほどその網は彼女の身体へと絡んでいく。ただそれ以前に彼女には問題が…。
「グッフッフッフッ…そのような事をしてもムダだ。そのネットはもがけばもがくほど捉えた物に絡むようになっていてね。それに…貴様にはその前に身体を悪戯してくるケダモノたちがついているではないか?…大切な大切な二匹のケダモノたちがな、グフフッ、グフフフフフッ」
「ぐ、ぐっ!?…!?…ゃ、ぁ、あっ、あんっ…」
まんまと絡め執った網から何とかして逃れようともがいている、目の前の桃色の女戦士をあざ笑う日輪仮面。そしてヤツの言う通り、彼女には少し前から二匹の“ケダモノ”がまとわりついているのだ。先程から執拗に胸や股間など性感を責め立ててくる黄色と緑色のケダモノが…。
「ほりゃぁ、ほりゃぁ!…どうじゃいペギー?気持ちいいんじゃなかとね?おいどんはとっても最高に楽しかばい!ガハハハハハッ」「そらっ、そらっ…どうだペギー?ずっと正義の味方みたいな事やってても疲れるだろ?…たまにはこうやってオレたちと遊ぶのも楽しいんじゃないか?ハハハッ、ハハハハッ」
「…ぁ、ぁ、あんっ!?…キ、キ!?ミ、ミド!?…や、やめてっ…二人とも、お願い!こんなバカな事はもうやめ…!?…あっ、あぁんっ…」
「なんじゃいペギー?バカな事とはなんじゃい、バカな事とは?…おんしも色々面倒な事忘れて楽しめばよかとよ、ガハハハハハッ!」
「キ、キ!?や、やめてっ!…お、お願いキ、正気に戻って!…ぁ、あっ、あんっ…」
ああ…ダ、ダメだわ。この二人、本当に別人のように……な、何とか…何とかして二人を元に戻す方法はないの?
性感を巧みに責め立てられ激しく喘ぎ声を漏らし、マスクの中の美貌をすっかり桜色に染めながらもペギーは、完全にケダモノと化してしまった仲間たちを何とか元に戻せないかと必死に考えてはいるのだが…今の彼女は黄色と緑色の二匹のケダモノたちの“玩具”であることから逃れる事はできなかったのである。
グフフフッ……そんな目の前で恥辱にまみれているモモレンジャーを日輪仮面は冷たい笑みを浮かべ見下すように眺めていた。
「日輪仮面様!…ご命令通り、“例”の物をお持ち致しました!」
「そうか…ではそれはわたしが頂こう、グフフフフフッ…」
そして一人のゾルダーが“ある物”を日輪仮面に差し出してきた。日輪仮面はそれを受け取って……ドンッ!…受け取ったそれをモモレンジャーの眼前に勢いよく置いた。それは…。
「グッフッフッフッ…どうだ?モモレンジャーよ…これが何だか分かるか?まぁ、“これ”の扱いが得意な貴様なら簡単に分かるよな?グフフッ、グフフフフフッ」
!…ぐ、ぐっ!?こ、これは……目の前に置かれた“それ”を見てマスクの中のペギーはその美貌をゆがめ、顔色を失っていく。日輪仮面によってモモレンジャーの眼前に勢いよく置かれた物…それは導火線に火はついてはいないが、まぎれもない“ダイナマイト”だった。
「グフフフッ…さすがに分かったようだな…そうだよ。貴様がヨーク知っている“ダイナマイト”だ。爆弾が得意な貴様がその爆弾によって憎むべき敵に木っ端微塵に吹っ飛ばされる…実に傑作だとは思わないか?グフフッ、グッフッフッフッフッ」
く、くっ!?…うつぶせに転がされていた自分の上方で勝ち誇った笑みを浮かべている日輪仮面をモモレンジャーは恨めしそうに見上げている。そして……ジュッ!…日輪仮面は彼女の目の前のダイナマイトの導火線におもむろに火をつけた。
ジィィィィィィ…日輪仮面によってそのダイナマイトの導火線に付けられた火がチリチリと火花を散らし、“本体”目掛けて刻一刻と迫っていく。
「グフフフッ…いよいよ貴様の命もこの導火線が燃え尽きるまで、まさに“死へのカウントダウン”ってわけだ。…さぁ!モモレンジャーよ。しばらくの間、せいぜい“死への恐怖”を堪能するがいい、グフフッ、グフフフッ、グッフッフッフッフッ」
モモレンジャーの眼前のダイナマイトに着火した日輪仮面は、それの爆発の巻き添えを食わないように数m後方へと退避していく。ぐ、ぐっ!?…マ、マズいわ。このままじゃ本当に……目の前でチリチリと音を立て、少しずつ導火線を焦がしていく火花が彼女のあせりと爆発への恐怖心を煽っていく。
く、くぅ!?と、とにかく…とにかくこの網から一国も早く脱出しなきゃ…うっ、くっ…っ、ふっ……刻々と迫る爆発の瞬間へのあせりが色濃く見え始めるモモレンジャー。彼女は自分の身体へと絡み付いてくる網から何とかして脱出しようと試みている。しかしその時…。
「!…ぁ、あんっ!?…」
な、何っ!?……自らの苦境を何とか打開しようと懸命にもがく彼女は、尻の方から何かを強く押し付けられるような違和感に襲われる。それは…。
「フフフッ…前からずっと思ってたんだけどな、ペギー。おまえってホントにいいケツしてるよなぁ?フフフッ、フフフフッ」
それはミドレンジャーの顔だった。自身の右手で気分よくモモレンジャーの股間をまさぐっていた彼が、今度は右の頬をボリューム感たっぷりの彼女のヒップへ強く押し付け、頬ずりするようにグリグリと顔を擦り付けてくるのだ。更に…。
「…それにペギー、おまえとコンビを組んでてつくづく思ってたんだけどな。おまえのこの“でかいケツ”を後ろから見てると時々、無性にムラムラしてくるんだよ。このボリューム、このプリプリ感…オレみたいな青少年には本当に目に毒だぜ、フフフッ、フフフフッ」
そう言いモモレンジャーの尻に頬ずりしながらミドレンジャーは、ピンクのゴレンジャースーツに覆われていた彼女のヒップを左手でスリスリとさすっている。
「ぁ、やっ!?…ミ、ミド!?や、やめてっ、お願いだからこんな事…それにわたしたちこのままじゃ本当にやられ…!?ぁ、あぁん…」
「グフフフッ…仲間の男たちと戯れるのはなかなか楽しそうだな?モモレンジャーよ、グフフッ、グフフフッ……そうそう、いい事を教えてやろう。さっき貴様らに浴びせた“あの音波”、実はしばらくすると効果がなくなるんだよ、グフフッ、グフフフフフッ」
!…そ、それじゃわたしがもう少し耐えていればキたちも…?……自分がもう少し耐えていれば仲間たちも元に戻るのでは…一瞬、そんな甘い考えが彼女の脳裏によぎる。だがそれはすぐ大きな間違いである事に彼女は気付く事になる。何故なら…。
「…だがいつ効果が切れるのかは分からないんだけどな。だから貴様のお仲間さんたちが元に戻るのが先か、“ソイツ”がドカンッ!となるのが先か、どっちなんだろうな?グフフッ、グッフッフッフッフッ」
ぐ、ぐっ!?…そ、そうだったわ。目の前には“これ”があるのよ。わたしが耐えてればいいなんて…そ、そんな悠長な事言ってられないわ……ヤツの言う通り、眼前でチリチリと火花を散らしている爆発物が彼女にそのような選択肢を許してくれない。更に…。
ムニュ、ムニュ…ゃ、あっ!?……そして彼女の肢体を弄んでくるのはミドレンジャーだけではないのだ。モモレンジャーの背中にのしかかっていたキレンジャーの両手が彼女の両の乳房を力強く鷲掴みにし、モミモミと揉みほぐしていく。
「ほりゃあ、ほりゃあ!…どうじゃいペギー?おいどんは実に楽しかばい!おんしはどうかのう?ガハハハハハッ」
「ゃ、あ、あんっ!?…キ、キ!?や、やめてっ…お、お願い…やめてっ!?あっ、あぁんっ…」
「グッフッフッフッ…どうだ?大切な大切なお仲間さんたちと淫らに戯れる気分というのは?実に楽しいとは思わないか?なぁ、淫乱なモモレンジャーさんよ、グフフフッ…」
く、くっ!?…かつて大切な戦友であった二匹の“ケダモノ”たちによって、彼らの淫らな“玩具”に成り下がってしまっている目の前の女戦士をあざけりの目で見下す日輪仮面。チリチリチリ…その間にもモモレンジャーの眼前に置いてあった“爆発物”は、チリチリと火花を散らし、導火線を確実に焦がしていく。
「…だがそれもあまり楽しむ時間はないようだな。見ろ…もう“コイツ”の導火線は半分まできている。どうやらお楽しみの時間は、後1分といったところしかないようだ…お楽しみの所を邪魔してしまって申し訳ないな、グフフッ、グフフフフフッ」
「ぐ、ぐっ!?…キ、キ、ミドッ…ふ、二人とも、お願い!正気に戻って!…こ、このままじゃわたしたち…!?…あっ、あぁんっ…」
「なんば言うとるねペギー?おいどんはさっきからずーっと正気とよ。…それよりもペギー、おぬしももっと楽しく遊べばい!ガハハハッ…」「そうだペギー。何もかも忘れてオレたちともっと楽しもうぜ、ハハハッ、ハハハハッ…」
ああっ…こ、このままじゃ…ど、どうすれば…どうすればいいの??わたしたちもうダメなの?……か、海城さん、新命さん…た、助けて……。
刻一刻と迫る爆発の瞬間、脱出への糸口さえ見えない自分たちを絡め取ってくる網、その上仲間たちは自分の性感をむさぼるだけの、もはやただの“ケダモノ”へと堕ちてしまっているのだ…次々と突きつけられる絶望的な状況がモモレンジャー、いやペギーから戦う意欲を徐々に奪っていき、そんな彼女はここにはいない仲間たちに弱々しく助けを求めてしまう…。
「…あと30秒といったところか?…貴様らの最後の瞬間が刻一刻と近づいているようだな、グフフフッ……だが心配しなくてもいいぞ?残り二人のゴレンジャーもすぐに貴様らと同じ場所に送ってやる。そして貴様らの消えたこの世界は晴れて我ら黒十字軍の物となるのだ、グフフッ、グッフッフッフッフッ…」
!…そ、そうだわ。ここでわたしたちが死んでしまったら…ゴレンジャーは二人だけになってしまうのよ。そうなったら幾ら海城さんたちでも……そ、それに…わたしたちが、ゴレンジャーがやられてしまったらこの世界はコイツら黒十字軍にメチャメチャにされてしまうわ……そ、そんな事絶対にさせない!黒十字軍にこの世界を渡さないためにも簡単にあきらめちゃダメよっ……だから…だからこのくらいで…。
「…う、くっ!?…うぐっ、うぐぐぐっ…」
既に自らの勝利を確信している日輪仮面の勝ち誇った態度が、一度は戦意を失いかけていたモモレンジャーの使命感を呼び起こし、萎えてしまう寸前だった気力を再び奮い立たせていく。
「…残り15秒…グフフフッ…貴様らの命も後わずかだ。せいぜい仲間同士で淫猥な世界に淫らに溺れながら死んでいくといい…グフフッ、グッフッフッフッフッ」
「く、くぅ!?…ふ、二人とも、お願い!元に戻ってっ……お願い!お願いよぉ」
「…さっきから正気に戻れとか元に戻れとか一体なんばい!!?おいどんは初めからどこもおかしくなかとよ?…それよりペギー、おんしもおいたちと楽しく遊ぶばい!ガハハハハハッ」
…残り10秒。グフフフッ……チリチリチリ…ケダモノと化してしまった二人へ、もはやすがるように呼びかけるしかないモモレンジャー…しかしそんな彼女の声は彼らには届かない。相変わらず哀れな女戦士の肢体を欲望の赴くままにむさぼっている黄色と緑のケダモノたち。そして“死へのカウントダウン”は着実に進行していく…。
「…ぁぁ……ふ、二人とも、お願い……わたしたちはゴレンジャーなのよ。わたしたちの使命を忘れてしまったの…?」
「ガハハハッ…まぁペギー、そんな堅苦しい事は忘れて楽しめばい!ガハハハッ」「そうだペギー、おまえは真面目過ぎるんだよ。もっとオレたちと楽しもうぜ、フフフフッ」
「グフフフッ…残り5秒。…4…3……」
ぁぁ…や、やっぱりダメなの?わたしたちもうここまでなの?……遂に日輪仮面による爆発へのカウントダウンが始まった。それと同時に彼女の頭の中を絶望の二文字が徐々に支配し始める。
「…2…1…」
ぁぁ…や、やられる!?海城さん、新命さん…み、みんな……日輪仮面によってつむがれるカウントダウン、刻一刻と迫る爆発の時…その瞬間、ペギーも瞳を閉じさすがに“死”を覚悟した。
……??…しかしいつまで経っても目の前のダイナマイトは爆発しない。??…な、何で?一体どういう事なの?……彼女の頭の中にはたくさんの疑問符が浮かんできていた。
「グッフッフッフッフッ…グフフッ、フフフフッ…ハーッハッハッハッハッ…」
突然高らかに笑い出した日輪仮面。??…モモレンジャーの頭の中には再び数多くの“?マーク”が浮かんできていた。だがそれは『その笑いの理由』と共にすぐに解決する事となる。
「グッフッフッフッ…どうだったかね?刻々と自分の“死の瞬間”が迫ってくる恐怖というのは?…グフフッ、グフフフッ」
「??…何!?一体どういうことなの?…!…まさか!そうぃぅ……あんた、わたしを騙したのね!?」
先程まで爆発へのあせりと恐怖に満ちていたモモレンジャーが、今度は突如として怒りを露にしていく。それもそのはず、何故なら…。
「グッフッフッフッ…そうだよ。それは火薬を抜いてある、言わばハリボテのダイナマイトだ。だから導火線が全て萌えても爆発しなかったのさ。それにしても……貴様の爆発へのあせりと恐怖に満ちた“あの行動”は実に傑作だったよ。爆発物のエキスパートの貴様が爆発の恐怖におびえている様子というのは中々見モノだったな、グフフッ、フフフッ、ハーッハッハッハッ」
目の前で怒りを露にし、だが先程まであせりと恐怖に顔をひきつらせていたであろう女戦士をあざけ笑う日輪仮面。ぐ、ぐっ!?…彼女はまんまとヤツに一杯食わされたのである。
日輪仮面は初めから彼女をあのダイナマイトで吹っ飛ばすつもりなどサラサラなかったのだ。人間の女子供が苦しむ姿を見る事が何よりも好きな日輪仮面は、いつも勝気で生意気な女戦士が爆発の恐怖に満たされていく様子を見たかっただけなのである。
「…だいたい爆弾などで貴様らを吹っ飛ばしてはあまりにも味気ないからな。貴様らゴレンジャーには散々煮え湯を飲まされてきた…この恨み…必ず我が手で晴らす!わたしが受けたこの屈辱、何倍、いや何十倍のものとして受けるがいい!…グフフッ、グッフッフッフッフッ…」
びゅんっ!…打倒ゴレンジャーへの凄まじい執念を見せる日輪仮面。陰湿な笑みをたたえていたヤツがそのように絶叫すると、手にしていた日輪状の杖を数m前でぶざまにもうつぶせの格好で転がされているモモレンジャーに向かって突きつけた。
ぐ、ぐっ!?…こ、今度こそやられる!?……思わぬ形で窮地を脱したかと思ったのもつかの間、彼女は再び危機に陥ることとなる。だがその時…。
「う、ううぅ……はっ!?…こ、ここはどこばい。お、おいどんは一体…??」「…う、ううぅ……はっ!?…こ、ここは……オ、オレは一体何してたんだ?……!…モ、モモッ!?す、すまない。な、何でオレはまたモモにこんな事してるんだ??」
突然キレンジャーが何かから目覚めたような事を言い出し、ミドレンジャーもモモレンジャーにその身体を弄んでいた事を詫びるような事を言い始める…先程まで欲望の赴くままに眼前の肢体をむさぼっていた二人が、これまでとは言動も態度も明らかに異なるものを見せ始める。
!?…こ、これって…も、もしかして……彼らが見せ始めた変化に彼女は、わずかな淡い期待を抱きつつ二人に恐る恐る呼びかけてみた。そして…。
「!…キ!?ミド!?ふ、二人とも!…も、もしかして元に戻ったんじゃ…?」
「う、ううぅ…ぁ!?ああ…モモ。おいどんは今まで一体なにしとったんじゃ……!…わ、わわわ!すすまんモモ!…お、おいどんはおんしにまた何て事を…」「すまないモモ!オレはまたおまえに何てことを……そ、それにしてもモモ、オレは何でおまえにこんな事してるんだ?それに“この網”は一体何なんだ?」
彼らは自分の肢体を淫らに触れていたことを口々に詫び始める…その行動を見て彼女は確信した。そう、二人は元通りのゴレンジャーの戦士へと戻ったのだ。
「キ!ミド!…ほ、本当に…本当に元に戻ったのね!?」
「ぁ、ああ!?そ、それなんじゃがモモ。…お、おいどん、元に戻ったとかよく分からんのばい……それよりおいどんは何でおんしにこんな事してるのか全然覚えてないんとよ!?モモ、これは一体どういう事ばい??」
「キ、そんな事は後よ!今は早くこの網から脱出しな……」
「もう遅い!…三人仲良くあの世に行くがいい!フルパワーで食らわせてやる!…日輪ファイヤー!!」
状況がよく分かっていないキレンジャーにモモレンジャーが何か言おうとした瞬間…ゴォォォォォォ!!…先程モモレンジャーを飲み込んだものより数倍威力の凄まじい灼熱の火炎が三人のゴレンジャーたちに襲い掛かる。
「な、なんじゃあこれは!?…あ、熱か!う、うわああああああ!」
「ああっ!?…に、日輪仮面のあの火炎攻撃よ!な、何とかして…ここから逃げ出さな…!?…あ、ああぁぁ、あああぁぁぁぁ!!」
モモレンジャー以外の二人は自分たちが置かれている状況もよく分かっておらず、逃げ出す事もままならない彼らはなす術もなく日輪仮面の放つ地獄の業火へと飲み込まれていく。
「…これでゴレンジャーの連中は丸焼きだな、グッフッフッフッフッ」
「日輪仮面様!…ご命令通り、ありったけの火薬を持ってまいりました!」
自らの生み出した灼熱地獄に、なす術なく飲み込まれていくゴレンジャーの面々をほくそ笑みながら眺めている日輪仮面…そこへ一人のゾルダーがヤツに何かを報告してきた。日輪仮面へ何かを告げてくるそのゾルダーの視線の先には…数多くの爆薬やその中いっぱいにオイルを詰め込まれたドラム缶が山のように積まれてあった。
「グフフフッ…よしっ、おまえら!持ってきた“これ”を“アイツら”目掛けてドンドン放り込んでやるのだ!遠慮は要らんぞ!ドンドン投げ込め!グフフフッ、グフフフフフッ」
はっ!…そう日輪仮面が命令を下すと、近くにいたゾルダーたちがそこに置いてあった爆薬やドラム缶を灼熱の火炎に飲み込まれてしまっている三人のゴレンジャー目掛けて次々と放り投げていく。
「く、くっ!?と、とにかくモモの言う通り早くここから逃げるんだ!…!?…く、くそっ!な、何だこの網は!?う、うわあああぁぁぁ!」
「な、何っ!?ゾ、ゾルダーたちがわたしたち目掛けてドンドン爆弾を投げ込んで……い、いやあああぁぁぁぁ、ああああぁぁぁぁ!」
ポイッ、ポイッ…ドカン!ドカン!ドカーンッ!……投げ込まれた爆薬が日輪仮面の日輪ファイヤーに次々と引火し、それで生み出された炎がたっぷりとオイルの入ったドラム缶によって更に勢いを増していく。
「グフフフッ…まさにキャンプファイヤーといった趣だな。そしてゴレンジャーのヤツらはその炎を燃え盛らせるための薪ってわけだ。グフフフッ、フフフッ、ハハハッ、ハーッハッハッハッ…」
ゴォォォォォォ!!…燃え盛る炎を見て高らかに笑う日輪仮面。そして勢いよく燃え上がるその炎に完全に飲み込まれてしまった三人のゴレンジャーたちの姿はまったく見えないものになってしまっていた。
…やがてその炎もだんだんと勢いを失っていく…だがあの勢いで燃え盛った炎である。その地獄の業火が飲み込んだものは何もかも焼き尽くした…と思われていたのだが…。
「!…日輪仮面様!何か物陰が……!…まさか!…に、日輪仮面様!ゴ、ゴレンジャーのヤツらです」
物陰の正体は何と三人のゴレンジャーだったのだ。しかし彼らのその姿はそれぞれゴレンジャーへの転換が既に溶けてしまっている。だがそれでも彼らの身体はあれだけの炎に飲み込まれたにも関わらず傷ひとつ、火傷ひとつない。どうやら三人がそれぞれ身に纏っていたゴレンジャースーツがあの地獄の業火から彼らの身体を守ってくれたようである。
しかしその彼らもさすがに意識は失っていた。既にうつぶせに転がされていたペギーの身体に覆いかぶさるように、大岩と明日香もうつぶせの状態で気を失ってしまっている。
「…それにしてもコイツらあの炎で…何てしぶといヤツらなんだ!?」
「グッフッフッフッフッ…まぁコイツらのしぶとさはゴキブリ並みだからな。これもある程度想定済みだよ、グフフフッ、グフフフフフッ……おいっ!一応そいつらの生死の確認をしてみろ!」
はっ!…日輪仮面のその命令を受けたゾルダーたちが気を失っている三人のゴレンジャーたちの生死を確認しに近づいていく。
「…!…に、日輪仮面様!…コイツら、呼吸はかなり弱いようですが…まだ息はあるようです!」
「騒ぐな。…そいつらのしぶとさはゴキブリ並みだと言っただろう?これも計算の内だよ、グフフフッ……よし!男二人は“例の場所”に運んで十字架磔にでもしとけ!」
「はっ!…し、しかし日輪仮面様。もう一人、その生意気な女がおりますが…」
「グフフフッ…この女はわたしが自ら処分する。それにこの生意気な女を使って少し面白い趣向を考えているのでな……分かったら早く命令通り動くのだ、グフフフフフッ…」
「はっ!かしこまりました。……よしっ、おまえら!その二人を運ぶんだ!」
日輪仮面の命令を受けた隊長格のゾルダーが、周囲のゾルダーたちに向かってそのように呼びかける。ほいっ、ほいっ……そして声を掛けられたそのゾルダーたちは完全に気を失っている大きな体の大岩と少年の面影を残す明日香を何処かへと運んでいった…その後に残るのはうつぶせに転がされ、何かをしようとしていたのか左腕を前に伸ばしている長い黒髪を持つゴレンジャーの紅一点、ペギーだけである。
…グフフフッ…ザッ、ザッ、ザッ…そんな彼女を陰湿な笑みを浮かべて眺めていた日輪仮面が、そのペギーの下へゆっくりと近づいていく…そして日輪仮面はうつぶせに転がされていた彼女の左脇に立ち…。
ガンッ!…その身体を裏返すように日輪仮面は彼女の左脇腹を蹴り上げた。ぁ…ぅ、ぅ……蹴り上げられたペギーからはわずかな呻き声のようなものが漏れてくる。が、特に意識が戻ったというわけではないようだ。
グフフフッ…そして日輪仮面はあお向けにひっくり返したペギーの肢体を足先の白いロングブーツから上半身へ舐めるようにねっとりと一瞥し…グイィ。…自身の右腕でペギーの白いシャツの胸倉を掴み、彼女の身体を辺りに晒すように軽々と持ち上げた。
日輪仮面に釣り上げられてしまったペギーは、腕を始めとする四肢を力無くだらりとさせてしまっている。そして気を失っている彼女のその表情はこれまで激しい戦いを繰り広げていたようには見えないほどおだやかなものだった。
「グッフッフッフッフッ…貴様にはあと二人のゴレンジャーをおびき出すための“エサ”として“活躍”してもらう。それと同時にわたしの“欲望”を満たすための道具としてもな、グフフフッ……そしてこれからが貴様にとっての本当の地獄の始まりだ。女だてらにゴレンジャーになどなった事を延々と後悔し続けるがいい…グフフッ、グッフッフッフッフッ」
不気味に笑う日輪仮面は意識を失っているペギーの美貌に触れるくらい顔を近づけていき、その整った顔立ちをじっと覗き込む。ムギュッ…そしてヤツの左手はその体勢のまま、黄色いホットパンツの上から彼女の股間をいやらしくまさぐり始めた。だが完全に意識を失っているペギーはそんな淫らな真似をされても何の反応も示さない。ただヤツのされるがままである。
懸命の戦いもむなしく黒十字軍の前に敗れ、再びヤツらの虜となってしまったペギー。目の前で陰湿で卑猥な笑みを浮かべている日輪仮面…そのヤツがペギーを見る目は明らかに“戦士”としてではなく“女”としてのものだった。そんなヤツに対してこれから彼女にはどのような過酷な運命が待ち受けているのであろうか…?
- 以下 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 屈辱編1へ続く -