- 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 脱出編 -
「!…っ……ぁ…く、くぅ!?…はぁ…はぁ…」
カチャカチャ、カチャカチャ…何もないただっ広い部屋に何かの機会いじりをするような音が響き渡っている。ゴレンジャーが誇る爆発物のエキスパート、紅一点のモモレンジャーことペギー松山が爆弾の解体作業をしている音だ。
黒十字軍の企みを探るため、ヤツらの秘密要塞に潜入したゴレンジャーの面々、大岩、明日香、ペギーの三人は黒十字軍の仕掛けた罠に墜ちてしまいこの部屋に捉えられていた。
更にヤツらは捉えた彼らを抹殺するため、この部屋に“水爆”を仕掛けたのだ。爆発物のエキスパートでもある彼女、ペギーは仕掛けられていたその爆弾を懸命に解体しようとしていたのである。
「!…ぁ、っ…はぁ…はぁ…!?…ぁ、あっ、あんっ…」
しかし爆弾の解体作業をしていたペギーの様子はどことなくおかしい。額はじんわりと汗がにじみ、その美貌は桜色に染まっていた。激しく呼吸を乱している彼女は意思の強さが宿っていたその瞳をトロンとさせ、時折甘い喘ぎ声のようなものを漏らしてしまっている。
今、彼女の身体には黒十字軍が開発した“寄生虫”たちが数多く取り付いていた。ペギーを宿主とみなしたヤツらは彼女の服や黄色いホットパンツの中へと侵入し、乳房や股間など時折彼女の性感を刺激する。身体の敏感な部分を責め続けられ、快楽という名の渦に飲み込まれそうになっていたペギーは想像以上に激しく消耗していた。
「!…ぁ、っ…はぁ…はぁ…!?…ぁ、あっ、あんっ…ぁ…はぁ…はぁ……わ、わたしが…わたしがやらなきゃ…」
カチャカチャ、カチャカチャ…しかしそれでもペギーは爆弾の解体作業を止めようとはしない。今、この爆弾を安全に解体できるのはわたしだけ。それに…それに黒十字軍の野望を打ち砕くまでわたしは負けられない、今わたしたちが死んでしまったらゴレンジャーは…世界はどうなってしまうの?……そんなゴレンジャーとしての、モモレンジャーとしての使命感だけが彼女の消耗し切った身体を突き動かしていく。
「…っ、ぁ……!?…ぁ、あっ、あんっ…はぁ…はぁ…」
だが自分の意思ではどんなに抗っていても、悦楽の海におぼれかけている彼女が艶っぽい喘ぎ声を漏らしてしまうことはもはやどうしようもない事らしい。
はぁ…はぁ……ペギーは今、快楽の渦に飲み込まれそうな自分を必死に抑え込みながら、目の前にある爆弾を懸命に解体しようとしていた。しかし額にじっとりと汗を浮かべてその美貌を桜色に染め、何かを必死に成し遂げようとしている彼女の姿は凛々しくも美しい…それでいてその姿はどことなく“妙”な色香を漂わせていた。
「…ペ、ペギー…や、やっぱりあんまり無理しちゃいかんばい!……そ、それにそんな爆弾、おいどんたちが何とか…」
「…ダ、ダメよ、大ちゃん。な、何言ってる…の?…だ、大ちゃんたちに何とかできるわけないでしょ?…はぁ…はぁ……そ、それに…それにもう少し…あともう少しで…“コレ”の解体作業が終わるわ…」
「し、しかしペギー……」
「…大ちゃん。悔しいけどペギーの言う通りだ。今のオレたちには何もできない……ここはペギーに任せるしかないんだ…」
時折甘い喘ぎ声のようなものを漏らし、額にじっとりと汗をにじませ明らかに辛そうな様子のペギー。そんな彼女を見て、いても立ってもいられなそうな大岩。
だが使命感に燃える今のペギーは、どんなに身体が辛くても自分を省みるつもりなどないのだ。彼女とよくコンビを組んでいた明日香もそれが分かっていたから、諭すように大岩の右肩をポンと叩くのである。
「く、くぅ……情けなか。おなごのペギーがこんなに必死の思いをしているのに…」
「…だ、大ちゃん!…はぁ…はぁ…わ、わたしだってゴレンジャーの一員なのよ。お、男も女も関係ないわ……そ、その発言は訂正して…」
「!?…す、すまん、ペギー…」
カチャカチャ、カチャカチャ……低くトーンの抑えつけられた、ペギーのその声の迫力に思わず気圧されてしまう大岩。激しく呼吸を乱しながらも、目の前の爆弾を懸命に解体しようとしていた彼女から発せられるその言葉は、静かな呟きの中にもペギー自身の持つ意思の力強さが感じられた。
彼女は自分がゴレンジャーである事に相当のプライドを持っている。そしてモモレンジャーとしての誇りを胸に命がけで黒十字軍との戦いに挑んでいた。そこには男も女も関係ない。男だから、女だからという事はペギーにはナンセンスなのだ。
しかしそれは体力的に劣る女性の身でありながら、戦いという過酷な場所に身を投じていた彼女なりの精一杯の強がりなのかもしれない。だがその事はペギー自身が身を持って一番感じていた事でもあった。
だから彼女は人一倍努力した。そして他の四人に比べて体力的に劣るという自分の弱点を、誰よりも爆弾の扱いに長けているという他の四人にはない武器を身に着ける事で補う事ができた、何より他のメンバーもそんな努力を知っていたから、直接の戦闘力には劣っていても彼女には一目を置いていたのである。そんなペギーの戦士としての責任感、使命感は五人の中で一番強かったのかもしれない。
カチャカチャ、カチャカチャ…カチャ莉。チッチッチッチッ…チッ、チッ…チッ……そしてペギーの目の前の爆弾から時計の針が動くような嫌な音が消えうせる。彼女は遂に爆弾を解体する事に成功したのだ。
「…ぁ…はぁ…はぁ……ふ、ふぅ…や、やっと…やっと終わったわ」
「やったぜ!さすがペギーだ」「さすがペギーばい!今のおいにはおんしは神様か何かに見えるとよ」
とりあえずの危機を脱した事で歓喜の声を上げる明日香。再び両手を合わせてペギーを拝むようなしぐさを見せる大岩。
そんな二人を彼女はニッコリと笑みを浮かべ、何かをやり遂げたようなとても充実した気分で眺めている。この何にも代え難い達成感が、ペギーがゴレンジャーである事に誇りを持っている要因の一つなのだ。
だがこれまでずっと気を張っていた彼女が一瞬気を抜いたその時……ぁ、ぁ、ぁ…ぁ、あああぁぁぁぁ、ああああぁぁぁぁ!……ドサッ!…突然ペギーの全身から力が抜け、彼女は目の前の木箱に突っ伏すように崩れ落ちてしまう。
「!…お、おい、ペギー、大丈夫か!?」「ああっ、ペギー!?…い、一体どぎゃんしたとね!?」
…ぁ…ぁ……はぁ…はぁ……突然目の前の木箱にもたれかかるように崩れ落ちてしまうペギー…そんな彼女を心配して大岩と明日香も彼女の下へ急ぎかけよってくる。
だが何のことは無い。爆弾の解体作業をしていた間、ペギーは例の“寄生虫”たちにずっと性感を責め続けられていた。敏感な部分を責め続けられていた彼女は絶頂の瞬間を迎えいわゆる“いって”しまったのである。
「おい、ペギー!?大丈夫か!!?…しっかりするんだ!おいっ」「ペ、ペギー!?い、いきなりどぎゃんしたとね??ペギー!しっかりするとよ」
ぁ、ぁ……はぁ…はぁ…はぁ……ペギーは口を半開きにしだらしなく涎を垂らしながら、焦点の定まっていない瞳で目の前にある木箱の中をうつろに見つめていた。そんな彼女を大岩と明日香はそれぞれ脇から抱きかかえて起こそうとしている。
「…はぁ…はぁ……あ、ありがと、大ちゃん、明日香……で、でもわたし…も、もう大丈夫…よ」
ペギーは、自分を抱きかかえている大岩と明日香へニッコリと笑みを浮かべ、わざと気丈な態度を見せる。だがその表情は明らかに辛そうだ。
「何が大丈夫なもんか!今は休んでいなきゃダメだ!」「そうじゃいそうじゃい!おなごとかそんな事じゃなくて今のおんしには休養が必要ばい!」
明日香も大岩もペギーを心配するような事を口々に言い、彼女の身体を二人で両脇からかかえて近くの壁へもたれかからせる。
両脚を真っ直ぐ伸ばすように投げ出し、後ろの壁にもたれかかれるようにペギーをゆっくり、そっと床に座らせる。地肌が剥き出しになっていた彼女の肉付きのいい太腿から、彼女自身が座らされていたコンクリートの床のひんやりとした感触がペギーに伝わってくる。
「はぁ…はぁ…はぁ……あ、ありがと。大ちゃん、明日香…ぁ!?……っ、はぁ…はぁ…」
両脚を真っ直ぐ投げ出し、壁を背にしてもたれかかるように座らされていたペギーは相変わらず無理矢理作ったような笑みで大岩たちを眺めている。しかしその彼女は額に油汗をじっとりとにじませ頬を紅く染め、更には瞳をトロンとさせていた。そんな彼女の様子は明らかに辛そうである。
「…とにかく今は無理しちゃいかんばい!……それより明日香、これからどうするかのう?ペギーはまともに戦えるような状態じゃなかとよ…」
「だからといってペギーをこんな敵のど真ん中に一人置いていくわけにはいかないだろう?…だとすると誰か一人がペギーの傍にいてやって、もう一人がこの基地の脱出を目指して救援を求めに行くって方法だけど…」
「でもそれは危険ばい!こんな敵の真ん中で単独行動をするのはそれはキツかことタイ」
「…じゃあ、動けないペギーをどっちかがおぶって三人で脱出するってのは?」
「それこそ危険ばい!…動けないペギーを背負いながらじゃあ、そいつもまともに戦えんタイ!それは実質一人で逃げるようなもんとよ」
「…くそうっ!…一体どうすりゃいいんだ!!?」
はぁ…はぁ……く、くっ!?…わ、わたしのために二人が……こ、このままじゃ…このままじゃわたしたち全滅してしまうわ……大岩と明日香の貝和を聞きながらペギーは明らかにチームの“足かせ”になってしまっている自分を苦々しく思っていた。
で、でもどうしたらいいの??……!?っ、ぁ…はぁ…はぁ……せ、せめてこの虫がわたしの身体から追い払えればいいんだけど…でもそんなこと……ペギーはそこから身体全体へ、電撃がほとばしったような感覚に襲われていた自身の左胸を、右手で押さえながら懸命に打開策を考えていた。
!…あ、ある。一つだけ方法があるわ。で、でも…でもそのためには…服を脱がなぃ……でもここには更衣室なんてないのよ。幾ら信頼できる仲間の前だと言っても…お、男の人の前で裸にならなきゃいけないなんて……できない!わ、わたしには…わたしにはそんな事できないわ!
一瞬脳裏によぎったその考えに彼女はみるみる顔を赤らめていく…ペギーの頭の中にはたった一つではあるがこの窮地を打開する解決方法が思い浮かんでいた。だが彼女も戦士とはいえ年頃の娘である。同じ部屋の中で同年代の男性に裸の自分を晒すという事はやはり抵抗があったのだ。そんな羞恥心がペギーが“その行動”に踏み切らせる事を躊躇させていたのである。
で、でもこのままわたしが二人のお荷物になってたら…わたしたち本当にやられてしまうわ。どうするの、ペギー?……ってそんなの始めから決まってるじゃない!わたしは…わたしたちは黒十字軍の野望を打ち砕くまでは、まだ死ぬわけにはいかないのよ!…それにわたしは誇り高きゴレンジャーの四番目の戦士、モモレンジャー!…恥ずかしいなんて言ってられないわ!
たった一つだけ、彼女の脳裏に思い浮かんでいた“その打開策”をペギーは意を決して実行に踏み切ることにする。女性としての恥じらいよりも彼女の戦士としての、ゴレンジャーとしての使命感、責任感がそれを上回ったのだ。
で、でも…やっぱりできればそんな事……だがそれでも彼女には男の前で裸を晒すことへの抵抗感はまだあったし、できればそれは避けたかった。!…そうだわ!気休めくらいにしかならないかもしれないけど……そこでペギーは“ある考え”を思いつくに至る。その考えとは……。
う、ううぅ……ペギーは背中の後ろにある壁をズリズリと擦りながらよろよろと起き上がろうとする。
「ああ!?ペギー、何してるんだ??まだ休んでなきゃダメじゃないか!!?」
「そうじゃい!まだおんしは動けるような状態じゃなかとよ」
よろよろと起き上がろうとするペギーを心配して明日香と大岩が彼女を気遣うように次々と声をかけてくる。
「…あ、ありがと。明日香、大ちゃん……はぁ…はぁ…で、でもこのままこんな所に…いるわけにはいかないでしょ?」
「それはそうじゃが!…で、でもペギーはまだ動けるような状態じゃないんじゃなかとね?」
「!?ぁ、っ…はぁ…はぁ……た、確かに…正直まだちょっとツラいわ。…はぁ…はぁ……でも…わたしの身体に取り付いている“あの虫”さえ何とかできれば…たぶん大丈夫なはずよ」
今の自分の状態を申告するペギー。だが彼女としてもこれ以上、二人に迷惑を掛けるわけにはいかないのだ。その申告は彼女なりに“無理ができる”範囲内での正直なところではあったのである。
「確かにそうかもしれないけど…で、でもどうやってあの虫たちをおまえの身体から追い払うんだ??」
自分の身体に取り付いている“あの虫”たちさえ追い払う事ができれば何とかなるとペギーは言う…しかしそれは明日香たちが手助けする事はできないのだ。“先程の件”があるから尚更である。
だがどうやらペギーの考えている事は違うようだ。そして彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべ、彼らに向かって両手で拝むようなポーズを見せてこのように言うのである。
「そ・こ・で♪…二人にお願いがあるのよ」
「??…お願い?…何だその“お願い”ってのは?…まぁあんまり無茶な事じゃなきゃ何とかするつもりだけど…」
「うん。それなんだけど……実はね…わたしが“いい”って言うまで無効を向いててくれないかしら?」
明日香も気になっていたペギーのお願いは、彼らからしてみれば造作もない事だった。だがそれは彼女にとってはかなり重要な問題なのである。
「なんじゃあそりゃあ?それでどうなるというん…」
「大ちゃん!…お願いだから言う通りにして!」
ハ、ハイ……そのペギーの有無を言わせない迫力に思わずうわごとのように返事をしてしまう大岩。!?…グイィ……そんな大岩の右腕を明日香はグイッと引っ張り、更に彼の耳元でこんな耳打ちをする。
(大ちゃん!大ちゃんにはデリカシーってもんがないのか?…ペギーは服を脱いで“あの虫”たちを追い払おうとしてるんだよ!…だけど女の子がオレたち男の見てる前で服脱いで裸になるわけにはいかないだろ??…だからその間オレたちに後ろを向いていてくれって言ってるんだよ!)
(あ…な、なるほど…そ、それもそうじゃのう…)
(…ったく大ちゃん。なぞなぞだけじゃなくて女の子の事も少しは勉強した方がいいと思うぜ)
大岩にそのような耳打ちをしている明日香…怖い顔で彼らを睨みつけていたペギーの傍らで、大岩と明日香はそんなヒソヒソ話をしていたのである。
ねえ!どうなのよ!!?明日香??……大岩とヒソヒソ話をしていた明日香に向かってペギーは更にすごんでくる。
「!…あ、ああ、分かったよ、ペギー。とにかくペギーが“いい”って言うまでは向こうを向いてればいいんだな??」
「…ありがと。明日香…じゃあ、く・れ・ぐ・れ・もよろしくお願いするわね♪」
ふぅ…大ちゃんはともかく…明日香にはわたしのやりたい事はちゃんと伝わっているようね。これなら大丈夫かな?……そのように言う明日香にはどうやら自分がしたい事の意図が伝わっているらしく、ペギーは少しだけ安心した。それでも彼女は不安らしく彼らに“最後の一押し”をするのである。
「あ、ああ。…じゃ大ちゃん、オレたちは言う通りにしようぜ…」「ラ、ラー…ジャー…」
そんな少しぎこちない返事をして、大岩と明日香は体をクルリと反転させ後ろの方を向くのである…そのような彼らの様子をしっかりと見届けて、ペギーもまた身体をクルリと反転させて部屋の壁、つまりは彼らの反対側の方へと向いた。
……しかしペギーはそれでも彼らの様子が気になるらしく再度後ろの方を振り返る。だがそんな彼女の心配をよそに大岩と明日香はちゃんと後ろの方を向いていた。どうやら彼らはペギーとの約束をキチンと守ってくれてるようである。
ふぅっ…じゃあ早速始めようかしら。幾ら何でも敵地であんまり時間はかけられないものね……大きく息をし、ペギーは意を決して服を脱ぎ始める事にした。
ジィィィィィ…シュッシュッ、シュッシュッ……彼女はおもむろに黄色いホットパンツの前についていたファスナーを下ろし、続けてそれを締めていた皮のベルトを外していく。…パサッ……ペギーが履いていたホットパンツが足元に落ちた。その黄色いホットパンツの中からそれが覆い隠していた彼女のベージュ色のショーツが現れる。
そしてペギーは現れたベージュ色のショーツの上から自身の秘所の辺りをそっと触れていく。…やっぱり!それに……彼女はその下着が明らかに濡れている嫌な感覚を覚える。それと同時にその下着の上から触れた彼女の手には明らかに“ヤツら”がいる感触があるのだ。予想していた事とはいえペギーはその感触に更に顔をゆがめていく。
…そ、それにさっきここからも何かやられたような感覚があったわ。もしかしてここも……ペギーは嫌な予感を覚えながらも、着ていた白いTシャツの上から右手で自身の左胸を恐る恐る触れていく…!?…やっぱり!ここにもいるわ……ペギーが恐る恐る触れた左胸のふくらみには彼女が想像した通り、もぞもぞした、何かいるような感じがあった。
ふぅ…どうやら“こっち”の方も脱がなきゃいけないのかな?はぁ……ペギーはそのように考えると肩を落とし、大きくため息をついた。…でも今更止めるわけにはいかないわ。よしっ……バサッ!…そして彼女は意を決して、上着代わりに軽くはおっていたレザーのジャケットを脱ぎ捨てた。
そのままペギーはその下に着ていた白いTシャツも脱いでいく…彼女が脱いだシャツの下からショーツと同じようなベージュ色のブラジャーが現れる。
今までペギーが身に纏っていた衣服で覆い隠されていた柔肌が次々と露になっていく…思いもよらない形で嫌々ながら、それでも誰も見ていないと思っていたから始められたペギー松山・モモレンジャーによる彼女にとっての生涯初のストリップショー…。
しかし誰も見ていないと思われていたペギーのその様子を、密かにじっと見つめている“モノ”がいた。ジーッ……彼女のその“脱ぎっぷり”は例のあの蟻のような形をした超小型カメラがとらえていたのである。ということは……。
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ここは彼らゴレンジャーの三人が捕らえられていた秘密要塞の核シェルター…そこから現在、黒十字軍の日本方面の総指揮官、日輪仮面が既に捉えていたゴレンジャーの面々、大岩、明日香、ペギーの様子を例の超小型カメラからの映像を通じてうかがっていた。
その中で日輪仮面は今回の自身の作戦で標的にしていたあの女、ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーことペギー松山が何やら妙なことをし始めようとしている事に気付いた。不審に思った日輪仮面が画面に映る彼女を更に注視していくと……。
「ん?…ほぉ……何を血迷ったのだ、あの女?…どうやらかくも珍しい、“あの”モモレンジャー様によるストリップショーが始まるようだな、グフフッ、グッフッフッフッフッフッ……コイツはいい。予想外に面白い見世物が見れそうだよ、グフフッ、グフフフフフッ」
画面に写るペギーの様子を見て、日輪仮面もどうやら彼女が着ている服を脱いで何かしようとしていた事に気付いたようだ…初めから彼女をハメようとしていたとはいえ、予想外の展開に日輪仮面はニヤリと陰湿な笑みを浮かべる。
「…このような“面白いモノ”をわたしたちだけで楽しむのはあまりにもったいないな、グフフッ、グフフフフフッ…そうだ。…おい!このカメラのアングルを変えるんだ。この女の景気のいい脱ぎっぷりがよーく見える位置にな、グッフッフッフッフッ…」
「はっ!…しかし日輪仮面様、あまり近づくとカメラの存在がこの女にバレてしまいます」
「なぁに…大丈夫だ。この虫型小型カメラの大きさはせいぜい1cmほどしかないのだ。決して気づかれんさ…それにもし見つかったとしてもただの蟻ぐらいにしか思われんよ…構わん!やれっ!」
はっ!かしこまりました、日輪仮面様!」
近くにいたゾルダーにそう上機嫌に命令する日輪仮面。命令されたゾルダーは早速命令通り、部屋に置いてあったリモコン捜査のコントローラーであの蟻のような形をした超小型カメラの位置取りを変えていく。
やがてカメラのアングルが変わっていく…そして画面には上下ベージュ色の下着姿のみになっているあられもないペギーの姿が大写しにされていた。更に彼女は今まさにブラジャーのホックを外し、そのふくよかな乳房の全貌をも露にしようとしていたのである。
「グッフッフッフッフッ……おい!それからちゃんとビデオも回しておけよ!…後でこの女のストリップショーはイーグルのヤツらにバラまいてやるんだ…こんな面白い見世物、わたしたちだけで楽しむのはあまりにもったいないからな、グフフッ、グフフフフフッ」
「はっ!その辺はぬかりはございません!…しかし念のためそれのチェックはしておきます、日輪仮面様!」
ペギーの“脱ぎっぷり”に気をよくした日輪仮面はそのゾルダーに更に命令をくだした。命令を受けたゾルダーは早速カメラのチェックをしに行く。
「…これでいい。後は滅多にお目にかかれない、モモレンジャー様のストリップショーを拝むだけだ、グッフッフッフッフッ……そうか!あの女、自分の身体に取り付いているあの“寄生虫”たちを追い払うために服を脱いでるのか?だがそう上手くいくかな?…あの寄生虫たちはしつこいぞ、宿主からは簡単には離れないように仕込まれているからな…これは新たな見ものだな。“恥辱まみれのモモレンジャー VS 我が黒十字軍が生んだ生物兵器”ってところか?グフフッ、グフフフフフッ」
ほぼ正面のアングルから捉えた、ほとんど全裸のペギーの姿を見てニヤリと陰湿で不気味な笑みを浮かべている日輪仮面。フッ……近くにいたスナイパー仮面はそんな日輪仮面の様子を、タバコをくゆらせながら半ばあきれたように眺めていた。
そして画面に映し出されていたペギーは、ほぼ全裸の状態で己の身体に取り付いていた寄生虫たちをどうにかして追い払おうと懸命に奮闘していた。まさか自分のヌードが黒十字軍の幹部たちの見世物になっている事など夢にも思わずに…。
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「…くっ、うっ!?…!?…あっ、あんっ……くっ、やぁ…!?ぁ、っ…こ、このぉ!」
その何もないただっ広い部屋の中に何かと格闘しているような甲高い叫び声と、時折甘く艶っぽい吐息が混ざったような若い女の声が響き渡っていた…ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーことペギー松山が己の身体に取り付いていた寄生虫たちを必死に追い払おうとしていたのである。
しかし彼女はただその虫たちを追い払おうとしていたわけではなかった。今、ペギーが身体に身に着けていたのはベージュ色のショーツ一枚のみである。その柔肌を剥き出しにし、下着一枚のほとんど裸同然の美女が自分に取り付いていた寄生虫たちと奮闘している図は、その殺風景な部屋にそぐわない違和感と共に何とも奇妙な色香を漂わせていた。
「…うっ…や、やぁ!?…!?…あっ、あんっ……くっ、やっ…!?ぁ、っ…はぁ、はぁ…く、くっ!?こ、このっ、あんたたち!あっち行きなさいよ!」
甲高い叫び声を上げ、あられもない姿の美女が必死に虫たちと格闘しているというシュールな光景が繰り広げられていた殺風景な部屋…しかもこの殺風景な部屋には彼女の他にも実は他に人、しかも同年代の男がいたのだ。彼女と同じゴレンジャーのメンバー、キレンジャーこと大岩大太とミドレンジャーこと明日香健二である。
しかし彼らは同じ部屋にいる仲間であるはずのペギーを、まるで意識して見ない様に二人とも彼女から背を向けていた。
それもそのはず、彼らはペギーの了解を得るまで“自分の方を絶対に見ない”という約束を彼女としていたのだ。ペギーは彼らとの“その約束”と大岩たちの“良心”を信じて己の裸体を晒し、身体に取り付いていた寄生虫たちと必死に格闘していたのである。
ただ、彼らもゴレンジャーの戦士とはいえ、色々と“盛んなお年頃”の男である。背中越しに同年代の娘が甲高い叫び声を上げ、時折甘い吐息のようなものを漏らし、更にはその声の主である娘は恐らくほとんど何も身に纏っていない、かなりあられもない姿なのだ。
しかも彼らは決して口には出さないが“その娘”はかなりの美貌と均整のとれたスタイル、その上でかなり肉付きのいい、豊かな肢体を誇っているのである。そのような娘が背中越しにあられもない姿で艶っぽい吐息を漏らし、何かをしているのだ。色々と盛んな若者の妄想を掻き立て、心理的に悶々とさせるには十分過ぎるほどの状況だったのである。
案の定、彼らの一人、大岩の様子は何か落ち着きが見られない。明らかに自分の後ろにいるはずのペギーの様子が気になって仕方がないようである。
(う、ううぅ…あ、明日香…お、おいどん、どうも後ろの様子が気になってしょうがなかとよ。のう、明日香、ペギーは大丈夫じゃろうか?)
(“大丈夫じゃろうか?”って……そんなのオレに分かるわけないだろう?どっちにしても今のオレたちにはこうやってじっとしてるしかないんだ……まさか大ちゃん!ペギーの方を”少しでいいから見たい”なんて言い出すんじゃないだろうな?)
(!…ま、ままま、まさか!?ただおいどんはペギーがどうなってるのか心配で心配で…)
お互いに声を潜めてヒソヒソと話している大岩と明日香…後ろの様子がだいぶ気になっていた大岩は明日香に“ペギーのハダカが見たいんだろ?”と言わんばかりに突っ込まれ慌てて否定する。
だが彼はそんな不順な動機ではなく本当にペギーが心配なだけなのだ。ただ今はその気持ちが明らかに空回りしているのだが…。
(だったらこうやってじっとしてるんだ。…それにさっきペギーと約束をしたのを忘れたのかよ?…ペギーはオレたちを“信頼”して“あんな約束”をしたんだぞ?さっき“あんな事”をしたオレたちを…)
そう言う明日香は先程思わぬ形でペギーの身体に痴漢してしまった事を相当気にしていたようだ。
(!?…も、もちろん忘れちょらんよ。お、おいどんも男タイ!約束はちゃんと守るばい!)
(じゃあ、おとなしくこうしてようぜ!……そうだ!なぞなぞでもすれば少しは気がまぎれるんじゃないか?よしっ……じゃあこういうのはどうだい?火がついたら困るランプは何だかわかる?)
(火がついたら困るランプ?う~ん、う~ん…なんじゃらほい?)
何とかしてペギーとの約束を果たそうとしていた大岩と明日香。そして彼らは気をまぎらわすためにお互いに好きな“なぞなぞ”を始める。しかし集中力が欠けているためか、それとも元々大岩に問題があるのか、大岩は相変わらず明日香から出されたなぞなぞが答えられない。
「う、くっ…こ、このぉ!…!?…ぁ、あっ、あんっ…」
「!…ペ、ペギー!?だいじょう…」
「ダメェ!!…お願い大ちゃん!見ないで!まだこっち見ないでぇ!」
ペギーのその艶っぽい声に反応して、思わず後ろへ振り向いてしまいそうになる大岩。だが彼女もそれに気付き、あわてて声を張り上げてそれを阻止しようとする。ペギーも自分のあられもない姿を見られたくはないから必死だ。
「!…し、しかしペギー!?」
(大ちゃん!…だからペギーが“いい”っていうまではおとなしくこっち向いてなきゃダメじゃないか!?…それに大ちゃん。さっきのなぞなぞの答えはどうしたんだよ?)
どうしても後ろの様子が気になってしょうがないらしい大岩の注意を、明日香はどうにかして引こうとしている。
(なぞなぞ?…え、えーっと、えーっと…あ、う…ど、どんなんじゃったかのう?)
(大ちゃん…しっかりしてくれよ、まったく…火がついたら困るランプだよ。火・が・つ・い・た・ら!)
(あ、ああ。そうじゃったのう…う~ん、う~ん……えーっと、えーっと…ダ、ダメばい。気が散って答えられんとよ…)
せっかく出したなぞなぞを忘れられてしまいあきれている明日香。しかし改めて問題を教えられても、もはや大岩にはそれに答えられるような集中力は残っていないらしい。
(はぁ…大ちゃん。それじゃせっかくなぞなぞしてる意味がないじゃないか??)
(う…そ、そげな事言っても…ば、ばってんペギーの様子がどうしても気になって…)
「…大ちゃん、明日香…お待たせ。もういいわよ」
彼らがそんな事をやっている間にどうやらペギーの方はケリがついたようだ…彼女からの許しが下りた事ですぐにペギーの方へと振り向く大岩と明日香。
振り向いた先にいた彼女は元のように白いTシャツの上にレザーのジャケットを軽くはおり、彼女のトレードマークになっていたホットパンツもキチンと履いている。ペギーはすっかり元通りの姿になっていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…お、お待たせ!二人とも。それに…わたしとの約束、ちゃんと守ってくれてありがと…ホントに感謝するわ」
しかしそのペギーの様子はまだ少しおかしい…息は随分と乱れ、頬はまだだいぶ紅く染まっている。そんなペギーの足元には、彼女との戦いのなれの果てである十数匹にも及ぶ寄生虫たちの死骸が転がっていた。
それでもその彼女の顔には先程までよりもだいぶ生気が戻り、ニッコリと笑みを浮かべて彼らにお礼を述べている。特に大岩たちが自分との約束をちゃんと守ってくれた事は相当感謝しているようだ。
「ペ、ペギー…で、でもだいぶ息が上がってるみたいだぜ…ほ、本当にもう大丈夫なのか?」
「うん。少し手間取ったけど…でも身体から“あの変な虫”がいなくなったおかげでだいぶスッキリしたわ。それに…体力なんかすぐ戻るわよ。これならもうこれまでと同じように戦えるわ!」
だいぶスッキリしたような表情の彼女は、決意も新たに胸元で右拳を力強くギュッと握り締めている。そうか!それはよかったばい!……ペギーの姿が先程までとは見違えるような状態に戻り喜ぶ大岩。だが……!?きゃあ!
「!…ペ、ペギー、いきなり何ばい!?今度はどぎゃんしたとね?」
大岩と明日香、彼ら二人を見ていたペギーが突如として『見てはいけないものを見てしまった』と言わんばかりに右手で顔を隠して大きな悲鳴を上げる。突然の彼女の変化に次は何が起こったのかと訝しがる大岩。
「…もうっ、二人とも!何なのよそれ!!?」
ペギーは右手で顔を隠し更に右の方へ顔をそむけ、何かを恥らうようなしぐさを見せる。その彼女は余っていた左手で大岩たちの股間の方を指差してやはり何か悲鳴のような叫び声を上げていた。
その指が指している先には…まるでテントを張ったようにこんもりと盛り上がった大岩たちの“男”の股間があった。つまり彼らはペギーの危機にも関わらず、例の蟻のような虫たちを追い出すために奮闘し、そのたびに甘い吐息のようなものを漏らしていた彼女に欲情してしまっていたのだ。
「それ??……ぁ…そ、その…これは…」“その股間”の意味を問い詰められた明日香はさすがにたじたじである。
「あ、いや、その、ペギー…お、おいどんのすぐ後ろでおなごがハダカになっているかと思うとつい…」
「大ちゃん!!…わたしがあんなに大変な想いをしてた時なのよ!!それなのに…!」
そこまで言う大岩の言葉をさえぎるようにペギーは右手を顔から離し、怒りの形相で不謹慎な煩悩にかられていた大岩たちを何か汚いものでも見るように睨みつける。
「すまん、ペギー…おまえが大変な時に…」
「面目なか…おんしがこんな時に頭の中が煩悩に支配されるなど…おいどんもまだまだ修行が足らんばい…」
「…ホンットにサイテー!…こんな時に一体何考えてるのよっ!もうっ、知らない!!」
怒りの形相でそこまで激しく罵ると、ペギーはたちまち物凄いふくれっ面になってしまいそのまま不機嫌そうにプイッとソッポを向いてしまう…これには大岩や明日香もさすがにまいってしまった。だがそれでも彼らに言い訳する手段はない。ひたすらしょんぼりと落ち込み、ただただ自分たちの行動を反省するばかりである。
…ま、でも仕方ないわよね。大ちゃんたちも普通の男の人なんだし…それよりもあんな風に股間が反応するって事は、わたしがそれだけ魅力的なオンナって事なのかしら?うふっ♪……大岩と明日香の不謹慎な反応に先程まであれほど不機嫌だったペギーなのだが…そんな事を考えている内に彼女は不思議なもので今度は顔をほころばせ、たちまち上機嫌になっていく。
「!?…な、何だペギー!?さっきまで物凄く機嫌が悪いと思っていたら、今度はそんなにニヤニヤして…」
「アラ?別にそんな事なくてよ。ま、女心と秋の空はうつろげだと思ってくれればいいわ、うふふっ♪」
「なんじゃあそりゃあ?…ホント、おなごの心は難しかとね」
先程まで明らかに不機嫌そうな顔をしていたペギーが今度は右手を口元にあて、何やらニヤニヤと顔をほころばせている。それは彼女の中での気持ちの変化がもたらした笑みだったのだが…大岩や明日香にはペギーの突然のその変化は不思議でしょうがなかったようだ。
「ま、まぁとにかくペギーも機嫌を直してくれたんだ。…それより早くゴレンジャーに転換してここからとっとと逃げ出そう!……ゴー!!」
「あいな!……ゴー!!」
爆弾も無事解体し、ここから逃げ出すための障害がなくなった事で彼らはこの部屋からの脱出を決め、そのためにゴレンジャーへと転換する。
その勇ましい掛け声と共に、横にその場でクルリと一回転した明日香は全身緑の戦士ミドレンジャーに、大岩も同じような黄色の戦士キレンジャーへと転換するのだ。
「じゃわたしも……ゴー!!」
そしてペギーも同じようにその場でクルリと横に回ってその名の通り、全身が桃色のゴレンジャースーツで覆われた桃色の戦士モモレンジャーへと転換する。
彼女が女性である事を強調するかのようにそのピンクのスーツにはミニスカートのようなものが付いており、マスクのバイザーの形もやはり同じような理由で赤いハート型の形をしている。またペギーの身体へピッタリとフィットしていたそのピンク色のスーツは、日輪仮面が言う彼女の“ムチムチボディ”の身体の曲線美を更にクッキリと強調していた。
「…よし!じゃあ、あのドアから脱出しよう!」
「ラージャー!……うっ!?うぐっ、うぐぐぐぐっ…な、なんじゃあ!?このドア、ちっとも開く様子がなかとよ!?うぐっ、うぐぐぐっ…」
彼らは先程ゾルダーが出て行ったドアを通ってその部屋から逃げ出そうと試みる。ガチャガチャ、ガチャガチャ…ガチャガチャ、ガチャガチャ……しかしそのドアについているドアノブは、力自慢のキレンジャー=大岩が幾ら回しても開く様子がない。
「!?…な、何でだよ!?さっきあのゾルダーは何事もなくすんなりとそのドアから出て行ったじゃないか?」
「…そ、そげな事言っても……ばってん、力自慢のこのキレンジャー様がさっきから開けようとしてるんじゃが…うぐっ、うぐぐぐっ…」
未だ必死にそのドアを開けようと頑張っているキレンジャーにそう問い詰めるミドレンジャー=明日香。しかしそのドアノブは力自慢のキレンジャーが幾ら回しても一向に開く様子がない。どうやらかなり強固な鍵がかけられているようだ。
「きっとあのゾルダーがこの部屋から出て行った時に鍵をかけて行ったんだわ……二人とも、下がって!わたしがやってみるわ」
そのドアが一向に開く様子が見られない事にしびれを切らしたモモレンジャー=ペギーが二人に向かってそのように言うと…カチッ。彼女は耳元からイヤリング型の爆弾をちぎり取り、目の前のドアに狙いを定めて…。
「いいわね!いくわよ!」
ポイッ…ドカーンッ!!……彼女から放たれたその爆弾・モモレンジャーの必殺武器=通称イヤリング爆弾は、強烈な轟音を立てそのドアに見事に炸裂した。
…やがて爆煙が徐々に立ち消えドアのあった場所が現れる。そしてその場所にあったはずのあの堅く閉ざされていたドアは見事に破壊されていた。
「やったばい!これでここから逃げ出す事ができるとよ」
「ああ。…でも喜んでばかりもいられなそうだぜ。今の爆発でオレたちがここから逃げ出そうとしてる事に気付かれちまったみたいだ」
堅く閉ざされていたドアが消し飛び喜ぶキレンジャー。だが…ウーッ!ウーッ!ウーッ!……けたたましく鳴り響く警報音。今の爆発で自分たちがこの部屋から脱出しようとしている事が、黒十字軍に知られてしまったとミドレンジャーは思い込んでいるようだ。もっとも黒十字軍は“例”の蟻の形をした小型カメラで、彼ら三人の様子をずっとうかがっていたのでそれはとっくに知っていたのだが…。
「…だったら尚更ここから早く逃げ出しましょう。早く動かないとまた黒十字軍の邪魔が入ってしまうわ!」
「ああ、そうだな…よし!キ、モモ、いくぞ!」
「ラージャー!…早くこんな所からは脱け出すとよ。そしてゴンに帰ったら、マスターに大森のカレーばたくさん作ってもらうばい!」
「ふふっ♪…そうね。こんな卑劣な手を使う黒十字軍なんかにやられてたまるもんですか!」
ダッ!…そしてゴレンジャーの面々、キレンジャー、ミドレンジャー、モモレンジャーの三人はその部屋から逃げ出すように駆け出した。ジーッ…だが例の蟻のような形をした小型カメラは、彼らがこの部屋から逃げ出すシーンもまたしてもしっかりととらえていたのである。ということは……。
****************
「グッフッフッフッフッ…ようやく“あの部屋”から出てきたか?グフフッ、グフフフフフッ……ということはスナイパー仮面。お待たせしたな。いよいよ貴様の出番だ。…先程の手はず通り上手くやってくれよ、グッフッフッフッフッ…」
…画面に映し出されるゴレンジャーの面々を見てニヤリと不気味な笑みを浮かべる日輪仮面。そして彼は口元を少しゆるませ近くにいたスナイパー仮面の方を見た。
「ふーっ……ようやくか。まったく待ちくたびれたよ。…じゃあオレは早速持ち場へと向かう事にするか?フフフッ、フフフフフフッ」
スナイパー仮面はくゆらせていたタバコから大きく煙をはき出し、そのタバコを無造作に足元へと投げ捨てた。そしてそのタバコを靴底でグリ、グリッともみ消し、その部屋から出て行こうとする。
「グッフッフッフッ…スナイパー仮面よ、合言葉は分かっているな?ターゲットは……」
「分かっているさ。…『ターゲットはモモレンジャー』だろ?フフフッ、フフフフフフッ」
「そうだ。グフフッ、グッフッフッフッフッ…」
最後に彼らのこの作戦のキーワードになっていた“合言葉”を確認し合い、お互いに不気味な笑みを浮かべる日輪仮面とスナイパー仮面…もっとも日輪仮面は嗜虐心に満ちた、スナイパー仮面はあくまで“仕事師”としてのと、それぞれ浮かべていた笑みの意味は違っていたのだが…。
そしてお互いに不気味な笑みを浮かべていた彼らは近く似合った画面を見る。その画面には…建物の廊下のような場所を必死に走っているモモレンジャーの姿が映し出されていた。自分自身が黒十字軍の最大の標的(ターゲット)にされていることなど知らずに…。
- 以下 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 敗北編へ続く -