- 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 序動編 -

「フフフッ…おまえたち三人は明日の昼までにはいずれ処刑されるだろう。そうなればおまえらゴレンジャーは終わりだな…フフフッ、ハハハハッ…」
コツ、コツ、コツ…バタンッ!……勢いよく部屋の扉が閉められる。そう捨て台詞を言い残し、黒服で身を固めた黒十字軍の下級戦闘員・ゾルダーはその部屋から去っていく…そのゾルダーが去った“その場所”には三本の十字の柱にそれぞれ十字架磔にされている三人の男女の姿があった。
「ぐぅ…無念タイ…ゴンのカレーば食べながらなぞなぞでもしたかとね…」
ゴレンジャー一の大男にして力自慢、九州男児のキレンジャーこと大岩大太が捕らわれの身にされてしまった己を嘆き、力無くうなだれている。
「それじゃ大ちゃん。こういうのはどうだい?…カモメの真ん中を打ち抜くと生まれてくる動物って何だか分かる?」
それに呼応するようにしてその右隣から声が聞こえてくる…それは同じように十字架磔にされていた、まだ少年の面影を残すゴレンジャーの最年少メンバー、ミドレンジャーこと明日香健二からだった。
「カモメの真ん中を打ち抜くと生まれてくる動物?う~ん…なんじゃらほい?」
明日香からいつものように出されたなぞなぞを十字架磔にされていた大岩が必死に答えを導き出そうと考え込んでいる。十字架磔にされている危機的な状況のはずなのだが、その光景はどこか緊張感がない。
「もうっ、二人とも今はそんな事やってる場合じゃないわ!…早くここから抜け出してゴレンジャールームに黒十字軍の企みを知らせないと…」
なぞなぞの答えを必死に考え込んでいる大岩の左隣から、それをたしなめるような若い女性の声が聞こえてくる…それはやはり同じように十字架磔にされていた、ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーことペギー松山からだった。
スイス人の父と日本人の母を持つ、いわゆるハーフの彼女はどことなく日本人離れした雰囲気を漂わせている。そして意思の強さが垣間見えるそのキリッとした凛々しい美貌、そこからたなびく見栄えのする長い黒髪…彼女は白いロングブーツ、黄色いホットパンツに無地の白いTシャツ、その上から袖の無いレザーのジャケットを軽くはおっているといういでたちをしていた。ホットパンツからスラリと伸びる、健康的な色気を漂わせていた肉付きのいい太腿がまぶしい。
彼ら、世界の平和と安全を守るため国際秘密防衛機構イーグルによって結成された秘密戦隊、ゴレンジャーはイーグル連絡員007より黒十字軍がこの秘密要塞で何かよからぬ事を企んでいるという情報を入手した。その情報を身長に検討した彼らであったが…結局その真偽は分からないままだった。
だが相手は世界制服を目論むあの黒十字軍である。その情報が事実であれば見逃しておく事はできない。
そこで彼らゴレンジャーは五人のメンバーの内、大岩、明日香、そしてペギーの三人をこの秘密要塞に潜入させ、情報の真偽を探ることにした。
だがこの情報はゴレンジャーを誘い出すために黒十字軍がわざとイーグルに流した“罠”だったのだ。彼らゴレンジャーは五人揃えば底知れぬ力を発揮する。しかしそれはあくまで“五人揃った”場合である。
黒十字軍はそこに目をつけた。偽の情報をゴレンジャーに流し、彼らの何人かをこの秘密要塞に誘い出して捉える。更に分断したゴレンジャーを各個撃破していこうという作戦に出たのだ。
そしてその作戦は見事に成功した。まんまと誘い出されてしまった大岩、明日香、ペギーの三人は待ち構えていた黒十字軍によって捉えられてしまったのだ。今、彼らは何もないたたっ広い部屋の中で十字架磔にされ捉えられていたのである。
「うっ、くっ…」「うっ、くっ、ううぅ…」
何も無い田ダッ広い部屋に、左からペギー、大岩、明日香とそれぞれ両手足を真っ直ぐ伸ばされ、更には伸ばされていた手足を鎖でグルグルに巻かれ十字架磔にされていた彼らは、そこから何とか脱出しようと懸命にもがいている。だがそれは簡単に外せる様子もなく、ただ三人の呻き声と彼らを束縛している鎖のガチャガチャという音だけがその部屋の中に空しく響き渡るだけだった。
「うっ、くっ……ダ、ダメ。コレ、わたしの力じゃとても外せそうにないわ。…ねぇ、大ちゃん。あなたの怪力でコレ、何とかならないかしら?」
「…あいな。ちょいと待っててくんしゃい!…ぐぐっ、うぐぐぐぐぐぅ…」
どうしても自分の力では鎖の束縛を外せそうにないペギーが、助けを求めるように右隣にいた大岩にうながす。そのペギーにうながされた大岩は全身に力を込め、鎖の束縛を引きちぎろうと試みていく。
メキ…メキ…メキ……大岩の怪力が少しずつではあるが彼を束縛していた鎖を引きちぎろうとしていく。
「いいぞ、大ちゃん!…少しずつだけど確実に鎖は外れてきてる!」
「本当だわ…ガンバって、大ちゃん!もう少しよ!」
「うぐぐぐっ…うぐぐぐぐぐぅ…うああああああああぁ!!」
メキメキメキメキメキ……右から明日香の、左からペギーの声援を受け、自分を束縛している鎖を大岩が力強く引きちぎっていく。そして……バキーンッ!!彼は遂に己を束縛している鎖を引きちぎった。
「はぁ、はぁ、はぁ……ど、どんなもんじゃぁぁぁぁい!!」
「凄いわ!…さすがの怪力ね、大ちゃん」
大岩は激しく息を切らしながら、だがその中でも何かをやり遂げたような満足げな表情を浮かべている。そんな彼に向かって左の方から歓喜の声を上げるペギー。
「やったぜ、大ちゃん!…よしっ、ついでにオレたちのも外してくれないか?」
「ハハハッ…まぁ待ちんしゃい…まずはレディファーストからばい。何たっておいどんは紳士じゃからのう…」
ガチャガチャ、ガチャガチャ…ガチャリ……せかす明日香を軽く受け流し、大岩はまずペギーの両手足を束縛している鎖を外してやった。十字架磔から開放してくれた大岩に礼をするように左目で軽くウインクをする彼女。
「…ありがと、大ちゃん。今日のあなたは本当にステキよ♪…後で大好物のゴンのカレー、マスターに頼んでたくさん作ってもらわなきゃね」
「いや~、モテモテの色男は辛かとね……おっと、そうじゃいそうじゃい。今度は明日香の鎖もほどいてやらんとのう…」
ペギーにおだてられ照れる様子を見せる大岩。ガチャガチャ…そして次に彼は同じく十字架磔にされている明日香の鎖をほどいてやろうとする。
「…のう、明日香。さっきのなぞなぞの答えなんじゃがのう…」
「お?大ちゃん。もしかして分かったのかい?」
ガチャガチャ、ガチャガチャ…明日香の手足を束縛している鎖を外しながら、急に思い出したように大岩が先程のなぞなぞの話を持ち出してきた。
「…ああ、分かったばい。答えは“カメ”じゃなかか?…カモメの真ん中“カ”と“メ”の間の“モ”を打ち抜くと残るのは“カ”と“メ”、つまり答えは“カメ”ってわけばい…どうじゃい?明日香」
「へぇ…当たりだよ、大ちゃん。今日は自慢の怪力だけじゃなくて“頭”の方も冴えてるじゃないか?」
「ふふん♪…おいどんだってたまにはおぬしや太朗君のなぞなぞにスラスラ答えられるばい」
先程、明日香から出されたなぞなぞの答えを彼に誇らしげに説明する大岩。ちなみに大岩が言う“太朗君”とは彼のスナック・ゴンでのいつものなぞなぞの遊び相手、イーグル連絡員007・加藤陽子の弟、太朗の事である。
「…もしもし、ゴレンジャールーム…こちらペギー、応答してください……!?…もしもし、もしもし!…こちらペギー…ゴレンジャールーム、ゴレンジャールーム!…お願い、応答して!……ダメだわ、全然通じない…」
彼らがそんなやりとりをしていた横で、一足先に十字架磔から開放されていたペギーが左腕に身に着けているブレスレット型の通信機でゴレンジャールームに連絡を取ろうと試みている。しかし彼女の必死の呼びかけもむなしく、ゴレンジャールームへの通信は全く取れそうにない。どうやらこの辺り一帯に妨害電波が張り巡らされているようだ。
「くそうっ!…きっとこの秘密基地全体に妨害電波を張り巡らせているんとよ。やっぱり黒十字軍は初めからおいどんたちをハメるつもりだったんばい」
「ああ。オレたちはヤツらにまんまとハメられたんだ。……!?…何だ?この音??」
初めから黒十字軍は自分たちを陥れるつもりだったのだ…ヤツらの罠にまんまとハメられてしまった事に憤りを見せる大岩。同じように怒りを露にしている明日香。チッチッチッチッチッチッ……!?…その時、明日香は何か奇妙な物音を耳にする。
「音??……もしかして?……!…やっぱり…爆発物の反応よ。きっとこの近くに爆弾が仕掛けられているはずだわ」
「何ぃ、本当か、ペギー!?……ど、どこばい、どこに爆弾があるんじゃい!」
「…落ち着いて、大ちゃん。……!…あっ!?きっとあそこからだわ!」
「あっ!?お、おい!ペギー」
明日香の言葉を受けて爆発物のエキスパートでもあるペギーが、この部屋に爆弾が仕掛けられている事を察知した。ペギーの言葉に明らかに取り乱す大岩。彼女はその大岩に落ち着くように言い、自身も冷静に爆発物のある場所を突き止めようとする。
ダッ!…その時、何かに気付いたペギーが突然部屋の“とある場所”に向かって駆け出した。突然走り出したペギーに思わず声を上げる明日香。
はぁ、はぁ……これよ。きっとこれだわ……突然駆け出したペギーがただ広い部屋の隅に“ある物”がある事を発見する。それは1mぐらいの大きさの木箱だった。
「どうしたんだ、ペギー、いきなり走り出して……これは…木箱?…もしかしてこれか?ペギー」
「ええ。この辺から爆発物の反応があるの…たぶん“これ”で間違いないと思うわ」
ペギーが発見した、その木箱の前に立つ彼女にそう問いかける明日香。ガタッ…木箱の前に立ったペギーは、中身を確かめるようにその箱の蓋をそっと開ける。チッチッチッチッ…そしてその中には彼女の想像した通り、大きさ30cmほどの爆弾が仕掛けられていた。
「やっぱり!……あのゾルダーは明日までにわたしたちを処刑するなんて言ってたけど…きっと黒十字軍はその前にこの爆弾で十字架磔にしていたわたしたちを吹っ飛ばすつもりだったんだわ」
「じゃあ尚更早くここから逃げんといかんじゃなかとね?こうしちゃおれんタイ…」
大ちゃん、待って!……ペギーの話を聞いて、部屋のドアから一刻も早く逃げ出そうとする大岩。しかし何か考えがあるのか、彼女は逃げ出そうとする大岩を静止するように呼び止める。
「なんじゃいペギー?早くここから逃げんとヤバイんじゃなかとね?」
「そうだペギー!…早くここから逃げ出さないとオレたちも“コイツ”でみんなドカン!になっちまうぜ」
「…あせらないで、二人とも。これは“水爆”よ…黒十字軍は“コイツ”でこの基地だけじゃなくてこの辺り一帯もろともわたしたちを吹っ飛ばすつもりだわ」
逃げるのを静止するペギーに対し、大岩と明日香は尚も口々に早く逃げ出そうと主張する。しかし彼女はやはりここからこのまま逃げ出すのはマズいと言う。爆発物に精通していたペギーはこの爆弾が“水爆”であると見抜いたからだ。黒十字軍はこの“核”で彼らをこの秘密基地、いやこの辺り一帯もろとも吹き飛ばすつもりなのだ。
「す、水爆じゃと!?しかしそんな物使ったら黒十字軍のヤツらもただじゃ済まんじゃなかとね?」
「…確かにこの基地は確実に跡形もなく吹っ飛ぶと思うわ。でもヤツらは恐らくかなり強固な核シェルターを用意してるはずよ。だから“この水爆”でわたしたちと基地を吹っ飛ばしたとしても自分たちは何ともないって寸法のはずだわ」
大岩の疑問はもっともだ。だがそれも黒十字軍は織り込み済みだとペギーは言う。更に彼女はこんな事も付け加えた。
「…でもその核シェルターの存在を知ってるのはたぶん一部の幹部だけだと思うわ。黒十字軍なら数多くの味方を犠牲にしても、その結果この爆弾でわたしたちを始末できるなら何とも思わないはずだしね」
「確かに…それにしても黒十字軍め!…もしそれが本当だとしたら相変わらずやり方が汚いぜ!」
「で、でもそうだとしても…簡単に逃げられんとなるとこの爆弾はどぎゃんすればよかとね??」
目的の為には手段を選ばない、黒十字軍の相変わらずのやり口に怒りを露にする明日香。その一方で大岩は“この爆弾”をどうすればいいのか、心配でしょうがないようだ。だがペギーはそんな大岩に得意気な微笑みを浮かべてこう言い切る。
「ふふっ♪…何かお忘れじゃなくて?大ちゃん。わたしは爆弾の専門家なのよ…だからわたしがこの爆弾を解体すればいいのよ」
「あ!?なるほど…そうか、それもそうじゃったのー…じゃあペギー先生、頼みますばい♪」
「オッケイ!…幸い“コイツ”が爆発するまではまだしばらく時間がありそうだわ。さっきわたしたちは大ちゃんに助けられたんだもの。今度はわたしの番よ」
不安を取り除かれ少しホッとしたのか、両手を合わせペギーを拝み倒すようなしぐさを見せる大岩。うふふっ♪…大ちゃんは年上のはずなんだけど…こういうところが大ちゃんの愛すべきところなのよね……自分を何かの神様でも見るような目で拝む大岩。そんな彼は本当に貴重で微笑ましい存在だとペギーは思う。
そして早速彼女は目の前にある爆弾の解体作業に取り掛かることにした。カチャ…作業をするためにペギーは内部を覗こうと爆弾を少しずつバラしていく。ゴクッ…緊張のあまりか、彼女から唾液を飲み込むような音が聞こえてくる…幾ら慣れているとはいえ相手は一触即発の爆弾である。作業をする彼女の周りからも張り詰めるような空気が漂い始める。
しかしその時…ブーン!ブーン!…!?……その緊迫した空気を打ち破るように、突然解体途中の爆弾の中から何かが勢いよく飛び出してきたのだ。それは十数匹にも及ぶ、少し大きめの蝿のような虫だった。しかもそれらは何かの獲物に襲い掛かるように、全てペギーに勢いよく向かってくる。ブーン、ブーン!…次々にペギーに襲い掛かるその蝿のような虫たち。
「!…きゃあ!?い、一体何なのよ!?コ、コイツら!?」
突如として襲い掛かってくる虫たちに思わず悲鳴を上げるペギー。ブンブンとたかってくるその蝿のような虫たちを、彼女は両手で必死に追い払おうとしている。だがその虫たちは相変わらず何かに群がるようにペギーの周りをブンブンと飛び回り続ける。
「ペギー!?大丈夫か?」「おいおまえら、ペギーに何をするとね?こらっ、離れんしゃい!」
ペギーに襲い掛かる突然の異変に明日香たちも心配そうに急ぎ彼女の下に駆け寄ってくる。しかしその間にもその虫たちはペギーの周りをブンブンと飛び回り続ける。
ピトッ、ピトッ…そしてその蝿のような虫たちは遂にペギーの身体へと取りついてきた。ボリューム感たっぷりの熟した桃のような魅惑的なヒップ、ほどよくふくらんでいたバスと、健康的な色気を漂わせていた肉付きのいい太腿…その虫たちは彼女の女性らしい丸みを帯びた身体へと次々と取りついていく。
「!…い、いやっ!?な、何なのよ!?コ、コイツら!?…ち、ちょっと!?あ、あっち行きなさいよ!…あ、くっ!?こ、このっ…」
「ああ!?お、おまえら何しとるんじゃい!いい加減にペギーから離れんしゃい!」「く、くっ!?何なんだコイツら!?…く、くそっ…あっち行け!おまえら!」
更にしつこくペギーへとたかっていく蝿のような虫たち。その虫たちを懸命に追い払おうとしていた大岩や明日香のボルテージも自然と上がっていく…そんな興奮状態の彼らが、意図しないような形でペギーに更なる受難を与える事になってしまう。
バシィッ!ぁんっ!?な、何っ!?……ペギーのヒップに取りついていた虫を追い払おうとしていた大岩の右手が、彼女の黄色いホットパンツからはち切れんばかりの大きな尻を思い切り引っぱたくような形になってしまったのだ。
「おいっ、おまえら!早くペギーから離れんしゃい!…このっ、このっ、このぉ!」
「…や、あっ、ぁんっ!…だ、大ちゃ、や、やめ…!?…ぁんっ、あんっ…」
バシィッ!バシィッ!バシィッ!……しかも更にペギーの尻から虫たちを追い払おうとしていた大岩の右手は、彼女のヒップを百叩きするような格好になってしまう。
「…くそっ!?コイツら!…おい、早くペギーから離れろ!おい!」
仲間たちによるペギーの受難はまだまだ終わらない。ムギュッ!や、ぁんっ!な、なっ!?……今度は彼女の胸元に取りついていた虫を追い払おうとしていた明日香の右手が、ペギーの左胸を思い切り鷲掴みにするような格好になってしまったのだ。
「くっ!?コイツら、何てすばしっこいヤツらなんだ!…くそっ!?コ、コイツら、どっか行け!このっ、このぉ!」
「や、ぁんっ!?…あ、明日香!?や、やっ…あ、あっ、ぁんっ…」
ムニュッ!ムニュッ!……明日香の手から逃げ回るように、ペギーの女性らしいふくよかな胸元を尚もチョロチョロと跳び回るその蝿のような虫たち。当然、その虫たちを必死に追い払おうとしていた明日香の手も次から次へと彼女のバスとを鷲掴みするような格好になってしまう。
や、ぁ、あんっ!?…ふ、二人と…や、ぁんっ!?や、やめっ…!?…ぁ、あんっ!?……大岩と明日香はペギーへと襲い掛かる虫たちを懸命に追い払おうとしていただけなのだが…故意でなかったとはいえ仲間から痴漢されてしまうという、想いもよらない形で彼女は更なる受難に見舞われる事になってしまう。
ピトッ、ピトッ…更にペギーへと群がるその蝿のような虫たち。今度、その虫たちは健康的な色気を漂わせていた彼女の肉付きのいい太腿へ次々と取りついていくのだ。カサカサカサ…しかもその太腿に取りついた虫たちは、彼女のムッチリとした内腿を股間目掛けて一目散に這い上がっていく。
「やっ!?ぁ、ぁ…や、いやっ!?くっ!?…あ、あんたたち、あっち行きなさいよっ!」
「ああ!?おまえら今度はこっちかとね??…性懲りも無く!あっちへ行きんしゃい!このっ、このぉ!」
ペギーの内腿を股間へと駆け上がってくる虫たちに気付いた大岩も、今度は彼女の正面に回りこんでその虫たちを必死に追い払おうとする。しかし彼のこの行動からペギーに更なる災難が降りかかる事になろうとは…。
そそくさとペギーの内腿を這い上がってくる蝿のような虫たち。パシィッ!やっ!?こ、今度はなっ!?……その虫たちを追い払おうとしていた大岩が、今度は健康的な色気を漂わせていた彼女の肉付きのいい太腿をはたくような格好になってしまう。
しかしペギーの太腿をはたくその手もその蝿のような虫は巧みにかいくぐっていく。カサカサカサ…しかもチョロチョロと動き回るその虫は彼女の足の付け根と黄色いホットパンツの間のわずかな隙間へと潜り込もうとしているのだ。
あーっ!?こ、このっ!お、おまえら待て!待ちんしゃい!……当然その蝿のような虫を捕まえようと大岩の手もその虫を追いかけていく…それはすなわち彼の手がペギーの黄色いホットパンツへと伸びていく事を意味しているのだ。
…い、いやっ…な、何で…何でこんな事になっちゃったの!?……突如として襲い掛かってきた蝿のような虫たち。その虫たちを必死に追い払おうとしていた大岩たちの次第にエスカレートしていく行動…次から次へと降りかかってくる恥辱にペギーはたまらず顔を汗でにじませ頬を赤らめていく。彼女の凛々しかった美貌はあまりの恥じらいと苦悶でゆがみ、強靭な意志が宿っていたその瞳は徐々に弱々しく潤んでいく。
「おいおまえら、待ていっ!待ちんしゃい!」「くそっ…今度こそ捕まえてやる!」
尚も大岩と明日香はペギーの身体から無我夢中にその蝿のような虫たちを追い払おうとし続ける……や…や、やめ…てっ!…やめて!二人とももうやめてっ!!……その時『もうたまらない』といった感じでペギーが長い髪を振り乱し、両手で大岩と明日香を必死に振り払うように悲鳴にも似た弱々しい声を搾り出した。
「!?…ど、どうしてじゃペギー!?…ま、まだおんしの身体の周りにはあの変な虫が…」
「大ちゃん!いいの…もう…いいの…やめて…お願いだから…もう…やめて……もう…もうこれ以上わたしに…わたしに……」
大岩に向かって消え入りそうな声でそこまで言うと、ペギーは身をすくめるように右腕で自身の胸元を、左手で前を覆い隠すようなしぐさをしてしまう…更に彼女は何かにおびえるように下をうつむいている。
そんなペギーからはもはや凛々しい女戦士としての面影は微塵も感じられない…その姿は自らの身体を侵される恐怖に震えるただの“女の子”でしかなかった。どうやら彼女はただ性的に責められたからというよりは、故意でなかったとはいえ突然仲間たちから痴漢行為を受けてしまった事にかなりのショックを受けているようである。
「!…ぁ…そ、そうだった……済まなかった、ペギー…オレたちは…オレたちは何て事を…」
「!?…な、なんじゃ??明日香まで急に!?…い、一体どういうこと…」
グイィ…大岩がそこまで言うと明日香は彼の右腕をグイッと引っ張り、更に耳元でこんな耳打ちをする。
(バカ!大ちゃん……ペギーは確かにオレたちと同じゴレンジャーだけど…その前にペギーは一人の“女の子”でもあるんだぞ!……そんな女の子にオレたちみたいな男が幾ら変な虫を追い払うためだからといって身体をベタベタ触っていいわけがないだろう!?)
「ぁ!?……そ、そうじゃった……す、すまんペギー……おいどんたちはおなごのおんしに対して何て事を…」
大岩は明日香に耳打ちされ、自分たちが改めてペギーにとんでもないことをしていた事に気付かされる。そんな彼がさすがにバツが悪そうに、恐る恐る彼女を見ると…そのペギーは相変わらず何かにおびえるように身体をすくませガタガタと振るえている。そのような彼女を見て大岩はただただ申し訳なさそうに身を縮こまらせるのみであった。
「……ぃの…いいのよ、大ちゃん。……大ちゃんも明日香もわたしのピンチを必死に助けようとしてくれていただけなんだもの……それにあの状況だったんじゃ…仕方…ないわよ…」
「……ペギー…」「…すまん…すまんペギー……おいは…おいどんは男として何て恥ずかしか事を……」
しばらくの間、下をうつむいて何かにおびえるように震えていたペギーもようやく顔を上げる。そして彼女は自分たちのしてしまった事に落ち込みうなだれている大岩たちにニッコリと笑みを浮かべて、気丈にも彼らを励ますような言葉を投げかけてあげた。だがそんな彼女の姿は明らかにどこか無理をしているようで痛々しい…そのようなペギーの姿が改めて自分たちのしてしまった事のおろかさを思い知らせるような形になり、大岩たちの気持ちを更に沈ませてしまう事になってしまう。
「!…ヤ、ヤダ!?ふ、二人とも…わたしならもう大丈夫よ。だからもう…もうそんな顔しないで……それにさっきの事はわたし、もう何とも思ってないから…」
「…ペギー…すまない…本当にすまない…」「…ペギー…本当に…本当に申し訳なか…」
落ち込む二人を元気付けるようにやけに明るく振舞うペギー。だがそんな明るく振舞っている彼女の表情は先程までの責めでかなり汗ばみ、頬や耳のあたりも明らかに桜色に染まっている。彼らを見るそのまなざしもやはりまだ少し潤んでいた…そんな彼女の姿を見ると大岩たちはペギーに何と言われても素直に自分たちを許す気分にはなれなかったのである。
「もうっ、二人とも、そんな顔しないで!…それに済んでしまった事はもう仕方ないわよ。…それよりも早く“あの爆弾”を解体しないと…わたしの事なんかより“あれ”を早く何とかしないと、わたしたちもこの基地ごと本当にドカン!になっちゃうわ」
相変わらず無理矢理作ったような明るい表情でそう言うと、ペギーは踵(きびす)を返して再びあの水爆の解体作業に取り掛かろうとする。そんな彼女を見てさすがに驚く大岩と明日香。
「!…ペ、ペギー!?も、もしかして、もうその爆弾の解体作業を始めるつもりなのか??…む、無茶だ!せめてもう少し休んでからの方が…」
「…心配しないで、明日香。わたしならもう大丈夫よ。それに…“この爆弾”を安全に解体する事ができるのはわたしだけなんだし…それより早く“この爆弾”をバラさないとわたしたちもこの基地もろともドカン!になっちゃう……」
チッチッチッチッ……例の木箱の中に仕掛けられていた“水爆”の方をチラリと見やりながらそう明日香に言うペギー。彼女も“あのような事”の後である。肉体的にだけでなく精神的にも相当まいっていたはずだ。
だがペギーは決して休もうとはしない。彼女のゴレンジャーとしての、モモレンジャーとしての使命感がペギーの辛い進退を突き動かそうとしていた。しかしその時…!?…あっ、あんっ……彼女は突如として股間から脳天を突き上げられるような感覚に襲われる。
ペギーの黄色いホットパンツの中にはまだあの蝿のような虫が潜んでいるのだ。彼女のホットパンツとショーツの間に潜り込んでいたその虫はそこからペギーの秘所をチクリと刺激する。
「!?…ペギー!?や、やっぱり無茶ばい!…それにあんまり無理しちゃいかんとよ?」
「…だ、大丈夫よ、大ちゃん。こ、このくらい…!?…ぁ、あっ、あんっ…」
「!…ペ、ペギー!?やっぱり無理だ!せめて身体に取り付いているその変な虫たちを追い払ってからじゃないと…」
「…ぁ…はぁ…はぁ……へ、平気よ、明日香……だ、大丈夫。わたしに…わたしに任せて…」
呼吸を乱し、まだ時折身体をビクつかせ甘い吐息を漏らしてしまうペギーを心配そうに見つめる大岩と明日香…しかしペギーはそんな彼らに『わたしなら大丈夫よ』といった感じの笑みを浮かべて彼らを説得する。
…はぁ…はぁ……そしてペギーは後ろを振り返り、身体をよろよろとさせながら“あの爆弾”の解体作業に取り掛かろうとする…しかし大岩と明日香は、恥辱にまみれ消耗し切った彼女のそんな後ろ姿を見て胸が締め付けられるような想いがしていた。
だがペギーのその痛々しい姿を見ていたのは大岩たちだけではなかった。カサカサカサ…その部屋の天井にいた小さな蟻のような虫も彼らを真上から眺めていたのである。
ジーッ…しかしそれはただの蟻ではなかった。その蟻のような虫には超小型の監視カメラが仕込まれていたのである。その超小型カメラは黒十字軍が作り出した、小さな生物の形をした偵察用の監視カメラだったのだ。そして当然のようにその超小型カメラから彼らゴレンジャーを観察していた者がいたのである…。
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「グッフッフッフッフッフッフッ…我が黒十字軍が開発した“あの寄生虫”は暗がりから“最初”に見た者を宿主と見なししつこくつきまとうように仕込まれているからな、グフフッ、グフフフフフッ…」
ここは彼らゴレンジャーが捉えられていた秘密要塞の中にある核シェルター…そこから大岩、明日香、ペギーの三人がいる部屋の様子を映し出していた映像を楽しげに、ニヤニヤと陰湿な目で眺めている男がいた。現在、黒十字軍の日本方面侵略の指揮を任されている将軍・日輪仮面その人である。
「…しかもその相手が“あの女”ペギー松山・モモレンジャーとはな…コイツは実に面白い見世物だよ、グッフッフッフッ、グッフッフッフッフッフッ…」
その男、日輪仮面はカメラから送られてくるその映像…ゴレンジャーの紅一点・モモレンジャーことペギー松山が自分たち黒十字軍が開発した“寄生虫”たちに苦悶の表情を浮かべ、あまつさえ思わぬ形で仲間から痴漢行為を受けてしまうという恥辱にまみれている光景を、ほくそ笑みながら眺めていた。
『!…っ……わ、わたしが…わたしがやらなきゃ……!?…ぁ、あっ、あんっ…はぁ…はぁ……わたしが…わたしがやらなくちゃ……』
これまでその豊富な爆発物の知識と意思の強さ、何より強い正義感で女だてらに自分たち黒十字軍の作戦をことごとく邪魔してきたあの憎きモモレンジャー・ペギー松山が、普段は絶対に見せないような弱々しい姿で恥辱にまみれているのである。狡猾で残忍な性格、何より人間、特に女子供など“弱者”とされている者が苦しむ姿を見る事が一番の楽しみである日輪仮面にはそれはたまらない光景だった。
「おい!…この映像、ちゃんとビデオは回しているだろうな?」
「はっ!日輪仮面様、その辺はぬかりはございません!」
「そうか、グッフッフッフッフッ…このような面白い映像、わたしたちだけで楽しむのはもったいないからな…後でイーグルのヤツらにもバラまいて見せてやるか、グフフッ、グフフフフフッ」
「おい!…こんなくだらない余興を見せるためにオレをわざわざアメリカから呼んだわけではないのだろう?」
近くにいたゾルダーにそう楽しげに問う日輪仮面…そんな彼らのやりとりを傍らで少し苛立ち、あきれたように見ていた男が口を挟んできた。
現在日本方面でゴレンジャーに相当手を焼いていた日輪仮面に加勢するため、ひいてはゴレンジャーを抹殺するためにアメリカ方面からやってきた仮面怪人、その名の通り黒十字軍一の狙撃手(スナイパー)、“黒十字軍のゴルゴ13”との異名を持つ男、スナイパー仮面である。
彼は周りにいたゾルダーと同じような黒服で身を固め、背中には名うてのスナイパーらしく彼専用、特性のスナイパーライフルを背負い込んでいた。
「グッフッフッフッ…まぁそう言うな、スナイパー仮面よ。あの女、“ムチムチボディ”のモモレンジャー、いやペギー松山が淫らに悶え狂う姿は中々面白い見世物だとは思わないか?グフフッ、愚フフフフフフッ」
そう暗く陰湿に笑う日輪仮面…確かに彼女はスラリとしたスレンダー体系の美人というよりはほどよく肉付きがよく量感がある、それでいて出るところは出て引っ込む所は引っ込んでいる、いわゆる官能的な肢体を誇っている美女である。そんな彼女が恥じらいに溺れ、艶っぽく喘ぐ姿は男なら誰しもが反応してしまうであろう、かなり魅惑的な色香を漂わせていた。
そして何よりスナイパー仮面は狡猾で残忍な性格、人間の女子供が苦しむ姿を見るのが一番の楽しみである日輪仮面がそのような態度を取るであろうことはあらかじめ予想がついていた。我が強く、それぞれの関係に問題が多かった黒十字軍の仮面怪人同士にしては、日輪仮面とスナイパー仮面はめずらしく昔から仲が良く、気心が知れていたからだ。
「フッ…相変わらずだな、日輪仮面よ…だがオレをわざわざ呼んだ理由は他にちゃんとあるのだろう?…早くそれを教えてくれないか?フフフッ、フフフフフフッ」
右手に手にしたタバコを口元に持っていき『相変わらずしょうがないヤツだ』という表情を浮かべ、そのような事を言うスナイパー仮面。
「グッフッフッフッ…まぁあせるなよ、スナイパー仮面。これからちゃんと教えてやるからさ、グフフッ、グフフフフフッ」
そう言いながら不気味で陰湿な笑みをたたえている日輪仮面…どうやら彼は自分の作戦に相当の自信を持っているようだ。そして日輪仮面は、目の前のスナイパー仮面にその作戦について自信アりげに語り始めた。
「…まず今回の作戦は一言で言うとゴレンジャーを分断させて各個撃破していく作戦だ。五人揃った時のヤツらゴレンジャーは計り知れない力を発揮するからな…逆に五人揃わないゴレンジャーなど物の数ではないということだ、グフフフフフッ」
「…」
自らの考案した作戦を得意気に語りだす日輪仮面。目の前にいたスナイパー仮面は咥えていたタバコをくゆらせながら、黙ってそれを聞いている。
「そして今回わたしがターゲットにするのはこの女、ペギー松山、いやモモレンジャーだ!…ヤツらゴレンジャーの“最大の切り札”は何と言っても”ゴレンジャーストーム”だ。だからまずその要になっているモモレンジャーを叩き潰す!というわけだな…グフフッ、グフフフフフッ」
「ふーっ……だが日輪仮面よ。ゴレンジャーストームは“五人”で繰り出すものだと聞いているぞ?わざわざ“その女”にこだわる必要はないのではないか?」
画面に映し出される、汗ばんだ表情で懸命に爆弾を解体しようとしていたペギーを指差して、そう力説する日輪仮面。ここで日輪仮面が言う“ゴレンジャーストーム”とはゴレンジャー五人で繰り出す彼ら最大の切り札の事だ。
爆発物のスペシャリストであるモモレンジャーが“キック爆弾”と呼ばれる爆弾を瞬時に作り出し、それを五人が蹴り繋いでいき敵に食らわせる、ゴレンジャーが誇る最強の必殺技である。日輪仮面はその必殺技の爆弾を作り出しているモモレンジャーを狙い撃ちにしようというのだ。
だがそこに今まで日輪仮面の説明を黙って聞いていたスナイパー仮面が、咥えていたタバコから大きく煙をふかしながら初めて疑問を投げかけてきた。『ゴレンジャーストームは五人で繰り出すものではなかったのか?わざわざその女にこだわる必要はないのではないか?』と…だがそれも承知で日輪仮面にはモモレンジャーを狙い撃ちにする括弧たる理由があるらしい…日輪仮面は自信に満ちた表情でそれを説明し始めた。
「グッフッフッフッフッ…確かにそうだ。だがよく調べていくとこの“ゴレンジャーストーム”は別に五人でなくても使えるようなのだ。“この女”さえいればな…だからゴレンジャーストームを完全に封じるにはまずこの女、モモレンジャーを抹殺する必要があるというわけだ…分かったか、スナイパー仮面よ、グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そこまで調べ上げているのか…相変わらず用意周到だな、日輪仮面よ、フフフッ、フフフフフフッ……だがその女、モモレンジャーは既に捉えているのだろう?ならおまえの手柄を横取りするために、わざわざオレが来る必要などなかったのではないか?」
「ぐっふっふっふっふっ…その心配はご無用だ。別にわたしは貴様に手柄を横取りされるつもりも貴様の出番も奪うつもりもサラサラないのでね、グフフッ、グフフフフフッ」
??…どういうことだ!?……スナイパー仮面には日輪仮面の言っている意味が全く分からない。この状況なら自分の出番はないのではないか?なのに何故??……グリッ、グリッ…手にしていたタバコを地面に捨て、右の足裏でそのタバコの火をもみ消しながらスナイパー仮面はそのような事を考えていた。
既にモモレンジャーは捉えてある。それならスナイパー仮面の出番はなさそうなのだが…だが日輪仮面の考えはどうやら違うようだ。
「グッフッフッフッ…貴様はわたしが“あの水爆”でアイツらを吹っ飛ばすつもりだと思っているのだろう?だがあの爆弾はあの女・ペギー松山、いやモモレンジャーが恐らくキッチリ解体する、そしてヤツらは捕らえられていた“あの部屋”からもしっかり脱出してくるだろう…まぁそのために“あの水爆”の爆発までの時間に余裕を持たせてやったんだけどな、グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そういうことか…だが何故だ?せっかく捉えた獲物を…?何故そんな回りくどいマネをするのだ?」
「なぁに、ちょっとした“余興”だよ。だがそのおかげであのいまいましい女、モモレンジャー、いやペギー松山が恥辱に悶え苦しむ姿を見る事ができたしな、グッフッフッフッフッ……それにヤツらゴレンジャーにはこれまで散々煮え湯を飲まされてきた。あんな爆弾で一瞬にして消してしまってはつまらんからな…今回、わたしはこれまで受けてきた屈辱を何倍、いや何十倍にもしてヤツらにお返ししてやるつもりだ」
打倒ゴレンジャーへ凄まじい執念を燃やす日輪仮面。その執念で日輪仮面はこれまで自分がゴレンジャーたちによって受けた屈辱を何十倍にもして返すつもりだ。更に彼のゆがんだ執念はこれだけでは気が済まないらしい。
「…それに今回の作戦でわたしはヤツらゴレンジャーを一網打尽にするつもりなのでね。そしてあのモモレンジャーにはそのための“エサ”になってもらうつもりだ。残り二人のゴレンジャーをおびき出すためのな。それに…」
それに?何だ?……ゴレンジャーを一網打尽にするための“エサ”にあのモモレンジャーを利用するという事まではスナイパー仮面は理解できた。だが日輪仮面にはまだ何か考えがあるらしい…日輪仮面はこれまでよりも“サディスティック”な笑みを浮かべてその陰湿な企みを話し始めた。
「…それに良質な“エサ”を作り出すためにはそれなりの拷問が必要だ。だがどうせ拷問するのであればムサ苦しい男などよりムチムチボディの女の方がいいとは思わないか?…あの女だてらに気の強い、生意気そうなツラ構えをしているあの女、モモレンジャー、いやペギー松山の顔を苦悶と絶望でグチャグチャにゆがめてみたいとは思わないか?…グフフッ、グフフフフフッ、グフフフフフッ」
「フッ、そういうことか……相変わらずの悪趣味だな…フフフッ、フフフフフフッ」
自らが持っているサディストの一面を隠そうともせず、陰湿にただただ不気味な笑い声を漏らす日輪仮面。人間、特に女子供が苦しむ姿を見る事が一番の楽しみである日輪仮面はゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーことペギー松山を徹底的にいたぶり辱めるつもりなのだ。ゴレンジャーをおびき出すための“拷問”と称して自らの欲望を満たすために…そんな日輪仮面を半ばあきれるようにスナイパー仮面は見ていた。
「…ところでヤツらをわざと“あの部屋”から逃がしてやる事は分かった。だがそれからまたアイツらを捕らえるのだろう?それはどうするつもりなのだ?それもちゃんと考えてあるんだろうな?…まぁ用意周到なおまえのことだ。ぬかりはないと思うがな、フフフッ、フフフフフフッ」
「ぐっふっふっふっふっ…心配するな、それもちゃんと考えてあるさ、グフフッ、グフフフフフッ」
相変わらずニヤニヤと不気味な笑みを浮かべている日輪仮面。そして彼は打倒ゴレンジャーに向けての自らの考えを説明し始めた。
「…まずアイツらは恐らくあの爆弾を解体し、あの部屋からも脱出してくるだろう。そしてこの要塞から脱出しようと建物の外に出てくるはずだ。ヤツらを再び捉えるのはそこでだ。グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そこまで見通しは立っているのか?…だがそこからどうするつもりなのだ、日輪仮面よ?」
「グッフッフッフッ…そこでだ。いよいよ貴様の出番となる。それもかなり重要な役目だ、グフフッ、グフフフフフッ」
「ほぉ、そうか…で、オレにどうしろと…?」
グフフフフッ、それはな……黒十字軍の仮面怪人、狡猾で残忍極まりない性格の日輪仮面と射撃の名手、スナイパー仮面の打倒ゴレンジャーのための打ち合わせはどこまでも続くのであった…。
- 以下 黒い死の要塞!!恥辱まみれのモモレンジャー 脱出編へ続く -