- 戦隊壊滅!?公開処刑にされる女戦士 前編 -
*注 この話は『この男(怪物)、好色につき…』の続きの話になります。なのでできれば先にそちらを読んでいただく事をお奨めします。
いずこかの暗闇の中…デンジピンクこと桃井あきらは、気を失ったまま高さ50cm、幅1mほどの台の上に、手錠に両手を後ろ手にされ座らされていた。
「よし、やれっ!」
何者かがそのような号令をかけると、近くにいた別の誰かがその台に座らされていた彼女の左手の薬指を掴み、小さく短い刃渡りのノコギリで、デンジリングを身につけていたその指を切断し始めた。
ゴォリゴォリゴォリ…あきらの指の骨が削られる嫌な音がその暗闇にこだまする。
「…っ…!ああっ…あああぁ、ああああっ、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
指の骨が削られるその痛みであきらは意識を回復させた。だが、彼女はその激痛から必死に逃れようと、その凛々しい顔を苦痛にゆがませ身体をバタバタさせ暴れまわっている。
「…あああっ…ああああぁぁぁぁ!!」(な、何?…い、痛、ああああぁぁ…そ、それに…か、身体が…身体が動かせない…!?)
あきらはその座らされていた台から立ち上がって逃げようとするが、何かが身体に巻きつきあきらを拘束しているため身体をその台から動かす事ができない。
はたから見ると彼女は、背もたれの無いその台に両脚を揃えて座らされている。
そして、その台のすぐ後ろにあった細い鉄の柱とあきらの身体をつなぐように、細い特殊で硬質なピアノ線で彼女のピンクの上着の上から何重にもグルグルに巻かれ拘束されている。
さらに手錠で拘束されていた彼女の両手は、その細い鉄柱を囲うように回されていたため、あきらが身体を暴れさせ両腕を動かすたびに、ガチャガチャと無機質な金属音を立てていた。
「…あああっ…あああああぁ、あああぁぁぁぁ!!」
その凛々しい美貌を苦痛でゆがませ、彼女は顔から大量の脂汗を吹き出していた。
ギュゥッ、ギュゥッ…あきらが身体を暴れさせるたびに、ピンクの上着の上から彼女の胸に何重にも巻きついていたピアノ線が彼女のその乳房に食い込み、あきらのそのほどよく大きいバスとをさらに強調させていく。
「あああぁぁぁ…ぎゃああああぁぁぁ!!」
ポトンッ。やがて彼女の薬指はその左手から完全に離れ、地面にポトリと落ちてしまった。薬指を切り落とされてしまったその左手は、その断面から切られた骨の跡がくっきり見え、大量の血がしたたり落ちている。
「…あ…う、ううぅ…」
指を切り落とされたあきらは大量の出血から意識を朦朧とさせ、その表情からは血の気がなくなっていた。
やがてその指を切り落としていた何者かがそれを拾い上げる。そしてその拾い上げた指をその何者かが正面からあきらへと見せつけてくる。それはベーダーの首領、ヘドリアン女王の侍女、ケラーだった。
「…あ…う、う…」(わ、わたしの指??そ、それにわたしのデンジリングが…)
見せつけられた、デンジリングをハメている自分のその指を見て、あきらは何故ヤツらがそのような事をしていたのかを理解した。
ヤツらは自分の指ではなく、この指輪を自分から取り上げるためにこのような事をしていたのだと。やがて不気味な笑みを浮かべ、目の前にヘドラー将軍の姿が現れる。
「フフフッ、お目覚めのようだね、デンジピンク、いや桃井あきらよ…ご機嫌はいかがかな?…麗しいレディには少々手荒い起こし方だったかも知れないがな…グフフフフッ」
「ぐ、ぐっ……ヘ、ヘド…ラー…」
目の前に現れたヘドラー将軍を見て、あきらは何故自分がこのような状況に置かれているかについて頭の中で思い返していた。
(た、確かわたしは…みんなとあの変なベーダー怪物と戦って…そ、それから…あのバケモノとベーダーに、わ、わたしの身体を弄ばれて…そ、それでそのまま意識を失って…そ、それからは…??)
その経緯を思い返していく中で、その過程で受けた恥辱を思い出していく内に彼女はだんだんと屈辱に頬を赤らめ顔をゆがませていく。
「フフフッ…囚われの女戦士、か…いい格好だな、桃井あきら、グフフフフッ」
ゆっくりとあきらの目の前まで近づいてきたヘドラーは、左手で彼女のアゴを掴み自分の方へクイッと向かせる。
「く、くっ……」
目の前にいたヘドラーの顔を、あきらは見上げるように鋭い目つきで睨みつけている。そんなあきらに、ヘドラーはさらに顔を目の前10cmぐらいにまで近づけていく。
「く、くっ…そ、それ以上近づかないで!」
ぺっ…あきらは近づいてきたヘドラーの顔に唾を吐きつける。顔に吐きつけられた唾を拭うヘドラー。してやったりの表情を浮かべる彼女。
「ぐっ……ほぅ、さすがは気高き女戦士と言ったところか。まだまだ活きがいいようだな…安心したよ。何たって貴様は“アイツ”の大切な大切な遊び相手だからな、グフフフフッ」
右手で顔を拭いながらニヤリと不気味な笑みを浮かべるヘドラー。
「?ど、どういうことよ!一体?……!はっ!?」
何の事だかサッパリ分からず思わず聞き返すあきら。その時、彼女の股間に突然の違和感が…ムギュッ。いつの間にかヘドラーの右手があきらのミニスカートの中に潜り込み、彼女の股間を愛撫し始めたのだ。その手は、ピンクのアンダースコート越しにあきらの秘所を的確に刺激してくる。
「!…や、やっ…な、何すんのよ!…ぐ、ぐっ…」
「グフフフッ…貴様は知らないだろうがな、桃井あきら…確かに貴様・電子戦隊の紅一点、デンジピンクは我らがベーダーの憎むべき敵だ。だがな、我らベーダーにとって貴様にはもう一つの顔があるのだよ…」
「や……うっ、くっ……ど、どういう…事??」
そのヘドラーの言葉にあきらは疑問を投げかける。そんな彼女は自分の股間を愛撫してくるヘドラーのそのいやらしい手つきから何とか逃れようと、懸命に身体をよじらせもがいていた。
「それは貴様の身体が我らの性欲処理の対象になってたって事だ…その整った顔、しなやかな肢体、ボリューム感たっぷりのケツ、そのはち切れんばかりのムチムチ脚…さらにその脚をいつも白のホットパンツやピンクのミニスカートで惜しげもなく晒しているその衣装だろう?…夜のオカズとして貴様にだいぶお世話になったダストラーたちも多いようだからな、グフフフフッ」
「…ぐ、ぐっ…こ、このっ……!あ!?」
卑猥な言葉を浴びせてくるヘドラーに、感情のおもむくままに前蹴りを食らわせようとするあきら。だが、ヘドリアンの侍女ケラーと猛一人の侍女ミラーが彼女の両足のくるぶし辺りを掴んでいたため身動きを取る事ができない。
「フフフッ、何をしようとしていたのだ?…まったく元気のいい女だ。そんな生意気な娘にはお仕置きをしてやらないとな、グフフフフッ」
右手であきらの股間を弄繰り回していたヘドラーの彼女に対する責めはまだまだ終わらない…彼はその常態でさらにあきらのアゴを掴んでいた左手で彼女の右胸を鷲掴みにし、乱暴に揉みほぐし始めた。
「あっ!?…や、やめっ…あっ、あん…あぁん…はあぁん…」
ヘドラーの魔手に弄ばれる乳房とピンクのアンスコに包まれている股間…ひたすら性感帯を責め続けられていたあきら。彼女は頬を赤らめ顔を汗だくにし、目をつぶりかぶりを振りながら、艶めかしく喘ぎ、身悶えている。
「ああっ…あぁん、ああぁん…はあぁん…」
「…随分反応良く喘ぐじゃないか?フフフフッ、中々楽しませてくれるな…だがまだ貴様の身体をそれほど汚すつもりはないんだよ…あんまり汚すと“アイツ”に怒られるからな、グフフフフッ」
「…あぁん…ああぁん…っ……ぐ、ぐっ…はぁ…はぁ……」(??そ、それにしても…さっきからヘドラーが言ってる“アイツ”って一体…?)
ヘドラーの愛撫から開放され激しい喘ぎ声も何とか修まったあきら。肩で大きく息をしながら彼女はヘドラーの言っていた“まだ見ぬ脅威”について考えていた。
「…そういうわけだから貴様を解放してやるよ、グフフフフッ」
ブチンッ。そう言うとヘドラーは、すぐ後ろの細い鉄柱とあきらの身体をつなぐように巻きつき絞めつけていたピアノ線を、手にしていた剣で切断する。
続いてヘドラーはその鉄柱もあきらの手の下辺りで切り落とす。そして、その切り落とした細い鉄の棒を掴み周囲へ無造作にポイッと投げ捨てた。
「よし……これで動けるだろう?…ん?」
(チャンス!今だわ!!)
ガタッ!拘束から開放されたあきらは、座らされていた台から素早く立ち上がりすぐさま後ろにいたヘドラーの方を振り向き、鋭く睨みつけこう叫んだ。
「油断したわねヘドラー!!…そう簡単におまえたちの思い通りにはさせない!」
「お、おのれこの女!まだ抵抗するつもり…」
「…まぁよい。この女はオレ様が黙らせてやる…ケラー、ミラー、おまえたちはさがっておれ」
抵抗する様子を見せるあきらにいきり立つ二人の侍女。ヘドラーはそんな二人を制し、彼女たちに自分の手にしていた剣を持たせしりぞかせる。軽く一例し身を引く二人の侍女。そしてヘドラーはあきらに向かってゆっくりと歩き始めた。
「ぐ、ぐっ…例えこんな常態でも…わたしはベーダーなんかには負けない!」
手錠で両手を後ろ手に拘束されていたあきら。だが彼女は腰を落として身構え、ヘドラーを睨みつけてこう宣言する。
「フフフフッ、バカな女だ…よかろう。少しだけ貴様と遊んでやるよ、グフフフフッ」
「ぐ、ぐっ…ナメないでよね!…やあああぁ!」
気合一線…あきらはヘドラーに左のハイキックを浴びせる。だが彼はそれをいとも簡単に左手でいなす。
「やあっ!とおっ!やあっ!…」
さらに攻勢に出るあきら。その流れでそのまま右のハイキック、左の回し蹴り、続けて右のハイキック…彼女は両手を後ろ手にされた身体をこまのように器用に回転させ素早い連続蹴りを浴びせていく。
しかしヘドラーはあきらのその蹴りを全て余裕の表情でいなしていく。
「フフフッ、軽い軽い。こんなものか、桃井あきら。寝てしまいそうだぞ…グフフフフッ」
「なっ!?…ま、まだこれからよっ…やああああっ!」
ヘドラーに小ばかにされたあきらの渾身の左回し蹴りが彼を襲う。ガシッ…だがあきらの渾身のその蹴りはヘドラーの右手によっていとも簡単に掴み取られてしまった。
「!あっ!?…ぐ、ぐっ…」
「フフフッ、捕まえたぞ、グフフフフッ」
スウゥー…そしてヘドラーの左手があきらの太腿をいやらしい手つきでさすっていく。
「!…やっ!?…な、何支店のよ!この変態!」
「フフフッ、相変わらずそそられるムチムチ脚だ…このはち切れんばかりのフトモモ…その脚が“生”ではなくて“濃い茶のパンスト”と言うのがまたたまらないな、グフフフフッ」
ぐ、ぐっ…次々と浴びせてくるヘドラーの卑猥な言葉があきらの頬をだんだんと桃色に染め上げていく。
「…しばらくこのまま貴様のその魅力的なムチムチ脚を堪能していてもいいんだがな…残念ながら貴様には“先約”がいるもんでな。口惜しいが貴様と遊ぶのはもう終わりにするよ、グフフフフッ」
ガッ。するとあきらの太腿をさすっていたヘドラーの左手が彼女の右肩を掴み、そのまま彼女をあお向けに押し倒していく。
「あっ!?や、やめ…き、きゃあああぁぁぁ!……あぅ」
ドサッ。あきらは背中から勢いよく押し倒され、すかさずそのままヘドラーに馬乗りにされてしまった。
そして、ヘドラーはすぐさま自身の左手をあきらの喉元にかけ、彼女の身体を押さえつける。
「し、しまっ……ぐ、ぐっ…」
「どうだ?半端な抵抗をしてもムダだという事がこれで分かっただろう?…分かったらおとなしく我らの言う通りにするのだな、グフフフフッ」
眼下に押さえつけているあきらを見下すような冷たい視線で見つめ、冷徹にそう言い放つヘドラー。
「ぐ、ぐっ…い、今に見てなさい!…わたしはデンジ星人の末裔、誇り高き戦士デンジピンクよ!…だから…だから、わたしはおまえたちなんかに…ベーダーなんかには絶対負けないわ!」
はぁ、はぁ…興奮し、息を切らすほど勢いヨク次々にそんな事をまくしたてるあきら。
ヘドラーはそんなあきらを見て一瞬顔をゆがめる。が、すぐにニヤリと気味悪い笑みを浮かべ、余裕の表情で彼女を見下し、こう言い放った。
「…ほぅ…まだそんな事をのたまう元気が残っていたとはな…どこまでも活きのいい女だ。そこまで元気がいいともう少し遊んでやりたくなるよ、グフフフフッ」
ムギュッ。そう言うとヘドラーはあきらの量胸に自身の左右の手をかけ、力強く揉みほぐし始めた。
「あっ!?ぐ、ぐっ…あっ、あん、あぁん…はあぁん…」
目をつぶり顔を汗だくにし、頬を赤く染め髪を振り乱して身悶えるあきら。
「フフフッ…それだけ色っぽく喘いでくれるとこちらとしても弄り甲斐があるよ…だがな、“アイツ”が貴様を待っているのでな、あまり傷モノにはできないのだよ、グフフフフッ」
「…あぁん、ああぁん…はあぁん……はぁ…はぁ……ぐ、ぐっ…さ、さっきからおまえが言ってる“アイツ”って一体誰なのよ?」
両胸を揉みほぐしていたヘドラーの手から開放されたあきらは、大きく呼吸を乱しながらそんな疑問を投げかける。
しかし、ヘドラーはそんなあきらの問いかけを無視し、馬乗りになっていた彼女からスクッと立ち上がり、あきらの胸ぐらを掴んで自身の目の前に持ち上げる。
「!きゃっ!?…あぅ……ぐ、ぐっ…何するの?は、離して…離しなさい…」
ピンクの上着の胸ぐらを掴まれ、ヘドラーの右手で地面から数十cmの高さで持ち上げられていたあきらは、その白いブーツを履いた両脚をバタバタさせて暴れまわっている。
「フフフッ…本当は貴様も何となく気づいているのではないのか?…そいつが貴様の“その肢体”を首を長くして待っているのだよ、グフフフフッ」
(ぐ、ぐっ…や、やっぱりそうなの?)
ヘドラーの右手に持ち上げられていたあきらは、脳裏に記憶に新しい“ある忌まわしき怪物”の事を思い浮かべていた。
「そういう事だ…そして貴様と遊ぶのはこれで本当にもうおしまいだ…はあっ!!」
「きゃぅっ!?……ぐ、ぐっ……あぁぅ…う、ううぅ」
ドスッ!そう宣言したヘドラーはあきらの股間に思い切り左拳をぶち込んだ。急所に強烈な一撃を叩き込まれ奇妙な声を上げるあきら。
そしてヘドラーは彼女を足から地面に勢いヨク叩きつけた。叩きつけられたあきらはしゃがんだまま、頭上で冷徹な笑みを浮かべているヘドラーの顔を鋭い眼光で睨みつけている。
「さぁ立て!まだ死にたくはないだろう?…グフフフッ」
ぐ、ぐっ…ヘドリアン女王の侍女ケラーから、預けていた自分の剣を受け取りそれをあきらの眼前に突きつけ、命令口調でこう言い放つヘドラー。
(くっ…い、今はこの男の言う通りになるしか…機会を窺うしかないわ)
スクッ。あきらは、とりあえずこの場はおとなしくヘドラーの命令を聞いて立ち上がり、そしてチャンスを窺う事にした。
「フフフッ、それでいい…中々聞き分けがいいではないか?…ではそっちに行ってもらおうか?グフフフッ」
そう上機嫌に言い放ったヘドラーはあきらの後方へ回り込み、ピンクのミニスカート越しに彼女のその尻を手にしていた剣でつつき始めた。
ぐ、ぐっ…ヘドラーの持つ剣の剣先に、ツン、ツンと弄ばれるあきらのヒップ。こみ上げてくる怒りと屈辱を押し殺し、彼女は彼の支持する方向へと歩き始めた。
「…こっちだ。“あの扉”の方へ向かうのだ、グフフフフッ」
相変わらずあきらの尻を突いていたヘドラーは、前方の重量感のある両開きの扉へ向かうよう支持する。あきらもおとなしくその支持に従い、その扉の方へと歩を進めていく。
やがて彼女はその扉の前へと辿り付く。ギギギィ…そしてあきらとヘドラーの後ろに静かについてきたミラーがその重い扉を開けた。
開いた入り口からは、今までいたこの暗闇の空間とは明らかに違うまばゆい光が漏れてきていた。
「さぁ、この入り口の向こうへと進んでもらおうか?グフフフッ」
ヘドラーが手にしていた剣で彼女の尻をツン、ツンとつつきながら支持する。ぐ、ぐっ…あきらも渋々その支持に従いその方向へと歩き始めた。
やがて彼女の視界にまばゆい光が入ってくる。く、くっ…今までいた暗闇の空間からのギャップに、その明るさを避けるように目をつぶるあきら。
ざわ…ざわ…う、うおおおおおぉ!!…あきらがその光を浴び、その空間へ姿を現すと周りから歓声が湧き起こる。
「おい見ろよ!本当にデンジピンクだぜ」「…ああ、あの女だ。ぐへへへへへっ」
(な、何なの?ここは…?)
突然湧き起こるたくさんの大きな声と次々に浴びせられる自分への言葉…大きな歓声の起きるその観客席のような周囲を見渡し、辺りの様子を確認するあきら。
どうやら彼女が足を踏み入れた場所は、高さ5m程のフェンスに取り囲まれた円形の闘技場のような所のようだ。
そしてそのフェンス越しには野球場のようなスタンドが設置され、そこには見渡す限りのダストラーの大群で埋め尽くされている。
その闘技場の観客である、そのダストラーたちがあきらの姿を認めると次々と歓声を上げ始めている。それも彼女にとって耳にしたくない言葉だ。
「へへへっ、上から楽しい事があるからここに来い!って言われたがまさかあの女がここにいるとはな…」「…って事はあの女がこのショーの主役って事か?フヘヘヘヘヘッ」「おい、せいぜいオレたちを楽しませてくれよ、ねぇちゃん、ぐへへへへっ」
(な、何なの?このダストラーの大群は?…それにわたしがショーの主役ってどういう事?……!はっ??)
次々に自分へと浴びせられる野次と罵声の嵐…そんな状況にとまどっていたあきらは、とある光景を目の当たりにし愕然とする。
それは彼女以外のデンジマンの4人が、あきらの前方のスタンドの前列で十字の柱に磔にされていたのだ。彼らもまたあきらの姿を認めそれぞれに驚愕の表情を浮かべている。
「あ、あきら…?「…ぶ、無事だったのかあきら…」
「…赤木さん!青梅さん!み、みんな……ま、待っててみんな。今そこから助けるから」
ダッ!あきらは何も考えずすぐさま彼らの下に駆け出そうとする。だがその時…ガシィッ…走り出した彼女の目の前にヘドラーの剣が突き刺さり彼女の行く手を遮る。
「きゃっ!?…ぐ、ぐっ」
「おい、何勝手に動いてるのだ!…それにあいつらの命が惜しいのなら勝手な行動は慎む事だな、グフフフフッ」
(ぐ、ぐっ……!はっ)
「ぎゃあああぁぁぁ…ああああぁぁぁ!」「っ…あつっ…ああぁぁ…ああああぁぁぁ!」
そこに闘技場全体に響き渡る男たちの悲痛な叫び声が…あきらがその声の方へ視線を向けるとそこには彼女にとって驚くべき光景が繰り広げられていた。
それは十字の柱に磔にされていた赤木たちあきら以外のデンジマンの4人が、先端に高熱を帯びた鉄の棒をそれぞれの顔に向けられ、根性焼きのようにされているところだった。
「なっ!?そ、そんな……あ、赤木さん!み、みんなが、みんなが…ぐ、ぐっ…お、お願い、やめてっ、そ、それ以上みんなに手を出さないで!……分かったわ…わたしが…わたしがおまえたちの言う通りにすればいいんでしょ?だから…だからそれ以上みんなを…みんなを…」
その光景を目の当たりにしたあきらは、苦しむ仲間たちを助けるために敵であるベーダーに必死に懇願している。
そしてあきらのその願いは意外?にもあっさりと受け入れられ、その根性焼きを指揮していた何者かがそれを止めるように支持する。それはベーダーの首領、ヘドリアン女王だった。
「…自分を犠牲にして仲間を助け出そうってのかい?…フフフッ、中々見上げた心がけじゃないか?…久しぶりだねぇ、デンジピンク。いや、デンジマンに変身できない“ただの女”の今のおまえには桃井あきらと言った方がいいのかぇ…アーッハッハッハッ…」
「ぐ、ぐっ…お、おまえは…ヘドリアン女王!…そ、それじゃここは…まさか…?」
「そうだよ。ここは我がベーダーの居城、ベーダー城だよ…そしてここはそのベーダー城の中にある闘技場ってことさ、捕らえた捕虜同士を戦わせるためのね、アーッハッハッハッ…」
(く、くっ…捕虜同士を戦わせるための闘技場?…じ、じゃあその捕虜はわたしだって言うの?そしてさっきダストラーたちが言ってた“ショーの主役”って言うのもわたし?……ぐ、ぐっ)
彼女は自分の置かれている状況を徐々に理解し始めた。ヤツらは自分をこの闘技場で“見世物”として戦わせるために捕虜として連れてきたのだと。
だがふとあきらの脳裏に一つの疑問が浮かんでくる。ここで戦わせる一人が自分だとして、その相手は一体誰なのか…?彼女は考えを巡らせていく内に“とある嫌な思い”が浮かんできていた。
(そういえばさっきヘドラーが言ってた“アイツ”って…もしかしてそいつをわたしと戦わせようって言うの?あの変態怪物と?……ぐ、ぐっ)
これまでのヘドラーの発言と今自分が置かれている状況…それらが徐々にシンクロしていく内にあきらの脳裏には“まだ見ぬ脅威”の正体がハッきりと浮かんできていた。そいつが“女”の自分にとって忌まわしいヤツである事も…。
やがてマイクを手にしたヘドラーがそのマイクにスイッチを入れ、周囲のダストラーに呼びかけ始めた。
『あ、あ~…オホンッ…よし……聞こえるか?おまえら…諸君、今日はこの女、“デンジピンク公開処刑ショー”によくぞ集まってくれた!…グフフフフッ』
「うおおおおぉぉぉ!」
場内に呼びかけるヘドラー、そのヘドラーのアナウンスに一層盛り上がる観客であるダストラーたち。
くっ…その湧き上がる歓声を聞き、その凛々しい表情をゆがませ心の中で苦虫をつぶしているあきら。
『…今からこの女、デンジピンク・桃井あきらの公開処刑を始める…方法は簡単だ。今からこの女と“とあるベーダー怪物”を戦わせる、ここに集まってもらった諸君にはその様子をゆっくり楽しんでいってもらいたい、グフフフフッ』
「うおおおおぉぉぉぉ!」
『…尚、この女はいつものようにデンジマンには変身できない。さらにコイツの両手は後ろ手にしてある…だから普段の力を発揮できないデンジピンクの苦悩の戦いを存分に楽しんでいくといい、グフフフフッ』
ざわ、ざわ…ど、どわあああぁぁぁ!!
マイクを手にこれから行なう“ショー”の主旨を説明するヘドラー。それを聞いて観客であるダストラーたちの盛り上がりは最高潮に達する。
「ぐっ…こ、このままじゃあきらが…うっ、くっ…赤木!何とかならないのかよっ」
「…残念だが今方法は…無い。無いがこのままあきらを…あきらを一人戦わせるわけにはいかないっ…だからみんな、何とかして脱出方法を考えるんだ」
右隣に磔にされていた赤木に問いかける青梅。目を閉じそれを黙ってじっと聞いていた赤木は、今自分たちが置かれている状況を冷静に分析し、こう答えた。
薄情な決断にも見えるが彼女の助けになりたいのは赤木も同じ事…しかし冷静に戦況を分析した結果、有効な手段が見つからないのだ。彼にとっても苦渋の決断に違いなかった。
彼ら4人はあきらと同じように左手の薬指を身につけていたデンジリングごと切り落とされ、デンジマンへの変身を封じられていた。そんな彼らに力技でこの拘束を脱出する術はなかったのである。
『…ではこれから“この女”と戦うベーダー怪物に入ってきてもらおう…グフフフッ』
ギイィィィィ…そしてあきらの前方の重量感のある両開きのその扉が開きその怪物が現れる。
そしてそれは彼女の想像していた通りの、2m50cm程の緑色の体躯に300kg弱のデップリとした巨体の持ち主、女のあきらにとっては忌まわしい最低最悪の怪物・ケベラーだった。
「ダハハハハハッ…ピ、ピンクちゃん、ピンクちゃん久しぶりなんだな。ま、またおでと…おでと遊ぶんだな…ダハッ、ダハハッ、ダハハハハハッ」
(ぐ、ぐっ…や、やっぱりあの変態エロ怪物だったの?)
目の前に現れた怪物の姿を見て、あきらは以前に受けた恥辱を思い出し、頬を赤らめ凛々しく整った顔をゆがませていく。
あきらにゆっくりのっしのっしと迫っていくケベラー。一方観客席で磔にされていた赤木たちもその光景を苦々しく見つめていた。
「おい!あのセクハラ怪物が相手じゃ、女のあきらには尚更マズイぜ…」と4人の一番左端で磔にされていた黄山。
「くっ、こ、このままあきらがみすみすあの変態エロヤローの餌食になるところを見てるしかないってのかよ!…うっ、ぐっ」
4人の一番右側で磔にされていた緑川が悔しさと己の無力さを歯噛みしていた。
「そうだよ…今のおまえたちには何もできないのさ。おまえたちができる事は、大切な仲間の女が醜いベーダー怪物に弄ばれるのを黙ってみてる事だけさ、アーッハッハッハッハッ!」
ぐっ…目の前にいるヘドリアン女王の言葉を赤木たちは腹わたの煮えくり返る思いで、黙って聞いている事しかできなかった。
やがてあきらの数m手前まで迫ってきたケベラーはそこで一度止まり、彼女の肢体を値踏みするように細長い舌で舌なめずりしながら観察し、こう言い放った。
「デヘヘヘヘッ、ま、またピンクちゃんと遊び放題なんだな…そ、そのおいしそうな脚も…きゃわいい顔も、ムチムチした進退もぜーんぶもうすぐおでの物なんだな、ダハッ、ダハハッ、ダハハハハハッ」
「ぐ、ぐっ…あ、相変わらずの変態ぶりね…この前はやられたけど…今度は…今回はあんたなんかの思い通りにさせない!」
表面上は強気な態度を取り続けているあきら。だが、よく見ると闘技場の堅いコンクリートの地面を踏みしめている彼女のその量脚は、恐怖から小刻みに震えている。
少し前に目の前の怪物から受けた恥辱が、あきらの脳裏にはまだ鮮明な記憶として、トラウマとしてこびりついていたのだ。
『…フフフッ、おまえら、よーく聞け。このケベラーはベーダー怪物のクセして無類の女好きだ…だからこの女との戦いは見ていて見ごたえのあるものになるかもな、グフフフフッ』
ざわ、ざわ…ヘドラーのその言葉を聞いた観客席のダストラーたちは皆一様に色めき立った。
「おい、聞いたか?じゃあ、あの女の肢体がもっと拝めるかも知れないぞ」「マジかよ!?オレは、夜のオカズとしてあの女の身体には随分お世話になってんだ…い、今まで妄想の中でしか犯せなかったあの女が…フヘヘヘヘヘッ」
「や、やべぇ、オ、オレ股間が硬くなってきた…く、くぅ~、も、もう我慢できねぇ…うおおおぉぉぉぉ!!」
「うおおぉぉぉ!こ、殺せーっ、剥いちまえーっ!」「コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!」「ヌ・ガ・セ!ヌ・ガ・セ!」
ぐ、ぐっ…周囲から巻き起こる自分への卑猥な野次と罵声に圧倒されるあきら。気のせいか、いつの間にか周囲の自身を見る視線が、突き刺すようないやらしい物に変わっていた。
「フフフッ…大人気だな、桃井あきら…ではそろそろ“貴様が主役のショー”を始めるとするか…おい、ケベラー…もうその女をおまえの好きにしてもいいぞ、グフフフフフッ」
そう言うとヘドラーはマイクのスイッチを切って闘技場の外へと出て行こうとする。そこへあきらが背筋をピンと立て大きな声でこう宣言した。
「分かったわヘドラー!!わたしが見世物としてこのバケモノと戦ってやるわ…ただし…ただし、わたしがコイツに勝ったらわたしの仲間たちを解放しなさい!」
凛とした大きな声でヘドラーに取引を持ちかけるあきら。彼はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、こう答えた。
「ほぅ…よかろう。だがそんな事は万が一にもないとは思うがな…フフフッ、グフフフフッ」
「ぐ、ぐっ…わ、わたしはこんなヤツには絶対に負けない!…わたしを…デンジピンクをナメないでよね!」
自身を鼓舞するように大きな声を張り上げるあきら。だが、そのようにしなければ彼女は今にも周囲からの圧倒的な重圧に押しつぶされそうなのだ。
「なんだぁこのアマ、生意気言いやがって!」「おもしれぇ、せいぜい見せてもらおうぜ、オレたちの憎きデンジピンクのやられっぷりをな、フヘヘヘヘヘッ」
「うおおぉぉぉ!!…コ・ロ・セ!コ・ロ・セ!」「ヌ・ガ・セ!ヌ・ガ・セ!」
あきらの挑発的な態度に場内のボルテージはさらに上がる。
(ぐ、ぐっ…た、確かにキビしい状況だわ…で、でも…でもまともに動けるのはわたしだけ…みんなを助け出せるのはわたしだけなのよ…だから…だからやるしか、やるしかないわ!)
今の状況が自分にとって絶望的である事はあきらには分かりきっている。それでも彼女はそんな悲壮な決意を胸に目の前の怪物と対峙していた。
カァーッ!…モグモグ……その時ケベラーが喉元にからんでいたタンを口内まで上げ、口の中でモグモグしている。
ペッ!そしてケベラーは、その口の中から直径5cmほどのタンをあきらに向かって勢いヨク吐きつけた。右に飛びのいてそれをかろうじてかわすあきら。
「きゃっ!?…な、何すんのよ!汚いわね」
ケベラーが吐き出したタンは飛びのいたあきらの後方の地面にへばりついている。
「フン!レディに向かってそんなものを吐きつけるなんて…そんなに女の子にモテたいのならもっとレディの扱い方を勉強した方がいいんじゃなくて?」
「デヘヘヘヘッ…そ、それをただのタンだと思わない方がいいんだな、ダハハハハハッ」
「??…どういう事よ?」
自分にタンを吐きつけた行動をあざ笑うあきら。だが、ケベラーの狙いはもっと別のところにあったようだ。
カサカサカサ…その時、あきらの後ろで何かが蠢くような嫌な音がした…。
-続く-