- この男(怪物)、好色につき… 前編 -

「ううむ……」
ここはベーダー城の一室…ベーダーの幹部“ヘドラー将軍”が床にあぐらをかいて、目の前にあるファイルを睨みつけながらうなっていた。
彼が見ていた物はデンジマン5人のデータが記されている“ベーダー手配書”である。これを見ながらヘドラーは如何にしてデンジマンを抹殺するかについて思案していた。
だが考えても考えても妙案は浮かんでこない…ヘドラーはただ目の前のファイルとにらめっこしてるような状態になっていた。
「ダハハハハッ…ヘ、ヘドラー将軍、な~にやってんですかぁ?」
そこへヘドラーの周りに張り詰めていた重い空気を吹き飛ばすような、理性の感じられないバカでかい笑い声の持ち主が入ってきた。
「…なんだ?ケベラーか…相変わらず頭が悪そうなバカ笑いだな…」
ヘドラーがその笑い声の主へと視線を向ける。そこには全身緑色の、デップリとした体躯をした怪物がいた。
ベーダー怪物“ケベラー”…最近誕生したばかりのベーダー怪物の一人?だ。細長い左右一本ずつの腕に不自然なほど短い二本の足、不必要にボリュームのあるデップリとした腹、
足のつけね、腰回りが一番太く、そこから頭部に向かって三角錐のような体型をしている。その頂点に申し訳なさそうにチョコんと小さいツルツルの頭がのっかっていた。
尚、その巨体にめり込んでいるためか、首らしきものは周りからは確認する事はできないが一応存在しているらしい。
2m50cmはあろうかという身長、300kg弱の巨体をゆさゆささせながらバカでかい声でベーダー城を歩き回る様は、ヘドラーでなくても頭が悪く見えるのは当然なのかも知れない。
「バカとは何ですかぁ?バカとは…ダハハハハハッ…」
そう言いバカでかい声で豪快に笑い飛ばしているケベラーからは、そんなヘドラーの発言をあまり気にしている様子は見られない。
元々あまり気にしない正確なのか、それとも本当に頭が悪くてバカにされている事に気づいてないのかは不明だが…。
「あ~れ~、こぉれ何ですかぁ?ダハハハハハッ」
そう言うとケベラーはその細長い右腕でヘドラーの目の前にあるファイルを指指している。
「ああ、これか?…これは我らがベーダーの憎き宿敵、デンジマンたち5人のデータを集めた資料だ…そう言えば、おまえはまだデンジマンたちを見た事はなかったな…」
「ふ~ん、デヘヘヘヘ…」
パラパラパラ…無造作に床に置いてあったそのファイルを拾い上げ、中身を適当に眺めているケベラー。
「わぁお、か~わいい♪…だ~れですか~、この娘(こ)は~」
何気なくファイルを見ていたケベラーが、あるページを開いて突然狂喜して叫びだし、そのページを開いてヘドラーに見せ付ける。それはデンジピンク・桃井あきらの全身が写っている写真があるページだった。
そんなケベラーの態度にやや圧倒されてヘドラーはこう応える。
「ん?あ、ああ…そいつはデンジピンク・桃井あきらだ。そいつらの中で一番頭の切れる女だてらに戦士を務める電子戦隊の紅一点だ…そいつがどうかしたのか?」
「戦士?…でもこの娘かわいい、きゃ~わい~い♪」
あきらの写真を指差しはしゃぎ回るケベラー。
「なんだ?おまえ、その女と戦いたいのか?」
「うんうんうん…」
これこれと指差し狂気するケベラーを見てそのように言うヘドラー。その巨体に対してあまりに小さい頭をコクコクと縦に振りうなずくその怪物。
「…だが、そいつは意外に手強い、女と思ってあなどると痛い目に遭うぞ」
「でもこの娘か~わいい♪…おでにやらせて、やらせて、や~らせて~…」
興奮気味のケベラーをたしなめるように言う将軍。だが、まるで子供がデパートでおもちゃをせがむようにヘドラーにおねだりするケベラー。
「!そうか…そうだな…確かおまえには“ある隠された力”があるんだったな。それが発動すればオレ様でも手に負えないぐらいの力を発揮するんだった…それも面白いかもな…グフフッ、グフフフフッ」
「そうでしょ、そうでしょ?…デヘヘヘヘヘッ」
ちょうどいい案が見つかったと言うようにニヤリと笑みを浮かべるヘドラー。それに対し、ケベラーは何としてもあきらと戦いたくてしょうがないようだ。
「それに…おまえはベーダー怪物のくせに何故か人間の女、特に美人が大好きだったな…桃井あきらはおまえのそのお眼鏡にかなったってわけだ。グフフフフッ…」
「そうそうそう、この娘か~わいいだも~ん♪だ~からこの娘と戦いた~い…デヘッ、デヘヘッ、デヘヘヘヘヘッ」
そう言うケベラーの暴走は止まらない…さらに手にしていたファイルを自分の目の前に持っていき、あきらの写っている写真が載っているページを開いたまま、その10cm程の長さはある細長い紫色の舌でベロベロと舐め回している。
「おい、やめろ!舐めるな!…汚いだろ……ったく…」
「だって~…だってこの娘、かわいいんだも~ん。デヘヘヘヘッ」
ソフトクリームを舐め回すようにベロベロとそのファイル上の桃井あきらを舐めているケベラー。それを子供をあやすようにたしなめる将軍。だがケベラーはこれでもまだ物足りないようだ。
たまらずそのファイルをケベラーから取り上げるヘドラー。ビリビリビリ…そして将軍はそのファイルから“桃井あきらのデータと写真”が記されているページを引きちぎりケベラーへと差し出す。
「…仕方のないヤツだな…ほらっ、このページだけ破っておまえにくれてやるから…おまえのために資料が台無しにされては困る…もっとももうこれは要らなくなるかもな、グフフフッ、グフフフフフッ」
「わ~い、わ~い、デヘヘヘヘヘッ…」
ヘドラーから差し出された“その紙切れ”を両手で掴み、相変わらずベロベロと舐め回しているケベラー…どうやらヘドラーがファイルからそのページだけを引きちぎって“目の前の少しオツムの弱そうな怪物”に渡したのは正解だったようだ。
「んん~、んん~…」
ベロベロベロ…ケベラーは相変わらず夢中でその紙の上のあきらを舐め回している…そんな彼?の様子を見て少しあきれたようにヘドラーがこんな質問をする。
「…おい、おまえ“その女”の事を随分気に入ったみたいだが…ところでそいつのどんな所が気に入ったんだ?…グフフフフッ」
そんなヘドラーの質問にケベラーはたどたどしくこう答える。
「ん?…え、えーっとねぇ…このきゃわいい顔!…そ、それから…このムチムチの太腿!…それから、それから…えーっと、このピンクの服!…そ、それから…」
「分かった分かった、もういい…ようするにほとんど全てって事だな…グフフフフフッ」
「うんうんうん…デヘヘヘヘヘッ」
あきれ返るように答えるヘドラー。だが、陰湿な笑みを浮かべるその表情からはまんざら悪い気はしてないようだ。
「よし…ではおまえとこのデンジピンクを戦わせてやろう…グフフフッ」
「ほ~んとですか~?…デヘヘヘヘヘッ」
「ああ…どうやらオレ様にとってもおまえにデンジマンと戦わせるのがベストの選択らしいからな…グフフフフッ」
「デンジマン?おでが戦いたいのはこの娘だ~けだい、こ・の・こ!!」
「分かった分かった、そうだったな、デンジピンクだけだったな?グフフフッ」(まぁ、この女の相手をすれば他の4人は勝手についてくるけどな。バカなコイツは気づいてないようだがな、グフフフフッ)
そんな狡猾な計算を頭の中で立てるヘドラー。もちろんケベラーはそんな将軍の胸の内など知る由もなく、いとも簡単にヘドラーの思い描いた通りになってしまうのだが。
「よし、ではこれからオレ様がこの女と戦うための作戦を考えてやる…少ししたらその作戦を実行するからな…グフフフッ」
スクッ…その場からヘドラーは立ち上がりどこかへ行ってしまった…ポツンとその部屋に取り残されてしまったケベラー。
そんなケベラーは手にしていた“あきら”をじーっと眺めている。そしてしばらくすると、またその紙切れをベロベロと舐め始めた。
(このきゃわいい娘ももうすぐおでのもの、おでのもの…デヘヘヘヘヘッ…)
その紙切れを夢中で舐めているケベラー…結局彼?はヘドラーが作戦実行のため自分を呼びに来るまでその“あきら”を舐めまわしていたのであった…。
***********
「!!」
ゾクッ…ここはアスレチッククラブの休憩室…その時あきらは背筋にほとばしるような寒気を感じていた。
(!?…何?この寒気は?何なの?…)
その時あきらは室内の過敏に花を生けていた。そんな時、彼女に突然のように寒気が走ったのである。
もちろん彼女は、この時自分の写真が醜悪なベーダー怪物に舐めまわされてる事など想像だにもしてなかった。
「ん?どうしたんだ、あきら?浮かない顔して…んぐんぐ…」
その時好物のアンパンをほうばっていた青梅がそんなあきらに問いかける。
「!えっ??…あっ、青梅さん…ううん、何でもないの…何でもないわ」
「??…そうか…ならいいけど…」
余計な心配をかけまいと何事もなかったかのようにふるまうあきら。少し不信に思いながらも青梅もそれ以上は踏み込まなかった。
ここアスレチッククラブの一室でデンジマンたちはそれぞれがリラックスし、おのおのが思い思いの事をして過ごしていた。
赤木は読書をし、青梅はおやつのアンパンにかじりついている。緑川はアコースティックギターを弾いており、そしてあきらは部屋の花たちの世話をしていた。
それぞれがそれぞれの愉しみに興じている。彼らデンジマンたちにとってのひとときの安息の時間であった。
バタンッ!…はぁ、はぁ…だがそれも長くは続かなかった…その時、外にパトロールに出かけていた黄山が、血相を変え息を切らしてその休憩室に飛び込んできたのだ。
「…どうしたんだ黄山?そんなに血相を変えて…」
読書をしていた赤木が、その本から視線を上げてその息を切らして部屋に飛び込んできた黄山に問いかける。
「…はぁ、はぁ…み、みんな、大変だ……ベーダーが…ベーダーが現れたんだ!」
「んぐんぐ…なに!本当か?…んぐんぐ…」
「…被害が広がる前に早く止めないと…で、どこに現れたんだ?」
息を切らしながら苦しそうに報告する黄山、相変わらずアンパンを口にほおばりながらそれに反応する青梅、ギターを弾く手を止め発言する緑川。
「××地方の採石場だ…それはいいんだが…」
「!?…何だ?まだ何かあるのか?」
何か意味深な言い回しの黄山、そんな彼に問いただす赤木。
「…そこに現れたベーダー怪物が変な事を言っているらしいのだ…“デンジピンク、出てこ~い”とな」
「!…ア、アイシー?」
そこへどこからともなくその部屋に入ってきたデンジ犬・アイシーが言う。いきなり現れたアイシーに驚く青梅。
「えっ!?…わ、わたし?…な、何で…?」
思わぬところで自分の名前が出てきた事でとまどいを見せるあきら。もちろん、彼女には思い当たる節など何もない。
「それは分からない…だが何故キミだけの名前を名指しする必要があるのか…どうもキナ臭い匂いがする。気をつけた方がいい…」
その事についてあきらに注意を喚起するアイシー。それに対して、静かにコクリとうなずき応える彼女。
「そんな事は今はいい…それよりそいつの所に行けば分かるはずだ!…みんな、いくぞ!出動だ!!」
「おうっ!!」
電子戦隊のリーダーである赤木が出動の号令を掛ける。それに応える他の4人。そして、デンジマンたち5人はあわただしくそのベーダーが現れたという採石場へと向かうのであった。
現場へと急ぎ駆けていく5人…だがあきらは走りながら先程のアスレチッククラブでの出来事について思い返していた。
「はぁ、はぁ…」(さっきの寒気…そしてわたしを名指ししていたというベーダー怪物…もしかして何か関係あるの?)
先程の寒気とベーダー怪物に名指しされた事…あきらはどうしてもその事への不安を拭い去る事ができなかった。
(ううん…考えすぎよ、わたしったら…今は一刻も早く現場に行ってベーダーを止めなきゃ…!)
とにかく今は一刻も早くベーダーを倒す…心に芽生えていた不安を打ち消すように、彼女は懸命に走っていた…。
***********
「うおおおぉぉ…ピンク、ピンク…デンジピンクちゅわぁ~ん…デヘヘヘヘッ」
採石場の中央にいたケベラー…小石の混ざったジャリの地面を両手で叩きデンジピンクの名を叫びながら、彼?はひたすら吼え続けていた。
「待て!ベーダー!」
そこに採石場全体に響き渡る赤木の声…そして共に現れた他のデンジマンの4人。当然、その怪物が名を叫び続けていた“デンジピンク・桃井あきら”もそこにはいた。
「ん?なんだぁ?おまえたちは?…わぁお、ピンクちゃんだ、ピンクちゅわんだぁ…デヘヘヘヘヘッ」
一緒に現れた他のデンジマンたちには目もくれず、遭いも変わらずあきらを指すような事ばかりを叫んでいるケベラー。どうやらケベラーの目には彼女の姿しか写ってないようだ。
「なんだぁ?このバケモノ、ただのバカかぁ?」
目の前の怪物の奇怪で理解に苦しむ行動に思った事をそのまま口に出す青梅。
「バカとはな~にだぁ、バカとは…お、おでが用があるのはそこのピンクちゅわんだけなんだよ~ん。だ、だから邪魔すんなよな~、ダハハハハハッ!」
(な、何なの、コイツ?)
あくまであきらへの執着を見せるケベラー。そんな怪物の行動にさすがにたじろぐあきら。だが、すぐに気を取り直した彼女はこう切り替えした。
「バッカじゃないの!…悪いけどわたしにはベーダー怪物なんか相手にする趣味なんかはないの!!すぐにそんな事言えないようにコテンパンにしてやるわ!みんな、変身よ!!」
「お、おう…」
あまりにふざけたベーダー怪物の態度に怒りを前面に押し出しているあきら。その場を仕切る彼女にややとまどいを見せる他の4人だが、すぐに気を取り直して彼女に続く。
「デンジスパーク!」「デンジスパーク!」
最初にあきらが桃色のスーツを身に纏った戦士“デンジピンク”に…他のメンバーも赤、青、黄、緑…次々とデンジスーツを纏ったデンジマンへと変身していく…。
「いくぞ!みんな!!」「おうっ!!はあああっ!!」
レッドの掛け声と共にデンジスティックを引き抜いた5人がケベラーに向かって駆け出していった。
うあ?…お、おでが用があ~るのはピンクちゃんだけなんだな…だ~から…お、おまえたちは邪魔、邪魔なんだな、ダハハハハハッ」
たどたどしくそんな事を言うと、ケベラーはその巨体を丸め、猛スピードでゴロゴロとデンジマンたちに転がってきた。
「うわっ!?」「きゃっ!?」
猛烈なスピードで転がってくる緑色の弾丸・ケベラーを、それぞれ左右に転がってかろうじてかわすデンジマンたち。だが、その際に彼らは散り散りにされてしまう。
ゴロゴロゴロ…尚もケベラーは猛スピードで転がり続けている。そしてその巨大な緑色の弾丸は、ある特定の人物、デンジピンク・桃井あきらだけを狙い始めた。
2時の方向から8時の方向へ、そして9時から3時の方向へ…さらに彼女の周り半径5mほどをグルグルと転がり続けている。ケベラーはピンクの女戦士だけを執拗に狙い続けていた。
「きゃっ!?…く、くっ…」
「ピンク!」「ピンク!!」
自分に目掛けて転がってくるケベラーを、左右に転がりかろうじてかわしているピンク。ケベラーは猛スピードで彼女の周囲を動き回っているため、周りにいる他のデンジマンたちは何も手を出す事ができないでいた。
(くっ、このままじゃ…でもコイツは明らかにわたしだけを狙ってるわ…それを利用すればこいつの動きを止める事もできるはず…よし!)
そう考えるとピンクは手にしていたデンジスティックを腰の右のホルダーに戻し、構えを解いて棒立ちのような常態になる。
「ダハハハハハッ!ついに、お、おでの相手をするつもりになってくれ~たのかな?…ピ~ンクちゃ~ん!!…デヘヘヘヘヘッ」
ゴロゴロゴロ…すると彼女の後ろをゴロゴロと転がっていたケベラーが、ピンクの背後へ猛然と転がってきた。
ガシッ!デンジピンクは振り向きざまに転がってくるその緑の巨体を両手で受け止める。だが相手は300kg弱の巨体、それが猛烈なスピードで向かってきているのである。さすがに彼女はそれに少し押されるような形になってしまう。
「く、くぅ……」
ニュルニュル…そこにデンジピンクが抱えていた、緑の巨大な弾丸・ケベラーから細長い二本の腕が触手のように彼女の身体に絡みついてきたのだ。その二本の腕はピンクの身体を抱え込むように脇の下から背中へと絡みついていく。
「あっ!?…く、くっ…」
「ダハハハハッ、ついに捕まえたよ~ん、ピンクちゅわ~ん…こ、これから、お、おでと楽しい事するんだな~、デヘヘヘヘヘッ…」
するとケベラーは丸めていた巨体を元に戻し、さらにデンジピンクを抱えていた右手?を彼女の左の太腿へ、後方から抱え込むように腕を回し、それに手をかける。
そしてケベラーはその腕をピンクの股間を後ろからムギュッと握りつぶすように手をかけてきたのだ。股間への突然の不快感に思わず声を上げてしまう彼女。
「!?やっ??…なっ…何支店の!このバケモノ、どこ触って…」
「デヘヘヘヘッ…き、気持ちいい~んだな…ついでにこ~のまま…デヘッ、デヘヘヘヘヘッ」
するとケベラーは抱え込んでいたピンクの左の太腿を持ち上げ、そのまま彼女をその巨体で押しつぶしていく。
「!きゃあ!?…ああっ?ああああぁ…あぁん…」
ドサッ!左脚を抱え上げられバランスを失ってしまったピンクはケベラーの巨体になすがままに押し倒されてしまった。そしてケベラーは左右それぞれの腕で彼女の両手首を掴んで、彼女の両腕を大きく開き地面に押さえつける。
「あぅっ!…ぐ、ぐっ…」
「デヘヘヘヘッ…こ、これからも~っと楽しい事して遊ぶんだな…デヘッ、デヘヘッッ、デヘヘヘヘヘッ」
ピンクのその無表情のマスクをいやらしい目つきでマジマジと見つめていたケベラーは、その紫の細長い舌で彼女の女性らしい胸のふくらみをベロベロと舐め始めた。
「あっ!?いやっ、な、何するの…このバケモノ!…うっ、くっ…あっ、あん」
身をもだえさせ、何とか状況を打開しようとしているピンク。そんな彼女へ舐められている胸のふくらみから何とも言えない気色悪さが伝わってくる。
仲間の女戦死が醜悪でデップリした怪物に押し倒され、身動きを封じられ胸をチロチロと舐めまわされている。それを他のデンジマンたちは呆然と眺めていた。
「な、なんだぁ?…コ、コイツベーダー怪物のクセにただの変態エロ野郎じゃねぇか?」
呆然としていたブルーがそんな事を呟く。同じように呆然とその光景を眺めていたレッドがはっと我に返り叫ぶ。
「そ、そんな事は今はいい…みんな、ピンクを助けるんだ!!」「お、おうっ!」
そして、彼ら他のデンジマンたち4人は、その怪物に押し倒されているデンジピンクの下へ駆け出していった…。
「あっ、あん…は、離せ、このバケモノ!うっ、ぐっ…あっ、あっ」(く、くっ…こ、こんなヤツに…!はっ…み、みんながこっちに来てくれてる?…そ、それなら…それまではコイツの注意をわたしにひ引きつけておかないと…)
彼女は仲間を信頼してケベラーの注意を自分に向けるように大げさに色っぽく喘いでいた。まるで目の前の変態怪物を喜ばせるように…。
もちろんケベラーはそんな事とは露にも思わず、嬉々としてひたすら目の前の桃色の女戦士の胸を責め続けている。
「あっ、あん…あぁん…はあぁん!」(ま、まだ…もう少し…もう少しよ…)
醜悪なベーダー怪物からの性感への責めに何とも言えない嫌悪感を感じながら、怪物の動きを止めるための囮の役割を果たすためにそれから必死に耐えているデンジピンク。
「デヘヘヘヘッ、ピ、ピンクちゃんのおぱ~い、す、凄く柔らかくて気持ちいいんだな…ダハハハハハッ!」
「ぐ、ぐっ…いつまでも好きにはさせない!…みんな、今よ!…そしてこれでも食らいなさい!デンジサンダー!!」
バリバリバリ…小石が混じったジャリの地面に押さえつけられていたデンジピンクの身体から強烈な電撃が…
「う、うおおぉぉぉ!!」「へああっ!」
その電撃は彼女にのしかかっていたケベラーへと降りかかっていく。そして続けてレッドの空手を応用した蹴り技がその緑色の怪物へと炸裂する。
「うああっ!!」
のしかかっていたピンクの身体から吹き飛んでいくケベラー。そんな怪物のもとへさらに追い討ちが…イエローの十三文キック、ブルーのブルースクリューキック、グリーンのグリーンスピンキックが次々と浴びせられていく。
「うおおおっ!!」
絶叫して痛みにもだえているケベラー。ケベラーの巨体から開放され、身体を起こしたピンクの下へ集まってくる他のデンジマンたち。
「ピンク!大丈夫か??」
「え、ええ…大丈夫よ、みんな、ありがとう」
彼女の身を案じて後方から声をかけるブルー。振り返ってそれに感謝の意を述べるピンク。
「よし、みんなトドメのデンジブーメランだ!いくぞ!!」「おうっ!!」
レッドのその号令と共にデンジマンたち5人は一箇所に集まり、輪になってデンジスティックを重ね“デンジブーメラン”の体勢を取ろうとする。
「ま、待て!みんな、あの怪物の様子がおかしい…?」
そこでイエローから静止の声が…倒れてうずくまっているケベラーを見ると緑だったはずの顔を真っ赤にして、何かブツブツ呟いている。
「ううぅ…い、痛い…痛かったぞ…お、おまえらムカつくんだな。も~う許さないんだな!うおおおおぉぉぉ!!」
ドーン!ドーン!!その細長い両腕を上げおたけびを上げると、ケベラーは両手で思いっきり地面を叩き始めた。
「な、何なんだ?あいつ?…う、うわっ、な、何だ?ゆ、揺れてる?…じ、地震か?」
「い、いや、違う…あいつだ!あいつがこの地震を起こしてるんだ!…うわぁっ!」
体勢を崩し、地面に手をつきながらブルーが言う。そして、この揺れの原因は目の前の怪物にあると同じように体勢を崩しながら叫ぶレッド。
その通りだった。ケベラーに叩かれた大地から彼?の半径100mの範囲内に震度10以上はあろうかという強烈な地震が起こっていた。
「?うわぁっ!!「?きゃあ!」
激しい揺れに体勢を崩され何もできないデンジマンたち。
「ダハハハハッ!お、おまえたち…も、もう謝っても、ゆ、許さないんだな、ダハハハハハッ!」
ブゥゥゥゥン。そう言うとケベラーの頭上に半径2mほどの黒いブラックホールのようなものが…そしてケベラーから呼び出されたと思われるその黒い異空間への入り口から、黒い巨大な手のようなものが出てきた。
「な、何だ!?あれは?…!…は、離せ!う、うわああぁぁぁ!!」
ガシッ!激しい揺れに身動きが取れないブルーは、その異空間から出てきた巨大な黒い手に掴み取られ、そのままそのブラックホールに運ばれてしまった…。
「な、ブ、ブルーが!…!…う、うわあああぁぁ!!」「…み、みんな!!うわあああぁぁぁ!!」
「ブルー!レッド!…み、みんな!?」
ブルーと同じようにレッド、グリーン、イエローも…ピンクだけ除いてデンジマンたちはその巨大な黒い手によってケベラーが呼び出した異空間に連れて行かれてしまった。
-続く-