- 捕獲されたヒロインたち 白虎の空手少女と不思議少女 -
「ジャスミンさん…ジャスミンさんのつけた“目印”ってまだなんですか?」
「うーん…確かこの辺だと思うんだけど…」
霧深い森の奥深く…まだあどけない顔立ちの少女と不思議な雰囲気を漂わせている黄色い宇宙警察の征服を身に纏った若い女性が、薄暗い森の中を並んで歩いていた。
あどけない顔立ちの少女の名は大河冴。クリッとした大きな瞳、サラサラした長い黒髪の持ち主の小柄な少女である。
もう一人の若い女の名は礼紋茉莉花・通称ジャスミン。大人っぽい香りの中に不思議な雰囲気を漂わせている宇宙警察の敏腕女刑事である。
彼女たちの内の一人、大河冴は死の商人、“デストレーダー”を名乗るその男のために、彼の秘密のアジトに捕らわれの身になっていた。
だが、そこに忍び込んできた宇宙警察の女刑事、ジャスミンによって冴は一緒につかまっていた女性たち、桃井あきらと渚さやかの二人と共に開放された。そして忍び込んできたジャスミンと共に冴たちはデストレーダーの秘密のアジトからの脱出に成功したのだ。
しかしその彼女たちは建物をすぐ出た所で遭遇した緑色の男、メバ星人・ライムによって二手に分断されてしまった。
そこで彼女たちは、ジャスミンが“白いチョーク”のような物でつけた“目印”を拠点にしてそこでお互いの合流を目指す事にした。今、この二人はジャスミンがつけたその“目印”を探して歩いていたのである。
…あきらさん…さやかさん……今、冴は歩きながらうつむいて何やら考えごとをしていた。ほ?……その様子に気付いたジャスミンが冴を気遣うように彼女に声をかける。
「冴ちゃん、元気ないね?どうしたの?…何か塞ぎこんでるみたいだけど…」
「!?…ジャスミンさん?…いえ、何でもないんです…何でも…」
何でもないと言いつつやはり元気がない冴。ジャスミンはそんな彼女にやさしい笑顔を作り、うつむき加減の冴の顔を覗き込んだ。
「そんな事言って…やっぱり元気ないよ、冴ちゃん。…もしかして…そっか。あきらたちの事が心配なんだね…?」
ややぎこちない笑顔を懸命に作って冴の顔を覗き込んでいたジャスミンだがその表情がだんだんと曇りがちになっていく…そして彼女は冴の頭の中に影を落としているのは“あの二人”の事なのでは?…と問いかける。それに静かに、コクリとうなずく冴。
「…あの二人の事なら大丈夫、冴ちゃん。ああ見えてもあの二人はそれぞれ修羅場をくぐり抜けてきたみたいだし…何よりわたしも今回あの二人には本当に色々助けられたんだから…だからあの二人の事は心配しなくても大丈V!…だよ、冴ちゃん♪」
今度は心から満面の笑顔を作って冴の顔を覗き込むジャスミン。そしてその笑顔のまま彼女に向かって右手でピーすサインを作る。
「…そう…そうですよね…だいじょうV!…ですよね?」
「そ♪…大丈Vだよ、だいじょうV!……プッ…クックックッ、アハハハハッ…」「…ハハハハッ…アハハハハッ…」
ようやく明るい笑顔を見せる冴。それにつられるようにジャスミンからも自然と笑みがこぼれる…そして笑顔で見つめ合う二人からは自然と笑いが漏れてくるのだった。
「さ…心配ごとがなくなった所で早くわたしがつけた目印を探しましょ?冴ちゃん♪」
ハイ!…満面の笑みのジャスミン。明るい笑顔を取り戻した冴…何気ないひとときの会話を楽しんだジャスミンと冴は再び“目印”を探し始めた。
**********
…しばらくの間、彼女たちはその“目印”を探し続けた。が、目的のものは一向に見つかる様子がない…たまらずじれた冴が不安げな声でジャスミンに問いかける。
「…ジャスミンさん。本当にこの辺で合ってるんですか?…ひょっとしてどこかで方向を間違えたんじゃ…?」
「うーん、ヘンねぇ…方向感覚抜群のまりかちゃんが自分のつけた目印の場所を間違えるわけがないと思うんだけど……!?…あった!冴ちゃん、これこれ♪」
前方の太さ6、70cmくらいの木の幹にジャスミンが遂に目印を見つけた。自分の背丈くらいの高さの位置にあるその目印は、10cm大ぐらいの大きさの白い文字で“SPD”と書かれてある。明らかに自分の筆跡で書かれたその文字を見てジャスミンは確信する。
「よかった!やっと見つかりましたね。でも…あきらさんたちの姿が……まだここには来てないって事なんでしょうか?…!?…あれ、何だろう…?」
目的の“目印”が見つかった事に喜ぶ冴。だがその表情はあきらたちの姿が見えない事にすぐに曇りがちになっていってしまう。そんな冴が周囲を見渡していると…右の方に何か物が落ちている事に気付く。落ちているそれに近づき拾い上げる冴。それは女性が身に着ける、ストラップレスのベージュ色のブラジャーだった。
「女性のブラジャー!?…何でこんな物がこんな所に??」
「…こんな森にこんな物が落ちてるなんて明らかに不自然……だとしたらこれはあきらかさやかの物だと考えるのが自然ね…」
「でも何であきらさんたちの下着がこんな所に??…もしかして既にここに来ていたあきらさんたちがわたしたちへの目印として落としていったんじゃ…?」
見つけた物が、このような場所には明らかに不釣り合いな物だった事に怪訝そうな表情を浮かべる冴。状況から考えてそれはあきらかさやかの物では?と推測するジャスミン。だとしたらこれはあきらたちから自分たちへの目印では?…冴の考えはあくまで楽観的である。
「…だったらいいんだけど……ちょっと待って。今からそれを確かめるから…」
シュッ…そう言うとジャスミンは身に着けていた黒い手袋を外す。そして冴からそのブラジャーを受け取って、黒い手袋を外した手の平をその下着に添えた。彼女は自分のエスパー能力でこのブラに残っている思念を読み取ろうとしていた。だがジャスミンのその能力を知らない冴には彼女が何をしようとしているのか、まったく自体が飲み込めていない。
「??…ジャスミンさん!?手袋なんか外して…一体何してるんですか?」
「実はね…わたしにはエスパー能力があるの。人や物に直に触れる事によって人の心や物に残ってる思念を読み取る事ができるのよ」
「へぇ、すごい……やっぱりジャスミンさんってカッコイイ…」憧れのまなざしでジャスミンを見つめる冴。
カッコイイ…か。わたしのこの能力をそんな風に言ってくれるのは冴ちゃんと“あの子”ぐらいなもんだよ……!?…そっか。わたしが冴ちゃんに妙に魅かれてるのは冴ちゃんに“あの子”の影を見てるからなのかな?……ジャスミンはそのベージュ職のブラに手を当てながらそんな事を思っていた。
ジャスミンが言う“あの子”とは彼女が地球暑のとあるチームに所属していた時のもう一人の女性隊員にして彼女の最大の親友の事だ。背丈や体格も同じぐらいの冴にジャスミンは“その彼女”の面影を重ねていたのかもしれない。
やがてその下着に残っていた思念がジャスミンに流れ込んでくる…それは鮮明な映像として、彼女の頭の中に徐々に映し出されてきていた。
{!…あっ!?…な、何するの!?や、やめて!その棒で何するつもりなのよ?…や、やめて、いやっ、いやぁ!}
{ふへへへへっ…“それ”がそんな中途半端にずれてるんならオレがいっそ取っちまおうってわけだぁ…どうだ、いい考えだろぉ、ふへへっ、ふへへへへへっ}
{そ、そんな!?やめて、やめて!…イヤ、イヤッ!イヤァぁ!}
{ふへへへっ、もう少しで外れるんじゃねぇかぁ?ほうれ、ほうれ、ほうれぃ…ふへへへへへっ}
{!…いやあぁ!やめて、やめて!ほんとにちぎれちゃう…やめて、やめて!お願い、もうやめてぇぇ!!}
はっ!?……それはジャスミンにとって、あまり見たくない光景だった。彼女が見た光景はあきらがあの緑色のバケモノに淫らに弄ばれている映像だったのだ。
ジャスミンが見たそれは、あきらが逆さ釣りにされ、めくれ垂れ下がったピンクの上着の隙間から、ジャスミンが手にしていたベージュ職のブラがライムに引き剥かれている映像だった。
「!?…ジャスミンさん!?…一体どうしたんですか?」
「!…ううん。何でもないよ……コレ、確かにあきらが身に着けていたブラで間違いないと思う。でもこれはあきらがわたしたちへの目印のために落とした物じゃない」
ブラに残っていた思念を読み取っていたジャスミンが青ざめた、何か物凄く疲れたような顔をしている。その様子を見て心配した冴がジャスミンに何が起こったのかと問う。彼女は、ジャスミンが何を見たのか当然気になっているのだろう。
だがジャスミンはそれを言わない。彼女が見た映像はまともな性体験のなさそうな冴にはあまりに衝撃的でショッキングなものだと思ったからだ。
そしてブラに残っていた思念を読み終えたジャスミンは、外していた黒い手袋をまた身に着ける。彼女のエスパー能力は体力の消耗が激しい。何よりジャスミンはこの能力を乱用する事自体、あまり好んでいなかったからだ。
「そうですか……じゃあ、あきらさんは何でこんな物落としていったんだろう?……!?…ジャスミンさん…アレ!?」
うつむいて何か考え事をしていた冴が、自分の左の方に何か光るものを発見する。それは何かの刃物のようなものだった。そちらの方へ歩いていってそれを拾い上げるジャスミン。それは柄の白い、小型の折りたたみ式のナイフだった。
それを拾い上げたジャスミンがそのナイフを更によく調べていくと…ナイフの白い柄の部分に伝説獣・マーメイドのような彫刻が彫りこまれている事に気付く。
「…これ、人魚の伝説獣の彫刻?…人魚!?マーメイド…!…もしかして……これ、さやかのナイフ?」
「さやかさんの!?…それじゃやっぱりあきらさんとさやかさんはここに来てたって事ですか?……でもそれじゃ“あの二人”はどうしてここにいないんだろう…?」
再びうつむき加減になり、考え込んでしまう冴。だが先程あきらのブラに残っていた思念を観ていたジャスミンには、何故あきらたちがここにいないのか何となく創造できた。
彼女たちは自分たちが来る前に確かにここに来ていた。だが同時にこの場所であの緑色のバケモノとも戦っていたのだ。そしてそのライムに苦しい戦いを強いられていたあきらとさやかは命からがらこの場所から逃げ出した……さっき観た映像からジャスミンはそのような事が何となく創造できた。
またこの場所に落ちていたベージュ職のブラジャーと折りたたみ式の小型の柄の白いナイフは、“その戦い”の最中に落とした、または“あのバケモノ”に引き剥かれた……そう考えるのが自然だろうとジャスミンは考えていた。
だからと言ってジャスミンはこの事を冴には言えなかった。この事を話し出せば、先程見た“あきらへのショッキングな出来事”を冴に言わなければならなかったし、この事を話しても今の状況がどうなるわけでもなく、それならば冴のためにもあえて自分が見た事を話す必要はない…ジャスミンはそう思っていたからだ。
…あきらさん…さやかさん……もしかして…あの二人に何か起きてるの?……しかしジャスミンが“その事”に触れなくても、冴はあきらとさやかに何かよからぬ事が起きている事に何となく感づいていた。
ガサッ…その時、彼女たちの後方から何かが動くような音がした。あきらさん!?それともさやかさん!?……その物音に気付いた冴が淡い期待を胸に後ろを振り向こうとすると……シュルシュルシュル…ビシィッ!ビシィッ!…えっ!?……しかしその淡い期待はあっさり破られる事になる。何かの半透明で緑色の触手のような物が霧の奥深くから、彼女たちの身体に巻きついてきたのだ。
「ああっ!?…い、一体何なの、コレ!?」突然絡み付いてきた触手のような物にとまどいの声を上げる冴。
「…この緑色の触手のようなもの、よーく見覚えがある…何か物凄く嫌な予感がする……!?…まさか!?」
その半透明で緑色の触手のようなものにジャスミンは見覚えがあった。それもあまり思い出したくない、とても嫌なものとして、だ。
「ふへへへへっ…とうとう見つけたぜぇ、黄色いねえちゃんたちよぉ…まだ黄色いねえちゃんのおっぱいデカくしてねぇもんなぁ…それにそっちのちっこいおじょうちゃんとはさっきはあまり遊んでやれなかったからなぁ?…今度はたっぷりかわいがってやるからなぁ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
「ぐ、ぐっ!?…ア、あのバケモノなの!?何でアイツにはわたしたちの居場所が分かるのよ?」
「…確かにこの濃い霧の中、あのスライム君だけわたしたちの位置が捕らえられるのは明らかに不自然!?…でもわたしは確かに油断しないで近づいてくる者の気配を感じ取るようにしてた…アイツはそれすらもかいくぐってきたと言うの??」
濃い霧の中から聞こえる声、その話ぶりから自分たちの身体を絡め取っている触手は姿形は見えないがあの緑色の強姦魔・ライムBである事がジャスミンたちにはすぐに分かった。だがどうしても腑に落ちないのはこの濃霧の中、何故あのバケモノだけ自分たちの居場所が性格に分かるのか?という事だ。
ヤツの声が聞こえてくるのは声の大きさから考えて少なくとも数十メートルは離れた位置だ。だがこの濃い霧の中、そんな離れた位置、ジャスミンが近づいてくるヤツの気配すら感じ取れない場所から自分たちの位置が正確に分かるとはとても思えない。
しかしあのバケモノは現実に彼女たちの身体を絡め取っている。ヤツはこの濃い霧の中、性格に自分たちの居場所を捉える手段、または“目”があるのかもしれない…ぐ、ぐっ!?……ジャスミンは後悔の念と共にそんな事を考えていた。
やがてその濃い霧の中からのっしのっしと徐々に姿を現す緑色のバケモノ。そして目の前数mの位置に絡め取り、何とか自分の腕を外そうとしているジャスミンと冴を見てライムBは舌なめずりして言う。
「ふへへへっ…この霧の中、オレがあんたらの居場所を性格に分かる事が不思議みたいだなぁ?…だがこんな霧、オレには何でもないんだぜぇ、どうだ凄いだろぉ?カッコイイかぁ?ふへへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…や、やっぱりそういう事だったの?……!…ああっ、あああぁ!?ああああぁぁ!……ギリ、ギリ、ギリ……左腕にジャスミンを、右腕に冴の身体を捉えていたライムBが彼女たちをギリギリと絞め上げていく。
「ふへへへっ…これから一人ずつたっぷりかわいがってやるからなぁ、ふへへへへへっ…よっと」
「!…あ、ぁぁぁ…あああぁぁぁ!」「い、いやああぁぁぁ!!」
ビュン!ビュン!…ジャスミンたちを絡め取っていたライムBが彼女たちを左右それぞれに放り投げた。勢いよく投げ飛ばされるジャスミンと冴。
「?!…い、いやああぁぁぁ!…ああぅ!!」
ドスンッ!…右方向に放り投げられた冴が太さ4、50cm程の木の幹に背中から勢いよく叩きつけられる。シュルシュルシュル…そして木に叩きつけられた冴の身体には、いつの間にかあぐらを掻いていたライムBの右足がすかさず背後の木の幹ごと冴の身体を絡め取ってきたのだ。
「う、ううぅ…な、何よ!こ、こんな…もの……!?」
自分に巻きついてきたライムBの右足から必死に逃れようと身体をもがいている冴。そこへ冴を投げ飛ばしてフリーになっていたライムBの右手が怪しい手つきで彼女の身体目掛けて勢いよく伸びていく…。
「?!…ああぁぁぁ!…ああぅ!!」
ドシンッ!…一方、左方向に放り投げられたジャスミンが太さ5、60cm程の木の幹に背中から勢いよく叩きつけられる。シュルシュルシュル…そしてライムBはその木の幹に叩き付けたジャスミンの身体を自分の左足ですかさず後ろの木ごと絡め取っていく。
ぐ、ぐっ!?…こ、こんなもの……自分に巻きついてきたライムBの左足を何とか引き剥がそうと試みているジャスミン。今の彼女は自分の事だけで精一杯のはず…だった。
い、いやあああぁぁぁ!?……えっ!?何っ!?……しかし、ライムBの左足に巻きつかれ、それを外す事で必死になっていたジャスミンの意識が無理矢理他へ向けられる。彼女の耳に甲高い冴の悲鳴が聞こえたからだ。
冴ちゃん!?……ジャスミンがその悲鳴を上げていた冴の方に視線を向けると…まだあどけなさの残る冴があの“強姦魔”の餌食になっていたのだ。冴の身体に右手を伸ばしていたライムBが彼女の股間を白いホットパンツの上からグリグリとまさぐっている光景が飛び込んできた。
「いやあぁ!?…あっ!?や、やめて!?…そ、そんなトコ…あんっ…触らない…でよっ…いやあっ!」
「ふへへへへっ…まだ“男”にこんなトコをいじられた事なんてねえんじゃねぇか?ちっこいおじょうちゃんよぉ…というわけでオレがいじくって“オトナ”への階段を登らせてやるぜぇ、ふへへへへっ」
「…あんっ…や、やめ…あっ、あんっ…イヤァ、イヤァ、イヤァ!」
「冴ちゃん!?…ぐ、ぐっ!?…お、おまえ冴ちゃんを…その子を放せ!……その子をやる前にわたしからやればいいじゃない!?」
楽しげに冴の股間を弄ぶライムB。その彼に自分の股間を弄ばれ、涙目でいやいやをしながら悶え苦しんでいる冴。そんな彼女に対してジャスミンはただ見ているだけで何もする事ができない。
「ふへへへへっ…そうはいかねえなぁ…オレはこのちっこいおじょうちゃんと遊びてぇんだよぉ…だからあんたとは後でゆっくり遊んでやるからなぁ、ちーっと待っててくれよなぁ、黄色いねえちゃんよぉ、ふへへへっ、ふへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…ライムBにいいように弄ばれてしまう冴。自分の身体に巻きつく彼の左足から何とか逃れようと懸命にもがいているジャスミン。だがどうしてもそれから逃れる事ができない。…ああっ!?ああぁ、あああぁぁ!……さ、冴ちゃん!?……しかしその間にもライムBに冴は弄ばれ続けてしまう。
「ふへへへへへっ…まだまだいくぜぇ…次はこっちだなぁ、ふへへっ、ふへへへへっ」
シュルシュルシュル…そしてライムBの左手が冴の上着の裾へと伸びていき、更にその裾をめくり上げて彼女の上着の中へと侵入していく…ぁ…ぁ…ぁぁ…や、やめ…て……自分の身体を侵していく魔手に対してただただおびえる事しかできない冴。
冴の衣装の中を容赦なく蹂躙していくライムBの左手…そしてその手が遂に冴の小ぶりの乳房を捉える。更に彼はまだ“成長途上”の彼女の胸をやさしく包み込んでいるブラに手をかける。
「!?…ふへへへへっ…何打?おじょうちゃん…一丁前にブラなんかしてんのかぁ?あんたみたいな“コドモ”にはまだまだ早いんじゃねぇかぁ?ふへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…ライムBのその言葉にも顔を真っ赤にして何も言い返せない冴。実際、彼女はライムBが言うほど未成熟なわけでもなく、彼女がブラを身に着けている事はそれほどおかしい事でもない。
だが“微妙な年齢”の彼女が“大人”に憧れて色んなところで少しだけ背伸びしてる事も確かだった。ライムBはそんな冴の深層心理を知ってか知らずか、彼女の“心”を揺さぶるように巧みに“言葉責め”を浴びせていたのである。
「!…そうだ。どうせいらねぇんならオレがとってやるぜぇ、ふへへへへへっ」
グイッ、グイッ…そして冴の上着の中に左手を突っ込んでいたライムBが、彼女の胸を包み込んでいたブラジャーをグイグイと引っ張っていく。
「!?…い、イヤァ…や、やめて、やめて!…取らないで!そんな事しないでぇ!…イヤァ、イヤァ!イヤァ!」
「さ、冴ちゃん!?……や、やめて、やめて!…もう冴ちゃんを放してぇ!」
「ふへへへへっ…まぁそう言うなって、黄色いねえちゃんよぉ…あんたは後でオレがたっぷりかわいがってやるからなぁ、ふへへへへへっ」
自分の下着をグイグイと引っ張られ、泣きながら悲痛な叫び声を上げ続けている冴。ジャスミンはそんな彼女が見ていられないらしく、冴を淫らに弄ぶ“強姦魔”に懇願するように悲しい絶叫を上げている。だがライムBがそんな彼女たちに構うわけもなく、相変わらず冴を弄び続ける。
ブチ…ブチブチ…ブチブチブチ!……やがて冴のブラジャーのホックやカタヒモを結んでいたベルトが引きちぎれる音がハッキリと聞こえるようになる。
「!?…イヤァ!や、やめて、やめて!ホントにちぎれちゃう!?…やめて!イヤァ、イヤァ!イヤァ!」
「ふへへへっ…もう少しだなぁ?まだ“コドモ”のおじょうちゃんがどんなブラをしてるのか楽しみだぜぇ、ふへへっ、ふへへへっ、ふへへへへへっ」
ブチブチブチ!…ブチブチブチブチ!…ブチーンッ!……そして冴のブラジャーが完全に引きちぎられ、彼女の身体から剥ぎ取られてしまう。
左手に掴み取っていたその下着をマジマジと見つめているライムB。それは薄いピンク地、カタヒモがある一般的なタイプで左右のカップにはパッドのようなものが入っていた。それを見てニヤリと笑みを浮かべるライムB。
「ふへへへへっ…何打ぁこれは?こんなもの入れて…おじょうちゃん、そんなに自分の乳をデカく見せたいのかぁ?ホントはこんなものつける必要があるほどのおっぱいなんてないのによぉ…なぁ?ちっこいおじょうちゃん、ふへへへへっ」
「ぐ、ぐっ!?…う、ううぅ……あっ!?あんっ…イ、イヤァ!…あんっ…イヤァ!イヤァ!」
ライムBに上着の中に左手を突っ込まれ身に着けていたブラを剥ぎ取られてしまいうなだれている冴。しかし彼は手にしていた冴の下着を無造作にポイッと投げ捨てる。そして一度抜いていた左手を再び冴の衣服の中に潜り込ませ、彼女の小ぶりな乳房を気持ちよさそうに愛撫していく。
「ふへへへっ…おじょうちゃん、実は結構乳あるんじゃねぇかぁ?…まだまだ発展途上だけどなぁ…ふへへっ、ふへへへへへっ」
「…あっ、あんっ!?…イ、イヤッ…お、お願い…や、やめて…もう…やめ…!?あっ、あんっ…イ、イヤァ、イヤァ!」
「ああっ!?さ、冴ちゃん!?…や、やめてっ!…お願い…もう…冴ちゃんを放してぇぇ!」
今までに経験した事のない、“男”からの性感への責めに、涙声でただ喘ぐ事しかできない冴。その内彼女はその仕打ちに耐えられなくなり、ポロポロと大粒の涙を流して目の前の緑色のバケモノに懇願してしまう。そんな冴を見てジャスミンもまた、涙声で悲しい叫び声を上げ続けている。
ニュル、ニュル、ニュル…そして冴の上着の中に潜り込んでいたライムBの左手が、彼女の衣服の中を蛇のように這い回りそのまま彼女の上着の襟元からその手を出し、冴の細い首を掴む。
「ふへへへへっ…あんまりおじょうちゃんだけと遊んでるわけもいかないんでなぁ…あんたにはしばらくおねんねしていてもらうぜぇ、ふへっ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
グイッ、グイッ…冴の細い首を掴んだライムBの左手は彼女の首をグイグイと絞め上げていく。
「!?…あっ…ぁ…ぁ…ぐ、ぐる…じ……ぁ…」
「ああっ!?…お、お願い!やめて、もう…やめてっ…もう…う、ううぅ…」
自身の首を絞め上げられ苦悶の表情を浮かべている冴。そんな彼女は息苦しさからか、徐々に動きが弱々しくなっていく…その冴を見てジャスミンはおえつを漏らすような涙声を上げ、苦しげな冴をただ見る事しかできない。
「…こっちの方もついでに責めてやるぜぇ、ほうれ、ほうれぃ、ふへへへへへっ」
更に容赦なく冴を責め続けるライムB。彼は再び彼女の股間に右手を当て、冴の白いホットパンツの上から、恐らくまだ“男”に弄ばれた事のない股間をムギュムギュとまさぐっていく。
「!?…ぁ…ぁん…イ…ヤ…や、や…め…ぁ…ぁん…」
「さ、冴ちゃん!…冴ちゃん!?…う、ううっ…ううぅ…」
首を絞め上げられる息苦しさからか、自身の股間をまさぐられている恥辱からなのか、顔を真っ赤にし、涎を垂らして視線の定まってないうつろな瞳で上を見上げている冴。
…このまま…このまま見てる事しかできないの?何とかして…何とかして“あの子”を助ける事はできないの?……ジャスミンは何もできない無力感にさいなまれながら、何本もの涙腺でその凛々しい顔を汚し、目の前で冴に繰り広げられる辱めをただ見ている事しかできなかった。
そして悶え苦しむ冴の動きが更に弱々しくなっていってしまう…。
「ぁ…ぁ…ぁ…ジャ…ス…ミ…さん……た…す…け………」
ガクンッ!…ライムBに肉体的、そして精神的にも責め続けられた冴は、頭を力なく下に垂れ、遂に気を失ってしまった。
!?…ウソ……冴…ちゃん!?…力なく身体をだらりとさせ、気を失っている冴。ジャスミンは彼女が意識を失う直前に冴が自分に助けを求めていたような気がしていた。
「!?冴…ちゃん!?…冴えちゃん!冴ちゃん、冴ちゃぁぁん!!」
力なく頭を垂れ、気を失っている冴を見て、ジャスミンはただただ彼女の名前を呼び続ける事しかできない。
「ふへへへへっ…心配しなくてもいいぜぇ…“ダンナ”には“商品”として使い物にならなくなるから、あんたらは“殺すなよ”と言われてるからなぁ…このおじょうちゃんも生きてるぜぇ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
意識がなく、身体を力なくだらりとさせ、彼女に巻きついているライムBの右足だけで強引に立たされているような格好になっている冴。パン、パンッ…下卑た笑みを浮かべながら、ライムBはその彼女の股間を正面からパン、パンと軽くはたいている。
当然ながら冴は自分の身体にそのような淫らな事をされても、何の反応も示さない。パン、パン…ムギュッ、ムギュッ…ふへへへへっ……それをいい事に彼女を淫らに弄び続けるライムB。
「冴ちゃん!?…冴ちゃん……よ、よくも…よくも冴ちゃんを…冴ちゃんを…!」
まだ合って間もない自分を“姉”のように慕ってくれた冴をこのような目に遭わせた目の前の強姦魔に…そしてそんな冴に何もしてあげられなかった自分の無力さに、怒りにわなわなと震えているジャスミン。
シュルシュルシュル…やがてライムBは巻きつけていた自分の右足を冴の身体から引き抜き、自分の身体へと戻していく。ドサッ…ライムBの右足の支えがなくなってしまい、そのまま力なくうつぶせに勢いよく倒れてしまう冴。
「ふへへへっ…お待たせしたなぁ…いよいよ黄色いねえちゃんの番だぜぇ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
シュルシュルシュル…そしてライムBは後ろの木ごとジャスミンの身体に巻きつけていた自分の左足を、拘束していた彼女の身体から引き抜いていく。またそれと入れ替えるようにして自分の右腕を彼女の身体に巻きつけていく。
「…どうも動くのが面倒なんでなぁ…ちょっくらこっちまで来てもらうぜぇ、ふへへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…!?きゃっ!?」
グイィ…ライムBは右腕を巻きつけたジャスミンの身体を物凄いチカラで自分の方へグイグイと引っ張っていく。あっ、ああっ!?…両足で何とか踏ん張ってそれを阻止しようとするジャスミンだが、そんな努力をあざ笑うかのようにライムBは彼女の身体を意図も簡単に自分の方へと引き寄せていく。
あっ!?…ああっ、ああっ!?…ぐ、ぐっ!?……やがて彼女の身体はいつの間にか両足を自分の体に戻して立ち上がっていたライムBの目の前に引き寄せられてしまう。
ふへへっ、ふへへへへへっ……自分の目の前に引き寄せたジャスミンを見て下卑た笑みを浮かべているライムB。ムギュッ。そして彼は自分の左手でおもむろにジャスミンの右胸を力強く握りつぶす。
「あっ、あんっ!?…ぐ、ぐっ!?…は、放せっ…放して…」
「ふへへへっ…やっぱりあのちっこいおじょうちゃんと違って、黄色いねえちゃんのは“オトナ”のおっぱいだよなぁ…腑へっ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
ジャスミンの右胸を『これでもか』とひたすら弄ぶライムB。彼は彼女のそのほどよく大きい乳房の感触を確かめるようにグリグリと揉みほぐしていく。
「ぐ、ぐっ!?…あっ、あんっ…わ、わたしの…乙女の胸はおまえみたいな“スライム君”の玩具じゃないのよ!…離せっ、このぉ!」
ビュッ!パシィッ!…その乾いた音と共にジャスミンの右平手打ちがライムBの左頬に炸裂する。だが彼女たちの打撃を散々浴びてもほとんどダメージのなかったライムBである。彼はそんなジャスミンのその平手打ちなど蚊に刺された程にも感じてなかったはずだ。
しかしそんな事はジャスミンも百も承知だった。むしろ彼女がライムBに浴びせた平手打ちは“わたしはまだ負けてない!”という抵抗の意志表示だったのかも知れない。
「…ふへへへへっ…今の一撃でいい事思いついちまったぜぇ…そういえばあんたにはおっぱいをデカくするのだけじゃなくてもう一つやり残していた事があったよなぁ、ふへへっ、ふへへへへっ」
何かを思いついたらしいライムBは、そのように言うと暗く、陰湿な笑みで必死に強がっているジャスミンの顔を覗き込む。ガシッ…彼はジャスミンの右胸を弄んでいた左手をそこから放し、彼女の後頭部を手の平全体でバスケットボールを掴むようにして掴み取りにする。
く、くっ……ジャスミンは何とかその手から逃れようと試みている。が、自分の頭はライムBの物凄い握力で掴まれているためほとんど身動きが取れない。!?…その時、彼女の後頭部を掴んでいたライムBの左手からジャスミンの頭の中にライムBの“心の闇”が流れ込んできた。
{ふへへへへっ…このままこの黄色いねえちゃんから“愛のチュー”を奪い取ってやるぜぇ、ふへへっ、ふへへへへへっ}
はっ!?…ハッキリと自分へ向けられている欲望…ジャスミンの頭の中に流れ込んできた“目の前の強姦魔”のそれに彼女は血の気がスーッと弾いていくような思いがした。
はからずも目の前の強姦魔の志向を読み取っていたため、意識が一瞬だけ飛んでしまっていたジャスミン。彼女の意識が現実に引き戻されると…!?…あの緑色の強姦魔が口をすぼめて自分の目の前まで迫ってきていた。
NO!Help me!…彼女がそんな叫び声を上げる前にライムBはジャスミンの唇を奪い取っていた。
{ふへへへへっ…このまま黄色いねえちゃんと…ふへへっ、ふへへへっ、ふへへへへへっ}
「ん、んぐっ…ふぐっ、ふぐっ…ふぐっ…んぐっ…」
ぐ、ぐぅ…こ、このまま…このままこんなスライム君のいいようにされちゃうしかないの?……彼女の奪われた唇から欲望に満ちたライムBの思考が流れ込んでくる。
シュルシュルシュル…ライムBがジャスミンの身体に巻きつけていた自身の右腕を彼女から引き抜く。さわっ…そして彼はその手を彼女のスカートの中に突っ込み、下着越しにジャスミンのヒップをドーナツ状に愛撫していく。
{…このケツも中々のもんだぜぇ、ほうれ、ほうれ、ふへへへへへっ}
「ん、んぐっ…ふぐっ、んぐっ…ん、んぐっ、んぐっ…」
ぐ、ぐっ!?…こ、こんな…だ、誰か…誰か…イヤァ、イヤァ!イヤァ!
唇は蹂躙され自身の肢体は淫らに弄ばれ…次々と侵されるジャスミンの身体…これまでどのような苦境に立たされても常に冷静さを保っていた彼女の精神が遂に恐怖に蝕まれ始める。
「…ん、んぐっ…んぐっ、んぐっ…ん、んぐっ、んぐっ…」
自分の身体を淫らに弄ぶ、目の前にいる緑色の強姦魔の顔をジャスミンはまともに見る事ができない。ツゥーッ…恐怖からくるものなのか、何もできない自分への悔しさからくるものなのか、力いっぱい閉じていたジャスミンの瞼からは一筋の涙が流れ落ちてきていた。
{…ふへへへへっ…それにしても“おいしい”カワイ子ちゃんたちだったぜぇ…こんなカワイ子ちゃんたちに何されてもオレがびくともするわけねえしなぁ、ふへへへへっ…まぁ、オレの唯一の弱点である“目”を攻められたらどうなるか分からねぇけどなぁ、ふへへへへへっ}
!…コイツ、目が弱点だったの?…でも今それがわかっても今のわたしには何もできない…ぐっ、うっ、ううぅ……奪われた唇から思いがけずライムBの弱点を読み取ったジャスミン。だが今の彼女にはどうする事もできない。彼女ができる事といえば、緑色の醜いバケモノに口内をいいように蹂躙され、その凛々しい美貌を何本もの涙腺で汚す事ぐらいだった。
…う、ううっ…ううぅ…。
しばらくして…ライムBによって散々身体を弄ばれ、地面にうつぶせに転がされていた冴が意識をもうろうとさせながら、何とか目を覚ました。よろよろと起き上がろうとする冴。しかしそんな彼女の瞳に信じられない、いや信じたくない光景が飛び込んできた。
「…ん、んぐっ…ふ、ふぐっ、んぐっ…ふぐぐっ…」
!?…ジ、ジャスミンさん!?…ジャスミンさん!ジャスミンさんっ!……それは彼女が“姉”のように慕っていた年上の女刑事・ジャスミンが、今まさにあの緑色のバケモノに陵辱されている光景だったのだ。
そのジャスミンはライムBの左手に後頭部を押さえつけられ、身動きが封じられたまま強引に唇を奪い取られている。その上彼の右手がジャスミンの制服のスカートの中に侵入し、彼女の尻を好き放題に愛撫している。
彼女の身体をやりたい放題に悪戯していた張本人、ライムBはといえば…恍惚な表情を浮かべジャスミンを弄び続けている。身体をいいように蹂躙されていたジャスミンはその凛々しい美貌をただただ涙で汚すだけだった。
「ん、んぐっ…ふ、ふぐっ…んぐっ、んぐっ…んぐぐっ…」
ウソ!?…そ、そんな!?ジャスミンさんが…ジャスミンさんがっ……その変わり果てたジャスミンの姿を見て冴は身体がへなへなと脱力していってしまう…と同時に彼女には違う感情も芽生えてきていた。
…う、ううぅ…よ、よくも…よくもジャスミンさんを…ジャスミンさんを…!……うつぶせに転がされながら、目の前のジャスミンへ繰り広げられる陵辱を目の当たりにしていた冴は…ギリッ…怒りに打ち震え、無意識の内に右手の拳を握り締めていた。
「…ジャスミンさんを…ジャスミンさんを!……ぅ、うあああああぁぁ!!」
怒りが頂点に達した冴は奇声を上げ、右の拳を振り上げてジャスミンを弄ぶライムBに向かって猛然と突進していた。
!?…何打?まだ動けたのかぁ?ちっこいおじょうちゃんよぉ…まぁ軽くあしらってやるか、ふへへへへへっ……
夢中でジャスミンの唇を奪い取っていたライムBも、その冴が猛然と突っ込んでくる様子を横目で見て気付く。だが彼女たちの攻撃など大した事はない…ある意味そうタカをくくっていたライムBからはあわてた様子は感じられない。
「ん、んぐっ…ん、ん、んぐっ…!?…」
!…もしかして…冴ちゃん!?…よかった、まだ動けたの!?…ひょっとして…このスライム君に攻撃しようとしてる??……でもこのままやってもダメ…!…そう、さっきわたしが読み取った“コイツ”の弱点を何とかして冴ちゃんに伝えてあげなきゃ…何とかして…ん、んぐっ、ふぐっ…
彼女は口内で自分の舌に絡み付いていたライムBの舌を何とか引き剥がし…割と自由に動く自身の両腕をヤツの胸板に押し当て、そこをグイグイと押して何とか彼の口ヅケから逃れようとする…その甲斐あってジャスミンはライムBの接吻から逃れる事に性交した。
「…プハッ…ケホッ、ケホッ…め、目よっ…冴ちゃん、コイツの目を狙って!」
!…ハイ!……必死の思いでライムBの接吻から逃れたジャスミンが冴に向かって賢明に叫ぶ。ジャスミンさんは唇を奪われている時、自身のエスパー能力であのバケモノの弱点を読み取ったんだ……ジャスミンの必死の叫びに冴はそう理解した。
「んあ?…そうはさせねえぜぇ、ふへへへへへっ」
シュルシュルシュル…だがそれに気付いたライムBがジャスミンのヒップを弄んでいた右手を彼女から放し、猛然と突進してくる冴に向かってその右腕を鋭く伸ばしていく。
「…そんなに何度も捕まらない!…はっ!」
バシュッ!…しかし足元に伸びてきたライムBの右腕を冴は大きく前に飛び上がってカワス。そして彼女は空中でクルリと一回転し…
「やあああぁ!!」
「ぐふぅ!…ぐあああぁ!」
飛び上がっていた冴の空中からの懇親の右拳がライムBの右目に炸裂する。冴の会心の一撃に右目を押さえ痛みに声を上げているライムB。
チャンス!さっさとこんなスライム君からはオサラバよ!……冴の攻撃のおかげでジャスミンの後頭部を掴んでいたライムBの左手の力が緩くなった。彼女はその隙に彼の体からスルリと抜け、後ろへゴロゴロと転がってヤツとの間合いを取る。
「さっきまでのお礼に…スライム君にはおねえさんから“とっておき”の物をプレゼント!…おとなしく頂戴しなさい!!」
ゴソッ…そう言うとジャスミンは自身の宇宙警察の制服のポケットの中に右手を突っ込み、ある物を手にする。
…ホントはデカスーツを装着しないで“こんなもの”持ち歩いてるのバレたら始末書モノなんだけどね…地球暑にいてわたしも随分ムチャするようになっちゃったのかな?ま、いっか♪…今は“コレ”に頼るしかないし…。
ジャスミンはポケットの中の“モノ”を手に右腕を大きく振り上げてライムBに狙いを定める。彼女が手にしていた物…それはデカスーツを装着したスペシャルポリスたちが使用する小型爆弾・“ゼニボム”だった。
以前、ジャスミンが地球暑に所属していた頃、そのベース基地だった“デカベース”が強力なアリエナイザーに乗っ取られてしまった事があった。その際、自分たちのデカスーツもそのデカベース内で管理・制御していた彼女たちはデカレンジャーへの変身を封じられてしまい、絶体絶命のピンチに陥ってしまったのだ。
その場は何とか危機を脱したジャスミンたちだったが…彼女はこの時、変身を封じられた時の自身の戦闘力の不足をイヤというほど痛感させられたのだった。
それ以来、ジャスミンはデカイエローへの変身を封じられた時の“とっておき”として小型の爆弾・ゼニボムをこっそり征服のポケットに忍ばせているのだ。もちろん、その事が重大な規則違反であると分かっていながら…。
だが、幸いな事にその“とっておき”を使う機会はこれまでなかったのだが…彼女は右手に“それ”を握り締め、ライムBの左目に狙いを定めた。
「美人のおねえさんからの…とっておきのプレゼントだよ、スライム君!…ゼニボム!」
ポイッ……ボォンッ!ぐあああぁ!!……ジャスミンの右手から放たれたゼニボムはライムBの左目に見事に炸裂した。左目を押さえ、苦痛に身悶えるライムB。
「どう?…女の子の大事な唇を汚した罪は重い…!…きゃっ!?」
ガバッ!…その時、冴がジャスミンの胸元に勢いよく抱きついてきた。ジ、ジャスミンさん…う、ううぅ……冴はジャスミンの胸元に顔をうずめ、涙声を漏らし力強く彼女に抱きついている。
さ、冴ちゃん!?…はっ!?……その時、自身の胸元に飛びついてきていた冴から彼女の“心”がジャスミンの中に流れ込んできた。
{…ジャスミンさん…ジャスミンさん。よかった、本当に無事でよかった…ジャスミンさん…わたし、わたし…}
…冴ちゃん……ジャスミンの中に流れ込んできた冴の心は純粋に自分の身を心配してくれた、とてもあたたかい、心地よいものだった。
普段、ジャスミンは自分の“この能力”で嫌なものばかりを見せられてきた。剥き出しの人の欲望、嫉妬、猜疑心…この能力を上手くコントロールできなかった少女時代には人間不信に陥った事もあった。彼女が“この能力”を忌み嫌うのもこの事が大きな理由の一つだったのだ。
だが胸元に抱きついてきた冴から流れ込んできた“それ”は、とても純粋でやさしいものだった。今まで嫌なビジョンばかりを見せられ、半ばうんざりしていたジャスミンは彼女のやさしい心に触れ、とても癒される思いがしていた。
いつものジャスミンならうっかり心を読んでしまわないように身体の接触を極力嫌うはずなのだが…この時ばかりは違った。彼女は数秒間、自然と冴をやさしく包み込むように抱きしめていた。
「…ジ、ジャス…ミン…さん!?」
自身の頭をやさしく抱きかかえているジャスミンの顔を冴は上目遣いでそっと覗き込む。
「…ありがと♪冴ちゃん…ホントに助かったよ……さ、今の内に…早くあのスライム君から逃げるべし!」「…ハイ!」
右手で冴の頭を撫でながら彼女にやさしく微笑むジャスミン。そんな彼女をパァッと明るい笑顔で見つめている冴。
ダッ!…ライムBの目を攻撃し、ヤツを足止めするくらいのダメージは十分に与えられたはず…そう判断したジャスミンたちは霧深い森の中に急ぎ逃げ出そうとする。その目論見は性交するかに見えたが…。
シュルシュルシュル…ビシィッ!ビシィッ!…しかし何か緑色の触手のような物が彼女たちの身体を絡め取ってきた。恐らくはライムBの両腕なのだろう。自分たちの身体を絡め取ってきたそれにとまどいの色が隠せないジャスミンたち。
「あっ!?…ぐ、ぐぅ…!?」「ぐ、ぐっ!?…コ、コレ…あのスライム君の腕!?……こ、こんなに早く動けるようになるなんて!?…何て…ナン…センス…」
「…ふへへへへへっ…よぉくもやってくれたよなぁ…ただのカワイ子ちゃんたちだと思ってやさしくしてりゃぁ付け上がりやがってぇ…覚悟はできてるんだろうなぁ?ふへへへへへっ」
ぐ、ぐっ!?…左腕にジャスミンを、右腕に冴を絡め取っていたライムBが陰湿な顔で下卑た笑いを浮かべている。
彼女たちはそれから何とか逃れようと懸命にもがいているが…ギュゥッ、ギュゥッ…ああっ!?あああぁ!……ジャスミンたちの胸回りに巻きついてきていたライムBの腕が彼女たちのバスとを容赦なくギリギリと絞め上げていく。
『クククッ、中々面白そうだな、ライム、クククッ、ククククククッ』
その時…ライムBの耳元についていた小型の通信機から何者かがトーンの低い、底響きするような男の声で彼に語りかけてきた…彼の雇い主、デストレーダーである。
「んあ?…“ダンナ”??この声はダンナですかい?」
『そうだ。…ところでライムよ。わたしはコイツらと遊ぶのもそろそろ飽きてきた…そういうわけなんでそろそろこの“ゲーム”も終わりにしたいんだがな、クククッ、ククククッ』
「ふへっ?…オレはまだまだ遊びたりないんですがねぇ、ふへへっ、ふへへへへへっ」
デストレーダーは彼女たちと戯れるのは“もう飽きた”らしい…もちろん遊んでるつもりなのは彼らだけでジャスミンたち四人は逃げ出す事に必死なのだが。そしてまた、彼女たちと実質戯れていたライムBもまだまだ四人の女戦士たちと遊び足りないようだ。
『…まぁそう言うな。“一番”おいしいところはちゃんとおまえにくれてやるさ、クククッ、ククククククッ』
「…まぁ他ならぬダンナの頼みだ、ふへっ、ふへへっ、ふへへへへっ…ところで…じゃあこれからどうすればいいんですかい?ふへへへへっ」
『そうだな…実はおまえとは“別のライム”がもうすでに桃井あきらと渚さやかをバラバラに分断してあるのだ。ついでに“その二人”も別々にしてやれ…この女たちは一人にしてやればこれまでのような“小ざかしいマネ”はできなくなるはずだからな…コイツらの打てる手を少しずつ、じわりじわりともぎ取っていくのだ…じわりじわり、とな、ククククッ』
デストレーダーはライムBが絡め取っていたジャスミンと冴も別々に分断させてしまえ!…という。彼の意図は彼女たちをそれぞれ孤立させじわじわと追い詰めていくつもりらしい…そうする事でジャスミンたち、四人の女戦士が恐怖に顔を引きつらせ、徐々に精神的に追い詰められていくのを楽しもうという腹積もりなのだろう。彼は彼女たちをどこまでもいやらしく、ねっとりと責めていくつもりだ。
「…わかりやした。ふへっ、ふへへっ、ふへへへっ……それじゃ早速いくぜぇ…ほうれぃ!人間鎖鎌だぁ!…ほうれぃ、ほうれぃ、ふへへへへっ」
「あっ!?な、何をする…あっ!?ああっ!?」「ああっ!?あああぁ!?」
デストレーダーからの支持を受け取ったライムBは絡め取っていたジャスミンと冴を数mはあろうかという自身の両腕ごとブンブンと振り回す。そして彼女たちを鎖鎌の分銅のようにしてブンブンと両腕を勢いよく振り回し始めた。
「ほうれぃ、ほうれぃ、ほうれぃ…ふへへへへへっ」
「あああぁ…ああああぁ!」「いやあああぁ…あああぁぁ!!」
なす術もなく自身の身体を勢いよく振り回されるジャスミンたち。彼女たちは空中を勢いよく振り回されながらただただ甲高い悲鳴を上げる事しかできない。
「ほうれぃ、ほうれぃ…黄色いねえちゃんはあっち、ちっこいおじょうちゃんはこっちだぁ!…ほうれぇ、飛んでゆけぇぃ、ふへへへへへっ」
「ああああぁぁ…あああぁぁぁ!!」「いやああぁぁぁ…ああああぁぁぁ!!」
グルグルと腕を回して勢いをつけたライムBが霧深い森の中へ、ジャスミンを左、冴をその反対へと投げ飛ばす。途中、彼女たちは木の幹に当たる事もなくどこまでも飛んでいく。
『…フフフッ、ここまでは予定通りだな…ではおまえは二つに分裂してあの女刑事と大河冴をそれぞれ“狩って来い”…追いついた後、どう料理するかはおまえの好きにしていいぞ、クククッ、ククククククッ』
「…わかりやした、ふへへへっ…あらよっと……ふへへへっ、じゃあオレはあのちっこいおじょうちゃんを頂に行くぜぇ、ふへへへっ」
「…じゃあオレはあの黄色いねえちゃんだぁ、ふへへっ、ふへへへへっ」
ジャスミンたちを左右それぞれに放り投げたライムBは自分の体をひょいと二つに分け、生命体“ライムB1”と“ライムB2”に分裂する。ドドドドッ…そして彼らは左右それぞれに投げ飛ばした彼女たちの方へと猛然と走り出した。
ジーッ…その彼女たちがバラバラに分断される様子をまたしても“例”の虫型小型カメラがとらえていた…そしてカメラの先には当然、“あの男”が視線を光らせていた。この事件の黒幕、デストレーダーである。
**************
「ククククッ…四人の女戦士たちも全員バラバラだ。いよいよ“ゲーム”もクライマックスが近づいてきたようだな、クククッ、ククククククッ」
愛用のソファーチェアーに深く腰掛け、四人の女戦士たちとそれぞれのライムが繰り広げていた戦いを一部始終観察していたデストレーダー。
『ぁ…う、ううぅ…』『…う、ううぅ…』
彼は右に手にしていた赤ワインが入ったグラスをグイィと飲み干し不気味で陰湿な笑みを浮かべている…その視線の先にはそれぞれ4台のモニターに映る桃井あきら、渚さやか、大河冴、そして礼紋茉莉花・ジャスミンの姿があった。
「ククククッ…ではそろそろわたしも“軽い運動”をしに行くか?…そしてわたしの“獲物”は“コイツ”だ、クククッ、ククククククッ」
ポイッ……ガシャンッ!…彼は手にしていたワイングラスを自分の真上に、無造作に放り投げた。赤絨毯の床に勢いよく落ち、バラバラに割れるガラスのワイングラス。赤い床にはガラスの破片が無残に飛び散っている。
そしてデストレーダーが言うターゲット、彼が見つめるモニターの視線の先には…背中からダウンし、尻餅をつき脚を投げ出して倒れている桃井あきらの姿があった。彼は大またを開いて倒れていたため、丸見えになっていたピンクのアンスコに覆われていた彼女の“魅惑の三角地帯”をじっと凝視していた。まるでそれはもうすぐ“わたしのモノ”だと言わんばかりに…。
- 以下 捕獲されたヒロインたち 真の力へ続く -