- 緑の洗脳!!恐怖の黒十字戦隊 悪の必殺技 -
ビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュ…。
「きゃああぁ、ああっ、あああぁ、い、いやあああああぁぁぁぁぁぁ!?」
「そらそらそらそらそらそらそらぁっ!シャアアアァァァァ!…キーッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ペギーからただただ上がり続ける甲高い悲鳴。耳をつんざくようなナイフ仮面の奇声と共に、もはやモモレンジャーの“強化スーツ”でも何でもないただのピンクの“ジャージ”や“マント”それに“白いマフラー”がそれぞれ少しずつ、だが着実に切り刻まれていく。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…ちょっと一休みするかぁ…ハァ、ハァ、ハァ…キーッヒッヒッヒッヒッ」
「…う、ううぅ……も、もう…や、やめ…お、おねが…」
ようやく“嵐”から開放され、一息つけているペギー。だが長い間いい様に“ジャージ”を切り刻まれ続け、ただただうなだれる事しかできない彼女の精神的なショックは計り知れない。もはやペギーの戦士としてのプライドはズタズタだ。
「ハァ、ハァ、ハァ……キヒヒヒッ、ねえちゃんのその“ジャージ”を剥いていくのも飽きてきたなぁ?…!そうだぁ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ペギーの“ジャージ”を切り刻み疲れ激しく呼吸を乱しているナイフ仮面。だらしなく表情を崩しているヤツがうなだれる彼女をニタニタと眺めていると…。
「…う、ううぅ……!?きゃあ!?」
ガッ。
ナイフ仮面は突然彼女のベルトのバックル部分に右手をかけてきた。更にヤツは飢えを満たすため、目の前でうなだれている女へこう言い放つ。
「キヒヒヒッ…今度は“コイツ”をもぎ取ってやるぜぇ!このベルトの下は一体どうなってんのかなぁ?非常に楽しみだぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「!?そ、そんな!?……お、お願い、やめて!?そ、そんな…事しな…」
「そんな事しないでだぁ?今更何言ってやがんだぁ、ねえちゃんよぉ?…それにこんな楽しい事簡単に止められるわけねえだろが?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
己の欲望を満たすためにはどこまでも容赦のないナイフ仮面。それにしても目の前の忌むべき“ヘンタイ”へ恥じも外聞もなく必死に懇願するペギーにはもはや凛々しくも美しかった“女戦士”としての面影は微塵もない。
「キヒヒヒッ、それじゃあいくぜぇ!……シャアアアァァァァ!」
「!?イ、イヤッ、や、やめて…!?いやああぁぁぁ!?」
ブチブチブチ、ブチブチブチブチ!
瞳を潤ませるペギーの必死の懇願もむなしく、彼女のベルトはペギーの身体からあっさりと剥ぎ取られてしまう。
「キヒヒヒッ…これがゴレンジャーの連中がしてるベルトかぁ?別に何か変なモンがついてるわけじゃねぇんだなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「…そ、そんな…う、ううぅ…」
ゴレンジャースーツだったピンクの“ジャージ”だけでなく腰に巻かれていたベルトまで剥ぎ取られ更にうなだれるペギー。
パサッ。
そして腰に巻かれていたベルトの支えを失った“ジャージ”に付随していたミニスカートが足元へ静かに、パサリと落ちてしまう。
「…だけどこんなチンケなベルトなんかいらねえなぁ?キヒヒヒッ……あぁ!?何だぁ?ねえちゃんのつけてたミニスカが足元にズリ落ちてるぜぇ?」
その時、ペギーから剥ぎ取ったベルトをニヤニヤと見つめていたナイフ仮面が彼女の足元に落ちたミニスカートの存在に気付く。そしてヤツは“とある考え”を思いついたようだ。
「そうだぁ!?いい事思いついたぜぇ!そのミニスカをオレのティアラみてえにしたら面白そうだなぁ?キヒヒッ、我ながら明暗だぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
(な、何なの!?こ、このヘンタイ、また妙な事言い出したわ)
「キヒヒヒッ、そうと決まれば膳は急げだぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
そう言ってナイフ仮面はペギーから剥ぎ取り手にしていたベルトを無造作に投げ捨て、彼女の足元に落ちているピンクのミニスカートを拾い上げにいく。そしてナイフ仮面はそのミニスカートを力任せに引っ張り上げようとする。
ブチブチブチ…。
だがペギーの足元で輪を作るように落ちていたそれを無理矢理引っ張って拾い上げようとするならば、当然ミニスカートのその輪も形が崩れてただの“布切れ”同然になってしまう。
「何だぁ?切れちまいやがったぜぇ。このままじゃオレのティアラにできねえじゃねぇかよぉ?どうしてくれんだぁ?よぉ、ねえちゃん、キーッヒッヒッヒッ」
(な、何よ!?あ、あんたが無理矢理引っ張り上げたから切れたんじゃない。そんな事すれば当然でしょ!…や、やっぱりこのヘンタイムチャクチャだわ)
八つ当たり気味のヤツの言いがかりにうんざりといった様子のペギー。しかしだからと言って今の彼女にはそれに言い返す気力も、体力でさえもない。現在のペギーはそれほどまで心身ともに消耗しきっているからだ。
「そうだぁ!…じゃあこうするかぁ?ちょっと痛ぇけどなぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
そう言いナイフ仮面は頭の上のナイフを二本抜き取る。そしておもむろにペギーから奪い取ったミニスカートを頭周りに巻いていく。
ブスッ!ブスッ!
更にヤツはそのミニスカートを先ほど手にした二本のナイフで、自分の頭ごと突き刺して留めた。これでナイフ仮面の希望通り、ヤツの頭上でティアラの完成である。
ジワ、ジワ…。
しかし自分の頭へ刃物を突き刺すという事は自分自身を傷つけるという事だ。当然のようにピンクのミニスカートへジワジワとにじんでいく血と思われる濃い緑の液体。
「キヒヒヒッ、どうだぁ?ねえちゃん。オレのティアラ姿も中々のモンじゃねぇかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ…!?」
(な、何なの!?こ、このヘンタイ。ほ、本当に…本当に狂ってるわ)
表情はこわばりながらも心の中では目の前の“ヘンタイ”の“奇行”にあきれているペギー。しかし今の彼女にはそんな事を問われても元々答える余裕などないのだ。
「なぁおまえら!どうだぁ?今のオレはまるでアラビアのお姫様みてえだと思わねぇかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ペギーから奪い取ったミニスカートを頭の上でティアラのようにかぶり、嬉々としているナイフ仮面。そんなヤツは大きな声で他の仮面怪人たちに今の自分の姿を見せびらかすように問いかけている。
「…何だ?あのバカ。…まぁ所詮キチガイはキチガイという事か?フフフッ、フフフフッ」
「まぁそう言うなよ、電波仮面。アイツはキチガイなりに楽しんでるんだ。別にいいじゃないか?…それにどうだ?あのキチガイがあんなに楽しそうな姿を見るのはかなり久しぶりじゃないか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「フッ…まぁ確かにそうかもな、催眠仮面。フフフッ、フフフフッ」
だが突然そんなナイフ仮面にその事を問いかけられても彼らには答えようがない。特に電波仮面などはあからさまにナイフ仮面の“奇行”を小バカにするような態度をとっている。
「おい何だぁ!てめえら?このオレの可憐な姿を無視するたぁひでぇじゃねぇかよぉ!」
催眠仮面など他の仮面怪人たちに無視されだんだんと不機嫌になっていくナイフ仮面。
「ああ、分かった分かった。済まなかったな、ナイフ仮面。…確かに今のおまえさんは可憐でかわいいぞ。なぁ電波仮面よ?グフフフッ、グフフフフフッ」
「催眠仮面??…あ、ああ…」
「キヒヒヒッ、そうだろそうだろ?今のオレはとっても可憐だぜぇ。このねえちゃんに負けねぇぐらいになぁ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
(な、何よ!?あんたのどこが可憐なのよ!今のあんたが可憐ならほとんどの男の人の女装した姿はみんな可憐って事じゃない!…それにこのわたしを今のあんたなんかと一緒にしないでよ!)
しかしご機嫌を取られるように催眠仮面に突然おだてられて急に上機嫌になっていくナイフ仮面。ヤツは機嫌の良さそのままに、岩壁へ“釘付け”にしたペギーを、こんなヤツと同列に扱われ内心怒り心頭のペギーをニタニタと見つめている。
{おい!催眠仮面。一体わたしに何を言わせるつもりだ?}
{グフフフッ…そいつは済まなかったな、電波仮面。だがあのキチガイがせっかく機嫌良さそうなんだ。つまらん事であのバカの機嫌が悪くなったらそれこそ困るだろ?グフフフッ、グフフフフフッ}
{なるほど。確かにそうだな。フフフッ、フフフフッ}
二人で何か耳打ちをしている催眠仮面と電波仮面。それと先ほど催眠仮面がナイフ仮面のご機嫌をとっていたのは、どうやらヤツなりの深慮遠謀もあったようだ。
「キヒヒヒッ…それじゃあこれからはまたドンドン剥いてくぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ガッ。
そう宣言するとナイフ仮面は今度、“ジャージ”を切り刻まれ続け、その姿をあらわにしていたペギーのジャケットを右手で掴む。
「あっ!?な、何をする気?わたしをどうするつもりっ?」
「何する気だぁ?キヒヒヒッ…そりゃあこうするに決まってんじゃねえかぁ?…シャアアアァァァァ!」
「あっ!?きゃあああぁぁ!?」
ビリビリビリ!バリバリバリバリ!
そこまで言うとヤツはレザーのジャケットを力任せに一気に引ん剥いた。ペギーからジャケットがむしり取られるのへついてくるようにピンクの“ジャージ”の残骸がそのジャケットにくっついてくる。
「キヒヒヒッ…ねえちゃんを自分の手で剥いてくのもいいモンだねぇ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ペギーからジャケットを剥ぎ取り、屈辱にその美貌をゆがめる彼女を優越感たっぷりにニタニタと見つめるナイフ仮面。そのヤツは剥ぎ取ったレザーのジャケットを無造作に投げ捨て、うなだれているペギーへ更にこう言い放ったのだ。
「キヒヒヒッ、それじゃあこれからどうしてあろうかねぇ?…まずは上から剥いでねえちゃんのおっぱいを晒して欲しいかぁ?」
ガッ!
「あっ!?ぐ、ぐっ…」
いきなり右手でペギーの左胸を鷲掴みにしてきたナイフ仮面は、すっかり弱気な表情を覗かせている彼女へそんな卑猥なセリフを言い放ち迫っていく。
ムギュッ!
「…それとも何かぁ?この黄色の短パンを剥いで先に下から剥いてってやろうかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
続いてヤツはペギーの左胸を鷲掴みにしていた右手をそのまま下腹部へと滑らせていき、彼女の股間を握りつぶしてきた。
「…ぁ…ぁ…お、お願い…や、やめて…も、もう…許し…」
どうやらこれまでナイフ仮面がペギーへ与えてきた苦痛と恥辱の数々は彼女の気力を、何よりも女戦士としての誇りを著しく削いできたようだ。目の前の忌むべき敵へ許しを請う今のペギーの姿にはもはやゴレンジャーの紅一点であるモモレンジャーとしての面影はどこにもない。
「あぁん?許してくれだぁ?コイツァいいぜぇ!気の強い女を泣かすのはこれだから止められねぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ!」
ムギュゥゥゥ!
「あんっ!?ぁ、あっ…ぐ、ぐぅ!?」
黄色いホットパンツに包まれたペギーの股間を握りつぶしていた手に更に込められる力。許しを請う“元女戦士”をあざけ笑うようにナイフ仮面がペギーへ蔑みの視線を浴びせてくる。
「てめえ!最初はあんなにいきがってたよなぁ?だが今じゃあこのザマだぜぇ!…許してくれだぁ?モモレンジャーをナメるなだとぉ?そのムッチムチのエロい体だけが取り得のクソ女がナマ言ってんじゃねぇ!笑わせんなよぉ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
(く、くっ!?こ、これだけ人を好きにしといて今更何がクソ女よ!ふざけないで!……で、でも今のわたしじゃそう言われても…)
ナイフ仮面から次々と吐き捨てられる罵倒。その汚い言葉の数々にペギーはこれまでの自分の全てが否定されているような気がしていた。
だが今の弱気な彼女はそれからすらも抗いきれないでいる。数々の恥辱にまみれ続けその上女戦士としての自分も否定され-。全てを失いかけているペギーの命運はもはや尽きようとしていた。
「よし!決めたぜぇ!まずはその白いTシャツから剥いてやるぅ!ついでにその下にあるブラもなぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ひ、ひっ…!?」
ナイフ仮面の容赦のない強姦宣言。だが狼に狙われた雌の小鹿のようにただただおびえるだけの今のペギーには何もする事ができない。
「…ぁ…ぁ……ぁ……」
「キヒヒヒッ…どうやらその様子じゃあクソナマイキなモモレンジャー様はもう完全にどっかいっちまったみてえだなぁ?…だが心配すんなよ。例え相手がゴレンジャーの女じゃなくてもキッチリ犯してやるよ。何しろこんなムッチムチのねえちゃん、滅多に食えねぇからなぁ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ……シャアアアアアアァァァァ!」
「い、いやあああぁぁぁぁぁ!?」
「ペ、ペギー!ペギィィィィィィィ!!」
(!?も、もうダメッ!や、やられる!?…み、みんな…)
ミドの絶叫。ペギーの甲高い悲鳴。耳をつんざくような奇声の中、ペギーの胸ぐらへ襲い掛かるナイフ仮面の毒牙。今まさに彼女の白いTシャツが剥ぎ取られようとしていたその時…。
ガシィッ。
(!?……ぇ!?ど、どうして無事…なの?い、一体何が起こったの??)
既に観念したように瞳を閉じて覚悟を決めていたペギー。だが肝心のヤツの毒牙はどうやら何者かによって彼女の直前で止められてしまっているようだ。疑問に思ったペギーが恐る恐る目を開けてそれを確認すると…。
「…何だぁ?爆弾仮面じゃねえかよぉ?…てめえ!オレがこのねえちゃんと遊ぶのを邪魔しようってのかぁ!!?」
ペギーへ襲い掛かろうとしていたナイフ仮面の腕を止めてきた者。何とそれは味方であるはずの爆弾仮面だった。
「ククククッ…別にそうではない。ただこの女にはオレもちょっとした“約束”があった事を思い出したんでな?おまえがこの女を犯す前にオレも約束を守ってやろうと思ったんだよ。…何しろ先におまえに手を出させたらどうせこの女は使いモンにならなくなってしまうだろうからな?ククククククッ」
「何だぁそりゃあ?てめえ!今更何言ってやがんだぁ!もうこのねえちゃんはオレが先に唾つけたんだよぉ!てめえの“約束”なんか知ったこっちゃねぇ!」
「…だからそれを承知で無理言っておまえにお願いしてるんだよ。それに心配は無用だ、ナイフ仮面。オレがこの女に“約束”を守ってやった後はこの女を活きのいい状態でちゃーんとおまえに引き渡してやるからさ、クククッ、ククククククッ」
「んだぁ?そんなん信用できっかよぉ!オレは今すぐこのねえちゃんとヤラせてもらうぜぇ!爆弾仮面!てめえはすっこんでるんだなぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ!……どひゃぁ!?」
ボォン!
ペギーのこれからの処遇について口論を繰り広げていたナイフ仮面と爆弾仮面。その時、ナイフ仮面の顔面で小さな爆発が起こる。ナイフ仮面の腕を掴んでいた爆弾仮面が威力の小さな爆弾を投げてきたからだ。
「いってぇ~!?爆弾仮面!てめえ!一体何しやがるぅ!」
「…どうやら言っても聞いてもらえないみたいなんでな?ちょっと痛い目に遭ってもらったんだよ、ククククッ」
「んだとぉ?爆弾仮面!てめえ!このオレとやろうってのかぁ!!?おもしれぇ!やってやろうじゃねぇかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
(な、何よコイツら!?な、仲間割れ??で、でも一体いきなりどうして…??それにこの爆弾のバケモノがわたしに約束があるって…一体どういう事なの??)
ペギーの扱いを巡って次第に険悪な雰囲気へとなっていく二人の仮面怪人。味方のはずの二人から、まさに一触即発の空気が漂い始める。
(…で、でもコイツらがこんな事やってくれるんなら…まだわたしにもチャンスが出てくるかもしれない。…そうだわ!それだったらできるだけわたしの方からコイツらをあおった方がいいのかもしれないわね。…よし!)
だが絶体絶命の状況に置かれているペギーにとってヤツらのその争いはまさにチャンスであった。彼女はその言い争いにかすかな光を見出そうとしていたのである。
「ねぇ、ナイフ仮面さん♪…あなた、わたしをモノにしようとしていたんじゃなくて?…あなた、そんなにわたしをモノにしたいのならそこの邪魔者を倒してからにしたらどうかしら?わたしもどうせ手を出されるんなら強い男の方がいいわねぇ、うふふふっ♪」
「キッヒーッ、そうかいそうかい!じゃあせっかくこんなムッチムチのねえちゃんに頼まれちまったし爆弾仮面、おまえをやっちまおうかなぁ?キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ほぉ?…ナイフ仮面。おまえ本当にオレと戦おうってのか?…フンッ、面白い!おまえみたいなキチガイとの力の差ってのを教えてやるよ、クククッ、ククククククッ」
(ウフフッ…ホント、狙い通り踊ってくれるわね、このおバカさん♪…よーし、この調子でこの“ヘンタイ”の方をあおっていけば…うふふっ♪)
見るからにオツムの弱そうなナイフ仮面に狙いを定めて二人の仮面怪人の争いをあおっていくペギー。そしてその狙いは見事なほど彼女の思惑通り進んでいこうとしている。
(いいぞペギー!そうやってそいつらを同士討ちさせていけばオレたちにもチャンスはまだ出てくるかもしれないぜ)
ペギーの前で突然二人の仮面怪人が仲間割れのような言い合いを始めた事にミドもそれを見て内心ほくそ笑んでいる。だが他の仮面怪人たちの見方は当然違っていた。
「フッ…あのバカ。あんなのあの女の色仕掛けの口車に決まってるじゃないか?爆弾仮面もあのキチガイにわざわざ付き合ってやる事もないだろうに…相変わらずカッカしやすいヤツだ。…だがこのままではさすがに問題があるんじゃないか?なぁ、催眠仮面?」
「そうだな、グフフフッ……ふーっ…しょうがないヤツらだ。じゃあちょっくらアイツらの下に行ってくるとするか?…電波仮面?これならおまえも文句はないだろ?グフフフッ、グフフフフフッ」
「フッ…そうだな。じゃあ催眠仮面、あのバカどもをキッチリ止めてわたしを安心させてきてくれよ?フフフッ、フフフフッ」
「グフフフッ…まぁ任せておけ、電波仮面よ。一応これもリーダーの仕事ってヤツだからな、グフフフッ、グフフフフフッ」
不敵な笑みを浮かべる催眠仮面はそう呟き、お互いがいがみ合い今にも戦いが始まりそうなナイフ仮面と爆弾仮面の下へ“やれやれ”といった感じで向かい始めた。
(な、何だコイツ!?…な、何なんだこの自信は?ア、アイツにあの二人を止められるほどの…それほどの実力があるっていうのか??)
まだ明らかにその実力の全貌を見せていない黒十字戦隊のリーダー。その不自然なほど自信に満ち溢れたふるまいはミドの不安を徐々に膨らませていくには十分なものだった。
「ねぇ、そこの素敵なナイフ仮面さん♪…あなたが本当に強いところぜひ見てみたいわねぇ。あなたならきっと他の仮面怪人なんか軽くやっつけちゃうんでしょうねぇ、ホント楽しみだわぁ~うふふっ♪」
「キヒヒヒッ、こんなムッチムチのエロいねえちゃんにこんだけ応援されたらたまんねえよなぁ!…そうゆうわけだぁ!爆弾仮面いくぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「クククッ…このキチガイが!…来るがいい!いい機会だからおまえのバカに身の程というヤツを教えてやるよ!クククッ、ククククククッ」
岩壁へ“釘付け”にされているペギーの前で対峙する二人の仮面怪人のいがみ合いは、その女の色香に巧みにあおられ益々激しさを増していくばかりだ。
(うふふっ、このヘンタイ、本当のおバカさんね♪…それにどういうつもりか知らないけどこの爆弾のバケモノもこのヘンタイにご丁寧に付き合っちゃってくれてるわ。…これならホントにまだわたしにチャンスが巡ってくるかもしれないわね…うふふっ♪)
その仮面怪人たちのいがみ合いをいさかいを仕向けた張本人であるペギー自身は内心笑いが止まらない。予想以上のその成果にペギーが思わずゆるんでしまいそうな口元を懸命に結んでいると…。
「クククッ…さっさとこい!このバカが…おまえみたいなキチガイとの力の差ってのを教えてやるよ、ククククククッ」
「キヒッ!?キチガイだぁ?てめえ!言いやがったなぁ!この爆弾仮面のクソヤロォォォォ!死ねえええぇぇ!」
目の前の“キチガイ”を見下すように挑発していく爆弾仮面。そんな挑発にまんまと乗ってしまう単細胞のナイフ仮面。興奮しいきり立つナイフ仮面が右手にナイフを手にし、爆弾仮面に猛然と襲い掛かっていこうとしていると…。
ガシィッ!
だがその右手は何者かによってガッチリと掴まれ、止められてしまう。
「何だぁ?誰だぁ!オレの邪魔しやがるのはよぉ!!?」
「グフフフッ…悪いな、ナイフ仮面。だがここでおまえらに同士討ちを始められたら困るんだよ。おまえは満足かもしれないけどな、グフフフッ、グフフフフフッ」
ナイフ仮面の腕を掴んできたのは他ならぬ催眠仮面だった。ナイフ仮面の右腕を掴み取った催眠仮面は興奮しいきり立っているナイフ仮面を不敵な笑みを浮かべて見つめている。
「んだぁ?催眠仮面!てめえもオレの邪魔しようってのかよぉ!!?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「グフフフッ…まぁ端的に言うとそうなるな。だがそこの爆弾仮面もちゃんとこの女を活きのいい状態でおまえにお返ししてやると言ってるんだ。…なぁナイフ仮面、たまにはおまえの方から獲物を譲ってやってくれないか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「んだぁそりゃあ!?そんな事オレが信じるわけねぇだろぉ?だいたいそんなんオレの知ったこっちゃねぇ!やっぱりオレは爆弾仮面を殺ってこのねえちゃんにオレの強さを見て喜んでもらうぜぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
催眠仮面にそう説得されても当然ナイフ仮面が『はいそうですか』などと納得するわけがない。ヤツは催眠仮面の手を振りほどこうと益々いきり立つばかりだ。
「グフフフッ…そうか。ではおまえ、久しぶりにわたしの“お仕置き”を食らいたいんだな?…別にわたしはそれでもいいぞ?出来の悪い部下をこらしめるのは結構楽しいからな?グフフフッ、グフフフフフッ」
「き、キヒッ!?…わ、分かったよぉ催眠仮面。オレが悪かったよぉ。オ、オレとした事がちょっと調子に乗りすぎちまったみたいだねぇ…キヒッ、キヒヒッ、キヒヒヒッ」
そう催眠仮面に凄まれて少しおびえているような様子を見せるナイフ仮面。
(な、何なの!?あ、あのムチャクチャで自分の事しか考えてないような“ヘンタイ”が…??そ、それともあの“変な仮面”をしているヤツの実力はこの“ヘンタイ”を恐れさせるぐらい圧倒的だと言うの…??)
傍若無人を絵に描いたようなあのナイフ仮面の明らかな変貌ぶりに驚いているペギー。何よりそのメチャクチャなナイフ仮面をそのような態度にさせてしまった、白い衣を被り、妖しい模様の入ったまがまがしい仮面を身に着けた仮面怪人、催眠仮面のただならぬ雰囲気は再度気力を、戦いへの意欲を奮い立たせようとしていたペギーをたじろがせるには十分過ぎるものだった。
「…おい、爆弾仮面。ところでおまえはこの女に何したいんだ?ぜひわたしにも教えてくれないか?グフフフッ、グフフフフフッ」
出来野悪い部下の暴走をしっかりとなだめた催眠仮面。ヤツは次に爆弾仮面の“やりたい事”を聞きに向かおうとする。
「ああ分かった、催眠仮面。さすがにおまえさんはこのキチガイと違って物分りがいいな?ククククククッ」
「んだとぉ!この爆弾仮面のクソヤローがぁぁぁ!」
「…ナイフ仮面!」
「!?…チッ、わぁったよ、わぁってるって、催眠仮面。おとなしくしてりゃいいんだろ?」
「…おまえがわたしのお仕置きを受けたくないのならな。グフフフッ、グフフフフフッ」
爆弾仮面にまたもや小バカにされて怒り狂うナイフ仮面。だがそんなヤツも催眠仮面にギロリと一睨みされてしまうと蛇に睨まれた蛙のように途端におとなしくなってしまうのだ。
(ま、また!?あ、あの“ヘンタイ”が一睨みされただけでこんなにおとなしくなるなんて…や、やっぱりこの催眠仮面とかいうヤツの実力はそれほどのモノだっていうの??この“ヘンタイ”なんか目じゃないぐらいだって事なの??)
ヤツらのそんな様子はペギーの目にも脅威に映っていた。これまで自分がほぼ歯が立たず散々に痛めつけられなす術もなく淫らに弄ばれ、あまつさえ女戦士としての誇りさえもズタズタに打ち砕いてきた相手。
しかしそんな“ヘンタイ”も黒十字戦隊のリーダーを名乗るその仮面怪人の前では一睨みされただけですっかりおとなしくなってしまうのだ。目の前に突如として現れたまだ見ぬ“新たなる脅威”にペギーは恐怖を覚えずにはいられない。
「グフフフッ…では爆弾仮面。おまえのこの女にした“約束”とやらを聞かせてもらおうじゃないか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「そうだな、ククククッ……ではこっちに来て耳を貸してみろ」
そんな爆弾仮面にうながされて催眠仮面がヤツへ耳を傾けていく。何やらヒソヒソと話し始める二人の仮面怪人たち。
「…ほぉ、そうか。爆弾仮面、おまえは“あれ”を試したかったのか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「そういう事だ。おまえさんやあのキチガイにとっても結構面白い話だろ?クククッ、ククククククッ」
「グフフフッ…そうだな。“あれ”をやるなら我らも楽しめそうだ。グフフフッ、グフフフフフッ」
(な、何なの!?コ、コイツらがやろうとしてる“あれ”って…??で、でも何だかとても嫌な予感がするのは…この感覚、何なの!?一体どうしてなの!?)
耳元での打ち合わせを終えた催眠仮面が不意に口にした“あれ”という言葉。ペギーは何気ないその言葉の響きにとてつもない嫌な感覚を覚えてしまう。
それが何故であるのかは彼女自身にも分からない。だがそのペギーの言い知れぬ不安は徐々に、だが彼女の心の中で着実に膨らんでいく。
「…おい、ナイフ仮面!爆弾仮面がその女にやりたかった事というのは“あれ”を試したかった事らしいぞ。わたしたちが“あれ”を実践で試すのは初めてだ。それにこの女に対して“あれ”がどういう動きをするのか結構楽しめそうじゃないか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「へぇ~なるほどねぇ。“あれ”を試したいってねぇ、キヒヒヒッ……それならオレも結構楽しめそうだなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「そうだろう?別におまえにとっても悪い話でもないんじゃないか?…どうだ?この女、しばらくの間、爆弾仮面に貸し手やってくれるか?グフフフッ、グフフフフフッ」
「キヒヒヒッ…そういう事なら仕方ねえなぁ。それじゃあしばらくはこのねえちゃん、爆弾仮面のクソヤローに化しといてやるよ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「…そいつは済まないな。クククッ、ククククククッ」
催眠仮面とナイフ仮面、それに爆弾仮面。どうやら三者の間での交渉は、催眠仮面のリーダーシップと強大な力によって穏便な形で成立したようだ。
「キヒヒヒッ、そういう事らしいぜぇ。…というわけだからまたしばらくお別れだなぁ?なぁ、ね~ちゃん♪…キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「ぁ、あっ!?…ぐ、ぐっ…」
ポヒュ。
爆弾仮面とのいさかいで非常に不機嫌になっていたナイフ仮面は、このような形で再び機嫌を取り戻す。そしてヤツはペギーとの別れ際に彼女のふくよかな胸の上に一度だけ右手を沈め、例の奇声混じりの気味の悪い笑い声と共に彼女の前から去っていった。
(く、くっ!?も、もう少し…もう少しだったのに……で、でもコイツらが言ってる“あれ”って一体…??コ、コイツらはわたしに一体何をしようとしているの??)
あともう少しのところで思惑通りに事が運べなかった-。最大にして最後の逆転のチャンスを逃してしまったペギーは心の中で苦虫をつぶしてもつぶしきれない。
何より希望という名の扉をこんなにもあっけない形で閉じられてしまった今のペギーには新たな苦難がおとずれようとしていた。ヤツらが口々に言っている“あれ”とは一体何なのか?…その事への得体の知れない恐怖が彼女の美貌を再び引きつらせていく。
ザッ。
やがて哀れにも岩壁に“釘付け”にされていたペギーの目の前へ、頭部が黒い爆弾のような形をしている仮面怪人、爆弾仮面が現れる。
「よぉ…あのキチガイに随分かわいがられたみたいじゃないか?しばらく見ない内に中々いい格好になったな。なぁモモレンジャー?…いや、その姿だからペギー松山とお呼びした方がいいのかな?クククッ、ククククククッ」
クイィ。
「く、くっ…!?」
右手でペギーの下アゴを掴み、屈辱に表情をゆがめている彼女の美貌へグッと迫っていく爆弾仮面。
(コ、コイツ…!?い、一体わたしに何を…何をしようとしているの??こ、これからわたしをどうしようというの…??)
だが憎き黒十字軍の仮面怪人にそのような屈辱的な態度を取られても、それに反発する力は今のペギーにはもはや残っていない。自分の下アゴを掴んでグッと迫ってくる爆弾仮面へ向ける視線はいかにも弱々しい。
(!?…か、身体に力が…力が全然入らないわ!?わ、わたし…か、身体がすくんでしまってるの!?)
その上ペギーは身体がすくんでしまい、力がまったくと言っていいほど入らない。これまで受け続けてきた苦痛と恥辱の数々、何より爆弾仮面がこれから繰り出そうとしている“あれ”への得体の知れない恐怖-。これまで数々の苦しい戦いを潜り抜けてきた屈強なはずの女戦士の身体が、強大な黒十字軍の力の前に今まさに屈指用途している。
「?…ククククッ。もしかしておまえ、このオレが怖いのか?クククッ、ククククククッ」
「!?…な、何よっ!?そ、そんな事あるわけ…ないでしょ?誰があんたなんか…」
しかし口ではそのような事を言っていても反論するペギーの口ぶりはいかにも弱々しい。しかもペギーの心の中の弱気は目の前の爆弾仮面にもあっさりと見抜かれてしまっているようだ。
「ククククッ…心配するなよ。オレはあのキチガイと違って女の着ている服を剥いて喜ぶなんて悪趣味はないからな…ま、弱っている相手に“力の差”を見せ付けてやるのは大好きだがね、クククッ、ククククククッ」
(く、くっ…!?)
そう言ってヤツは掴んでいたペギーの下アゴから右手を放し、クルリと後ろを振り返って数歩後ろへ下がっていく。岩壁へ“釘付け”にされてしまっている、何より身体がすくんでしまいほとんど力が入らない彼女は爆弾仮面のそんな余裕の態度にも黙って見ている事しかできない。
ゴソゴソ…。
やがて爆弾仮面はサッカーボール大の、何やら“丸くて黒いボール”のような物を取り出し、それをペギーに見せ付けてきた。
「ククククッ…おい!そこのボロ雑巾のようになっている女。おまえ、これが何だか分かるか?クククッ、ククククククッ」
「く、くっ…!?」
(?…な、何なの!?あ、あれは一体…??で、でもあれ、わたしの知ってる何かに似てるみたいだけど…で、でも一体何なの??)
爆弾仮面から突然見せ付けられてきたそれが何であるのか、初めてそれを見るペギーには当然分かるわけもない。ただその“丸くて黒いボール”が何かに似ている事には彼女も気が付いたみたいなのだが…。
「ククククッ…その様子ではイマイチ分かりかねているようだな。…ではコイツが“黒キック爆弾”という名前だと言えば分かるのかな?クククッ、ククククククッ」
「な、なっ…!?」
(な、何ですって!?そ、それじゃヤツらがわたしにやろうとしてる事ってのは…ゴ、ゴレンジャーストームなの!?で、でも黒十字軍なんかにまさかそんな事…)
ヤツの口から出たその名前にペギーは驚愕する。一部名前が違うとはいえ、それはかつて自分たちゴレンジャーが必殺技に使っていた物とそっくりだったからである。
「ククククッ…ようやく分かったようだな。それならばオレたちがこれからおまえにやろうとしてる事も分かるよな?ククククククッ」
「や、やっぱり!?…そ、それじゃあんたたちがやろうとしてる事って…ゴ、ゴレンジャー…ストーム…なの!?」
不敵な笑みを浮かべる爆弾仮面の質問に、ペギーは小刻みに唇を震えさせて恐る恐る答える。
「ククククッ…それはちょっと違うな。ゴレンジャーストームはおまえらゴレンジャーの必殺技だろ?オレたち黒十字戦隊のはその名も“黒十字ストーム”って言うんだよ。おまえらゴレンジャーなんかの技と一緒にされちゃ困るな?所詮は女のおまえが爆弾のセット役をしてるゴレンジャーなんかのとな、クククッ、ククククククッ」
「な、な!?そ、そんなの!お、男も女も関係な…」
爆弾仮面の罵りのその言葉にペギーがすかさず反応する。普段から戦場では男も女もないと言い聞かせているペギーにとってその言葉はとても聞き捨てならないからだ。
「男も女も関係ないだと?ククククッ……笑わせるなよ!一人ではロクに戦う事などできない女のおまえがゴレンジャーの一員になれたのは何故だ?爆弾を扱う事なら直接戦闘能力は関係ないからな。だからおまえは爆弾の使い手としてお情けでゴレンジャーに入れてもらえただけだろ?爆発物に関して大した能力もないおまえがゴレンジャーストームの爆弾のセット役に選ばれたんだろ?クククッ、ククククククッ」
だが爆弾仮面はそれすらもあっさりと否定してくる。もはやペギーには有無も言わせないといった感じだ。
「な、な!?そ、そんな事あるわけ…」
「ククククッ…何がそんな事あるわけないと言うんだ?おまえがどう取り繕うとそれは事実なんだろ?それともおまえがただ知らないだけなんじゃないのか?でなければパワーで明らかに劣る女のおまえがモモレンジャーに選ばれるわけなんかないだろ?それとも持ち前の女のお色気で上手い具合に取り入ったのかな?クククッ、ククククッ」
(く、くっ!?コ、コイツ…コイツどこまで…)
事実でない事も含め、ペギーを罵倒し続ける爆弾仮面の言葉責め。いやむしろヤツの言っている事は明らかにデタラメばかりだ。
ペギーはこれまで爆弾の専門家としてゴレンジャーの中でその力を如何なく発揮してきた。黒十字軍に仕掛けられてきた爆弾の数々の解体、ゴレンジャーハリケーンを始めとするいくつもの新必殺技の開発-。それらの事実が爆弾の使い手としての彼女の実力を何より証明している。
だがそれが事実であるかどうかなどこの際爆弾仮面にとってはもはやどうでもいい事なのだ。そしてヤツの言葉責めは更に続く。
「…だがこのオレはおまえのようなお情けで“爆弾の専門家”になった女などとは違う。爆弾の使い手として真に実力があるからだ。…それをこれからおまえにじっくりと証明してやるよ。おまえみたいな女との本当の“ウデの差”ってヤツをな、クククッ、ククククククッ」
「く、くっ…!?」
爆弾のエキスパートとして、ペギーとの“力の差”を見せ付けようとしている爆弾仮面。その自信はどこまでも揺ぎない。
(な、何なの、コイツ!?な、何でこんなに自信満々なの!?で、でもこんなヤツなんかにゴレンジャーストームが本当にできるわけが……で、でも…でも…)
爆弾仮面のその自信に基づく圧倒的な迫力は、これまでペギーが培ってきた様々なモノを飲み込もうとしていた。今の彼女はこれまでの女戦士としての経験から得てきた自信や色々な事ですらも信じられなくなってきている。
「…では早速オレたち黒十字戦隊の必殺技をその身体にお見舞いしてやるよ。その名も“黒十字ストーム”をな…クククッ、ククククククッ」
「な、何よ!?見せてやるって…だ、だいたい本当にゴレンジャーストームをやるつもりなら、五人でそのための陣形を組まないといけないんじゃなくて?それをやらないで黒十字ストームだなんて…やっぱりただのハッタリだったのかしら?」
ペギーがそう想うのは無理からぬ事だった。それが彼女の中でのゴレンジャーストームの基本的な形だったからである。
「ククククッ…それはゴレンジャーストームの話なんだろ?オレたちの黒十字ストームはおまえらのチンケな技とは出来が違うんだよ?クククッ、ククククククッ」
(く、くっ!?そ、そんな…そ、それじゃコイツは本当に…)
だが爆弾仮面はペギーのそんな挑発じみた言動にもまったく動じる様子がない。更にヤツは自分たちの必殺技の優位性を誇示するようにしゃべり続ける。
「ククククッ…それにいい事を教えてやろうか?オレたちの黒十字ストームはどこに爆弾をセットしても発動できるんだよ。例えばな…」
「く、くっ…!?あっ!?」
ズボッ。
そう言い放つと爆弾仮面はペギーの股下、肉付のいい両太腿の間へこれみよがしに“黒キック爆弾”を差し込んでくる。まるで黒い砲丸を太腿で挟み込むような、屈辱的な格好にさせられてしまうペギー。
「…例えばこんな場所でもだ。もしこんな所から“コイツ”を蹴り上げたらおまえの“ここ”は実に楽しい事になりそうだな?クククッ、ククククククッ」
「く、くっ…」
屈辱にその凛々しい美貌をゆがめているペギー。しかも爆弾仮面はむしろそんな彼女を見て愉しんでいる節がある。
「何だぁてめえ!やっぱりオレに嘘ついてやがったのかよぉ、爆弾仮面!てめえ!やっぱりねえちゃんをさっさとオレに返しやがれ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ククククッ…だがこのままだとこんな具合にまたあのキチガイの怒りを買ってしまうからな。…そういうわけなんで“ここ”でやるのは止めにしといてやるよ、ククククククッ」
(ぐ、ぐっ!?コ、コイツさっきから…こ、こうやってわたしをおちょくってるつもりなの!?)
そう言いながら爆弾仮面はペギーの太腿に差し込んでいた“黒キック爆弾”を回収する。そして回収したそれを手にヤツは彼女の下から少し離れ、更にニヤリと笑みを浮かべてこう宣言したのだ。
「…それじゃ今回はおまえら風にこうやって地面に置いてからやってやるよ、クククッ、ククククククッ」
ドスッ。
手にした“黒キック爆弾”を爆弾仮面はおもむろに地面へセットした。更にヤツは置いた爆弾を蹴るための助走距離をとって…。
「ではいくぞ、ククククッ……そらっ、岩石仮面!!」
ドカッ!!
そんな絶叫と共に爆弾仮面は“黒キック爆弾”を岩石仮面目掛けて思い切り蹴り飛ばす。
「ガルルルルル……ガルッ!!」
バキィッ!
うつぶせに転がされているミドを踏みつけていた岩石仮面は、自分へ勢いよく飛んでくる“黒キック爆弾”目掛けて強烈な右ストレートを繰り出し、ナイフ仮面の方へ突き飛ばす。
「キヒヒヒッ…岩石仮面!てめえ、一体どこ突き飛ばしてやがんだぁ!!?……ったく。相変わらずノーコンだな、てめえは…」
しかし岩石仮面が突き飛ばした“黒キック爆弾”はナイフ仮面からだいぶかけ離れた場所-。右10メートル、5メートルぐらい高い所へ飛ばされている。一見、このままではナイフ仮面が猛スピードで飛んでいる爆弾を繋ぐ事など不可能に見える。
「ったく、世話の焼けるヤツだぜぇ、キーッヒッヒッヒッ……シャアアアァァァ!」
バシィッ!
だがヤツはそんな困難な状況も持ち前の圧倒的なスピードと跳躍力であっさりと何とかしてしまう。
猛烈な勢いで“黒キック爆弾”へ向かって跳び上がるナイフ仮面。ヤツはサッカーのボレーシュートをするようにそれを電波仮面目掛けて正確に蹴り返した。
「フッ…ナイフ仮面。確かにおまえはどうしようもないキチガイだ。だがこのキックの正確さだけは認めてやるよ」
勢いよく飛んでくる“黒キック爆弾”を前で両腕を組んで立ち、待ち構えている電波仮面。そしてその電波仮面の言う通り、ナイフ仮面から蹴り飛ばされてきたそれは糸を引くような正確さで電波仮面目掛け飛んできている。
「フフフッ…そらっ、仕上げだ!催眠仮面!!」
ドカッ!
電波仮面の顔目掛けて一寸違わぬ正確さで飛ぶ“黒キック爆弾”。ヤツは両腕を組んだ体勢から右足を高々と振り上げ、それを強烈なカカト落としで叩きつけるように催眠仮面へ蹴り飛ばす。
「…ぁ…あ、あ…ぁ、ぁぁ、ぁぁぁ!?」
(ウ、ウソ…そ、そんな…そんな…そんな、そんな…)
ペギーの眼前を猛烈な勢いで飛び交う球状の物体。五人の仮面怪人たちによって次々と蹴り繋がれていく黒い爆弾-。彼女の目の前で繰り広げられているそれはまさしく“ゴレンジャーストーム”そのものだった。
そのとても信じる事のできない、悪夢のような光景にペギーの身体はわなわなと震えていく。
「…まさかおまえも自分たちが作り上げてきた必殺技とそっくりの技を食らう事になるなんて創造もしてなかったんじゃないか?なぁペギー松山。グフフフッ……さぁ!コイツでトドメだ!フィニッシュ!!」
バキキィッ!!
そして四人の仮面怪人たちが繋いできた“黒キック爆弾”を催眠仮面が“仕上げ”とばかりに標的の女戦士目掛けて飛び蹴りで思い切り蹴り飛ばす。
「…ぁ…ぁ…ぁ、ぁ…」
(…そ、そんな…ほ、本当に…こんな…こんなことって…)
ゴオオオォォォ!
ペギー目掛けて一直線に飛んでいく“黒キック爆弾”。しかしただでさえ岩壁に“釘付け”にされ身動きが取れない彼女は、自分の胸元へ猛然と向かってくるそれにもガタガタと震えながらただ呆然と見つめている事しかできない。
「ククククッ…おまえがオレたちの必殺技“黒十字ストーム”の栄えある犠牲第一号だ。ただし人間の女でな…さぁ!我が黒十字軍に逆らい続けてきた事を後悔しながらせいぜいハデに爆発するんだな、ペギー松山!クククッ、ククククククッ」
「そ、そんな!?…ペ、ペギー!ペギーッ!ペギィィィィィィ!!」
「…ぁ…ぁ、ぁ……イ、イヤ…イヤ、イヤ…イヤ、イヤ、イヤ、イヤ…」
勝利を確信したように不敵な笑みを浮かべる爆弾仮面。辺りにミドの悲しい絶叫が響き渡る中、刻々と迫りくる黒い物体をペギーは涙目でかぶりをブンブンと振り、いやいやをしながらただ待っている事しかできない。
「ほうら、いよいよだ。いよいよだぞ?ククククククッ」
「ぁ…ぁ、ぁ…イ、イヤ…イヤ、イヤ…イヤ、イヤ、イヤ、イヤ、イヤ…」
「…何だその顔は?天下のモモレンジャーもこうなると哀れなモンだな?ククククッ……そうら、ドッカァァァァァァン!!」
「イヤ、イヤ、イヤ…い、いやああああぁぁぁぁぁ!!」
「ペ、ペギーッ!ペギィィィィィ!!」
五人の仮面怪人たちが蹴り繋いできた“黒キック爆弾”がいやいやをするようにかぶりを振り続けていた涙目のペギーの胸元をとうとう直撃した。
反射的に悲鳴を上げるペギー。悲痛な声でただひたすら女戦士の名を叫ぶミドも含め、彼女の胸元と衝突したそれは即座に大爆発を起こすと彼らは想っていたのだが…。
ピトッ。
「!!……??」
しかしペギーの胸元と衝突したその黒い球状の爆弾はまったく爆発を起こさない。それどころかその黒い爆弾は彼女のふくよかな胸元にピタッと張り付いている。
「…とはならないんだよな、これが?…そしてお楽しみはこれからなんだよ、ペギー松山、ククククククッ」
(ぇ!?ど、どうして…??)
まるで爆発する様子のないペギーの胸に張り付いた“黒キック爆弾”。まったく予想だにしない爆弾の動きにペギーはとまどいを隠せない。しかしその“黒い物体”はそこから彼女が信じられないような動きを見せる。
ニョキニョキ、ニョキニョキ…。
(ぇ?ぇ?ぇ??)
ペギーの胸元に張り付いたその“黒い物体”から何と同じ色の黒い触手のようなものが左右へ一本ずつ生えてきたのだ。そしてその触手の先端は“黒い手”のような形をしている。
「!?な、何なの、これ?……!?ぁ、あっ、あんっ…な、何っ!?」
そうかと想うとその黒い触手はペギーのふくよかな胸を器用に撫で回してきた。更にその触手の先端の黒い手は既にボロボロに破かれていた白いTシャツの隙間から彼女の着ていた服の中へと侵入し、両乳房の敏感な部分を的確に責め立ててくる。
「ククククッ…敵に合わせて爆弾の形状を変化させる。これが我らの必殺技“黒十字ストーム”の本当の姿だ。そういえばおまえらゴレンジャーも似たような事やってたよな?クククッ、ククククククッ」
「く、くっ…ぁ、あんっ!?ゴ、ゴレンジャー…ストーム…ぁんっ!?ニ、ニューパワー…作戦の事…!?ぁ、あんっ…」
かつての自分たちの必殺技の名を喘ぎ声混じりの弱々しい声でかろうじて搾り出すペギー。彼女の乳房へ蛇のようにまとわりついてくる黒い触手がペギーがまともな状態でいる事を許してくれない。その触手はペギーを徐々に悦楽という名の海の中へと引きずり込もうとしている。
「そうそう。敵に合わせて爆弾の形状が変化するそれだ、ククククッ……そしてこの“黒十字ストーム”はペギー松山、おまえのために作ってやった爆弾だよ。そうだな…おまえら風に命名するなら“黒十字ストーム 愛撫”ってところかな?クククッ、ククククククッ」
「!?な、何なのよ、それ!?…!?ぁ、あっ、あんっ」
懸命に身体をよじり、何とかしてその黒い触手から逃れようとあがいているペギー。だがそんな彼女をあざ笑うかのようにその黒い触手はペギーの肉付きのいい肢体を淫らに弄び続ける。
「キヒヒヒッ…コイツァいいぜぇ!正義のヒロインの標本みてえなあのねえちゃんがはしたねえお姿を晒して悩ましく喘いでいるんだからなぁ、コイツァたまんねぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ガルルッ、ガルルルッ、ガルルルルルルッ!」
「フッ…これがあのモモレンジャーとはな。普段が普段だけにそれが崩れてしまうと何とも醜いモンだ…フフフッ、フフフフッ」
「…なるほどな。黒十字ストーム“愛撫”とは実によく言ったモンだ、グフフフッ、グフフフフフッ」
先ほどまで爆弾仮面と対立していた事も忘れ狂喜しているナイフ仮面。狂おしく喘ぐペギーの醜さをあざ笑っている電波仮面。相変わらずただ雄たけびを上げるだけで何を言っているのか分からない岩石仮面。
そして“黒キック爆弾”から生えてきたその黒い触手に淫らに弄ばれ続けるペギーを楽しそうに眺めている催眠仮面-。四人の仮面怪人はそれぞれ異なる反応を見せてはいるものの、みな一様にペギーのその淫らな、狂おしくかつ悩ましく喘ぐ姿を見て愉しんでいる様子だ。
「…どうやらおまえらみんな結構楽しんでるようだな?ククククッ……だが“お楽しみ”はまだこれだけではないぞ?クククッ、ククククククッ」
「!?な、な!?ま、まだ何か…あるっていうの!?」
そう不気味に宣告する爆弾仮面。ま、まだ…まだ何かあるの!?これ以上わたしをどうしようっていうの!?-。その美貌を引きつらせてただおびえるだけのペギーの恐怖は無秩序に膨らんでいくばかりだ。
ニョキニョキ、ニョキニョキニョキ…。
(!?ま、また!?また同じようなヤツが生えてきたわ…こ、今度はそれで何するつもりなの?一体どうしようっていうの!?)
ペギーの胸元に張り付いていた“黒い物体”。そしてそこからまたもや先端が黒い手になっている同じ色の触手のようなものが生えてきた。しかし今回の触手は彼女の前方へ、まるでメジャーのテープを引き伸ばすかのようにじわじわと伸びていく。
(な、何!?こ、今度は…今度は何しようっていうの!?)
1メートル、いや1メートル半…じわりじわりと伸びていくその黒い触手にペギーの心の中の嫌な予感は相変わらず大きくなっていくばかりだ。そしてその黒い触手が彼女の前方へ2メートル近く伸びきった瞬間…。
シュルルルルルルルルッ!
(ぇ!?えっ!?)
その黒い触手はメジャーのテープが戻されるように勢いよくペギーの下へ戻ってきた。更にその触手は先端を下にしてムチのようにしなり…。
パチィィィィン!
「きゃあぁっ!?」
ムチを打ち付けるような激しい打撃音。それとともに上がる女の痛々しい悲鳴。そのムチのようにしなっていた黒い触手は、何と黄色いホットパンツに覆われていたペギーの股間を強烈に打ち付けてきたのだ。
シュルシュルシュル…。
そしてその黒い触手は更なる動きを見せる。その触手は前から後ろへ巻きつくようにペギーの股間へまとわりついていき…。
グイィッ!!
「ぁんっ!?」
そこから後ろへ縄を引っ張り上げるようにその触手はペギーの股の下へ強烈に食い込んできた。
ギッ、ギッ、ギッ…。
「あっ!?ぁ、あっ、あっ、ぁんっ!?」
更にペギーの股間へ容赦なくグイグイと食い込んでくるその黒い触手。彼女のふくよかな胸元に張り付いていた黒い物体から左右、下腹部へと伸びる黒い触手は、ペギーのバスとから股間にかけてまるでTフロントのような格好で肉付のいい肢体へギチギチと食い込んでくる。
「ぁ、あっ、ぁんっ…な、何なの、これ!?き、気持ちわる…ぁ、ぁんっ…」
しかしそのような恥ずかしい格好で淫らに責め続けられてもペギーはそれに抗う術を持たない。ただ瞳をトロンとさせ、額には大量の脂汗をにじませその凛々しい美貌を真っ赤に染め上げ、耐え難い恥辱とほんの少しの悦楽の海に投げ出されるだけだ。
「あっ、あっ!?い、いきなり何で…ぁ、あっ、あんっ…」
「ククククッ…言っただろ?そいつは敵に合わせて形状を変えるんだよ。つまりおまえにはその形が一番いいと判別されたんだ。…おまえが悩ましく喘ぎまくるその形がな、クククッ、ククククククッ」
「そ、そんな!?あっ、あっ…な、何で…!?」
「ククククッ…そりゃ決まってんだろ?おまえがとってもエッチだからだよ。その証拠にそんなにいやらしく喘ぎまくってんじゃないか?なぁ、とっても淫乱なペギー松山さんよ?クククッ、ククククククッ」
「そ、そんな!?そんなことな…ぁ、あっ…イ、イヤッ!?あっ、ああぁん!?」
ギッ、ギッ、ギッ…。
まるで縄に拮抗縛りをされるように黒い触手にキツく縛り上げられるペギー。同時にその触手は彼女の敏感な部分を的確に刺激し続けてくる。
「そうそう、言い忘れてたけどな。おまえの胸に貼りついている“そいつ”はおまえが“絶頂”に達したら爆発するからな。せいぜい気をつけろよ?クククッ、ククククククッ」
「な、な!?そ、そんな…ぁ、あっ、ぁんっ…」
更にペギーへ知らされる驚愕の事実。しかもこれだけ淫らに弄ばれ続ければ彼女が絶頂に達しないわけがないのだ。
ペギーの肉付のいい肢体を徹底的に弄んでくる黒い触手。すなわちそれは彼女にとって“死へのカウントダウン”と同義でもあった。
「キヒィィィィィィッ!コイツァたまんねぇ!オレも参加するぜぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
そしてそんなペギーの姿を見てナイフ仮面が彼女の傍へ素早く近寄っていく。どうやらそんな狂おしく喘ぐペギーの悩ましくも官能的な姿はナイフ仮面の中にある“性欲”を無性に掻き立ててしまったようだ。
「キヒィィィィィィッ!オレもねえちゃんのエロい身体と遊ぶぜぇ!遊んでやるぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「あっ!?な、何するの!?や、やめ…ゃ、ぁ、あっ、あっ、あんっ…」
ガッ。
更に興奮したナイフ仮面が覆いかぶさるよう一目散にペギーへ抱きついてきた。ヤツは右足を彼女の両太腿の間へ挟み込む。ナイフ仮面はその上で右腕を背中に回し左手でペギーの右乳房を揉みほぐし、既に瞳をトロンとさせすっかり顔を真っ赤にしてほてらせてしまっている彼女へ追い討ちをかけるように弄びにかかっていく。
「キーッヒッヒッヒッ、これだぁ!このムッチムチボディだぜぇ!楽しい、楽しい!楽しいねぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「あっ!?ぁんっ…や、やめて!?ぁ、あっ、あんっ…こ、このままじゃ…わ、わたし本当に…あっ、ああっ、あぁんっ!?」
その顔面を舐めまわさんばかりにペギーの美貌をねっとりと覗き込むナイフ仮面。だがヤツのそんな屈辱的な態度にもペギーは顔を真っ赤に染め上げ恍惚な表情を浮かべてただ激しく喘ぐ事しかできない。
「このままじゃわたし、イッちまうってかぁ?そりゃあイッちまうよなぁ?でも別にいいんだぜぇ、ねえちゃんよぉ!気持ちよくイッちまっていいぜぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「…おい、ナイフ仮面。おまえ分かっているのか?その女がイッちまうとおまえも“そいつ”の爆発に巻き込まれるんだぞ?それぐらい、幾らキチガイのおまえでも分かる事だろ?ククククククッ」
「なぁに、別に問題ねえって、爆弾仮面よぉ!このねえちゃんがイッちまう前に逃げりゃいいだけの事じゃねえかぁ?」
そんな自身をいさめてくる爆弾仮面の忠告に当然“唯我独尊”を地でいくようなあのナイフ仮面が耳を貸すわけがない。更にヤツは右手で彼女の左頬を触りながら涎を垂らさんばかりにニヤついて彼女の汗まみれの美貌を覗き込みこう言い放ったのだ。
「それによぉ。このねえちゃんもイク前にはイクって言ってくれんじゃねえかぁ?なぁねえちゃん?ねえちゃんもイク時はイクって言ってくれるつもりなんだろ?実はそうなんだよなぁ?何たってそれがイク時の女の礼儀ってモンだもんなぁ?キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ゃ、ぁ、あっ!?そ、そんなこと…!?ぁ、ぁ、ぁ、あっ、あぁんっ!?」
しかし目の前の“ヘンタイ”にそんな風に迫られても今のペギーはそれどころではない。自らの自我が飛んでしまわないようにどうにか意思を保とうと必死だ。
(ぁ、ぁぁ…ぁぁ……で、でもこのままじゃ…わ、わたし本当に…本当に…)
それでもペギーへ押し寄せる快楽の波はとどまる事を知らない。彼女の全身は悦楽という名のエクスタシーによって確実に支配されていく。
「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ…ぁ、ぁぁ、ぁぁぁ…あぁんっ!?」
(ダ、ダメ!?だ、誰か…誰か…た、助けて…こ、このままじゃわたし……ミ、ミド…ミ…ド…)
汗まみれの美貌を真っ赤に染め上げ涙目で瞳をトロンとさせているペギー。そんな彼女はついに心の中で誰かに救いを求めてしまう。その弱々しい瞳には…うつぶせに転がされている身体を岩石仮面に踏みつけられてしまっていた緑色の戦士の姿が映っていた。
「!?…ペ、ペギー!?ペギーッ!ペギィィィィィィ!!」
そんなペギーの弱々しい視線にミドも気が付いている。これまで数多く彼女とコンビを組んできたミド。
だが気の強い女戦士であるペギーのあんな弱々しい目を、今にも輝きを失ってしまいそうな瞳をミドはただの一度も見た事がない。それほどまでに今のペギーは追い詰められているのだ。
しかしそんなミドもペギーもそれぞれ異なる理由で満足に身動きを取る事ができないでいる。結局ミドができる事は彼女の名を悲痛な声で叫び続ける事だけだったのである。
「…ぁ…ぁ…ぁ、ぁ……ぁ…」
「!?ペ、ペギー!?や、やめろ!やめろっ!もうやめてくれぇぇぇぇぇ!」
(ミ…ド!?…で、でもわ、わたし…も、もう…もう…)
薄れいく意識の中、ペギーの耳へ届くミドの悲しい叫び声も徐々に小さくなっていく。そしてそんなペギーはオルガズムの境地へ達するのも時間の問題だった。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…どうだぁ?ねえちゃん。もうそろそろイキそうなんじゃねえのかぁ?ああ?どうなんだぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「…」
しかし問いかけられたペギーから答えは返ってこない。もう今の彼女にはまともに言葉をしゃべる力も残ってないのだ。
「そうかぁ?もうそろそろイッちまうってかぁ?ま、せいぜいハデにイッてくれやぁ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「…ぁ……ぁ……」
だがナイフ仮面はペギーが晒しているそんな醜態-。汗まみれのその美貌を真っ赤に染め上げている彼女が、ガタガタと身を震わせて口を半開きにさせながら、焦点の定まってない瞳で天を仰いでいるその姿を見て、どうやら自分の都合のいいように解釈をしたようだ。
半開きの口からだらしなく涎をたらさんばかりのペギー。そして“その瞬間”はついにやってきた。
(ぁ、ぁぁ…ぁぁ…も、もう…ダメ……イ、イク…イ、イイイク…イク、イク、イク…イ…イ……ク…)
「ぁ、ぁぁ、ぁぁぁ!?あああぁぁぁ!?あああぁぁぁ!?あああああぁぁぁぁ!?」
カッ!
ドカン!ドカーン!
「!?きゃああぁぁ!?」
ドカン!ドカンドカンッ!ドカンドカンドカン!
「きゃああぁぁ!?いやあああああぁぁぁぁぁ!?」
ドカンドカン!ドカァァァァァァン!!
突然の閃光と共に炸裂する黒い物体。彼女の胸元で次々と起こる大爆発。
次から次に巻き起こる爆風。悲痛な叫びと共にペギーの全身は“黒キック爆弾”の大爆発になす術なく飲み込まれていく。
「ペ、ペギーッ!?ペギー!ペギー!ペギィィィィィィ!!」
「あ~あ、あのバカ。だから言わんこっちゃない。…ま、キチガイは一度死ななきゃなおらないって事か?クククッ、ククククククッ」
なす術なく爆風へ飲み込まれていく女戦士の名をただただ叫んでいるミド。それに対し、自らのあれほどの忠告をまったく無視して愚かにも大爆発に巻き込まれてしまったナイフ仮面をあざけ笑っている爆弾仮面。発している言葉も表情も含めて、それぞれ対照的な態度を見せている。
「!?ほぉ…グフフフッ……おい爆弾仮面。どうやらそうでもないらしいぞ?グフフフッ、グフフフフフッ」
「何!?催眠仮面、それはどういう事だ?」
その時、催眠仮面が爆弾仮面に向けて発した意味深な言葉。ヤツが言うにはどうやら事態は爆弾仮面の見立てとは若干異なっているらしい。
「キーッヒッヒッヒッ…」
その時である。ペギーを飲み込んだ大爆発の起きた所、その少し離れた場所から例の奇声混じりの笑い声が…。
「ほぉ…おまえ、あの爆発でよく生きていたな?まぁさすがにただのキチガイじゃないという事か?クククッ、ククククククッ」
「バーか!あったり前だろが、爆弾仮面?このナイフ仮面様があんなモンでくたばってたまっかよぉ!…もっともオレ様のスピードじゃなきゃ爆発の瞬間にねえちゃんから逃げるなんて芸当はできないんだろうけどなぁ?キーッヒッヒッヒッ」
「クククッ…なるほどな。そういう事か?クククッ、ククククククッ」
どうやらナイフ仮面はペギーの胸元で起きた大爆発に巻き込まれる寸前、素早く彼女の傍から離れたらしい。その証拠にあれほどの大爆発の近くにいたにも関わらず、ヤツはほとんど無傷である。
「おい爆弾仮面!てめえ!それよりあの爆発じゃあねえちゃんはふっ飛んじまったんじゃねえのかよぉ?やっぱりてめえ!ねえちゃんをちゃんと返すなんてウソだったのかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ククククッ…そんな事はないぞ?ナイフ仮面。“あれ”を見るがいいさ…クククッ、ククククククッ」
ナイフ仮面からの当然のクレームにも爆弾仮面はいたって涼しい顔だ。その爆弾仮面は“あれを見ろ”と言わんばかりにペギーを飲み込んだ大爆発の方を指差す。
「…ぁ…ぁ…ぅ、うう……」
しばらくして…先ほどの大爆発が巻き起こした爆風が徐々に晴れていく。その晴れた中から現れたのは…先ほどまで“釘付け”にされていたペギー松山の姿だった。
しかしあれほどの大爆発の中心にいたにも関わらず、凛々しい顔立ち、白いTシャツに隠されていた丸みを帯びた肢体、黄色いホットパンツに包まれていた量感たっぷりの桃尻に肉付のいい太腿-。このように当のペギーはほとんど無傷である。
しかもナイフ仮面がペギーを“釘付け”にするため、その身体に次々と突き刺していた小型のナイフも、彼女の後ろにそびえ立っていたはずの岩壁でさえもコナゴナに、バラバラにふっ飛んでいるのだ。その事からもペギーのそんな状態は尚更不自然に見えた。
「…ぁ…ぅ……ぅぅ…」
ドサッ。
やがて岩壁の支えを失い、崩れた岩たちの山へ囲まれるように棒立ち同然になっていたペギーが前からうつぶせ向きにドサリと倒れてしまう。
「ペ、ペギーッ!?ペギー!ペギー!ペギィィィィィィィィィィィィ!!」
そんな姿を見れば、やや離れた位置でペギーを見ていたミドも彼女が絶命、またはそれに近いダメージを負ったと想うのは当然の事だった。
「おい!爆弾仮面よぉ?このねえちゃん、やっぱりおっ死んじまったんじゃねえのかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
またそれはこれまでペギーの肢体を食らう事に血道を上げていたナイフ仮面も同様に想っていた事である。
「ククククッ…大丈夫だ、ナイフ仮面。だいたい“あの爆発”であの女の身体が五体満足でいるのが不思議だとは想わないのか?」
「!?で、でもよぉ、あのねえちゃんは無抵抗にバッタリ倒れちまったんだぜぇ。やっぱり死んじまったんじゃねえのかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「そうか?おまえもキチガイなりにそんな事心配してたのか?ククククッ……だがそんな心配は無用だ。あの“黒キック爆弾”が爆発した際、その女の全身に特殊な防御膜が張られるようにしといたんだよ、ククククククッ」
だが明らかにうろたえているナイフ仮面とは対照的に爆弾仮面は実に落ち着き払ったものだ。ヤツはペギーが自分の施しておいた仕掛けのおかげで命にはまったく別状のない事を確信していたからである。
「じ、じゃあよぉ。どうしてあのねえちゃんはピクリとも動かねえんだよぉ?一体どういう事なんだぁ?おい爆弾仮面!教えやがれぇ、コラァ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
だが爆弾仮面にそのように説明されてもナイフ仮面はまだ納得がいかない。バッタリと倒れたペギーがピクリとも動かないのは変わらないからである。しかしその事も爆弾仮面には織り込み済みらしい。
「ククククッ…それはあの女は今、睡眠薬でお眠りになっているからだよ。オレの作り出した“黒キック爆弾”が爆発した時に煙状の睡眠薬が大量に噴き出すようにしといたからな。…どうだナイフ仮面?幾らキチガイのおまえでもこれで納得できただろ?クククッ、ククククククッ」
「へぇ~じゃあそれが本当か、早速確かめてみっかねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
ザッ、ザッ、ザッ…。
爆弾仮面のその話を聞いてナイフ仮面はそれが本当であるのか確認するため、ペギーの下へ嬉々として近寄っていく。
「…」
爆発でコナゴナになった岩があちこちに散乱していたアスファルトへ、うつぶせ向きに倒れていたそのペギーが爆弾仮面の言うように本当に眠っているのかどうか、それは分からない。だが彼女はやはりピクリとも動く気配がないのだ。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…それじゃあ早速裏返して確かめてみっかねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
うつぶせに転がるペギーの左側へ立つナイフ仮面。そしてヤツはペギーの左脇腹に自分の足を引っ掛けて…。
ガッ。…ゴロン。
ナイフ仮面はそのままペギーの身体を足蹴にして裏返しにした。うつぶせからあお向けにひっくり返されるペギーの肢体。
「…ぅ…ぅ、ぅぅ……」
だがペギーはそのように足蹴にされてもまったく意識が戻る気配がない。苦しげな表情を浮かべながら、ただ小さな呻き声をもらしているだけだ。
「なるほどねぇ。確かにしっかり生きてやがるぜぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「…ああ、ナイフ仮面。一つ言い忘れてたけどな。その女、おまえさんが相当かわいがっていたおかげで全身血だらけで見る影もなくなっていたからな。あの爆発の際に噴き出すようにしていた睡眠薬と同じぐらいの煙状の止血剤も噴き出すように仕込んどいた…」
その爆弾仮面の言う通り、ナイフ仮面に散々切り刻まれ続け血まみれになっていたはずの肢体からは血の跡が少しも見当たらない。それどころか手の平や太腿に深く突き刺されたナイフ痕まで、何事もなかったかのように傷口がキレイに塞がっているのだ。
あお向けにされて意識を失っているペギーは、苦しげな表情を浮かべているとはいえ、整った顔立ち、丸みを帯びた肢体、肉付のいい太腿-。その身体はいたって綺麗なものである。
「…もっともおまえはそんな事は全然興味ないみたいだけどな?クククッ、ククククククッ」
「キッヒーッ!お楽しみはまだまだこれからだぜぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
ドスンッ。
爆弾仮面のそんな補足説明も、眠れるペギーを犯す事に夢中になっていたナイフ仮面にはたぶん聞こえていない。相変わらずの奇声と笑い声を上げながら、ナイフ仮面はあお向けのペギーの身体へまたがり、彼女を勢いよく馬乗りにする。
「キヒヒヒッ…だがしかしよぉ。ねえちゃんにこのままお寝んねしていてもらっても困るんだよねぇ。早く起きてもらわないとなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
そう言ってヤツは自身の両手でペギーの両胸を乱暴に揉みほぐし始めた。刃物のケダモノによって蹂躙されていくペギーのふくよかな乳房。
「ぁ!?…ぁ……ぁ…ん…」
だがペギーはよほど深い眠りについているのか、その身体をナイフ仮面にただひたすら好きなように弄ばれても相変わらず意識を取り戻す様子がない。ただ時折、小さな呻き声のようなものを漏らすだけだ。
「ククククッ…そんな事してもムダだぞ?ナイフ仮面よ。その女が浴びた睡眠薬は煙状にしたとはいえ、その効力は絶大だ。…まぁしばらくは何やっても目は覚まさないだろうな?クククッ、ククククククッ」
「何だとぉ?だけどそれじゃオレの楽しみが半分以上無くなっちまうんだよ。犯す女がヒィヒィ泣いてるところを更にじっくり食ってくのが何より楽しいんだからなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「クククッ…そうか。そいつは余計なマネをして済まなかったな。…だが相変わらずおまえも悪趣味なヤツだよ、まったく。…ククククククッ」
どうやら爆弾仮面自信の仕込んでおいた睡眠薬からは、ペギーは感嘆には目覚めないらしい。それを受けてナイフ仮面も実に不満そうである。だがその表情は先ほどのようにキレてるわけではなく、その目元はニヤつき笑っていた。
「おいおい、何だよぉ。そうなのかぁ、キーッヒッヒッヒッ。…!…そうだぁ!いい事思いついたぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「…」
しかしナイフ仮面もこのまま黙ってペギーの目が覚めるのを待っているつもりはないらしい。そして、彼女の苦しげな寝顔をニヤつきながら眺めていたナイフ仮面は、そのペギーについて何か思いついたようだ。
(な、何だアイツ?一体ペギーに何する気だ!?…そ、それに何だよ?この胸騒ぎは?何でこんなに嫌な予感がしてくるんだよ!)
ナイフ仮面のペギーに向けられているその思わせぶりな表情にミドの嫌な予感は止まらない。同時に彼の胸の内の胸騒ぎは強くなっていくばかりだ。
「キーッヒッヒッヒッ…やっぱり眠れるお姫様には王子様のチューがお決まりだよなぁ。でも肝心の王子様がいねえからオレが代わりをやってやっかなぁ?そうだ!それがいいぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「な、何だと!?そ、そんな事…お、おいやめろ!この刃物野郎!一体何考えてんだ!」
「キーッヒッヒッヒッヒッ…何だ?おまえガキのクセに…もしかしてねえちゃんとチューをする王子様の役やりたいってかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「な、な!?そ、そんな事言うわけないだろ!それより貴様!そんなバカな事はやめろ!今すぐペギーを放せ!」
「キーッヒッヒッヒッヒッ…バーか!こんなムッチムチのいい女を目の前にしておとなしく引き下がるわけなんかねえだろが?それよりねえちゃんはオレのチューでちゃーんと目覚めさせてやっから心配すんなよぉ。なぁコゾー?キーッヒッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
ナイフ仮面の狙いを理解したミドの顔からスーッと血の気が引いていく。それにこのまま無抵抗のペギーをこの“ヘンタイ”の好きなようにさせるわけにはいかない。たまらず猛然と抗議の声を上げるミド。
しかしナイフ仮面がそんなものを聞き入れるわけがない。ヤツは自分の欲望を満たすためにヤツの言う“ムッチムチの身体”目掛けてまっしぐらだ。
「それじゃあいくぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「おい!やめろこの刃物野郎!貴様!やめろ!やめやがれ!」
「キヒヒヒッ…うるせぇなぁ!お子様はおとなしくオレとねえちゃんのチューのシーンを見学してりゃいいんだよぉ!このガキがぁ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
そんなミドの抗議の声を振り切るようにナイフ仮面は口をすぼめてペギーの顔へと徐々に迫っていく。
「…」
しかしナイフ仮面の醜い顔が迫ってきていてももちろん意識のない今のペギーはピクリとも動かない。自分の唇が今まさに醜い仮面怪人によって奪われようとしていても…。
「おい!やめろ!やめやがれ!も、もうやめてくれぇぇぇぇぇ!!」
そんなミドの悲しい絶叫も辺りにむなしく響き渡るだけだ。もはやペギーの運命は変えられない。そしてナイフ仮面のすぼめた口は彼女の艶めかしい薄唇へ確実に接近していく。
戦士としてではなく“女”としての危機が刻一刻と、確実に迫っていくペギー。戦いに明け暮れた歴戦の女戦士も、その唇が醜い仮面怪人によって蹂躙されていくのは時間の問題に見えた…。
- 以下 緑の洗脳!!恐怖の黒十字戦隊 不思議な夢の中での出来事へ続く -