- 緑の洗脳!!恐怖の黒十字戦隊 モモ色への狂気 -
イーグル第四研究所へゴレンジャーを強化するための特殊なチップを持っていく-。そんな名目によって黒十字軍にまんまと誘い出されてしまったゴレンジャーの二人、モモレンジャーことペギー松山とミドレンジャーこと明日香健二。
ペギーと明日香はそれぞれモモレンジャーとミドレンジャーへと転換し、敵の罠にまんまとハメられてしまった苦境の打開を図ろうとする。だが彼ら二人はヤツらの巧みな作戦により、敵陣の真っ只中でそれぞれ孤立させられてしまったのだ。
「キヒヒヒッ…ムッチムチのねえちゃんよぉ。犯ッテヤル、犯ッテヤルぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
更にモモの前には女にとっての最強の敵、いや最凶の敵ともいえる全身刃物の変態猥褻男、ナイフ仮面が立ちはだかる。
「ガルルッ、ガルルルッ…」
「モモ!?ダメだ!逃げろ!逃げるんだ!モモッ!モモーッ!」
その上、彼女の視界にはミドが岩石仮面によって足蹴にされ、地面に抑えつけられてしまっている光景が飛び込んできていた。
ミドを人質のような形で取られてしまい、その場から逃げる事もできず、彼女はその最凶最悪の敵と戦わざるを得ない状況にさせられてしまっていたのである。
(…と、とにかくあのヘンタイと接近戦で戦うのは不利だわ。なるべく遠い間合いで戦うようにしないと…)
モモの頭の中には先程、あのナイフ仮面になす術無く淫らに弄ばれてしまった事が脳裏をよぎっていた。
いきなり背後から抱きつかれ、肘ウチで振りほどこうにもヤツの体は刃物だらけ、かえって自分の方が傷ついてしまう。あの二度と思い出したくない、忌まわしい光景を…。
「キヒヒヒッ…どうしたぁ?ねえちゃん。さっさとかかってこないのかぁ?…それとももしかしてオレが怖いのかなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?…な、何よ!そんなわけないでしょ!?誰があんたなんか…」
「そうかねぇ、キヒヒヒッ……そういやぁねえちゃん、さっきはオレに手も足も出なかったんだもんなぁ。そりゃあおじけづきもするかねぇ?キヒヒヒッ……あ?でもねえちゃん、あんた、乳やケツはしっかりと出てたぜぇ。十分過ぎるぐらいなぁ、キヒッ、キヒヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?さっきからベラベラベラベラと…いちいちうるさいのよ!どこまで人をコケにするつもり!!?このヘンタイ!」
だらしなく顔を崩し、自身の両手で何かを揉むような、いやらしいしぐさをするナイフ仮面。そしてヤツが揉んでいるその“何か”とは、もちろん先程淫らに弄んだモモのふくよかな乳房の事だ。
何よりそのナイフ仮面のモモを“己の欲望の対象”としてしか見ていないような態度は彼女の“戦士としてのプライド”をズタズタに引き裂いていく。
「…そうやってニヤニヤといやらしい顔してられるのも今の内だけよ!覚悟なさい!……いくわよ!モモ・カード!!」
ビュッ!
ナイフ仮面の人を食ったような態度に怒り心頭のモモが、ハート型の手裏剣、モモカードをヤツ目掛けて投げつける。
ナイフ仮面目掛けて勢いよく飛んでいくハート型の手裏剣。
ビュん、ビュん!
そのハート型の手裏剣がナイフ仮面の目の前でいくつにも分裂し、ヤツの体目掛けて襲い掛かっていく。
キヒヒヒッ…。
しかし当のナイフ仮面は、いくつにも分裂して自分へ襲い掛かってくるそのハート型手裏剣にもまったく微動だにしようとはしない。ただニヤニヤと笑みを浮かべているだけだ。
(よし!手ごたえアリ!)
当然、モモもそんなヤツの態度を見て攻撃の手ごたえを確信していた。だが…。
カキンッ、カキンッ……カランッ…。
「ぁ!?そ、そんな…モ、モモカードが…」
しかしヤツの体に当たったモモカードは、その刃物のような体に当たって次々と真っ二つに割られ、地面へと無残に打ち落とされてしまった。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…あんたも学習しねえ女だなぁ?なぁ、ねえちゃん。さっき、オレの体は全身刃物みたいなモンだって言っただろ?そんな女のおままごとみてえなモンでオレに傷なんてつけられるわけねえだろが?」
全身刃物のような自分の体を指差し、その体を誇らしげに自慢しているナイフ仮面。
「…それに言ったじゃねえか?ねえちゃんはオレに犯される事はもう決まってんだよ、どうあがこうともなぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ!?そ、それならこれを食らってみなさい!…いいわね!いくわよ!」
ポイィ。
それならばと今度モモは、ハート型のイヤリング爆弾、モモ爆弾をナイフ仮面目掛けて放り投げる。
ドカーン!
(よしっ!今度こそ手ごたえアリだわ!)
ヤツに当たって爆発するモモ爆弾。それを見てモモも当然、今度は攻撃が当たったと確信する。だが…。
(ぇ…??)
しかし爆煙の中から現れたのはモモ爆弾が当たったはずのあのナイフ仮面ではなく、柄のついた、ただの小さなナイフだけだった。
カラン。
そして爆発で焦げ付いた小型のナイフが地面に力無く落ちる。
(そ、そんな…あ、あのヘンタイがいないわ!?それじゃアイツは…アイツは一体どこに…)
当然そこにはヤツの姿はない。敵に攻撃を当てるどころか、その姿を見失ってしまう彼女。
辺りをキョロキョロと見回し、ヤツの姿を必死に探し回っているモモ。そんな女戦士からは先ほどの事もあり、次第に冷静さが失われていく。
「キヒヒヒッ…こっちだぜぇ、ねえちゃん♪…キーッヒッヒッヒッヒッ」
(はっ!?)
モモの背後から忍び寄る影。彼女が今、もう二度と耳にしたくない、あの鼻につく下卑た笑い。
ガッ。
その下卑た笑い声と共に、モモは“何者か”によって脇の下からガッチリと捕まえられてしまう。もちろんその何者かとは…。
「あっ!?い、いつの間に…」
「キヒヒヒッ…オレのスピードを甘く見てもらっちゃ困るねぇ。その気になりゃねえちゃんなんかより何倍も早く動けるんだからなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ!?は、離してっ…さっさと離れなさいよ、このヘンタイ!」
「キヒヒヒッ…やなこったねぇ。これからがオレとねえちゃんによるスキンシップの本番なんだからなぁ、キヒヒッ、キヒヒヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ…!ぁ、あっ!?ま、またっ…!?」
モミモミ、モミモミ…。
そう言い放ち、相変わらずいやらしく笑うナイフ仮面の両手がモモの両胸を乱暴に揉みほぐす。刃物まじりのゴツゴツした感触の手にもみくちゃにされるふくよかな乳房。
「キヒヒヒッ…相変わらずゴキゲンな感触だねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぁ、あんっ!?イ、イヤッ……く、くっ!?は、離せ、離しなさい!このヘンタイ!」
必死に暴れ回り、自身を背後から弄んでくる不埒ものを懸命にふりほどこうとするモモ。だが胸元を鷲掴みにしてくる力は意外にも力強く、簡単に振りほどけそうにない。更に…。
「キヒヒヒッ…そうやって暴れてもねえちゃんのオッパイが血まみれになるだけだぜぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?…っ、痛っ!?ぁ、あんっ…」
ふくよかな胸元を揉みほぐす手に、じんわりとにじむ紅い血。モモが背後から掴んでくるナイフ仮面をふりほどこうとジタバタ暴れるたびに彼女の胸が、刃物まじりのヤツの手と擦りあっているためだ。
ポタッ…ポタッ…。
その手からポタポタと、一滴一滴少しずつしたたり落ちる赤い液体。だがヤツはその淫らな手をまだまだゆるめようとはしない。
「キヒヒヒッ…ねえちゃんの“あっち”の方のあんばいはどうなのかねぇ?ぜひ触って確かめたいなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ…!?ゃ、ぁ、あんっ…」
ガシィッ。
相変わらずの下卑た笑いを浮かべるナイフ仮面が、その左手をゴレンジャースーツについていたモモのミニスカートの中へと突っ込み、彼女の股間をモゾモゾとまさぐり始める。
「キヒヒヒッ…ほうれ、ほうれぃ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
(ぁ…ぁんっ!?イ、イヤッ…)
気持ちよさそうにモモの肢体を愉しんでいるナイフ仮面。だが突然性感を悪戯されている彼女の方はたまらない。
赤いハート型バイザーでその中にある表情はうかがい知る事はできない。だが、マスクの中のペギーのその凛々しい美貌は耐え難い恥辱でゆがみ、その一方で頬はわずかに紅く染まり、ほんの少しの悦楽に溺れかけようとしている。
「キヒヒヒッ…気持ちいいぜぇぇぇ、キヒヒッ、キヒヒヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ…あ、あんまり…調子に乗るんじゃ…ないわよ!…とやぁっ!」
ポイィ…。
だがモモもこのまま黙って淫らに弄ばれるつもりなど毛頭ない。彼女はマスクに身に着けていたハート型の装飾、イヤリングの形をしたモモ爆弾を何とか取り外し、自分も爆発に巻き込まれる事を覚悟ですぐ後ろにいた“ヘンタイ”にそれを投げつける。
ボォンッ!
「どひゃああぁ!?」
彼女が捨て身で投げつけたモモ爆弾は、だらしなく表情を崩したヤツの顔面へ見事に炸裂する。
「あ、あうっ!?…く、くっ!?…や、やあぁ!」
モモのすぐ後ろで爆発するそのモモ爆弾。それは当然、ヤツだけではなく彼女も少なからず巻き込み、ダメージを負わせていた。
だが今のモモはそんな事を気にしていられる余裕などあるわけがない。あの全身刃物だらけの変体猥褻仮面が、爆発でひるんでいる隙に彼女はヤツを必死に振りほどく。
更にモモは前へ5メートルほどゴロゴロと転がり、懸命に距離をとってヤツから離れようとする。
キッ!
そして必死に間合いを離したモモはすぐさま立ち上がってヤツの方を振り向き、左腕で傷ついた血まみれの胸元を、右腕で股間を恥らうように押さえ、目の前の仮面怪人を鋭く睨み付けてこう言った。
「…ど、どうかしら?……わ、わたしを…このわたしを普通の女の子と一緒にしない事ね!だてにモモレンジャーなんてやってるわけじゃなくってよ!」
表面上は相変わらずの強気な態度を保ち続けているモモ。
だが胸や股間をかばうようにおさえて内股気味に立っている今のなよなよとした彼女の姿からは女戦士としての力強さはもはや感じられない。それどころか、目の前のナイフ仮面に対しておびえているようにすら見える。
(モモ……頼む。オレの事はもういい…お願いだからもう逃げてくれ…)
当然モモのそんな、一見強気な態度の中の不安げな様子は、普段一緒に行動する事が多かったミドには一目瞭然だった。
何かを心配そうに見つめるミド。その視線の先には…胸や股間をかばうようにおさえて内股気味に立ち、やや逃げ腰で目の前の全身刃物の変体猥褻仮面と対峙している桃色の女戦士の姿があった。
「あ~あ…“あの”キチガイに半端な形で傷を負わせちまって…あの女もバカなヤツだな、グフフフッ、グフフフフフッ」
その時、催眠仮面が何か意味深な事を言いながら突然ミドの前に現れる。
「な!?…お、おいっ、貴様!どういう事だ!?」
「何だ?知りたいのか?おまえの“女”が“あの”キチガイにどういう事をしてしまったのか…グフフフッ」
「く、くっ!?き、貴様!モモが…モモがヤツに一体何したって言うんだ!?答えやがれ!」
「グフフフッ…いいだろう、小僧。あの女が何をしたのか教えてやるよ。おまえもその方が、あの女のこれからの運命が楽しめるだろうしな?グフフッ、グフフフフフッ」
ドカッ。
(くっ!?う、ううぅ…)
そう意味深に言い放ち、催眠仮面はうつぶせに転がされているミドの顔の前にドカッと座り、あぐらをかく。そして催眠仮面はニヤリと口元をゆるませ、これから桃色の女戦士に待ち受ける過酷な運命について語り始めた。
「グフフフッ…あのキチガイはな、ああ見えても結構プライドが高いんだよ。そんなヤツが自らの性欲の対象としてしか見ていないメスに中途半端に噛み付かれたりしたらどう想う?」
「!?…そ、それじゃ…モ、モモは…」
「グフフフッ…そうだよなぁ。そりゃあいい気分なんかしないよな。あの女を益々メチャメチャにしたい衝動にかられるんじゃないのか?ただ犯すだけでは満足しないぐらいにな…なぁミドレンジャー、オレたちはあの女がボロ雑巾のようになる無残な姿を邪魔しないようにしっかり見届けてやろうじゃないか?グフフッ、フフフフフッ、ハーッハッハッハッハッ」
「ガルルッ、ガルルルルッ…」
「ぐ、ぐっ!?そ、そんな…モ、モモ…」
うつぶせに転がされているミドの顔の前であぐらを掻き、これから待ち受けているであろう、モモの過酷な運命を高らかにあざ笑う催眠仮面。
岩石仮面の巨体に完全に押さえつけられてしまっているミド。彼はその過酷な運命に一人懸命に立ち向かおうとしている女戦士を、ただ心配そうに見つめる事しかできなかった。
「っうぅ……いってえじゃねえかよぉ?こんのアマァ!」
突然、思わぬ形で顔面に爆弾を投げつけられ興奮し、いきり立つナイフ仮面。
チャッ。
更にヤツは頭部に数多く突き刺さっていた小さなナイフの一つをそこから抜き取り、そのナイフの刃渡りをペロ、ペロと嘗め回すという、見るからに“アブない雰囲気”を漂わせながら、目の前の“桃色の獲物”に対して更なる狂気を見せる。
「…だいたいてめぇはこのオレに黙って犯されりゃいいんだよぉ!このメスがぁ!…てめえ!ちょっといいケツや乳してるからっていい気になってんじゃねぇぞぉ!……キヒッ、キヒヒッ…犯ッテヤル、犯ッテヤルぜぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ!!」
「な、何よコイツ!?…さ、更にイッちゃったんじゃないの!?」
自分に対して更なる狂気を見せるナイフ仮面を前に、さすがにやや気圧される様子を見せるモモ。
「イッてるとは何だぁ!?イッてるとは、このアマァ!?オレはさっきからいたって正常なんだよぉ!目の前にいる女がてめぇみてえにいいケツや乳をしてりゃあ、犯りたいと思うのはいたって正常な神経じゃねぇかぁ!?キーッヒッヒッヒッヒッ」
(な、何よ!?や、やっぱりコイツ普通じゃないわ…)
明らかに普通じゃないナイフ仮面にあきれているのか、はたまた恐れをなしているのか、目の前の仮面怪人にもはや心の中でツッコミを入れる事しかできないモモ。ヤツの意味不明な迫力に彼女は完全に気圧されてしまっている。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…シャアアアァァァァ!!」
ビュん!
そしてヤツは手にしていたナイフを、聞くに耐えない甲高い奇声と共にモモ目掛けていきなり投げつけてきた。
「きゃっ!?」
突然物凄い勢いで飛んできたナイフを横に転がってかろうじてかわすモモ。
(く、くっ!?ア、アイツは…?あのヘンタイは一体どこに??)
横に転がって崩れた体勢を急いで立て直そうとするモモ。そして彼女は一度目を切ったナイフ仮面の姿をあわてて探そうと試みるのだが…。
ダダダダダダダッ…!
「死ねぇぇぇぇ…シャアアアァァァ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
しかしそのヤツは奇声を上げながら、あっという間に猛然とモモへ突っ込んできている。その様子は、まるで群れからはぐれたメスの小鹿へ襲い掛かる獰猛な獣のようだ。
(くっ!?も、もう立ち上がって体勢を立て直してる暇はないわ。よし、ここは…)
猛然と間合いをつめて来るナイフ仮面に対し、モモは立ち上がって体勢を整える事はあきらめた。しかし彼女は反撃自体をあきらめたわけじゃない。
「やあっ!」
そのしゃがんでいたような体勢から、モモは右足を左から時計回りに繰り出し、右足のカカトでヤツの足元を払うような動きを見せる。いわゆる回転足払いだ。
「キヒヒヒッ…そんなチンケな足技なんか当たるわけねえだろぉ?シャアアアァァァ!」
しかしナイフ仮面はそんなモモをあざ笑うかのように彼女の右側へと少しずつ軌道を変えて襲い掛かっていく。これではモモがせっかく繰り出した足払いは当たらない。
(ふん!そんな事くらい織り込み済みだわ。この足払いはただのフェイント、本当の狙いはこっちよ!)
「といやぁ!」
だがモモもそのナイフ仮面の動きにキッチリと反応する。ヤツの足元を狙って繰り出していた右足を急激に上の方に向け、ナイフ仮面の頭部を右の回し蹴りのような格好で右側から狙っていく。
「キヒヒヒッ…遅い遅い、遅いねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
しかしスピードでモモを遥かに凌駕するナイフ仮面は、そんな女戦士の見せる機転にも全く動じる様子などない。
ガシィッ。
ヤツはせっかくのモモの機転をあざ笑うかのように、彼女が軌道を変えて繰り出してきた右回し蹴りも左手で難なく受け止めてしまう。
「キヒヒヒッ…相変わらずいいアンヨしてるよなぁ。特にこのムッ血無知の太腿なんかたまんねえぜぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
涎を垂らさんばかりに表情をだらしなく崩しているナイフ仮面は、掴み取っていたモモの右脚を自身の左肩に担ぎ上げるようにして無防備に晒されていた肉付のいい太腿を、いやらしい手つきの右手でスリスリと触りたてていく。
「ぐ、ぐっ!?あ、相変わらず…だけどそうやっていつまでもヘンタイやってなさい!…いくわよ!」
しかしモモが無防備に晒した右脚でさえも、今の彼女にとってはおとりにしかすぎない。
モモは左手の中に隠し持っていたモモ爆弾を、至近距離から目の前の変態猥褻仮面目掛けて放り投げようと下手から左腕を繰り出そうとする。
ガシィッ。
「あっ!?ぐ、ぐっ!?し、しまっ…」
だがナイフ仮面はモモにそれさえもさせようとはしない。ヤツは先ほどまでモモの右脚を悪戯していたはずの右手で、下手から差し出された彼女の左手も掴み取ってしまう。
更にナイフ仮面は、白いグローブを身に着けていたモモの掌の中にあったモモ爆弾も力ずくで奪い取ろうとする。
「キヒヒヒッ…その手に持ってるモンは渡してもらおうかねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
モモの小さな掌の中から、その更に小さなハート型の形をした爆弾がヤツにあっさりと奪い取られてしまう。
「ああっ!?わ、わたしのモモ爆弾が!?…か、返して…そ、それ、返しなさい!」
せっかく隠し持っていた“奥の手”でさえもあっさり奪い取られてしまうモモ。それでも彼女はまだ悪あがきをするように、奪い取られたモモ爆弾を手にしていたナイフ仮面の右手に懸命に追いすがろうとする。
「キヒヒヒッ…シャアアァァァ!」
「!?あああぁ!?」
しかしヤツはそんな必死に追いすがってくるモモをあざ笑うかのように、掴み取っていた彼女の右脚から女戦士の身体を前方へ軽々と投げ飛ばす。
「キヒヒヒッ…そういやねえちゃんのこのママゴト道具は返してやるぜぇ。ただしあんたの“アソコ”にだけどなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
ポイィ。
軽々と宙へ投げ飛ばされる桃色の身体。その桃色のスーツで覆われた股間目掛けて、あろう事かナイフ仮面は、つい先ほどモモから奪い取ったモモ爆弾を投げ返してきたのだ。
ボォォォン!
「!?きゃあああぁぁぁぁ!?」
モモのミニスカートの中で炸裂するモモ爆弾。たまらず上がる女の悲鳴と強烈な爆発音と共に、更に勢いよく吹き飛ばされていく桃色の身体。
「いやああぁぁぁ……ああぅ!?」
ドスンッ!
股間で起きたモモ爆弾の爆発で勢いよく吹き飛ばされてしまったモモは、その勢いのまま岩肌が剥き出しになっていた岩壁へ強烈に叩きつけられてしまう。
ドサッ。
岩壁へ強烈に叩きつけられ、力無くその場に落下する桃色の身体。
「…ぅ…ううぅ……はぁ…はぁ…はぁ…」
股間に浴びたモモ爆弾やこれまでにヤツから受けた数々の恥辱に心身共に傷だらけのモモ。激しく呼吸を乱し、アスファルトの地面にうずくまる彼女。
(…ぐ、ぐっ…ま、まだよ…アイツは…アイツは一体どこに…)
それでも深く傷ついたモモからまだ戦いへの気力は失われてはいない。彼女は一度見失ってしまったあの忌まわしき変態猥褻仮面の姿を懸命に探し出そうとしている。だが…。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…まだおねんねには早いぜぇ、ねえちゃんよぉ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
(はっ!?)
「あうぅ!?」
ガッ。
地面にうずくまるモモの前に突如として現れるナイフ仮面。そしてヤツはいきなり彼女の細い首に喉輪を仕掛け、そのままモモを後ろの岩壁へ押し付けてしまう。
「ぁ、あうぅ!?…ぐ、ぐぅ……はっ!?」
チャッ。
そしてナイフ仮面は頭部に突き刺さっていた小型のナイフからその内の一本を取り出し、それを岩壁に押し付けたモモの喉元に突きつける。
キヒヒヒヒッ…。
そんな、手にした刃物を女戦士の喉元に押し付けているヤツの表情は"狂気”そのものだ。
(…う、ううぅ…こ、このままじゃ…このままじゃ…)
自分の目の前にある狂気に満ちたその表情。それに喉元に突きつけられたナイフ。それらはハート型のバイザーの向こうにあるペギーの美貌を青ざめさせるには十分過ぎるものだった。
「キーッヒッヒッヒッヒッ、死ねぇぇぇぇ!!」
その狂気に満ちた奇声と共にナイフ仮面は刃物を手にした手を大きく振りかぶる。モモの喉元へ猛然と襲い掛かる鋭い刃先。
「!?き、きゃあああぁぁぁ!?」
「モ、モモっ!?モモーッ!!」
(ダ、ダメッ!?や、やられる!?)
桃色の女戦士からたまらず上がる甲高い悲鳴。それに交わるように緑色の戦士から聞こえる絶叫。いつも強気なペギーもマスクの中でさすがに観念したような表情を見せる。
ブスッ!
(!!……ぇ??)
だがナイフ仮面が突きつけてきた鋭い刃先はモモの喉元を貫いたわけではなかった。ヤツが突き刺してきたナイフはモモの細い首をかすめてその横の岩肌に突き刺さる。
(!?…ど、どうして???)
ナイフ仮面の突き刺してきた刃物の狙いが外された事にモモの中には数多くの?マークが浮かんでいる。
(…はっ!)
「シャアアアァァァ!」
「!?いやああぁぁぁ!?」
だがヤツは彼女がそんな事を考える間もなく、間髪いれずにまた別のナイフを喉元に突き刺してきた。
ブスッ!
(!?…ま、また??)
しかしそのナイフはまたしてもモモの喉元は貫かない。その鋭い刃先は彼女の細い首を避けるように、先ほどとは逆サイドの彼女の頭部の横、その岩肌に突き刺さる。
(な!?…さ、さっきから何で??)
「キヒヒヒッ…シャアアァァァ、シャアアアァァァァ!!」
だがヤツはまたしても頭部から別のナイフを、それも今度は何本も手にし、それを次々とモモに突き刺してきた。
ブスッ!ブスッ!ブスッ!ブスッ!
しかしその刃(やいば)はまたしてもモモの身体は捕らえない。彼女の左脇、右脇、そして腰の左側と右側-。それらは全て、桃色のスーツをかすめてすぐ後ろの岩肌へ突き刺さっていく。
「な、な!?さ、さっきから何を…あ、あんた、一体何をしたいわけ??」
「キヒヒヒッ…これでねえちゃんは動けねぇ!ゴツゴツした岩肌へまさに”釘付け”ってわけだぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「えっ??…ウ、ウソ!?ぐ、ぐっ……か、身体が…身体が動かせないわ!?」
ギチギチ、ギチギチ…。
ナイフ仮面の言葉にモモが試しに身体を動かしてみても…確かにその身体は全く動かない。まるで何かに引っ掛けられてるようにモモは身体を動かすことができないのだ。
(!?も、もしかして…さ、さっきからアイツが攻撃の手をわたしからわざと外していたのは…!?)
そう不振に思った彼女が自分の身体の周りに視線を送ってみると…ヤツの言った通り、モモの身体は後ろの岩壁へ確かに”釘付け”にされているのだ。
モモの首に巻かれていた白いマフラー。そこには彼女の細い首の両側をかすめるように、二本のナイフが白いマフラーを突き刺して後方の岩壁に突き刺さっている。
また桃色の身体をかすめるように突き刺されていた四本のナイフ。それらは全て、彼女のマントの裏地を貫いて同じように後方の岩壁へ突き刺さっている。
(うっ、くぅ!?…く、くっ!?お、お願い!?う、動いて…)
計六本の刃物によって完全に自由な動きを封じられてしまった桃色の女戦士。その光景はまさに『釘付け』と呼ぶにふさわしいものだった。
「キーッヒッヒッヒッヒッヒッ……死ねえぇぇぇぇ!!」
甲高い奇声と共にナイフ仮面がモモの股間へと突き刺してきた鋭い刃先。
「はっ!?きゃああぁぁ!?」
!?モ、モモーッ!」
ドスッ!
ナイフ仮面の”その狂気”にもロクに身動きも取る事ができず、ただ悲痛に叫ぶ事しかできないモモ。
ミドが悲しい絶叫を上げる中、さすがに彼女も観念したように目をつぶる。
(!!……?)
だがヤツのそのナイフはまたしてもモモの股間を貫いたわけではなかった。疑問に思った彼女が下を見てみると…ヤツがナイフを突き刺してきた場所はモモの股間ではなく、彼女の股下ギリギリ、5cmもないような所だったのである。
「…どうだぁ?結構怖かったんじゃねえのかぁ?キヒヒヒッ……それとも実はもしかしてチビってんじゃねえのか?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「な、な!?ぐ、ぐっ…そ、そんなわけなんかないでしょ!バカにしないで!誰がこんなモノなんか…」
「キヒヒヒッ…そうだよなぁ。だいたいもし本当にチビってたとしても正義のヒロインであるねえちゃんが、そんな事恥ずかしくて正直に言えるわけなんかねぇよなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
弱みを見せまいと必死に強がっている目の前の女戦士をあざ笑うかのように、だらしなくニタニタと表情を崩したナイフ仮面はモモの顔にぐっと近づく。
更にヤツは赤いハート型バイザーの中にある、これまでに受けた苦痛と屈辱に苦々しくゆがめていたペギーの美貌をも見透かすように、マスクに覆われたモモの顔をじっと覗き込む。
「な、な!?どこまでわたしをコケにする気?絶対に許さないわ!今に見てなさ…!?ぁ、あんっ…」
「ああん!?今に何だってぇ?ほうれ、ほうれぃ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
自分を完全に小バカにするような態度に怒り心頭のモモ。
だがヤツはそんな彼女をあざ笑うかのように、突然モモの股間や胸を淫らに弄んできた。不意をつくようなタイミングでの性感への悪戯。たまらずモモは甘い喘ぎ声を漏らしてしまう。
「キーッヒッヒッヒッヒッ、オレァねえちゃんの"この声”も大好きなんだよなぁ。悩ましく喘ぐこの艶っぽい声、くぅ~たまんねぇ~…キヒッ、キヒヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「ぁ、ぁ、ぁんっ!?…ぐ、ぐっ!?そ、その薄汚い手でこれ以上わたしに触らないで!このヘンタイ!!」
パシィッ!
その乾いた音と共にナイフ仮面の左頬が”何か”に張られる。ヤツから受けた恥辱の数々に対し、怒りに打ち震えるモモの右手から勢いよく繰り出された平手打ちが炸裂したからだ。
「フン!このわたしをあんまりナメないでよね!いつまでもおまえみたいなヘンタイの好きにさせるもんですか!」
苦しい状況から目の前の"ヘンタイ”に浴びせた会心の一撃。その一撃に溜飲を下げたのか、マスクの中でペギーは久々に勝気な笑みを浮かべていた。
(いいぞ!…そうだ!あのモモが簡単にやられるわけなんかないぜ。何たってモモはただの女の子じゃないんだからな。…だがすまないモモ。オレはおまえの助けになってやれそうにないな。でもオレの事はどうでもいい。そんなヤツに負けるなよ、モモ…)
うつぶせの状態で転がされ、岩石仮面の巨体に抑え付けられてしまいなす術がないミド。
そんな彼は目の前で傷つき、数々の恥辱にまみれながらも奮戦する女戦士の姿に対して、力になってやれない事を申し訳なさそうに見つめる事しかできなかった。今のミドが彼女にできる事はといえば、せめて心の中で密かにエールを送る事だけだったのである。
「あ~あ、またあのキチガイを中途半端に傷つけちまって…あの女も懲りないヤツだな。これであの女は益々ひどい目に遭うんじゃないか?これからモモレンジャーがどうなるのか、非常に見物だよ、なぁミドレンジャー?グフフフッ、グフフフフフッ」
だがミドの近くにいた催眠仮面の見方は違っていた。まるでこれからモモへ待ち受ける過酷な運命を継げるようなヤツの口ぶり。
「く、くっ!?何だと!…こ、この野郎!モモが、あのモモがそんな簡単にやられてたまるかよ!」
「ほぉ…大した信頼だな。まぁ自分の女だからそうなるのかな?グフフフッ……だが現実とは残酷なものだ。わたしには見えるんだよ。あの女がボロ雑巾のようになる姿がな、グフフフッ、グフフフフフッ」
「ガルルッ、ガルルルッ…」
うつぶせのミドを踏みつけていた岩石仮面が、催眠仮面の声へ応えるように雄たけびを上げる。
「ほぉ、岩石仮面、おまえもそう思うか?そしておまえも見たいんだろ?モモレンジャーがボロレンジャーになる姿をな、グフフフッ、ハハハハッ、ハーッハッハッハッハッ」
(ぐ、ぐっ!?コ、コイツら……モモ、頑張れ。絶対にこんなヤツらの思い通りになんかなるなよ)
モモのこれからの運命を予言するかのようにミドの目の前で高らかに笑う催眠仮面。
岩石仮面の巨体に押さえつけられなす術がないミド。そんな彼が今できる事はといえば、パートナーの女戦士の無事を祈ることだけだったのである。
「…いってぇ~…いってぇぇぇぇぇ!!」
一方のナイフ仮面。いきなり顔面を張られたヤツは張られた顔の一部をおさえて半ば大げさに痛がっている。たかだか顔面に一発ビンタをもらったぐらいでこの“ヘンタイ”がそれほどダメージを受けているわけがないのだが…。
(な、何よコイツ!?たかだかあのぐらいで…?一体どういう事なの??)
目の前で大げさに痛がっている仮面怪人の態度をさすがに訝しがって見つめるモモ。確かに自らのビンタがキレイに決まったとはいえ、これまで歴戦の女戦士の攻撃の数々を返り討ちにしてきたヤツである。
そんな男がこの程度の反撃で、これほど大げさに痛がるような大ダメージを受けているわけがないのだ。さすがにモモもそのくらいの認識は持っていた。
(!?そ、そうだわ!何だか知らないけど…今のうちにわたしのマフラーやマントに刺さっているコイツのナイフを…)
だが今のモモにはそんな事はどうでもいいのだ。ヤツがひるんでいる隙に彼女は自らの進退の自由を奪っていたナイフを右手で抜きにかかる。
(!…ぐ、ぐっ!?な、何このナイフ!?ぜ、全然抜けそうにないわ??)
しかし襟元の白いマフラーに刺さっていたナイフの内の一本は、その後ろの岩壁へ以外にも堅く突き刺さっている。ゴレンジャーの中でも非力な彼女の力ではとても抜けそうにない。更に…。
「…いってぇ~…いってぇじゃねぇかよぉ!このアマァァァァァァ!!」
「ぇ!?…あっ!?し、しまっ…」
ガシィッ!
思わぬタイミングでモモに一発ビンタをもらい、当然のようにいきり立ち更なる狂気を見せるナイフ仮面。
白いマフラーごと岩壁に突き刺していたナイフを何とかして抜こうとしていた彼女の右手。それをヤツは“狂気”に満ちた表情を浮かべて左手で掴み取りにする。
「く、くっ!?…は、離せ!離してっ!このぉ!」
もちろんモモもこのまま黙っているつもりなどない。掴み取りにされた自身の右手を、彼女は空いていた左手ですかさず振りほどきにかかる。
「んだぁ!?…だいたいてめぇ!いってぇじゃねぇかぁ!ちょっとやさしくしてやりゃぁつけ上がりやがってぇ!調子にのんじゃねぇぞぉ!このアマァァァァァァ!!」
「えっ…あっ!?きゃあぁ!?」
ガシィッ!ドスンッ!
しかしヤツはその左手も掴み取りにし、しかも掴んだ手を押し返して岩壁に押し付けてしまう。狂気に満ち溢れている今のナイフ仮面にはそのような半端な抵抗はむしろ逆効果。かえってヤツの怒りを買ってしまうだけだ。
「く、くっ!?…イ、イヤッ!?な、何すんの!離せ、離せ!」
ガッ、ガッ!
「!?ああぅ!?」
「キヒヒヒッ…手足を自由にさせとくとねえちゃんは何するか分かんねえからなぁ。ほうれ、ほうれ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐぅ!?…あ、ああっ、ああ!?ああぅ!?」
グリ、グリ、グリ、グリ…。
更にヤツはモモの両足も踏みつけてしまう。彼女の自由になる部分を少しずつ摘み取っていくナイフ仮面。だがヤツはモモへの攻撃の手をまだまだゆるめようとはしない。
「キヒヒヒッ…まだまだこれからだぜぇ、ねえちゃんよぉ、キーッヒッヒッヒッヒッ……おぉい!誰か暇なヤツがいたらちょっと手伝ってくれねぇかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「?…何だあのキチガイ、一体何の用なんだ?アイツ、あの女を独り占めにしたいんじゃなかったのか?グフフフッ、グッフッフッフッフッ」
「…どうやらあのキチガイにはキチガイなりの考えがあるらしいぞ?催眠仮面よ、ククククッ」
モモの自由を次々と封じ込めていく狂気のナイフ仮面。だがヤツは突然応援を求めているような事を言い出してきた。それを催眠仮面と爆弾仮面は“やれやれ”とせせら笑いながら眺めている。
「…まぁいいだろう。オレがヤツのお戯れに付き合ってやるよ、クククッ、ククククククッ……おい!ナイフ仮面!一体オレたちに何をしてほしいんだ?」
そう言って爆弾仮面はナイフ仮面の背後からヤツに近づいていく。
「キヒヒヒッ…おうよ、爆弾仮面じゃねえか!おめえ!このねえちゃんの手をオレの代わりに持っててくれねえかぁ?ちょっとやりたい事があるもんでねぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「何だ?そんな事か?まぁそんなもんお安い御用だ、ククククッ……そら、ナイフ仮面!その女の手をよこせよ、クククッ、ククククククッ」
「キヒヒヒッ…おう、ほらよ。キーッヒッヒッヒッヒッ」
「く、くっ!?コ、コイツら……ぁ、あっ!?な、何すんの!?」
ガッ。
まるで物の受け渡しでもするようにナイフ仮面は掴み取っていたモモの右手を爆弾仮面に受け渡す。もちろんその間、彼女は抵抗らしい抵抗をする事ができない。今のモモにはヤツらのその“物の受け渡し”に抗う術はないからだ。
「キヒヒヒッ…これでいいぜぇ!どうもありがとよぉ爆弾仮面。だいぶ助かっちまったぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ほぉ…ナイフ仮面。おまえが素直にお礼を言うなんてめずらしいな?オレが手伝ってやったのがそんなに嬉しいのか?ククククッ」
「おうよ!これでオレ様の両手が自由になったからなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「な、何!?…あ、あんたたち!これから何をするつもりなの!!?」
未だにナイフ仮面の意図が見えてこないモモからはとまどいの色が隠せない。押しつぶされそうな不安だけが無秩序に大きくなっていくだけだ。
「キヒヒヒッ…知りたいかぁ?ねえちゃん。そりゃあ知りたいよなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ……それはこうするんだよぉ!シャアアアァァァァ!!」
(ぇ??)
ドスッ!
「!?ぎゃあああぁぁぁぁ!?」
突然女戦士から上がる獣のような絶叫。完全に理性が吹っ飛んだ悲痛な叫び。
岩壁へ押し付けられたモモの左の手の平に突き刺さっている小型のナイフ。白いグローブを身に着けていたその手の平が徐々に紅く染まっていく。
ナイフ仮面が小型のナイフをモモの左の手の平に突き刺してきたためだ。ヤツは頭の上に数多く突き刺さっていたナイフの内の一本を手にし、それを岩壁に押し付けた彼女の手の平目掛けて勢いよく突き刺してきたのだ。
「キヒヒヒッ…“この手”が勝手に動かないようにしっかり刺しておかねえとなぁ?ほうれ、ほうれ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「あ、あうぅ!?ぐ、ぐぅ…や、やめ…!?ぎ、ぎゃああぁぁ!あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
「モ、モモッ!?モモーッ!!」
グリ、グリ、グリ、グリ…。
いやいやをするように頭をブンブンと振るモモの悲痛な絶叫とミドの悲しい叫び声が交じり合う中、更にヤツはダメを押すように彼女の手の平に突き刺したナイフをグリグリとねじ込む。突き刺したそれを後ろにある岩壁へ完全に貫通させるためだ。
「何だ?おまえのしたかった事はそういう事だったのか?ククククッ……おい、オレにもおまえのナイフ、一本貸し手みろ?面白そうだからオレもこの女のこっちの手に同じ事をやってやるよ、クククッ、ククククククッ」
「!?…イ、イヤッ!?や、やめて、やめて!お願い!もうやめてっ!」
この戦いで初めてといっていいほど取り乱すモモ。それだけこれまで受け続けてきた苦痛への、ヤツのナイフへの恐怖が彼女を蝕んでいるのだ。
「そうかぁ、キヒヒヒッ……ほらよ、爆弾仮面。それじゃやってくれや、キーッヒッヒッヒッヒッ」
相変わらず奇声を上げて不気味に笑うナイフ仮面。ヤツはそう言って自身の頭の上に突き刺さっていたナイフの内の一本をそこから抜き取り、それを爆弾仮面に手渡す。
「…どうもありがとよ、ククククッ……それじゃ“コイツ”をおまえと同じようにこの女の手の平に突き刺せばいいんだな?クククッ、ククククククッ」
(!?…イ、イヤ!そ、そんな、やめて!イヤよ!そんな、そんな…!)
ナイフ仮面から手渡された刃物を見ながら爆弾仮面がそう冷たく言い放つ。それをすぐ近くで見ているモモはただ恐怖するばかりだ。
「イ、イヤ……あぁんっ!?」
ドスンッ!
もはや恐怖におののく事しかできないモモ。ついに彼女は爆弾仮面に掴まれていた右手さえも、後ろの岩壁になす術なく押し付けられてしまう。という事は爆弾仮面がその後に取る行動は…。
「どうした?ひょっとして怖いのか?もはや正義のスーパーヒロインも形無しだな?ククククッ……まぁ心配するなよ。一瞬でおまえの手の平を“コイツ”で貫いてやるよ。だから痛いのも一瞬だけだ。どうだ?オレはこのナイフ仮面と違ってやさしいだろ?クククッ、ククククククッ」
「ぁ、ぁ、ぁ…!?イ、イヤ、イヤ…イヤ、イヤ、イヤ、イヤッ…」
岩壁に押し付けられたモモの手の平へ徐々に迫っていく鋭い刃先。もはや恐怖するだけの女戦士はいやいやをするように頭をただただブンブン振り続けるのみである。そしてついに…。
ブスッ!
「!?ぎ、ぎゃあああああぁぁぁ!?あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!」
桃色の女戦士からまたしても上がる獣のような絶叫。岩壁に無理矢理押し付けられたモモの手の平へ突き刺された小さなナイフ。白いグローブを身につけた彼女の手の平が徐々に紅く染まっていく。
「モ、モモッ!?お、おまえらやめろ!やめやがれ!もうやめてくれぇぇぇ!」
「ほぉ…おまえの“オトコ”が何かわめいてるぞ?それにしても天下無敵の正義のヒーロー・ゴレンジャーもこうなると実に哀れなモンだな?なぁ、モモレンジャー?クククッ、ククククククッ」
「ぐ、ぐぅ…ぁ、ぁぁ…ぁ、あぁぅ」
無敵を謳っていたはずのゴレンジャー。その無敵のヒーローの惨状を、数多くのナイフで“釘付け”にされてボロボロのスーパーヒロインをあざけ笑う爆弾仮面。
(く、くっ!?コ、コイツら……ま、負けない!わたしたちゴレンジャーがこんな事に…こんな事に負けてたまるもんですかっ!)
キッ。
しかしそのスーパーヒロインはまだまだ闘志を、戦う気力を失ってはいなかった。自分へあざけりの視線を向けてくる仮面怪人を、彼女はまだ抵抗の意思が残っている事をアピールするかのように鋭く睨み返す。
例えこの身体がボロボロでも…心までおまえたちに屈してたまるもんですか!-。繰り出す攻撃をことごとく打ち破られ、身体の自由を次々と封じ込まれていく今の彼女の唯一の武器。数多くの苦痛と恥辱にまみれていた女戦士は、もはやそんな気力と負けん気だけで支えられていたのである。
「フン!これだけ痛めつけてやったのに…相変わらず気の強い女だ。だがそんなクソ生意気な態度がいつまで続けられるのかな?ククククッ……おい!ナイフ仮面!モモレンジャー様はまだまだヤル気らしいぞ?お望み通り遊んでやれよ?クククッ、ククククククッ」
「そうかぁ!じゃあねえちゃんのお望み通りオレが相手してやんぜぇ!そのムッ地無知の身体をなぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
爆弾仮面にそううながされたナイフ仮面は目の前にあるモモのマスクへグッと迫っていく。そしてヤツはそのハート型のバイザーの中にあるペギーの美貌を品定めするように、その醜い顔で舌なめずりして彼女の顔をじっと覗き込む。
「く、くっ!?な、何よヘンタイ!まだ何か用なわけ!!?だいたいその薄汚い顔でわたしに近づかな……!?」
ドスッ!
「ぎゃあああぁぁぁぁ!?」
桃色の女戦士から三度上がる獣のような絶叫。その醜い表情をだらしなく崩してモモの顔を覗き込んでいたナイフ仮面。
そしてそのヤツは頭の上に数多く突き刺さっていた小さなナイフの内の一本を彼女の右太腿へ思い切り突き刺してきたのだ。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…相変わらずいい声で鳴くよなぁ?なぁねえちゃん、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ああっ!?ああああっ!?あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」
肉付のいい太腿へ深く突き刺さる小型のナイフ。徐々に紅い血でにじんでいく桃色の強化スーツ。
相変わらずの“狂気”を見せるナイフ仮面。それに対し、自身の脚を小さなナイフで容赦なく貫かれたモモは、半狂乱状態でただひたすら悲痛な叫びを上げ続けている。だがヤツの彼女への“狂気”はまだまだこれだけでは終わらない。
「何だぁ?痛いのかぁねえちゃん?そりゃあ痛いよなぁ?キヒヒヒッ。でもまだまだいくぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ!……シャアアアァァァァ!!」
ドスッ!
「!?ひ、ひぎゃああああぁぁぁぁ!?」
更に今度、ヤツはまだ無傷のモモの左太腿へ同じように刃物を突き刺してきた。
もう何度目か分からなくなるくらい、またしても女戦士から上がる悲痛な叫び。上を向き、目一杯首を伸ばしていやいやをするようにひたすら頭をブンブンと振り続けている哀れなスーパーヒロイン。
「ほら、どうしたぁ?ゴレンジャー様は無敵なんじゃなかったのかぁ?モモレンジャーもそうなんだろぉ?なぁねえちゃん。そろそろ正義のスーパーヒロインらしく反撃してきたらどうなんだぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ああっ!?ぐ、ぐぅ…あああっ!?ああっ、あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!?」
グリ、グリ、グリ、グリ…。
更にヤツはモモの左太腿に突き刺していたナイフを、ダメを押すようにグリグリと桃色の脚へねじ込んでいく。
「モ、モモッ!?モモーッ!…おい、このナイフ野郎!もういいだろ!やめろ!もうモモを放してくれぇぇ!」
「何だぁ?あの緑のガキが何か言ってやがるなぁ?ま、もちろんオレはそんなん無視して遊ぶんだけどなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
(ミ、ミドッ……く、くっ!?ミ、ミド…ミドッ!)
ナイフ仮面の“狂気”に晒されもはやなす術なく弄ばれ続けるモモ。そんな彼女は岩石仮面に踏みつけられ、同じくなす術がない緑色の戦士を、助けを求めるように見つめている。
「キヒヒヒッ…それにしても…そのマスクでねえちゃんの顔が見れねぇのはちょっとなぁ。…そうだなぁ、いっそとっちまうか?キヒヒヒッ」
ガッ。
(ひ、ひっ!?)
そんな事を言い放ち醜い表情をだらしなく崩しているナイフ仮面はモモのマスクへ両手をかける。目の前の仮面怪人へ恐怖するばかりの彼女はもはや何もする事ができない。
「…そのハートの形をした赤いのの向こうにはさぞかわいい顔があるんだろうなぁ?何しろあんなにエロい声で鳴くんだからなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
グイィ、グイィ…。
醜い顔をニタつかせてそう言い放ち、ヤツはモモのマスクにかけていた両手を上の方へグイグイと引っ張り始めた。ペギーの頭へスッポリとハマっていた薄いピンク色のマスクが、赤いハート型を象ったバイザーのあるそれがギチギチと音を立てながら強引に外されようとしている。
「あ、あうぅ!?ぐ、ぐっ、痛っ!?…な、何するの!?や、やめて、やめて!?」
しかしモモも嫌がるそぶりは見せてもただそれだけの事である。弱々しい声を上げながらも、今の彼女にはヤツのその力に抗う気力を振り絞る事も、それに抵抗らしい抵抗をする事でさえももはやできないのだ。
「ククククッ…おい、ナイフ仮面。もうそれぐらいにしておけよ。このままだとマスクを奪い取っちまう前にその女の頭がもげてしまうぞ?そうしたらおまえもその女を犯せなくなって困るんだろ?クククッ、ククククククッ」
「あ、ああっ!?そ、そうよ。だ、だから…これ以上はやめなさい!…お、お願いだからや、やめて…!?痛っ!?あああっ、ああああぁ!?」
「キーッヒッヒッヒッヒッ…でもよぉ、爆弾仮面。だからってどうすりゃいいんだぁ?やっぱりこうするしかねえんじゃねぇのかぁ?キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「!?ああっ、あああっ!?そ、そんな事しても…こ、このマスクは…ぜ、絶対に取れないわ!…だ、だからやめなさい!や、やめて…やめて…痛!?ああっ!?いやああぁぁぁぁ!?」
爆弾仮面にそう諌められてもナイフ仮面の“狂気”はとどまる事を知らない。目の前の哀れな女戦士が悲痛な叫びを上げ続ける中、ヤツは相変わらず彼女のマスクを強引に奪い取ろうとし続ける。
「ククククッ…おまえ、もしかしてその女を犯す事に夢中で肝心な事、忘れてるんじゃないのか?そんなもの、電波仮面にちょっと細工してもらってとってもらえばいいだろ?クククッ、ククククククッ」
「!?そうか!なるほどねぇ。確かにそうだよなぁ、キヒヒヒッ……おーい!電波仮面!おまえさんに一つ頼みたい事があるんだけどなぁ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
爆弾仮面に言われて何かを思い出したようにそう呟き、不気味な笑みを浮かべるナイフ仮面。そしてヤツは細い道路の傍にそびえ立つ岩壁の頂上にたたずむ電波仮面に向かって、大声で何か呼びかけ始めた。
「…何だ?ナイフ仮面。まだわたしに何か用があるのか?ちなみにおまえの悪趣味に付き合えというならこちらから願い下げだぞ?フフフッ、ふフフフッ」
「キーッヒッヒッヒッヒッ…そんなんじゃねぇよ。ただおまえさんの“特技”でこのねえちゃんのマスクを取ってほしいだけだ。何しろこのままだとこの何とも言えないエロさ漂うねえちゃんのお顔が拝めねぇモンでなぁ。なぁ、ね・え・ちゃん♪…キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?こ、このヘンタ…!?ぁ、あんっ…イ、イヤッ、や、やめて…」
電波仮面にそう頼み込むナイフ仮面はだらしなく表情を崩し、マスクで覆われていたモモの顔をじっと覗き込む。更にヤツはそのままの体制で、既に所々肌の露出した無防備な状態で晒されていた左乳房を、その感触を確かめるようにムギュムギュと揉みほぐし始めた。
「フッ。結局はおまえの悪趣味に繋がるんじゃないか?…まぁいいだろう。わたしもそいつらゴレンジャーの強化スーツがどんな構造になっているのか知りたいしな、フフフッ、フフフフッ」
ふゎさぁ……スタッ。
ナイフ仮面へそうボヤくように言いながら、電波仮面は立っていた岩壁の頂上から軽やかに飛び降り、まるでその場に浮遊するように音も無くゆっくりと着地した。
コツ、コツ、コツ、コツ…。
そしてヤツは既にズタズタに傷ついている哀れな女戦士の下へゆっくりと近づいていく。ゴレンジャーの紅一点、モモレンジャーの正体であるペギー松山の素顔を晒すために…。
「キヒヒヒッ…そういうわけでねえちゃんのそのいまいましいマスクは“アイツ”が取ってくれるみてえだぜぇ。いよいよねえちゃんのかわいい素顔とご対面だぁ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?そ、そんな事できるわけないでしょ!!?わたしたちのこのマスクはあんたたちなんかには絶対外せないわ!」
「キヒヒヒッ…まぁそういう事にしといてやるよ。だが今度ねえちゃんの顔を拝む時はあんたのかわいい素顔だかんなぁ。そりゃあ楽しみにしてるぜぇ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?…!?ぁ、ぁんっ…」
ムギュッ。
そう言いながらナイフ仮面はモモの股間をムギュッと握りつぶす。そしてヤツはそれを捨てゼリフとするように彼女の前からスタスタと離れていった。
「フフフッ…アイツも相変わらずだな?ふフフフッ……というわけでここからしばらくはわたしがおまえの相手をする事になった。短い間だがよろしくな、フフフッ、ふフフフッ」
更にそのナイフ仮面と入れ替わるように今度は電波仮面がモモの前に立つ。
(く、くっ!?な、何よコイツ?これからわたしに何しようっていうのよ?それにコイツ、何でこんなに自信満々なわけ?ま、まさか本当にわたしのマスクを取れる自信があるというの??)
ナイフ仮面とはまた一味違う、電波仮面のその自信に満ち溢れ落ち着いたただならぬ雰囲気に恐怖するモモ。
それはこれまで彼女がナイフ仮面に対して感じてきた“女”としての恐怖ではなく、あくまで純粋に“女戦士”として、目の前にいる得体の知れない敵に対して感じている“脅威”であった。
「フフフッ…で、これからわたしがおまえにやりたい事は何か分かっているよな?なぁモモレンジャー?フフフッ、フフフフッ」
ガッ。
「あっ!?な、何するの!?」
そう言って電波仮面はモモの頭部の両側へスッと両手をかけてきた。
「うっ、くっ…!?」
(く、くっ!?こ、このままじゃマズイわ。コイツがわたしに何しようとしてるのか分からないけど…は、早くコイツから逃げなきゃ…な、何かとても嫌な予感がして…)
電波仮面のその意味深な行動にもはやおびえるだけのモモ。彼女は何とかヤツから逃げ出そうと“釘付け”にされてしまっている身体をどうにか動かそうと必死に暴れまわろうとするのだが…。
「フッ。幾らゴレンジャーといえど…こうなると哀れなモンだな。…おい!女!これから面白い事をしてやるから少し黙ってろ!」
ドスッ!
「ぐふぅっ!?…ぐ、ぐぅ!?」
いやいやをして必死にあがく目の前の女戦士を、電波仮面は黙らせるように右手でみぞおちに強烈な一撃を叩き込んだ。突然みぞおちに強烈な一撃をもらい、腹部から広がる苦痛にモモのもがいていた動きは完全におとなしくなってしまう。
「フンッ、そうやってしばらくおとなしくしてろ。このメスがっ…フフフッ、フフフフッ」
「…か、かはっ!?ぐ、ぐっ……!?くっ、う、ううぅ…」
ガッ。
そうやってモモの動きを止めた電波仮面は彼女の頭部を再び掴む。そしてヤツはその態勢のまま、モモの顔や身体をじっくりと観察し始めた。
ピピピッ、ピピッ。
ナイフ仮面に突き刺された小さな刃物が痛々しく刺さっている肉付のいい太腿。大きなバックルのついた、腰に巻かれていたベルト。
あの“ヘンタイ”に切り刻まれ所々肌が露出していたふくよかな乳房。そして彼女の桃色のゴレンジャースーツとマスクとの接地点-。じっくりと舐めるようにモモの身体を観察する電波仮面。その間、ヤツの額にアンテナのように生えていた角は淡く緑色に光り続けている。
「…そうか。おまえらゴレンジャーの強化スーツはそういう構造になっていたのか、フフフッ、フフフフッ」
「な!?な、何よっ!?あんたなんかにわたしたちゴレンジャーの一体何が分かるって言うのよ!」
「フフフッ…おまえらゴレンジャーはその強化スーツを身に着ける時…確か転換とか言ったな。その転換をする時、確か身体には15万ボルトにも及ぶ高圧電流が流れるんだろ?」
「な、な!?…な、何であんたが…黒十字軍がゴレンジャースーツの秘密を…」
突然自分たちの強化スーツの秘密を指摘され驚愕するモモ。しかもヤツの指摘してきたその“秘密”はほぼ当たっているのだ。
だが彼女の驚きはまだまだこれだけでは終わらなかった。ヤツは更にしゃべり続ける。
「フフフッ…どうやら図星のようだな。…さっき、おまえの“強化スーツ”を調べさせてもらった。今言った事はさっきおまえの“強化スーツ”を調べて分かった事だ、フフフッ、フフフフッ」
「な、な!?な、何であんたにそんな事ができるわけ…??」
「フフフフッ…相手の能力を的確かつ正確に分析する。それがわたしの最大の特技だからな…わたしの額にあるこの角を見るがいい。これがわたしに全てを教えてくれるのだよ、フフフッ、フフフフッ」
(な!?あ、あんな…あんな角でそんな事…)
まさか戦いの中で自分たちの秘密が見破られようなど、これまで創造もしていなかった彼女は、その身体がだんだんと小刻みに震えていく。
「…続きだ。おまえらがその転換をする際、身体に流れる15万ボルトの高圧電流。その高圧電流の流れる際発生する強力なエネルギー。それがおまえらが転換する際そのただの布切れを覆い、おまえらゴレンジャーの身に着けているカラフルでハデな“ジャージ”を本当の“強化スーツ”にするんだろ?違うか?フフフッ、フフフフッ」
「な!?な、何でそんな事まで…?」
次々と暴かれていくゴレンジャースーツの“秘密”。そして彼女の心理は徐々に驚愕していくというよりも、まるで自分がだんだん裸に剥かれていくような何ともいえない嫌悪感、恐怖感を覚え初めていた。だが大切な秘密をモモはまだまだ剥かれていく。
「フフフッ…そしてその強力なエネルギーはそのハデな“ジャージ”の防御力を飛躍的に向上させるだけでなく、そのスーツとマスクの接地点を繋ぐ超強力な接着剤のような役割も果たしている。だからあのナイフ仮面が幾ら力任せに引っ張ってもおまえの頭からそのマスクはとれなかったというわけだ。どうだ?違うか?フフフフッ」
(な、な!?ウ、ウソ!?コ、コイツどこまで…どこまでわたしたちの秘密を暴いていくの??)
次から次へと暴かれていく自分たちゴレンジャーの秘密。ただただ驚き、恐怖するばかりの彼女の身体からはガタガタと震えが止まらない。
「…震えているところを見るとほぼ当たっているようだな?我ながら実に素晴らしい分析能力だよ、フフフッ、フフフフッ」
(…そ、そうよ。でも例えその事が分かったとしても…ゴレンジャースーツの秘密を知ったとしても簡単にどうにかできるはずなんてないわ!そうよ。だからこんな事にビビる事なんて…)
それでも自分たちの強化スーツが、ゴレンジャースーツが簡単にどうにかできるわけなどないはず-。そんな思いだけがまさに彼女の最後の砦になっていた。
しかしモモのそんな祈るような思いは電波仮面の次の言葉であっさりと打ち破られる事になる。ヤツのその言葉とは…。
「だからその“強化スーツ”へ逆に強力なエネルギーを中和させるようなモノを流し込んでやればいい。そうすればその“強化スーツ”はただのハデな色の“ジャージ”になるというわけだ。…フフフッ、フフフフッ」
「な、な!?そ、そんな事…そんな事できるわけなんてないわ!」
「そうかな?…本当にできないのかどうか、自分の身体で確かめるといい…フフフフッ」
スッ。
そう言い放ち、ヤツは三度モモの両側頭部へ両手をかけてきた。
ピピピッ、ピピッ、ピピピピッ。
そして今度、ヤツの額に生えていた角は淡い赤色に光り始める。
(な!?コ、コイツ…い、一体何をしようとしているの??や、やめて…やめて…イ、イヤ…イヤ、イヤ、イヤッ…)
目の前の電波仮面が一体自分に何をしようとしているのか?ヤツの額に生えていた角が淡い赤色に光っている意味は一体何なのか?-。それは今の彼女には分からない。
だが電波仮面が自分へとてつもない災いを与えようとしている事は確かだ。得体の知れない恐怖が次第に彼女の全身を支配していく。
「フフフッ…ではそろそろいくぞ?…そしてこれでおまえはもうモモレンジャーではなくなる。フフフッ、フフフフッ」
「!?そ、そんな!?や、やめて…やめて、やめて…イ、イヤ、イヤ、イヤ、イヤ…」
ビリビリビリビリ!バリバリバリバリ…!
「!?な、何っ!?あああぁ!あああああぁ!?ああああぁぁぁぁ!?」
電波仮面に側頭部を掴まれたモモがヤツへ弱々しく許しを請う中、彼女は数秒間身体に強烈なしびれを感じていた。
(!?…な、何だったの今のは?…で、でもわたし、全然何ともないわ!?コイツ、一体わたしに何したっていうの??)
だがモモはその強烈なしびれを感じた後、特に身体から問題が起きるという事はなかった。
自分が一体何をされたのかまったく分からない彼女。しかしそれがかえって恐怖におびえる女戦士に巣食う不安をより一層掻き立てていく。
「…これでよし、と。フフフッ、フフフフッ」
そう言って電波仮面はモモの頭から両手を放し、少しだけ後ろに下がっていく。
「え、え!?よ、よしって…い、一体何が…??」
「フフフッ…だからこれでおまえはもうモモレンジャーではないという事だ。今のおまえはただのハデなピンク色の“ジャージ”を着たごく普通の女に過ぎないという事だよ。なぁペギー松山、フフフッ、フフフフッ」
「な、な!?そ、そんなのウソよ!…デ、デタラメよ!そんなのデタラメに決まってるわ!」
電波仮面のその“宣告”に驚愕の表情を浮かべるモモは泡を飛ばさんばかりに興奮して反論する。
だが彼女のその態度は全身を支配するように広がっていく“不安”への裏返しでもあった。
モモにはヤツの言葉を否定する明確な根拠はない。彼女の必死の反論は単純にヤツの言葉など信じたくはない-。ただそれだけの思いからの態度だったのである。
「わ、わたしはそんなウソには絶対に騙されないわ!例えボロボロだからってわたしを…このわたしを甘く見ないでよね!」
「フフフフッ、本当にそう思うか?相変わらず物分りの悪い娘だ。…いいだろう。これからわたしがその“事実”を証明してやるよ?フフフッ、フフフフッ」
ガッ。
(!?…ぁ、う、ううぅ!?)
そう言うと電波仮面はモモの頭部へ再び両手をかけてきた。しかも今度は手をかけるだけでなく、彼女のマスクを上に引っ張り上げようとしている。すると今回は…。
スススッ、ススススッ…。
(!?えっ!?えっ、えっ、えっ!?)
何と今回はフルフェイスのヘルメットを脱がせるように、モモのマスクは電波仮面の手によって引っ張り上げられていくのだ。
(ウ、ウソ!?そ、そんな、そんな!?こ、こんな簡単に…)
ススススッ…。
これまでの苦闘のおかげですっかり青白く変色してしまっている本来は薄紅い唇。もはやそれが汗なのか涙なのかはまったく分からないが多くの“体液”でまみれている美貌-。徐々にペギーの凛々しい顔立ちがあらわになっていく。
(…こ、こんな…こんな、こんな事って…そ、そんな、そんな…!?)
ススススッ…ファサァ。
マスクの中にまとめられていた長い黒髪がそこから流れ落ちる。今、ペギーの凛々しい美貌は完全にあらわにさせられてしまったのである。
「うひょ~ねえちゃんの素顔だぜぇ!さすがは電波仮面様々だぁ!…それにしてもやっぱりかわいい顔してんじゃねぇかよぉ?キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
「そ、そんな!?あ、あんな簡単にマスクが外されるなんて……ペギー!ペギーッ!」
電波仮面がモモ、いやペギーのマスクを外す様子をやや離れた場所で見ていたナイフ仮面。うつぶせに転がされ岩石仮面に踏みつけられてしまっているミド。
歓喜に沸くナイフ仮面と哀れにも素顔を晒されてしまった女戦士へ悲しみと心配の視線を向ける緑色の戦士。それぞれ見せている反応はまったく違う。だがそれぞれに異なった衝撃を与えている事は確かのようだ。
「フッ、これがモモレンジャーのマスクか…それにしても何だ?ハデなピンク色をしたただのヘルメットじゃないか?フフフフッ」
額の部分に大きく刻まれている“4”のナンバー。そしてそのマスクの特徴にもなっている赤いハート型バイザー-。不適な笑みを浮かべる電波仮面はそう呟きながら、奪い取った薄いピンク色のマスクを軽く小突くようにコン、コンと叩いている。
「それにもうコイツには用無しだな?フフフフッ……おい!ナイフ仮面!コイツはおまえにくれてやる!…まぁ記念品にでもするんだな?フフフッ、フフフフッ」
ポイィ。
電波仮面はそう叫び、奪い取ったピンク色のマスクをナイフ仮面へ向かってぞんざいに放り投げた。
「キヒヒヒッ…こんなガラクタいらねぇよ。オレが欲しいのはムッチムチのねえちゃんのボディだけだからなぁ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
ガスッ、ガスッ、ガスッ…。
相変わらず狂気じみた事を言いながら、ナイフ仮面は電波仮面から受け取ったピンク色のマスクの赤いハート型バイザー部分を、自身の頭のナイフで何度もグサグサと突き刺している。
(ぁ、ぁぁ…わ、わたしの…わたしのマスクが…!?)
恐怖にガタガタと震えるペギーが見つめる中、マスクの赤いハート型バイザー部分がナイフ仮面によってバキバキと割られ、その破片がパリパリと飛び散っていく。
「そうか。そいつは悪かったな。じゃあそれはその辺にでも適当に捨てといてくれ。…それからわたしへの用事はもう終わりだろ?だからこの女はもうおまえに引き渡してやるよ、フフフッ、フフフフッ」
「キヒヒヒッ、そうかい!ありがとよ。相変わらずいい仕事してくれるぜぇ!…それじゃそのねえちゃんは早速オレに引き渡してもらうかなぁ?キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッ」
それからまもなくナイフ仮面が電波仮面と入れ替わるようにペギーの前へ再び現れる。
「おっと、そういや忘れてたぜぇ。こんな邪魔なガラクタはさっさと捨てちまわねえとなぁ?……おらぁ!ほうらよ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
ガスッ!…ポイィ。
狂気に満ちたナイフ仮面はそう言ってマスクのハート型バイザーの中心に手にしていたナイフを突き刺し、そのマスクをその辺へ無造作に放り投げた。
カランッ…。
(う、ううぅ!?…も、もしかしてペギーも…ペギーもこうなってしまうのかよ?…いや!そんなわけねえ!そんなわけ…)
偶然にもミドの顔の前に転がってくるモモのマスク。その真ん中に突き刺さっているナイフを見て、彼はその刃物の突き刺さったマスクをこれからのペギーの運命と重ね合わせてしまう。彼もその嫌な想像を必死に打ち消そうとはしているのだが…。
「キヒヒヒッ…うひょ~近くで見ると益々かわいい顔だねぇ。思わずベロベロ舐めまわしたくなっちまうぜぇ!キーッヒッヒッヒッヒッ」
(く、くっ!?う、ううぅ…)
醜い表情をだらしなく崩し、ペギーの整った顔立ちの前までグッと迫っていくナイフ仮面。そのヤツは右手で彼女の長い黒髪をかき上げるように持ち上げ、目の前にある凛々しい美貌を隅々まで舐めるようにじろじろと観察している。
「キヒヒヒッ…シャアアアァァァァ!!」
「!?きゃあああぁぁ!?」
バサッ。
するとヤツは突然奇声を上げ、ペギーの髪をかき上げていた右手で彼女の長い髪をバッサリと切り落としてしまった。アスファルトの地面へ無残に切り落とされる大部分の長い黒髪。
「!?そ、そんな!?ペ、ペギーの……おい!てめえ!女の髪を切りやがるなんて!」
ナイフ仮面のあまりの非道に怒りの声を上げるミド。だがそれに対するヤツの答えは…。
「キーッヒッヒッヒッヒッ…今更なーに言ってやがる、このガキァ!のこのこ戦場に出てくりゃぁ男も女もカンケーあるわけねえだろが?…なぁねえちゃん。あんたもそれは分かってんだろぉ?キーッヒッヒッヒッヒッ」
「ぐ、ぐっ!?…ぁ、あっ、ぁんっ…」
(く、くっ!?コ、コイツやってる事はムチャクチャだけど…こ、これに関してだけは…く、悔しいけどその通りだわ)
なす術なく股間を弄ばれ苦悶の表情を浮かべるペギーは、ヤツのその言葉に反論する言葉を持たなかった。
このナイフ仮面の言っている事、やっている事は確かにメチャクチャだ。しかし戦いに男も女も関係ない-。それは常日頃から彼女自身が肝に銘じていた事だったのである。
幾ら相手が忌むべき“ヘンタイ”とはいえそんな事を言われては彼女には反論する事はできない。戦場では女を捨てる事。それはペギーが日ごろから心の中で言い聞かせていた事だからである。
「おい!ナイフ仮面!…その女はもうモモレンジャーではない。その女と遊ぶ時は注意して遊ばないとすぐダメになってしまうぞ?フフフッ、フフフフッ」
「へぇ~じゃあ試してみるかねぇ?キヒヒヒッ……シャアアアァァァァ!」
「あっ!?い、いやああぁぁぁ!?」
ビリリ、ビリリリリッ!
電波仮面にそう言われたナイフ仮面は、ペギーの“強化スーツ”だった桃色のジャージに付随していたミニスカートの一部をおもむろに破り取った。先ほどまで誇っていた強度がウソのように、まるでただの布同然で破り取られていくそのミニスカート。
「へぇ~…確かにおまえの言う通りだなぁ。じゃあこのねえちゃんはもうただピンク色のハデなジャージを着ているだけってわけだ。コイツは傑作だぜぇ!天下のモモレンジャー様がただハデな格好した普通の女ってわけだからなぁ?キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
破り取ったミニスカートの一部を眺めながらそうあざけ笑うナイフ仮面。
(ぐ、ぐっ!?こ、このままじゃわたしは完全にこのヘンタイのエジキだわ。…で、でも…でも一体どうしたら……も、もうどうしようもないの?本当にこのままこんなヤツに犯されるしかないの??)
全身を支配していく恐怖と必死に戦いながら何とか打開策を探っているペギー。だが考えても考えても一向に起死回生の策は見つからない。彼女はただひたすらその美貌を引きつらせているだけだ。
「キヒヒヒッ…シャアアアァァァァ!」
「!?きゃあぁ!?」
ビシュッ!
今まで奪い取ったミニスカートの一部を眺めていたナイフ仮面。そのヤツが頭の上のナイフを手にし、突然奇声を上げてペギーにその刃物を突き刺してきた。
だがヤツのそのナイフは彼女の右脇腹をわずかにかすめただけだった。まるでリンゴの皮を少しずつ剥くように剥がされる“強化スーツ”だった桃色のジャージ。
「えっ!?な、ど、どうして…??」
「キヒヒヒッ、一気に剥いちまったらつまんねぇからなぁ。そのハデなジャージ、これからちょっとずつ剥いてってやるぜぇ!キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッ」
(ぐ、ぐぅ!?こ、このヘンタイ…わ、わたしをいたぶろうって言うの??)
だらしなく表情を崩し、恐怖と屈辱に顔を引きつらせているペギーをニタニタと見つめるナイフ仮面。
ビシュッ!
「きゃあぁ!?」
更にナイフ仮面はペギーの左脇腹を突き刺してきた。だがヤツは今回も桃色の“ジャージ”を少し剥いてきただけである。
「キヒヒヒッ…シャアアアァァァァ!」
「きゃあぁ!?」
ビシュッビシュッ!
再びヤツはその奇声と共にペギーにナイフを突き刺してきた。しかも今回も先ほどまでと同じように少しずつリンゴの皮を剥くように、だ。
(く、くっ!?…ま、また!?)
「キヒヒヒッ…シャァァ!シャアアアァァァ!」
ビシュッビシュッビシュッ!
「シャアァ!シャアァシャアァ!シャアアアァァァ!」
ビシュッ!ビシュッビシュッビシュッ!ビシュッビシュッ!
「シャアァシャアァシャアァシャアァシャアァシャアァシャアァ!シャアアアァァァァ!」
ビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッ…。
「きゃああぁ、いやああぁぁ!?」
犯ル!犯ル!犯ル!犯ル!犯ル!犯ル!犯ル!犯ッテヤル!犯ッテヤル!犯ッテヤル!犯ッテヤル!犯ッテヤルゥゥゥゥ!-。まるで一刺し一刺しにナイフ仮面の欲望が込められてるかのような刃物の嵐がペギーを襲う。
「鳴けぇ!もっと鳴けぇぇ!そのエロい声でもっと鳴きやがれぇぇ!シャアァシャアァシャアァ!シャアアアァァァァ!!」
「きゃああぁ、ああっ、あああぁ、い、いやあああああぁぁぁぁぁぁ!?」
ビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュビシュ…。
「あ~あ、始まっちまったぜ。あのキチガイがああなったらもうちょっとやそっとじゃ止まらないな。…おい。おまえの女がこれからどうなるか楽しみだな?おまえもそう思うだろ?なぁ、緑色の小僧…グフフフッ、フフフフッ、ハハハハッ、ハーッハッハッハッハッハッ」
「そ、そんな…こ、このままじゃペギーが、ペギーが……おい、やめろ!やめやがれ!やめてくれっ!もうやめてくれぇぇぇぇ!」
「シャアアアァァ!シャアアアァァァァ!…そらっ!そらっ!そらっそらぁ!キーッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッ、キーッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ」
「ああっ!?きゃああぁ!?あああぁ!?いやああああぁぁぁぁぁ!?」
ビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッビシュッ…。
甲高い奇声を叫びながらただただペギーを切り刻み続けるナイフ仮面。ひたすら上がり続ける彼女の甲高い悲鳴の中、花吹雪が舞うように飛び散っていくピンク色の生地。
哀れな女戦士、いやもはやただの“女”でしかないペギーの運命をあざけ笑う催眠仮面。しかし岩石仮面に踏みつけられてしまっているミドにはペギーが、大切な仲間がそんな状態でも救いの手を差し伸べる事はできない。
今の彼には祈るような気持ちでペギーを心配そうに見つめる事ぐらいしかできないのだ。だがそんなミドの祈りもむなしい結果に終わろうとしている。もはや彼にはペギーに残されている道は『絶望』しかないように思えていた…。
- 以下 緑の洗脳!!恐怖の黒十字戦隊 悪の必殺技へ続く -