- 最後の水着がif… 後編 -
「でも何で?…何でみんながわたしのパワーブレスを?」
「今はそんなことはどうだっていい!早くそれでオーイエローになってバラクローズへトドメを刺すんだ!樹里!」
「隊長、みんな……OK!了解したわ!」
だが、突然それを手渡されて樹里もさすがにいぶかしがる。しかし、上官である隊長の吾郎に有無を言わさず装着を薦められれば、樹里としてはそう疑うようなことでもなかったのだろう。大逆転勝利を目前にして高まっていた高揚感が、彼女から注意力を奪い取っていたのも事実だった。
しかし-。そんなことはどうだっていい-。大逆転勝利を目の前にしているからこそ、樹里としては『この言葉』にもっと注意を払っておくべきだったのかもしれない。
(かかった……やっぱりバカな女ね♪樹里)
そしてそれまでに起きていた様々な不自然な現象-。突然態度が豹変した仲間たち。バラクローズが危機に陥っても、誰一人として助けにこようとしない周囲のバーロ兵たち。そしてあまりにタイミングよく手渡された樹里のパワーブレス。
今にして思えば樹里は、これらの『不自然な現象』をもっと強く疑っておくべきだったのだろう。
だが、彼女はそれをしなかった。いや、しようともしなかった。だからそんな樹里が、背中越しに彼女を眺めていた桃に『バカな女』と心の中で罵られていても仕方なかったともいえた。
いや、そもそも『親友』に戻ったはずの桃が何故樹里を心の中で罵っているのか!?-。実は樹里が真っ先に気づくべきだったのは、桃の表情から『ヒロイン然』としたものが消え、『バラノイアの先兵』だった頃の冷淡な表情に戻っていたことだったのだ。
優れた罠というものは、仕掛けられた相手が気づきにくいようなところで静かに、地を這うように進められているものなのだから。
…ガチャン!ガチャン!
だが、樹里は受け取ったパワーブレスを何の疑いも無く装着していく。彼女の両腕へはめられていく変身アイテム!
…随分と久しぶりに感じるわ、この感触!-。両腕が久しぶりに味わう感触。それが樹里の高揚感をさらに高めていく。
「バラクローズ!よくもうら若き乙女をここまで辱めてくれたわね!絶対に許さない!!」
自身を散々に辱めたエロマシン獣を、怒りの形相で鋭く睨み付ける樹里。この時の彼女は、まさにスーパーヒロインとして得意の絶頂だったに違いない。
さらに彼女は両腕を自身の胸の前で『バッ!』と鋭く交差させ、こう叫ぶのだ。
「超力変身!」
すると樹里の長身は淡い光に包まれ、超力を身にまとった超戦士、オーイエローへと変身する-。はずだった。
「えっ!?ど、どうして!?どうして返信できないの??」
だが樹里の体には何も変わったところは見られない。そこには相変わらずの『半裸』状態のまま『返信ポーズ』の格好をしている樹里の姿があるだけだった。
そして、この時の彼女は自身の『変わらない姿』を見てうろたえている。当然だ。この時の彼女の動揺はいかばかりであったろうか。
「くっ!?も、もう一度よ!…超力変身!」
だがやはり樹里自身に何も変化は起こらない。彼女の凛とした声がむなしく響き渡るだけだった。
「ゲヘヘヘヘヘッ、どうやら変身できなくてお困りのようですなぁ、ジュ~リちゃん♪」
そこへ聞き覚えのある卑猥な声が聞こえてくる。誰であろうバラクローズだ。
(くっ、バラクローズ!?……えっ!?)
しかし樹里はそのマシン獣の姿を見て驚愕する。彼女のマーシャルアーツ仕込みの蹴りを何発も打ち込まれ、ボコボコとなっていたはずのヤツの顔から『その傷跡』が跡形もなく無くなっていたからだ。
「ギヒヒヒッ、どうした?オレの顔に何かついているのか?ん?…それよりも自分の水着を見てみたらどうなのかな樹里ちゃん♪実に楽しいことになってると思うぞ?ゲヘヘヘヘヘッ」
(くっ!?わ、わたしの水着ですって…)
そう言われて樹里は思わず自身の水着-。もはや股間と臀部のみを覆い隠している自身の黄緑のビキニを見てしまう。
「ちょっ!?な、何よこれ!?一体どうなっているの?」
そして樹里は思わず悲鳴にも似た驚愕の声を上げてしまう。何故なら樹里の身に着けている黄緑のビキニは、どういうわけか『その面積』を徐々に狭めてしまっていっているからだ!
元々肌を覆い隠していた面積が極小であった樹里のビキニ。いまやそれが覆い隠していた部分が股間と臀部しか存在しなかった黄緑のビキニ。
その元々小さかった水着の面積がさらに小さくなってしまっていっている。しかもこのビキニのパンツ部分が無くなってしまえば、樹里は『今度こそ』丸裸になってしまう。このビキニパンツは、彼女にとってまさに『最後の最後の砦』なのだ。
「ゲヘヘヘヘヘヘッ、どうして変身できないか教えてやろうか、樹里ちゃん♪今キミが受け取ったブレスはおまえらの変身するためのアイテムじゃない!それはブレスを装着している者の着ている衣服を徐々に消していくためのスイッチなのだ!」
な、なんですって!?-。バラクローズの言葉に思わず驚愕の声を上げてしまう樹里。
「しかもそれだけじゃない!そのブレスはオレの受けたダメージを回復するためのスイッチも兼ねているのだ!グヘヘヘヘヘヘヘッ」
(そ、そんな……そ、それじゃ、わたしはコイツのダメージを回復するために変身をしようとしてたっていうの!?)
全てはヤツらに仕組まれていたことだったのだ-。そのことを悟り愕然とする樹里。かすかに差しこんでいた逆転への光をまたしてもかき消され打ちのめされる樹里。
パシィッ!
「きゃっ!?」
そこへ樹里は突然足元を何者かによって払われてしまう。突如足元のバランスを崩され横倒しの状態で砂浜に倒れこむ樹里。
くっ、い、一体誰が??-。だが今の樹里がそれを追及しているような余裕はない。早く起き上がろうと両手で砂浜を掴み、起ち上がろうとしていたまさにその時だった!
ガッ!ガッ!
「あっ!?」
その時、彼女は砂浜についていた両手を何者かに掴み取られてしまうのだ。さらに樹里はそのまま両手を左右に広げられ、体をあお向けにして砂浜に押さえつけられてしまう。
ガッ!ガッ!
「ああっ!?」
しかもそれだけで樹里への拘束は終わらない。彼女は唯一自由だった両足まで何者かによって掴み取られてしまう。まさに樹里は砂浜へ『大の字』の格好で押さえつけられてしまったのだ。
「バラクローズ様、ご覧の通り二条樹里の拘束が完了しましたわ」
そこへ樹里の耳に飛び込んでくる桃の冷ややかな声。そして樹里の左手首を掴んでいたのは、その桃だったのだ。
「オレたちの芝居はどうでしたか、バラクローズ様?」
「オレたちも中々の役者でしたよね、バラクローズ様」
そして樹里の周りから次々と聞こえてくる『元仲間』たちからの冷淡な声-。樹里の右手首を掴んでいたのは昌平であり、両足を広げて掴んでいたのは裕司だった。
「確かにな。三文役者のおまえらにしちゃ上出来だったよ、ギヒヒヒヒヒッ」
その『元仲間』たちからの声にうながされるように、砂浜へ『大の字拘束』されている樹里に彼女の足元からのっしのっしと近づいてくるバラクローズ。
うっ、くっ!?-。『大の字拘束』から何とか逃れようと、ウエーブがかったセミロングの髪の毛を振り乱し懸命にもがく砂浜上の樹里。
だが『元仲間』たちによって両手両足をガッチリ押さえつけられている今の状態ではもはやどうにもならない。彼女はそのスーパーボディをじたばたと、推定Eカップの生乳房をふるふると揺れさせることぐらいしかできなかった。
「おいお前、全世界の人間どもが樹里ちゃんが丸裸になる決定的瞬間を見たがっているのだ。その模様をしっかり撮ってやれよ♪ゲヘヘヘヘヘ」
そしてそのバラクローズにうながされて、TVカメラを肩越しに構えたバーロ兵も樹里の『決定的瞬間』をカメラに収めようと近寄ってくる。
うおおおおおぉぉぉ♪-。それと共に再び湧き上がる全世界から送られてくる人間たちの大歓声。
<スゲー!ホントに樹里ちゃんのビキニがみるみる小さくなっていってるぜ♪>
<ああ!オレたちが樹里ちゃんの『アソコ』を拝めるのもまもなくだってわけだぁ!うへぇ♪>
くっ…こ、こんな…-。その下種な野次から少しでも逃れたい一心で思わず両の瞳をつぶってしまう樹里。そして人間たちからの卑猥な声は彼女の頬をみるみる朱に染め上げていく。
この戦いのさなか、樹里が人間たちの好機の視線にさらされるのはこれで何度目であろうか。彼女だってごく普通の感覚を持った人間であり、まだ22歳のうら若き乙女なのだ。これだけ苦境の連続に立たされれば、これだけ続けて辱めを受ければ、弱気の虫が湧いて出てきても全然不思議ではない。
…キッ!-。だがそこは樹里である。突然彼女は瞳をカッと見開いたかと思うとすかさずバラクローズをキッと睨みつける。
それは彼女なりに『開き直った』からなのかもしれない。もしくは、樹里が生来持っている気の強さが、これまで散々意識させられてきた恥じらいの心に打ち勝ったからなのかもしれない。いずれにしてもその精神的な強さ、気位の高さが樹里を気高い輝きを放つスーパーヒロインたらしめているのだろう。
「ほほぉ、まだそんな目をすることができるなんてさすが樹里ちゃんだねぇ♪」
そう言いつつもバラクローズの顔からは余裕の笑みが絶えない。このような状況下では樹里がいくら毅然とした態度を見せても、それは敵の嗜虐心を刺激するだけなのだろう。
……フッ-。しかし、それはどうやら樹里の方でも認識していたようだ。それまで『ヒロイン然』としていた彼女の凛とした表情が突然冷めたものとなる。そしてその冷めた表情の樹里がため息混じりにこう呟いたのだ。
「…あなたってかわいそうなマシン獣よね、バラクローズさん♪」
「な、何だと!?」
眼前に拘束している女戦士から突然かけられるあわれみの言葉。当然、己の方が絶対的優位な立場に立っていると思っているバラクローズがそれを聞いて不愉快にならないわけがない。
「だってそうでしょう?あなたはたった一人の女の子相手にこんなサイテーの作戦でもしなきゃ勝てないマシン獣なんですもの。これがかわいそうと言わないで何というのかしら?」
そう言い終わると樹里は、口元をかすかにゆるませた-。そしてこれは彼女の『最後の賭け』でもあったのだ。
バラクローズがこの挑発行為に乗ってくれれば、あわよくば-。そのような淡い期待が樹里にはあった。逆転勝利を賭け、まさに樹里が打つ『最後の最後の一手』-。
「うぬぬぬぬぬ、ゆ、許せん!オレがかわいそうなマシン獣だと!?よぉぉぉし、そこまで言うのであれば1対1で堂々と決着をつけてやろうじゃないか!」
しめた!-。バラクローズから『その言葉』を引き出せた時、樹里はそう思ったはずだ。
「…なーんてな、そんなことするわけないだろ?ジュ~リちゃん♪」
(くっ……!?)
「そもそも樹里ちゃんがこんなことを言い出すのは、オレを挑発してあわよくばその態勢から逃れようって寸法なんだろう?でもそんな子供だまし、マシン獣のオレが見破れないわけがないでしょ?そもそもキミたち人間とはここが違うのだよ、ここが♪ゲヘヘヘヘヘッ」
だが、そんな『子供だまし』が通じるほど、このマシン獣という生命体は甘くない。バラクローズは相変わらずの下卑た笑みを浮かべながら自身の頭を指さし、己を誇っている。
確かにこのバラクローズといい、一見するとマシン獣にはいかにも頭が悪そうな者が多い。
しかし、それはこのマシン獣という生命体の本質を表していない。見た目はおちゃらけているように見えても、一方では物事を恐ろしく冷静に判断できる頭脳を持つ。かつ、非人道的な行為を平然と実行することができる残忍性をも合わせ持っている-。まさに、今の樹里に対するバラクローズの行動が、マシン獣の特徴を端的に表していると言えるだろう。
もちろん、それまで長きに渡りそのマシン獣たちと戦ってきた樹里なのだから、ヤツらのそのくらいの特徴のことは知っているはずだ。
ただ、そのことを分かった上で樹里はあえてこの賭けを実行した、いやせざるを得なかった-。それほど、現在の彼女は追い詰められていたのだ。
「でも、これでま~た丸裸へ一歩近づいたよねぇ、ジュ~リちゃん♪ゲヘヘヘヘヘッ」
何にしても、樹里が打ったその『最後の賭け』も何の意味も為さなかった。
もはや『切るカード』が完全に無くなってしまった樹里。今や彼女は、死刑執行の刃(やいば)を待つ囚人も同然だ。
「どうだ、桃?樹里を押さえつけておく役目、オレが少し変わってやるよ。それにお前、どうやら何か樹里に言っておきたいことがあるんだろ?」そう言って樹里の左手を押さえつけていた桃へ近づいてきたのは吾郎だ。
「さっすが隊長!わたしの考えてることは何でもお見通しなんですね♪」
「当然だ。何たってオレはお前の隊長だからな!」そう言って胸を張る吾郎。よく考えてみればそれもおかしな話ではあるのだが。
「ん~、それじゃちょっとの間、ここは隊長に任せちゃおっかな♪」
「ああ、ここは任せとけ、桃」
「うん!だから大好きよ、た~いちょ♪」
そう言って桃は、樹里の左手を押さえつけておく役目を吾郎と交代した。そして彼女は吾郎と入れ替わる際、とびっきりの笑顔で吾郎の頬へ軽くキスをするのだった。
(も、桃……や、やっぱり元には戻ってなかったっていうの?)
その、二人の芝居がかった『愛人のような関係』を樹里は呆然と見つめているしかなかった。
同時に彼女は改めて思い知らされるのだ。桃は決して『樹里の知っている桃』に戻っていたわけではないということを。
やがて、砂浜へ『大の字拘束』をされ身動きが取れない樹里の顔を上から覗き込む桃。樹里を覗き込む桃のその表情には『冷ややかな微笑み』が浮かんでいる。
「ウフフフッ…どう、樹里?わたしの考えたこの演出は」
「……え、演出!?」
演出-。瞬間、樹里にはその言葉の意味するところが分からなかった。
「そうよ♪束の間の勝利への優越感、ちゃ~んと味わってもらえたかしら?樹里」
「し、勝利への…優越感ですって!?じ、じゃあさっきのわたしの反撃は、みんなあなたが仕組んだものだって言うの?」
「そ♪ぜーんぶわたしが考えたの、すごいでしょ?それにしても傑作だったわよぉ、樹里。あんたの得意満面なスーパーヒロインっぷり♪キャハハハハハッ!」
しかし、樹里はすぐに理解した。いや、させられたのだ。先程樹里が見せた奇跡の大反撃-。あれは全て敵、いや桃が仕組んだことだったというのだ。
「何で…一体何でそんなことしたのよ?何故あのままわたしのビキニパンツを剥ぎ取らなかったのよ?」
それは樹里にしてみれば当然の疑問だった。しかし、問われた桃はその質問に実にあっけらかんと答える。
「何で?う~ん、そうねぇ……ま、あのままあんたを丸裸に剥いちゃってもつまんないって思ったからかな?」
「つ、つまんない…」
「そ♪それにさ、思いついちゃったから。ムカツクあんたに最大限の辱めと絶望感を与えてやる方法をね」
「思いついちゃった……ですって!」
桃の人を小バカにしたようなその態度。まるでたわいもない雑談をするかのように言葉をつむいでいく桃。それを見て、樹里の体は徐々にわなわなとふるえていく。
「だから、わたしはみんなとバラクローズ様に提案してみたのよ。『こんなことして樹里でさらに遊んでみたらどう?』って」
「わたしで…遊ぶ…って!」
桃の説明を聞いている樹里の表情が徐々に真っ赤に蒸気していく。と同時に彼女の発する言葉が徐々に怒気を帯びていく。
「あ、そうそう♪わたしたち、メタリックウェーブを浴びた人間は、頭の中で考えていることを他のメタリックウェーブを浴びた人間、それにバラクローズ様と瞬時に共有できるのよ♪すごいでしょ?」
なおも、今回樹里に仕掛けた『彼女と遊ぶためのカラクリ』の説明を得意げに語っている桃。
「それにさ、TV的にはやっぱワクワクドキドキする演出って欠かせないじゃない?『今まさに丸裸に剥かれようとしているスーパーヒロイン樹里!…だがそこで思わぬ形で大逆転勝利のチャンスが転がり込む!しかぁぁし!またまた展開は大逆転!やっぱり丸裸に剥かれてしまう運命のスーパーヒロイン樹里ちゃん♪』ってさ。どう?わたしって演出家の才能、あると思わない?ん?どう、樹里?」
今回、桃が描いた脚本の概要-。それを得意満面の表情で、眼下の樹里へ語り、樹里の顔を覗き込んでいる桃。
「あ、そうそう。それから最後にあんたの脚を払って転ばせてやったのはこのわ・た・し♪…あれぇ?何よ樹里、その顔は?もしかして怒ってるわけ?」
しかし桃に顔を覗かれていた樹里が、その桃に対して何かを言うことはなかった。彼女はただ、鋭い視線で桃を睨み付けているだけだったのだから。もちろん、その表情は怒りに満ちている。
「当たり前でしょ桃!あんた、わたしを一体何だと思ってるのよ!!?」
そして、樹里の溜まっていた怒りがついに爆発した!彼女は口角泡を飛ばさんばかりに、烈火のごとく桃へその怒りをぶつけ始めたのだ!
「何って……決まってるじゃない。おもちゃよ、お・も・ちゃ♪わたしが楽しく遊ぶためのおもちゃよ」
だが、そんな樹里を目の当たりにしても、相変わらず涼しげな表情の桃。
「お、おもちゃ……ですって!!桃!あんたとうとうそこまで落ちてし…」
パン!
「あぅ!?」
しかしどうやらそれは『表面的』なものでしかなかったようだ。怒りに任せた桃の平手打ちが、強烈な右の平手が樹里の左ほおへ炸裂する!
「何ナマ言ってんだよ樹里?あぁん?あんた、今の自分の置かれている立場が分かってそんなことほざいているわけ?」
そう言いながら、桃はあお向けに拘束されていた樹里の首根っこを左手で掴んで『グイィ』と引っ張り上げる。一方の右手は相変わらず、いつでも平手打ちが打てる構えだ。
…キッ!-。だが、それでも樹里は全くひるむ様子を見せない。まさに『ヒロイン然』とした態度で桃を鋭い視線で睨み付けている。
パン!
「あぅ!?」
パン!パン!
「あぁぁ!?」
しかし今の樹里にはもはや自身が『スーパーヒロイン』たる証を証明するための力がない。そんな彼女が今更毅然とした態度を見せても、それはただ敵である桃の怒りを買うだけでしかないのだ。
パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン…
百烈びんた!-。まさにそう言えるような、桃の平手打ちの嵐が、整った樹里の顔立ちへ襲い掛かる!
パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン…
左右に跳ねる樹里の顔。それに合わせて乱れ揺れ動くウエーブがかったセミロングヘアー。桃が平手打ちを炸裂させる度に赤く腫れ上がっていく樹里の頬。その凄まじさは平手打ちを食らい続けている樹里が悲鳴を上げることすらできないほどだった。
一方、樹里の顔面をはたき続けている桃-。その桃の表情には先程まで見せていた、樹里を小バカにしていた際に見せていたような無邪気な子供っぽさはもう見られない。
そこに浮かぶ表情は冷たくもただ無表情-。その表情には彼女が本来持っているはずの、女性らしいかわいらしさやヒロインとしての凛々しさといったものは全く見受けられない。まさに淡々と、眼下の樹里へ黙々と平手打ちを食らわせ続けている桃。
「はぁ、はぁ、はぁ…」「
樹里へ数十発の平手打ちを食らわせ、さすがに桃も打ちつかれたのかその手を止めた。そして桃は眼科の樹里を改めて見下ろし覗き込む。
「う、ううぅ……」
一方、桃からの平手打ちを延々と食らい続けてしまった樹里。普段は整ったその美しい顔立ちも、いまや見る影もない。
延々と平手打ちを食らい続けたその両の頬は、まるでおたふく風を患った子供のように赤く腫れ上がっている。また、口の中を切ったのか、彼女の唇には赤い血がにじんでいた。
そしてその表情は苦痛に満ち、ついには痛みに耐えかね潤ませていた瞳から一筋の光るものが-。無理もない。あれだけの数の平手打ちを打ち続けられたのだから。
「フン!おもちゃのクセにムカツク態度を取るからこういう目に遭うんだよ!さすがに思い知ったわよね、樹里?」
……キッ!-。しかし、それが樹里からの答えだった。
そして、数十発の平手打ちを食らわせ、勝ち誇っている桃を睨み付ける樹里の眼光は、まだ光を失っていない。例えその顔は醜く腫れ上がっていても、まだ彼女は凛々しくも美しいスーパーヒロインなのだ。
…ムッ!-。しかし、スーパーヒロインとしては光り輝いて見えるその樹里の表情も、目の前の桃にとってはただの醜く腫れ上がった顔でしかない。樹里のその腫れ上がった顔は『火に油』を注ぐような結果しかもたらさないのだ。
「…あんたってホンットにムカツク女だわ、樹里!まだ痛い目に遭いたいわけ?」
あれだけ痛めつけてもなお、鋭い眼光を向けてくる樹里。その表情は、ゴキゲンナナメな桃をさらに不機嫌にするには十分すぎるものだった。
「いいわ!お望みなら遭わせてあげる!あんたのそのムカツク顔、ボロゴロにぶっ壊れるまで叩き続けてやるから!」
そう言いながら、いや叫びながら再び右手を振り上げる桃!
それを見て思わず身構えてしまう樹里-。…!-。そして彼女は、振り下ろされる桃の右手にたまらず目をつぶってしまう。
「おい止めろ、オーピンク!もうそのくらいにしておけ。まだ樹里ちゃんにはやってもらいたいことがあるんだからよ。お前にこのまま壊させるわけにはいかんのだ」
しかし助け舟は思わぬところから入った。何とバラクローズからだ。
「おお、そうだ!オーレッド、お前樹里ちゃんを押さえつけておく役目、オーピンクと代われ。これでかっかしたオーピンクの頭も少しは冷えるだろ」
「はっ、バラクローズ様。…そういうことだ、桃。お前、オレと代われ。そして少し頭を冷やすんだ」
「え~…ってま、仕方ないか。偉大なバラクローズ様と大好きな隊長のご命令だもんね。それじゃ隊長、タ~ッチ♪」
そう言って桃は先程まで樹里へ見せていた『冷たい表情』がウソのような人なつっこい笑顔で、樹里の右手を抑える役目を吾郎と後退した。
<うおおおおおおおおぉぉぉ♪>
(えっ!?な、何、この歓声は…?)
その時突如として視聴者である人間たちから湧き上がる大歓声。当然その突然上がった歓声は樹里の耳にも届いている。
<うおおおおぉぉぉ♪いよいよ樹里ちゃんのアソコ、この目に拝むことができそうだぜぇぇぇぇ♪>
(くっ……そういうこと!?)
突如として上がった大歓声-。ただ、それは何のことはない。どうやらもうすぐ樹里のオールヌードが拝めそうだから上がった、邪な視聴者たちからの歓喜の大歓声だったのだ。
樹里が桃から平手打ちを食らい続けていた間-。その間、彼女の股間をわずかばかり覆い隠していたビキニパンツは、気がつけばその『面積』をさらに小さくしてしまっていた。
樹里が身に着けていた黄緑色のビキニパンツ。『バラノイアが仕掛けた罠』によって徐々に浸食していくそのビキニパンツは、腰の側面-。腰と足の付け根あたりを覆い隠していた布地はすっかり無くなってしまい、いまやその黄緑の布地は樹里の股間-。彼女の大事な場所、そこを護る陰毛をかろうじて覆い隠すだけになってしまっている。
もはや少し強い風にさらされれば吹き飛んでしまいそうな樹里のビキニパンツ-。だった黄緑色の布地。それはまさに風前の灯と言えるような状態だ。
ヒュウウウウウゥゥゥゥ!
だがそこへタイミング良く-。樹里にとっては最悪のタイミングで-。砂浜一体を強い風が襲ったのだ!…それはすなわち
<うおおおおぉぉぉぉ♪じ、樹里ちゃんのアソコが、アソコがぁぁぁぁ♪>
さらに大きくなる視聴者からの大歓声。突如砂浜に吹き荒れた強風は、当然のように樹里の『大事な場所』をかろうじて隠していた黄緑の布地をさらっていってしまったのだ。
「ギヒヒヒッ、こんな形で丸裸になっちまうなんてほとほとツイてないねぇ、樹里ちゃん♪」
(くぅ…!?)
ついに『丸裸』となってしまった樹里を、このような『不幸な事故』で丸裸となってしまった樹里をあわれむバラクローズ。
だが-。ヤツが知らなかったわけがないのだ。砂浜へ大の字に抑えつけられていた樹里から数十メートル離れた場所に、強力な送風機を持っていた一人のバーロ兵がいたことを。
「おいお前、せっかく『運命の神様』が樹里ちゃんを丸裸にしてくださったのだ。このスーパーなボデーを視聴者にしっかり届けてやれよ♪グヘヘヘヘッ」
しかしそこはマシン獣のバラクローズである。ヤツはそんなことなど無かったかのようにふるまい、傍らでtvカメラを構えていたバーロ兵へ向かって『ありのままの樹里』をしっかりとカメラへ収めるようにうながす。
<うおおおおぉぉぉぉ♪す、すげえええぇぇぇ♪>
やがて、そのカメラを構えたバーロ兵のレンズが『ありのままの樹里』へ向けられる。
まずカメラは樹里の長い脚を捕らえる。173センチメートルという長身を誇る樹里は当然脚も長い。その長い脚の股下の長さは、ゆうに90センチメートルを超え、1メートルに迫ろうとするものだった。
<うおおおおぉぉぉ♪樹里ちゃんのアソコ、もう濡れ濡れじゃん♪>
そしてカメラは樹里の『大事な場所』を捕らえて一度止まった。まるで『樹里ちゃんの大事なアソコをたーんとご堪能あれ♪』と言わんばかりに。
樹里の大事な場所を護っている黒い陰毛。その黒い毛にはいやらしい液体がぬめぬめと光っている。
さらにカメラは樹里の体をなめるように彼女の上半身へ-。まずカメラは樹里の腹部を捕らえる。その引き締まったお腹、よく鍛えられている腹筋。
<うおおおおぉぉぉぉ♪や、やっぱ樹里ちゃんのおっぱいはいつ見てもたまんねぇぇぇ>
そしてカメラは樹里の胸元-。既にあらわになっていた乳房、推定eカップの乳房を捕らえ、またその動きを止めたのだ。まるで『どうぞゆっくりご鑑賞ください♪』と言わんばかりに。
<うわ……樹里ちゃんのお顔がボッコボコだよ。…でもあんな樹里ちゃんのおたふく顔も何かかわいいかも♪萌え~♪>
やがてカメラは樹里の顔-。桃に平手打ちを食らい続け、真っ赤に腫れあがってしまった顔へと向けられる。
本来、顔立ちも整い美しかったその美貌の面影は既にない。あるのは醜く真っ赤に腫れあがってしまっているおたふく顔の女の顔。醜く膨れ上がった瞼の奥で涙目を光らせている女の顔だけだった。
<うひょ~、こうして見るとやっぱ樹里ちゃんってスタイル超いいわ♪やっぱ樹里ちゃん、軍人なんか辞めてモデルやグラビアアイドルになった方がよくね?>
最後に、バーロ兵が持っていたカメラのアングルは『グイィ』と思いっきり引いて樹里の全体像を映し出す。そこには普段はU.A.O.Hの制服で覆い隠されているスーパーボディが、まぎれもなく『ありのまま』の樹里の姿が映し出されていた。
長い脚。くびれたウエスト。引き締まった腹筋。それでいて決して筋肉質一辺倒ではない女性らしい柔らかさを残していたその体-。そこにはまさしく『ありのままの二条樹里』の姿があった。ただし「首から下は」という条件付きではあったが。
<うおおおおおぉ♪>
<うへぇ♪これだけスゲーオカズ、しかもこんなに堂々と滅多に拝むことなんかできねーよ!>
<おい誰か!これ早く録画しろよ録画!こんなスゲーシーン、そうそう拝めるもんでもねーんだからな♪>
(う、ううぅ……み、みんな…どうして…どうして…)
次々と寄せられる視聴者からの卑猥なコメントの数々に顔を赤らめ、その表情をゆがませる樹里。
樹里が攻勢に出ていた時は普通に彼女に声援を送っていた声が全体の7割はあったはずだ。それが今やほぼゼロと言ってもいい。
(みんな…みんな…本当に…本当にこれでいいの?わたしたちオーレンジャーがコイツらに、バラノイアに負けてしまったら…地球は機械に征服されてしまうかもしれないのよ!)
この視聴者=人間たちの変わり身の速さ、うつろいやすい人の心。今の樹里には、これら人間の『醜い部分』を軽く受け流せるような『心のゆとり』はもはやない。
その人間たちの欲望は残酷なほど傷ついた樹里の心をえぐっていく。確かに彼女の体には一切傷がついていないのかもしれない。
(ううぅ…み、みんな…人間のみんな!)
だがそれだけに、樹里の心には『人間不信』という傷が確実に蓄積されていっているのだ。今や醜く腫れあがっている樹里の顔よりも、さらに醜悪な人間たちの欲望の言霊という名の刃物で。
「み、みんなっ!!」
その時、突如樹里がカメラに向かって、視聴者=人間たちに向かって大声で叫び出したのだ。まるで何かを訴えるように。
「みんな聞いて!みんな本当にこれでいいの?わたしたちが、オーレンジャーがここで全滅してしまったら地球は、わたしたちの地球は明日にもバラノイアのものになってしまうかもしれないのよ!」
それまで相当鬱屈としていたものが溜まっていたのだろう。突然堰を切ったように思いの丈を人間たちへぶつけ始める樹里。
「今はみんなこれでいいのかもしれないわね。みんな、わたしの裸を観て愉しんでいるみたいだから……」
そう寂しそうに、どこか伏せ目がちに人間たちへ語る樹里。
「でもそれでいいの?みんなもっと考えて!みんな、わたしたちにはみんなの力が必要なの!みんなの応援が必要なのよ!」
だが、そこで樹里はまた視線を上げ、カメラの向こうにいる人間たちへ向かい、大きな声を張り上げ必死に自分の主張を訴える。
凛としたその声。鬼気迫るその表情-。それはまさに『スーパーヒロインとして』の樹里の気高さを表しているものであり、先程まで聞えていた人間たちの卑猥な野次も彼女のその迫力に圧倒されてしまったのか、いつの間にか聞えなくなってしまった。
「みんなお願い!目を醒まして!みんな、わたしはこのままどうなってしまっても構わないわ!でも聞いて!コイツらは、バラノイアはわたしたち人間の敵なのよ!わたしたち人間を侵略しようとしているのよ!」
まさにスーパーヒロインとして面目躍如の樹里。その彼女の鬼気迫る迫力、気高さ、神々しさに視聴者=人間たちも思わず聞き入ってしまう。
「わたしはこのままここで犯されてしまっても構わないわ!みんながそれを愉しんでもそれはそれでいいと思う……」
また、寂しげな口調で伏せ目がちになる樹里。だがそれはもちろん、ここからカッと目を見開いて言いたいことを強調するための布石だ。
「でもみんな!だからといってバラノイアと、コイツら侵略者と戦う気持ちまで忘れなんぶっ!?」
しかしそこで思わぬ妨害が!-。樹里の顔の左側から気配を殺して近づいていた吾郎が、彼女の唇をスッと奪い取ってきたのだ。まるで、樹里の大演説を邪魔するかのように!
「んっ!?んんううううぅ!?」
しかもそれだけじゃない。吾郎の左手が既にあらわになっていた樹里の左乳房へ伸び、むんずと鷲掴みにしてきたのだ。
「ううぅ!?ううううううぅ!?」
さらに鷲掴みにした樹里の左乳房をグリグリと、ドーナツ状に愛撫し始める吾郎。それに伴って、彼女の『大事な場所』からはトロトロといやらしい液体が。
だがそれも無理もないのだろう。樹里の両胸は既に媚薬まみれ、その上このように性感を刺激されては…。
「ぷはーっ……分かったか、樹里。少しは黙ってろ!」
やがて、樹里を接吻から解放してやる吾郎。その表情はやはり先程の桃と同じように、どこか冷ややかだ。
「ケホッ、ケホッ……ううぅ……た、隊長…」
突然、吾郎に唇を奪い取られ、その吾郎を涙目で見つめている樹里。
だがその瞳に浮かぶ涙は、単に接吻を強要されたことからくる恐怖、怯えの類といったものだけでもなかったのだろう。憐れみの視線-。一言でいえば、彼女のその『涙目』にはそのような意味が多分に含まれていたに違いない。
「何だ樹里、その目は?お前は自分が例えこのまま犯されてしまってもよかったんじゃないのか?だからオレが手始めにお前を試食してやったんだろ?」
しかしそのような視線、今の吾郎が意に介するわけがない。己の暴虐を正当化するかのように、彼は『尋常ならざる暴言』を平然と言ってのける。
「…た、隊長…み、みんな……みんなしっかりして!お願いだから目を醒まして!みんなホントにどうしちゃったの!わたしたちオーレンジャーでしょう!」
それでもなお、樹里はあきらめきれない。これだけの思いをさせられても、これだけ身も心もズタズタに切り裂かれても、これだけ裏切られ続けても、樹里は必死に『元仲間』たちの説得を試みている。
何故なら、戦うための全ての武器を失ってしまった今の樹里には、もはや『仲間』たちを信じ抜くことしか残されていないのだから。
「こんなに…こんなに簡単に正義の心を捨ててしまってもいいの?捨ててしまえるものなの?みんなお願いだから思いだして!オーレンジャーとしての誇りを、正義を愛するあぁん!?」
「…ご立派な大演説はもうそれくらいにしてもらえないかなぁ、樹里ちゃん?ゲヘヘヘヘヘッ」
だが、結局はそれも報われることはない。樹里の必死の説得は、その時突然襲ってきた、彼女の『アソコ』への違和感によって妨げられてしまったからだ。
(くっ!?な、何なの、今の感覚は…)
突如襲ってきた股間への違和感。それを確認するため、樹里が必死に己の股間方向へ視線を向けていくと…
「な、ななな何よあれ!?」
その際樹里は思わず悲鳴を上げてしまう。そこで彼女は『想像を絶するモノ』を見てしまったからだ。
「ギヒヒヒッ…どうしたのかな?樹里ちゃん♪さてはオレの『イチモツ』を目の当たりにしてさぞ驚いているのかな?ゲヘヘヘヘヘッ」
まさにバラクローズの言うとおり、その時の樹里はヤツの股間に鎮座「していたはず」のイチモツを目の当たりにして悲鳴を上げていたのだ。
ただし、それは彼女が知っている『それ』とはとても言えない代物だった。
樹里が見たものは、バラクローズの股間に鎮座していたはずの『それ』がニュルニュルと伸び、まるで『象の長い鼻』のように変化していた光景だった。それは恐らく、バラクローズの『それ』が勃起をし、さらにそのような姿にまで形を変えていたものと想像される。
しかし、樹里にとってそんなことはもはやどうでもいいことなのかもしれない。その『象のようなイチモツ』が樹里のアソコを、彼女の大事な花園を狙っていることだけは間違いないのだから。
裕司によって大きく、股を開かさせられていた樹里の長い両脚。そのちょうど中間に立ち、眼下にいる『ありのままの樹里』を見下ろし眺めているバラクローズ。
象の鼻のようにニョロニョロと勃起?していたヤツのイチモツは、まさにそんな状態から樹里のアソコを、大事な花園を狙っていたのだ。
「ギヒヒヒヒッ…では樹里ちゃん♪そろそろオレの『コイツ』を食べてもらってオレのモノになってもらおうかな?あ、そうそう。オレのコイツを食べたら樹里ちゃんはきっとまともにしゃべれなくなると思うぞ。そうなる前に何か最後に言わせてやろうか?ま、この世への『辞世の句』みたいなもんだな、ゲヘヘヘヘヘヘヘッ」
そう言いながらも、バラクローズの象の鼻のようなイチモツは、先程から樹里の『アソコ』を執拗に品定めしている。もはや、樹里の貞操は風前の灯といっていい。
(ううぅ……も、もうダメなの?もう打つ手は本当にないの?もう本当にどうしようもないというの?)
だが、そのことは樹里自身が何よりも分かっていたのだろう。いよいよその瞬間が近づいているのが分かると、さすがに彼女のその表情に絶望の色が広がっていく。
(でも…例えこの身は破れてしまっても心までは絶対に負けない!最後の最後の瞬間まで、バラノイアにはそれを見せつけてやるんだから!)
しかし、二条樹里は精神的にも本当に強い女性だ。…キッ!-。この期に及んでも、樹里にはまだバラクローズを、憎きマシン帝国のマシン獣を鋭く睨みつける精神力が残っていたのだから。
もはやこれまで-。と樹里も自身の最期を悟ったのだろう。だからこそ、彼女は気高く、誇り高く最期を迎えようとしていたのかもしれない。自身が正義のために戦ってきた戦士であった足跡を、気高きスーパーヒロインであった痕跡を残すために。
「 バラクローズ!!」
その時、バラクローズをキッと睨みつけていた樹里から轟く絶叫!
「例えこのままこの身を犯されてしまっても、わたしは心までおまえたちに屈したりしない!絶対に負けない!おまえたちなんかに負けてたまるもんあぁん!?」
「ハーイ、樹里ちゃ~ん♪お得意の演説をぶつのはそれくらいにしましょうねぇ~ギヒヒヒヒヒッ」
まさに『辞世の句』になろうとしていた、樹里の『最後の力』を振り絞った大演説-。しかし、それも結局最後まで樹里がつむぐことはかなわない。バラクローズの股間から『象の鼻』のように伸びていたイチモツがついに、ついに樹里のアソコを、樹里の花園へ侵入を!
「あっ、あぁん!?わ、わた…しはあっ、あっ、あっ…ま、負けな…」
「ゲヘヘヘヘッ、さすがに頑張るねぇ樹里ちゃん?それじゃ『トドメ』といきますかな、グヒヒヒヒヒッ」
ついに、ついにバラクローズの『侵入』を許してしまった樹里!
「ほーれ、ヨガリエキス!ちゅ~にゅ♪」
ドピュッ、ドピュピュピュピュピュ!
「あっ、あぁん…い、一体何あぁん!?あっ、あっ、あっ、あぁん、あぁん、あああぁぁぁん!?」
だが彼女にとってはこれからが本当の地獄、いや痴獄の始まりだったのかもしれない。
バラクローズの合図と共に、ヤツの『象の鼻』を通して、まるでポンプのように樹里の体内へ流し込まれていく奇妙な液体。
「あっ、あっ、あっ、あっぁ、ぁ、ぁ、ぁぁぁぁああああんん!?」
すると、既に艶っぽくなっていた樹里の息使いがさらに荒く、荒くなっていく!まるで何か妖しいクスリを膣を通して投入されたかのように。
「ゲヘヘヘヘッ、オレの『ヨガリエキス』は通常の媚薬の数十倍の効果はあるからねぇ。もう樹里ちゃんはまともに会話することすらできないよん♪」
「あっあっあっぁぁぁぁあああ、あ、ああ、あああぁぁぁん!!」
まさにその通りだった。そのウェーブがかった長髪を振り乱し、そのスーパーボディを揺らし、全身の毛孔という毛穴から脂汗を噴き出してひたすら喘ぎ、もだえ苦しんでいる樹里。
「ギヘヘヘッ、それでも頑張ってる方だよん。さっすが樹里ちゃんだねぇ♪……よぉーし、もう一発いきますか♪ヨガリエキス!ちゅ~にゅ~」
ドピュッ、ドピュピュピュピュピュ!
「あっあっぁぁぁ、ああぁぁ!?あああああぁぁぁぁ!!」
そして、そしてついに-。そのスーパーボディを勢いよく弓なりに震わせ、直後、樹里の肢体はぐったりと砂浜へ果ててしまった。
「ぁ……ぁ……ぁ……」
顔を横にぐったりとさせ、力無く果ててしまっている樹里。意識こそ完全に失っているわけではないが、もはや戦闘不能なのは明らかだ。それどころかもう人間として再起不能であるかもしれない。
「オラ樹里、何とっととくたばってるんだ?まだおまえにはやってもらいたいことがあるんだぜ?」
それでも、樹里への凌辱痴獄はまだ終わらない。いや、終わる気配すら見せない!
お次は吾郎が樹里の体へ馬乗りになってきたのだ。そして彼は、既にぐったりと果てている樹里を呼び起こそうと、彼女の顔をペシペシとはたいている。
だが、もはや樹里は会話のできるような状態ではないのだ。少なくとも並みの精神力の人間であれば-。
「ぁ…ぅ、ぅ……た……たい…ち…ょ……?」
しかし誰もがそう思っていた刹那だった。驚くべきことに、とても『人とのコミュニケーション』などできるわけがないと思われていた樹里が、吾郎の呼びかけに反応したのだから世の中は分からない。
だが、一方でそれは必然だったのかもしれない。何故なら、樹里は並の人間ではないからだ。古代の未知のエネルギー『超力』をその身に宿す超戦士、オーイエローなのだから。
「よぉし樹里、次はオレの番だぞ!オラ、とっととオレの『ムスコ』を咥えろ!」
「ぁ……ぁ……ぃ…ゃ……」
「あぁん嫌だと?そんなことが今のおまえに許されると思ってんのか?オラ!さっさと咥えろ!」
ゴボッ!
「んぐっ!?んんんんんん!?」
それでもそのことが『いいこと』であるとは必ずしも限らない。むしろ、この場合の樹里には明らかに悪い方へ出てしまった。
マシン獣どころか、元仲間の』ムスコ』まで食べさせられ、さらなる痴獄へ堕ちていく樹里。
「いいよなぁ隊長……次はオレにも樹里へ咥えさせてくださいよ」
「何言ってんだ昌平?次はオレがムスコを樹里へ咥えさせる番に決まってんだろ?」
しかも『その痴獄』には続きがある。少なくともあと最低二人、樹里には『痴獄のお仕事』が待っているらしい。
「ったく…昌平も裕司もそんなのどっちだっていいじゃない!…それにしても隊長も含めて『オトコ』って物好きが多いわよねぇ、そんな樹里みたいなクソ女にフェラしてもらいたいんだからさ、ウフフフフッ♪」
そして同姓の桃は、我先にと樹里へ群がる男たちを冷ややかに眺めている。しかし、その表情はどこか楽しそうでもあった。
「んぐっ、んぐんぐ、んんんんんん!?」
「ギヒヒヒヒッ、おいおまえ。樹里ちゃんのこの痴態、全世界へ向けてしっかり届けてやれよ。そして仲間たちから犯されるこの樹里ちゃんの様子こそが、我がバラノイアの完全勝利を宣言するようなものなんだからな、ギャハハハハハハハハハハハッ!」
さらに高らかに響き渡るバラクローズのバカ笑い-。それはすなわち、バラノイアがオーレンジャーへ完全なる勝利をしたことを意味している。
そしてその勝利宣言は形を変え、オーレンジャーの女性隊員、樹里への凌辱痴獄として、バーロ兵が構えるTVカメラを通して全世界の人間たちへ届けられるのであった…。
-本編 完-