- 真夏の夜の悪い夢 後編 -
…十数分後、あきらはこの間絶え間なくデリンジャーのなぐさみものにされていた。彼女の上半身を覆い隠していたピンクの上着は見る影もなく引きちぎられ素肌が完全に露になっている。
水泳やテニスで鍛えているためか、露になった彼女の身体は見た目よりずっと筋肉質で特に腹筋周りはかなり引き締まっていた。
だが腰のくびれはしっかりあるし、デリンジャーの言う通り胸の方もそれなりの大きさと形を誇っていた。
それまでの性感への責めで彼女の股間はぐっしょり濡れ、その下には愛液の水たまりが出来ている。本人の意識の上では抗っていてもどうやら身体が反応してしまうのはどうしようもないらしい。
「…そろそろいくか、へへへへっ」
散々あきらの身体を愉しんだデリンジャーはおもむろに履いていたズボンを、パンツを脱ぎ生まれたままの下半身を露にする。
ゴクッ。緊張から生唾を飲み込んで身構えるあきら。
(イヤだ、それだけは絶対に…うっ、くっ…ぐ、ぐっ)
彼女もこれから彼が自分にしようとしていたことは分かっていたし、それを手をこまねいて松つもりもなかった。だが幾らもがいても全身を拘束しているピアノ線の緊縛から逃れることはできない。
やがてデリンジャーはあきらのミニスカートの中に手を突っ込み、彼女の下着に手を掛けると一気にそれを引きちぎる。
ビリリッ。あきらの股間を覆っていた薄い桃色の下着が破られ彼女の陰毛が露になる。それが隠していた秘部からは愛液がしたたり落ちている。
「きゃあぁ…ぐ、ぐっ」
そしてデリンジャーは自分の獲物に手を掛ける。それを手に自身の体をあきらの股間に近づけていく。
「や、やめて…もう…やめ…てっ」
しかしデリンジャーがそんなあきらの哀願に応えるわけもなく、無常にも彼のそれは彼女に徐々に迫ってくる。あきらの股間からは十分すぎるほどの愛液が流れ出していた。
そしてデリンジャーのものはあきらの秘部へすっぽりと収まっていく。
「ああぁ、ああああぁ、ああああああぁぁぁ!!」
森全体に響き渡るような叫び声を上げるあきら。それは今までの“喘ぎ声”とは明らかに違うものだった。
(こ、こんな…こんな事って…いやっ、いやあぁ)
耐え難い屈辱感が彼女を襲う。なす術もなくいいようにされてしまう自分…あきらの瞳からはとめどなく悔し涙があふれ出てきていた。
だが一方で彼女は反撃の機会を懸命に窺っている。身体は好きなように弄ばれてもあきらの心はまだ屈してはいなかった。戦士としての、デンジマンとしての誇りと使命感がギリギリの所で彼女を支えている。
デリンジャーは夢中で腰を振っている。あきらは苦痛と抗えない快感で身体をもだえさせていた。
「う…へへっ、いよいよだな…いくぜ、いくぜっ、くククッ、ククククククッ」
先程までの“紳士”とは程遠い態度のデリンジャー。どうやらこれが彼の本性のようだ。
「うああぁ…ああああぁぁぁ!」
悲痛な声を上げ続けているあきら。そんな中でも彼女は懸命に身体を動かし続けている。あきらの肢体を愉しむ事に集中してるためか、デリンジャーの術が少しずつ解けてきていた。
あきらを緊縛しているピアノ線が徐々にゆるんできている。尚も手足を動かし続けている彼女。動かす手首がピアノ線と擦り切れそのたびに彼女に激痛が走る。
その痛みを耐え必死で身体をもがいていたあきら。その甲斐あってかついにあきらの手足に絡んでいたピアノ線から完全に開放された。
「やああ!」
「ぐふぅっ」
緊縛から完全に自由を取り戻したあきらの膝蹴りがデリンジャーのみぞ落ちに食い込む。その流れでボディブローを2、3発浴びせていく彼女。
あきらへと解き放つつもりだった白濁液を撒き散らしながら後ろへのけぞるデリンジャー。
(お、おのれぇ~…)
更にあきらは右のハイキックをデリンジャーの顔面にお見舞いしようとする。
「やあああっ!!」
ガシッ。だがあきらの渾身のその蹴りはデリンジャーの左手によって受け止められてしまった。
「あっ…く、くぅ」
「このアマァ…まだそんな事をする気力が残っていたとはな…気が強いのはいいが、はねっかえりすぎるのも困りもんなんだよっ、くぉらぁっ」
ガッ。デリンジャーの右手は肌が剥き出しになったあきらの左肩を掴み、そのまま彼女を地面に押し倒していく。
「あっ…き、きゃあああぁぁぁ!…あうっ」
背中からあお向けに転がされるあきら。そんな彼女にデリンジャーはすかさず馬乗りになり左手であきらの右胸を鷲掴みにする。
「あっ、あん…くっ、このぉ」
だがあきらも黙ってはいない。自由を取り戻した右手でデリンジャーの顔面を思いっきり張る。
パシッィ。乾いた音と共にデリンジャーの顔を張るあきら。だが彼女に張られても彼はビクともしない。それどころか転がるあきらの顔を見てニヤリと笑っている。
「えっ?…な、何で?」
「フフフッ、さっき貴様の唇を奪った時に口元についていた血を採っておいてよかったよ…二度とあんな奇跡は起きないからな、桃井あきら、いやデンジピンクよ、ククククッ」
(くっ…また自律神経を奪われたっていうの?…そんな…)
「そういうことだ…だからまたさっきの続きをやらせてもらう、先程は思わぬ抵抗をされてしまったからな、ククククッ」
そう言うとデリンジャーは再び自分のものに手をかけ、それを手にあきらの股間に近づいていく。
くっ…バシッバシッ…あきらも両手で必死にデリンジャーの顔を殴りつける。だが彼は平然としていた。デリンジャーには蚊にさされたほどの痛みも感じていなかったようだ。
「クククッ、ムダだよ…それにしてもデンジピンクも遂にオレのものだ…正義のヒロインが悪者に犯されるというのはどういう気分かね?クククッ、ククククククッ」
(ぐっ…も、もうダメなの?何か手はないの?もうどうしようもないの?)
そしてデリンジャーのものが再びあきらの秘部へとはまっていく。彼女は何も抵抗することができない。
「へへっ、いいぜ、いいぜぇ…今度こそ貴様の“女”を奪ってやるよ、クククッ、ククククククッ」
「ああぁ、ああああぁ…ああああぁぁぁぁ!!」
(ああ…や、やられる…ダ、ダメ、やめてっ、やめてぇぇぇ)
今までどんな苦境にも屈することがなかったあきらの精神が遂に音を立てて崩れていく。
放心状態の彼女。無造作に開いた半開きの口元からはだらしなく涎をたらしている。
照点の定まってない、あきらの虚ろな瞳の中に暗い森の深緑が写っていた…。
***********
「う、うううっ…ううううん…!はっ」
ガバッ!うなされていたあきらが眠りから覚め身体を起こす。
「はぁ、はぁ…」(こ、ここは…わたしの…へ…や?今のはただの…夢?)
全身にびっしょり汗をかいて、激しく肩で呼吸をしているあきら。ふぅ…彼女は大きく一つ息をはき気持ちを落ちつかせようとしている。
(それにしても今の夢はなんだったの?それに夢にしては妙にリアリティがあったわ…!はっ)
そんな事を考えていると、彼女は股間に違和感がある事に気づく。自身のやや薄い桃色のショーツに右手を恐る恐る伸ばすあきら。
そこで彼女はそのショーツが濡れていることに気づく。失禁?それとも?…自分のしてしまったことへの恥ずかしさにあきらの頬はだんだん赤く染まっていく。
(いやだわ…わたしったらどうして?)
…チュん、チュんチュん。そこで部屋の外から雀のさえずりが…窓のブラインドの隙間からは朝の日差しがこぼれてきている。
(!もうそんな時間?…完全に目が覚めちゃったしもう寝るのは無理ね…ちょっと早いけど起きよう。それに物凄く寝汗もかいてるみたいだし、シャワーを浴びてスッキリしなきゃ)
そう思うとあきらはベッドから完全に身体を起こし、着替えを持って洗面所へと向かいバスルームへと消えていった。
…シャァーッ…キュッ。シャワーを浴び終えバスルームから出てきたあきら。彼女の柔肌を弾く水滴をバスタオルできれいに拭き取りいつものピンクの服装へと着替えていく。
ふぅ…洗面所から出てきたあきらは部屋にある化粧台の前の椅子に座り、濡れた髪の毛をドライヤーで乾かしている。
(…それにしてもあの夢は何だったのかしら?まさか何か悪い事が起きる前触れ?…ううん、そんなわけないわよね、考えすぎよ、わたしったら)
鏡の中に写る自分にそんな事を心の中で語りかけているあきら。そしてブンブンとかぶりを振り、頭の中に浮かんだ事を必死で打ち消そうとしている。
ガチャッ。そして彼女は冷蔵庫を開け朝食としていつも摂っているサプリメントを取り出し一気に飲み干す。再び化粧台の前に座ったあきらは、乱れた髪の毛をきれいにセットし、自分の顔にお化粧をほどこしていく。
(あんな夢のことはもう忘れよう…とにかく早く切り替えなきゃ…)
パン、パンッ。両手で頬を軽くはたき己の気分を必死で切り替えようとしているあきら。
(…ちょっと早いけどもう出かけよう…少し散歩でもしてからアスレチッククラブに行こう。そうすれば少しは気分も変わるかもしれないわ…)
スクッ。そう思い立った彼女は化粧台の前から立ち上がり、玄関のドアを開け外へと出かけていった。
…しかしこの後すぐに現れるバンリキ魔王にデンジマンたち5人は最大の危機に陥れられる事になる。そしてそれはあきら自身も例外ではなかった。彼女がこの日見た夢はそのことを暗示していたのかもしれない。
かつてない試練が…デンジピンクに、桃井あきらにおとずれようとしていた…。
-完-