嘘でしょ!恐怖のネジレジア料理

ネジレジアとの戦いが終わりメガレンジャーの面々はそれぞれの道を歩んでいた。学生となっていた千里とみくは相変わらず仲良しで休みが合えば、一緒に遊びに行くほどであった。今日もまた一緒に出掛けているのであった。
「ねぇねぇ、今度はあれ食べようよ」
みくが指さす方向にはアイクリーム屋があった。
「あのねぇ~、あんたいくら食べれば気が済むわけ?」
呆れ気味に千里はみくに言った。


「それはね私にはいくつも別腹があるから入るのよ、すいません~」
自慢げに言い放ちながら店に入っていた。だが、しかしすぐに出てきた。
「えぇ!? どうしたの?」
「千里、大変なのよ来て来て」
凄い形相で千里の腕を掴み中に入って行った。
「この人が払います」
「えぇ!?」状況を飲み込めないでいる千里。
(200円のアイス6つで1200円になります)
店員が千里に向かって言った。
「みく!!!!!!!!!!」
やっと状況が理解できたのか千里が怒りに満ちた顔をしながらみくを見るとすでに両手に持たれているアイスが2個ずつ乗っている状態だった。
「あははは・・・」笑いながら店を出ていくみく。
(あの・・・お客様・・・代金の方を・・・)
「あっ、すいません」
渋々お金を払い店を出た。すると、次に何を食べようかと選んでいるみくの頭をバックで殴った。
「イッタァ~イ」
「みく、あんたね・・・」
どうやら千里は怒っている様子である。
「だって・・・財布を見たらお金がなかったんだもん」
「・・・」
まだ怒っているようで視線が突き刺さる。
「ごめん、怒らないでよぉ~。ほら、半分あげるからさぁ」
そう言いながら千里の手にアイスを握らすみく。ふてくされながらもアイスを食べる千里。
「それに今度バイト代が入ったら真っ先に千里にど~んっと」
「うっ・・・」
「返すからさぁ」
千里の方を見ると持っていたアイスが手を伸ばした勢いで千里の顔に当たっていた。
「あぁ~~~!!!!!!!!!!」
マズいと気付いた時には時既に遅く千里は口元をピクピクさせながら笑っていた。
「ごめん・・・なさい・・・」後ずさりするみく。
「みく!!!!!!!!!!」本日2度目の千里のかみなりが落ちたのである。

しばらくしてみると2人は街外れをブラブラとしていた。千里が前で後ろをみくが歩いている。しかし、先ほどまでとは様子が違うようで千里はもう怒っていないようなのだがみくは下を向いて歩いている。どうやら千里に2回も雷を落とされて落ち込んでしまっているらしい。
「もう~、みく!!」みくに近づいていき頬を横に伸ばした。
「いつまで落ち込んでるのよ~」頬を引っ張りながらぐるぐると回しながら言った。
「だぁうてぇ~」
「だってじゃないの、もう怒ってないから落ち込むの止めなさい」みくから手を離した。
「えぇ・・・でも・・・」
「止めなさいって言ってるのにまだ言うのはこの口かぁ~」
そういうとまたみくの頬を掴みさっきよりもぐるぐると回した。回している千里の顔はいたずらをしている子供のようである。
「わかぁったぁ、わかぁったからちしゃと離してよ」
「わかれば宜しい」
手を離す千里。すると、急に千里の頬を掴んで引っ張るみく
「痛い・・・やったなぁ~」
千里もまた引っ張り出しお互い合う形になった。端から見るとバカップルのようである。言い換えれば2人はそれぐらい仲良しなのだ。2人はお互いの顔を見て笑ってしまった。
すると、突然デジタイザーがなった。
「千里も持ってきてたんだ」
「当たり前でしょう」
「なんでだろう?千里のデジタイザーだけ鳴るなんて・・・あっ、健太からのデートの誘いじゃない!?」
「まさか、そんなことあるわけないでしょ」デジタイザーを開く。
「はい、千里です」
(千里か?)
「その声は博士!?」
「何だ、博士か・・・」
(うん?どうした千里。私じゃなんか都合が悪いのか?)
「いえ、別に」
「あのねえ、博士。千里は健太からの・・・」
「コラッ、みく!!」慌ててみくの口を塞ぐ千里。
(うん?健太がどうかしたのか?)
「いえ、何でもないですよ。ところで私たちに何かご用ですか?」
(おぉ、そうだった。実はなぁ、微弱なんだがネジレ獣のエネルギーを感知したんだよ)
「ネジレ獣ですって!?」驚きを隠せない2人。
「ネジレジアは倒したはずですよ」
(そうなんだが・・・)
「センサーの誤差どうじゃないんですか?」
(調べてみたんだが何処も異常はないんだよ)
「じゃあ本当にネジレ獣が・・・」
(わからん・・・すまんが調べてもらえんか?)
「私たち2人で調べるの? 博士。」
(他の3人にも連絡したのだが、瞬は今新しいネットワークシステムの発表の為にフランスに、耕一郎はその手伝いの為に一緒に行っているし、健太は・・・)
「健太はどうしたんですか?」
(ゲームに熱中しているせいか全然応答がないんだよ)
「健太は変わらないね」
「わかりました、行ってみます」
(すまいないね、頼んだよ)デジタイザーを閉める千里。
「みく、行くわよ」
「うん」
「インストール!メガレンジャー!」2人は変身ポーズをとり、デジタイザーを開いた。
(3・3・5)変身コードを押していき最後のボタンを押した瞬間2人は目映い光に包まれてメガスーツを身に纏った。
「久しぶりにこのスーツ着たけどちょっとキツいかなぁ・・・」メガピンクが自分の姿を確かめていた。
「ちょっと太ったんじゃない?」
「えっ・・・酷い・・・」マスク越しでもわかるぐらいショックを受けているようだ。
「ウソウソ、そんなことあるわけないじゃない」慌てて否定をするイエロー。
「そう・・・だね、そうだよね。気のせいだよね」ピンクは元の元気を取り戻した。イエローは内心ホッとしていた。
2人はサイバースライダーを呼ぶと目的地へと飛び立った。10分ほどすると目的地に到着した。そこは山の中だった。
「千里、ここで合ってるの?」
「えぇ、間違いないわよ」
ピンクが疑うのも無理はない辺り一面木があるだけで近くを川が流れているという単なる森でしかないからである。
「千里が言うから間違いないと思うけどもう一度博士に聞いてみたら?」
「そうね」
デジタイザーで通信をしようと試みる。しかし、雑音が聞こえてくるだけだった。
「あれ?通信が出来ないわ」
「えぇ!? さっきまで出来てたのに変ね」
「ひょっとしてこの辺り一帯強い磁場が出ているのかも」
「磁場?」
「みく、ちょっとこの辺りを調べてみて」
「うん・・・わかった」
ピンかはいまいちピンと来ていない様子であるが千里の言われた通りにした。
「テレフォンサーチ」辺りを見回すピンク
「どう?」
「千里の言うとおりこの辺一帯から強い磁場が出てるわ」
「やっぱりね、だから通信出来なかったのね」
「千里、どうするの?」
「仕方ないわね、この辺りを調査して帰りましょう」
「わかった」
2人は調査するために歩を進めた。歩きだしてまもなく霧が立ちこめてきた。歩けば歩くほど段々と霧が濃くなっていく一方であった。
「ねぇ千里、何だか気味悪いよ」
「そうね、何か出てきそうね」
「もう、恐いこと言わないでよ」
そう言っていると急にクネクネの集団が現れた。
「何でここにクネクネが・・・」
「みく、それを考えるのは後よ。今はこいつらを倒すのが先よ」
「うん」
2人は散り散りになりクネクネをケチらし始めた。
「メガスリング!!」
「メガキャプチャー!!」
クネクネを圧倒する。しかし、倒した分だけクネクネがまた出てくるのであった
「倒しても倒しても出てくるなんてきりがないわ」
グチをこぼしながらも敵を倒し続けるイエロー
「キャーーー!!!!!!!!!!」
突如ピンクの悲鳴が聞こえた。
「みく、どうしたの? みく!!」
霧で視界が悪い中必死にクネクネを倒しながら声のした方へ行くとそこにピンクの姿はなくメガキャプチャーだけが落ちていた。何が起きたのか理解できないでいると後ろから大きな光の固まりがイエローに直撃した。イエローは飛ばされ近くの木にぶつかりそのまま地面に叩きつけられた。イエロー見上げた先には誰かたっていた。
「あんたは・・・」イエローは意識を失った。

気が付くと何処かの部屋のような場所にイエローは手足を縛られて横たわっていた。
「ここは・・・」辺りを見回すと近くにピンクも同じく縛られて横たわっていた。
「みく!!・・・みく!!」呼ぶ声にピンクが気付く。
「・・・ここは・・・千里」
「みく、大丈夫?」
「えぇ、実はネジレ獣が・・・」
「みくも見たの?」
「みくもってことは千里も見たの?」
(私のことをお話ですか?)
「ネジレ獣!!」
(我が名はキマイラネジレ。私の基地へようこそ、メガレンジャー)
「ネジレジアは滅んだはずよ、どうして?」
(私はグランネジロスが敗れる瞬間ジャビウスハートのエネルギーにより動き出したネジレ魔法陣によって幾多の遺伝子から生み出されたネジレジア最後のネジレ獣なのだ)
「なんですって!?」
(Dr.ヒネラー様亡き今、私が新たなネジレジアの総帥となったのだ)
「そんなこと私達が阻止するわ!!」
(そんな状態で何が出来るのです? あなたたちを捕まえたのは我が新生ネジレジア誕生の狼煙をあげるためです)
イエローとピンクは何度も拘束を解こうともがくも外れることはなかった。
(あなたたちをこれから行われる宴に招待してあげますよ)
「えっ!?」2人は驚く。
(我ら新生ネジレジア誕生を記念した宴の料理となるのですよ)
「何、馬鹿な事言ってるの?」イエローは呆れ気味にネジレ獣に言った。
(馬鹿なことは言ってませんよ。これから人類の神となる私の言葉は絶対なんですから)
イエローは口には出さなかったものの心の中で「あいつ、イカレてる」と思った。
(さて、あなたから料理しましょうか)キマイラネジレが指を差したのはイエローだった。
「えっ、私!?」
(あなたの身体はよく締まっていて美味しそう。足なんてローストチキンみたいで食べ応えありそう)
「この悪魔!!」
(そうだ、あなたをオムライスにしちゃいましょう。卵に包まれたあなたの足がアクセントになって・・・う~ん、想像しただけで堪らないですねぇ。料理班!!)
するとコック帽被った5人のクネクネが現れた。
(イエローを連れて行き料理してしまえ)
すると、横たわるイエローを起こし別の部屋へと運んでいった。
「千里!!」
(大丈夫ですよ、あなたをこれからいいところにご招待しますよ)
そう言うとキマイラネジレはピンクを担ぐとイエローとは違う部屋へ運んでいった。そこは椅子が1つあり向かいはガラス張りになっていた。椅子にピンクを座らせて手足を固定した。
(あれを見な)
言われた方を見るとガラスの向こうは大きな調理器具が置かれた調理場になっていた。そこにイエローが運ばれて来た。
「あっ、千里!!」
(今からこの特等席であなたのお仲間が料理されるのを見せてあげますからね)
不適な笑いをするキマイラネジレ。
(調理を開始しろ!!)
そう指示すると料理班のクネクネたちは大きなフライパンに油を引き熱し始めた。しばらくするとフライパンから煙が上がり始めた。そこにメガイエローを放り入れた。ジューと肉を焼くような音がしたかとおもうやいなや千里の「熱い!!!!!!!!!!」という断末魔のような叫び声が響きわたった。
「お願い、止めて!! 千里が死んじゃう!! 私たちが何でもいう事を聞くからお願い!!」イエローの叫び声にピンクが必死にネジレ獣に訴えた。
(そうですね、死ぬかもしれませんね)冷たく言い放つキマイラネジレ。
「そんな・・・千里!! うっん、うっん」ピンクは必死に拘束を解こうとするがビクともしない。
そんなやり取りが行われている間も調理は着々と進んでいた。大きな木のへらでイエローは炒め続けられていた。イエローは先ほどまでの威勢を無くしてはいたが未だに「熱い」、「助けて」などの言葉を口にしていた。炒め続けられていたのでスーツは油を吸って鮮やかなイエローになっていた。
そこにみじん切りにした人参とタマネギ、マッシュルーム、鶏肉、そしてご飯を加えて更に炒めだした。今度は先ほどまでと違い大きなフライパンを揺すりながら炒め始めた。それにより具材が幾度となく宙を舞っては落ちるという状態であった。イエローも同じように幾度となく宙を舞っては落ちてを繰り返した。フライパンに叩きつけられる度に「うっ・・・」っとうめき声をあげていた。
しばらく炒めていると具材に火が通り焼き色が付いてきだした。イエローは抵抗する体力もなくぐったりとしていてスーツも焦げていた。そして、幾度となく叩きつけられていたせいでマスクにはヒビが入っていた。そんな状態になってもまだ調理は続けられた。大量のケチャップが入れられて具材と絡めるようにまた揺すりながら炒めあげた。すぐにケチャップが全体に行き渡りチキンライスが出来上がった。ライスを包むタマゴを焼くためにライスは一度皿に移された。ライスの中のイエローはマスクが割れて顔が露わになっていた。意識が朦朧としているというが見て取れた。イエローの視線の先にはピンクが見えた。
「み・・・く・・・助・・・け・・・て・・・」
朦朧とする意識の中で仲間の名前を呟いた。その頃みくはまだ拘束を解こうと頑張っていた。
(もう諦めてはどうです? メガイエローの命は風前のともし火です)
「ウルサイ!! あんたがなんと言おうと私は千里を助ける」
(おぉ、美しい友情ですね)あざ笑うかのように言い放つキマイラネジレ。
そう言い放つキマイラネジレを睨み付けるピンク。
(おぉ、恐い恐い)
そんなやり取りをしている間にメガイエローオムレツは完成していた。しっかりと味付けされたチキンライスを薄く焼き上げられたタマゴが包み込みその上からデミグラスソースがかけられていた。タマゴのの端からは千里の顔と腕が見えていた。千里は意識を失っていた。

(さぁ、ついに料理は完成した)
「千里・・・ごめんね」助けに行くことが出来なかった自分の不甲斐なさに落胆するピンク。
(われわれ新生ネジレジア誕生の宴を始めようではないか)
キマイラネジレの声に歓喜するクネクネたち
(そうそう、あなたにはまだ付き合っていただきますよ)
「えぇ!?」
(これから仲間が食べられる様子をあなたにはじっくりと見届けて貰いますからね。そして、今度はあなたが料理される番ですよ)
「イヤーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
その後ピンクは仲間の千里がクネクネたちに食べられていくのを無理矢理見せられるのであった。その光景を見ながらみくの目からは輝きが消えていった。そして、自分が料理される番には恐怖と助かりたい一心からかキマイラネジレに対して命乞いをするピンクの姿があった。