絵本のなかの人形 前編
デスダークが町中で配った絵本の中に子供たちが次々と吸い込まれるという事件が発生。未来科学研究所のコンピュータボーイズ&ガールズー「コンボイ」のメンバーも犠牲となる。そして、子供たちを必死になって探すゴーグルピンクの桃園ミキまでもが絵本の中に閉じこめられてしまった。

「なに、ゴーグルピンクが……」
デスマルク大元帥はミミズクモズーの報告を聞いて驚きの声をあげた。
「なにを血迷ったか、絵本のなかに飛びこんで参りました」
かしこまって答えるミミズクモズー。
「でかしたぞ、ミミズクモズー。さっそくその絵本を奪ってくるのだ!」
デスギラーも予想外の大きな獲物に声がうわずっている。
「ハッ!」
ミミズクモズーはすぐさま絵本奪取に向かった。
しばらくしてミキが閉じこめられた絵本がデストピアに届けられた。
「絵本のなかに閉じこめられては、さすがのゴーグルピンクでも、文字どおり手も足も出せません」
マズルカは目を輝かせてうれしそうに喜んでいる。
「にっくきゴーグルピンクをただ焼き殺すだけではおもしろくない。何かいい作戦はないか」
デスマルク大元帥は侍女のベラ、ベスに持ってこさせた火炉を前に考え込んでいる。
「私に考えがございます」
マズルカが大元帥の前に歩み出た。
「ゴーグルピンクを共に戦ってきた仲間たちの手で苦しみ悶えさせるという作戦はいかがでしょうか」
「むう……それはどんな作戦だ」
「まず、さらってきた子供たちを洗脳してゴーグルピンクに精神的かつ肉体的なダメージを与えます。そして次にピンクを閉じこめた絵本を罠にして、ゴーグルファイブの残りのメンバーも捕らえるのです。そして今度はメンバーの男どもに……」
「ふむ、敵を使って敵を嬲るか……おもしろそうだな……」
「ゴーグルファイブも所詮人間の集まり、互いの信頼関係さえ壊してしまえば……」
「よしマズルカ、今回の作戦の指揮はおまえに任せよう……」
ゴーグルピンクを捕らえた絵本を囲むデスダークの幹部たちの間に歓声があがった。

ミキは手術台のような大きなテーブルの上で、大の字に縛りあげられて横たわっている。ピンク色の夏服は脱がされていなかったが、しなやかな両脚はVの字に大きく割られ、天井からロープで吊されていた。
手足は固く拘束されており、ミキの力では外れそうにない。頼りの変身ブレスも奪われていた。
理科の実験室とおぼしき広い部屋には、ミキの足もとに達也と誠、両脇に大介と春男が立っている。四人の男の子はコンボイのメンバーだ。
ミキは子供たちの後ろに、デスダークの女幹部マズルカが冷たい笑みを浮かべて立っているのに気づいた。
「マズルカ! 罪のない子供たちをさらって、なにを企んでいるのッ……」
ミキは手足を激しく動かしながら叫んだ。
「みんな、無事だったのね……どうしたの? 何をじっと見てるの……」
しかしミキの質問に誰ひとり答えようとはしない。男の子たちは目をギラギラさせて、身体にぴったりとフィットしたユニフォームの下腹部を、テントのようにピンと張りきらせていた。
「あッ、いやあッ……」
ミキは子供たちの姿をみて、思わず顔をそむけてしまう。子供たちは催眠術かなにかでマズルカに操られているのだろう。
「さて、みんながお待ちかねの性教育の特別授業をはじめましょう」
マズルカが四人を見まわした。
「これから女の構造についてじっくり調べます。今日は特別にゴーグルピンクのお姉さんがみんなのために"教材"となってくれました」
ミキは絶句した。マズルカと男の子たちは、性教育と称して、ミキの身体をいろいろと調べるつもりなのだ。
「それじゃあ、まず乳房の観察から。この教材は残念ながら胸のふくらみが小さすぎてわかりにくいと思いますが、みんなで乳首をさがしてみましょう」
マズルカは先生になったかのように"授業"を進めていく。
マズルカの言葉に大介と春男は、机の上のシャーレから、綿を丸めて小さな球状にしたものをピンセットで摘みあげた。シャーレにはベビーオイルが注がれていて、綿もたっぷりとオイルを吸っていた。
ミキの夏服は薄いピンク色のジャンプスーツで、胸の部分に三角の形をした青色のパッチワークが施されていた。子供たちはこの三角形の部分をオイルを吸った綿でなぞってくる。
「あっ……」
ミキは息を呑んだ。ふくらみの頂きにジワリとオイルが染みてきた。ただそれだけで、ミキの乳首はもう硬く頭をもたげてくる。尖りきった乳首にオイルを吸った布地が貼りついて、ミキの欲情の証しである小さな勃起の輪郭をくっきりと浮かびあがらせてしまった。
(そんなところばかりいじらないで…恥ずかしい……)
ミキは両眼を固く閉じて、下唇を噛みしめた。
「まあスーツの下はノーブラだなんて、いやらしい……それに子供に触られただけなのに、もうピンピンね」
マズルカがあざけった。
「う、ウソッ……ウソだわ。私は感じてなんか……」
「わかったわ、おまえがそんなに言うのなら、ほんとうに感じていないか、なかを見て確かめてみようじゃないか」
「えっ……そ、そんな……」
男の子たちがゴクリと唾を飲みこむ音がはっきりと聞こえた。股間に屹立した四人のペニスは、早くもその先端に透明な液体を湧出させ、ユニフォームをにじませていた。
ジャンプスーツのジッパーが少しずつ下ろされていく。その内側から、ミルクを溶かし込んだような白くなめらかなミキの素肌がのぞいた。
ジッパーがベルトの位置まで下ろされた。
「スーツを左右に剥がしてみなさい」
「や、やめなさい、みんな……こんなことしちゃ、いけない……」
子供たちの手が襟元をつかむと、ゆっくりと左右にはだけられていく。たちまちミキの微乳が姿を現した。
自分の胸が露わにされるのを見つめながら、ミキは知らずしらず息をつめていた。なだらかな隆起の中心に桃色の乳首がポッチリと尖っている。
「やっぱり勃起しているじゃない」
硬くしこってしまった二点を見て、マズルカがことさらに侮辱の言葉を口にした。
(ああ、いやッ……)
「撫でてやりなさい。反応を観察します」
子供たちのピンセットが、シャーレからまた綿球を摘んだ。たっぷり吸われたオイルがミキのかすかなふくらみにポツンと滴った。
綿がヌルリと乳首を撫ではじめた。
「くう……」
ミキは奥歯を噛んで、もれていく声をこらえた。ジンと電流のように走る快感に背中までしびれた。塗られたオイルにつやつやと光る乳首を綿が撫でまわす。屈みこんだ男の子の呼吸がミキの乳房にかかっている。
「はあ……」
生暖かいオイルに包まれた綿のクッションの奥に潜んだピンセットの先端の硬さが、刺激を求めてけなげに勃ちあがってしまったミキの小さな頂点を、ツンツンとつつき、転がそうとする。
「あん!」
快感がとうとう声になってあふれた。ピンセットは執拗に動きつづける。乱れを隠すことができなくなった呼吸に、乳首が揺れる。まるで自分からピンセットに戯れかかっているかのようだ。
(こんな時に…私の身体はどうなっているの…みんなを助けないといけないのに……)
「そろそろやめなさい」
ミキの様子を見ていたマズルカが子供たちに声をかけた。夢中になっていた大介と春男がハッと顔をあげた。長くつづいた愛撫が突然途切れる。
「みんな、お姉さんはもう興奮してきちゃったみたい。困ったものだわ……」
(あぁ……)
われに返ったミキの目にオイルに濡れた乳首がひどく淫らに見えた。
「今度は、女の下半身の構造について調べます。観察に邪魔なものはすべて除去します」
ミキの腰からベルトが抜きとられ、ジッパーが一番下まで引き下ろされた。股間までV字に開いたジッパーの隙間から白いパンティがのぞく。
マズルカはミキの太腿のほうからジッパーへ斜めにハサミを入れて、ジャンプスーツのパンツ部分を切断してしまった。肩口から襟もとにも切り込みを入れると、袖が完全に切り開かれた。ミキの身体から着衣が引き剥がされていく。パンティ一枚の姿で四肢を拘束されたミキはピンクの敷物の上で身悶えた。
それはまさしく解剖であった。ピンクの夏服は標本の皮膚といえた。それが左右に花びらのように押し開かれ、剥ぎとられるようにして身体から取りのぞかれていく。輝くように美しい、人には見せたことのない女体が明るい光のなかに無残にもさらけだされ、好奇の視線がはいずりまわるままにされているのだった。たった一枚の、薄いパンティが、ミキのもっとも大切な部分を覆っていたが……。
「貧乳のくせにお尻は人並み以上に立派なのね、ほんとうに大きなお尻だわ」
マズルカはミキの身体上のコンプレックスをことさらに強調する。
男の子たちがミキの股間を覗きこんできた。
「真ん中にピンセットを押しこんでみなさい。縦に、そう、そこの割れ目に入れるのよ」
「……そ、そんなこと、みんな、やめて……お願いっ……」
マズルカのいやらしい命令に、ピンセットの硬い先端が薄い布地越しに当てられた。最初のひと押しはわずかにずれたが、二押し目がミキの小さな肉の裂け目を割った。つづけて下へと移動しながら、ピンセットはミキの壁の内側に柔らかい布を押しこんでいく。アソコの形が、布地越しにくっきりとわかってしまう。
「どうなってる?」
マズルカがわざとらしく子供たちに聞く。
「色が……変わったよ……」
「ぬ、濡れてるんだ!」
春男が興奮して裏返った声をあげた。
「やっぱり感じてるんじゃない。子供たちの前で恥ずかしくないのかしら」
(ああ……)
押しこまれた薄い布に濃い染みをつくっていくのがミキにもわかった。
「次は、いよいよパンティの中身を観察しましょう」
「あっ、いや!」
ミキは思わず声をあげてしまう。
パンティの両サイドが持ちあげられてハサミで切られる。伸縮性の強い布は縮んでヒップに回りこみ、股布がふんどしのように残された。
マズルカはハサミを置くと、足枷につながれたロープの巻き取り器のハンドルを静かにまわしはじめた。
カリッ……カリッ……
そのたびにほんのわずかずつミキの両脚がゆっくりとあがっていく。最初は、羞恥と官能の炎のなかでその音にも気づかなかったミキだったが、知らないあいだに自分の両脚がより高く吊りあげられ、左右に押し広げられていくのを知ったとき、猛烈にもがきはじめた。
「ひどい! や……やめて!」
カリッ……カリッ……
「きゃあ!……だめ……ああっ……」
カリッ!
ミキの両脚はまっすぐ左右へ開いて吊りあげられ、開ききった内腿の筋がピクピク痙る。、ミキの腰までがテーブルから浮き上がって、股間に残されていた股布が音もなく下に落ちていく。
「ああ、いやッ!」
ついにミキの秘められた部分があられもなくさらけだされる。代わりに腰の下には枕が押しこまれた。
「ああ……」
ミキの両脚はほとんど水平に近づくほど広げられ、黒い絹毛は秘めやかな女の源泉を隠しきれていない。内腿の筋に引っぱられてほころび、ピンクの肉壁までがチラチラのぞけてしまうほど酷な角度の開脚ぶりだった。
「あら、可愛い顔をしてるけど、結構ここは毛深いのね。人は見かけによらないわ」
マズルカは黒いデルタ地帯のくさむらの形状をこと細かに説明し、ミキを辱める。
「マズルカ! こんな格好にして辱かしめても私は挫けないわ。ゴーグルピンクは不死身よ!」
ミキは無慈悲な開脚の苦痛に耐えながら、マズルカに強がってみせた。
「恥ずかしくはないでしょう? 百八十度開脚なんて、得意の新体操でよくやるポーズじゃない」
ミキは吊りあげられた両脚を波打たせ、激しくかぶりをふり続ける。
もう淫らな視線を防ぎ避ける術はまったくなかった。マズルカに代わって開ききった太腿の間に男の子たちが顔を寄せ合ってのぞきこんでくるのが、ミキには痛いまでにわかった。
「やめて!……み、みんな見ないで!……見てはいやッ……」
ミキはうわ言のように言い続けているが、その泣き声の混じりはじめた懇願も、マズルカや男の子たちにとっては、一層気持ちを昂らせる心地よいメロディでしかない。

中編につづく